JR東海キハ75形気動車
テンプレート:鉄道車両 キハ75形気動車(キハ75がたきどうしゃ)は、東海旅客鉄道(JR東海)の一般形気動車[1]。
JR東海では、日本国有鉄道(国鉄)から承継したキハ58系・キハ65形気動車を非電化区間に直通する快速・急行列車に使用していたが、それらの車両の老朽取り替えを目的として設計・製造された。1993年(平成5年)から営業運転を開始し、2014年(平成26年)4月現在は2両編成20本(40両)が名古屋車両区に配置されている。
番台区分
0・100番台
(1次車:1 - 6 鳥羽・武豊向き・トイレ付き、101 - 106 名古屋向き・トイレなし)
1993年、快速「みえ」用として2両編成6本(12両)が日本車輌製造で製造された。0番台を1号車(鳥羽方向)、100番台を2号車(名古屋方向)として2両編成を組むが、2両以上であれば設計上は1両単位での組成も可能となっており、最大で10両まで連結することができる。
311系電車と同様にステンレス製の車体に両開きの客用扉が片側3箇所、橙の帯が2本という外観となった。連続窓が採用され、車端部を除いて固定式である。低床構造とされたため、扉付近に段差(ステップ)はない。
エンジンはカミンズ社製C-DMF14HZB (350ps) を各車両に2基ずつ搭載し、変速機は新潟コンバータ製[2]のC-DW14Aでトルクコンバータを用いる変速段が1段に加え、直結段が2段となっている。最高運転速度は120km/hで、キハ85系と同等の性能を有する。ブレーキシステムもキハ85系と同一の電気指令式で、その他機関ブレーキとコンバータブレーキも装備する。台車はボルスタレス式で、ヨーダンパを装備するC-DT60形である。
連結器は、キハ85系では従来車と共通の密着自動連結器が採用されたのに対し、本形式ではJR東海の気動車として初めて電気連結器付き密着連結器が採用された。冷房装置は駆動エンジン直結式のC-AU30形を屋根上に2基搭載する。
車内設備は311系電車に準じたもので、座席はシートピッチ940mmの転換クロスシート(一部固定)であるが、国鉄時代から気動車の全長は21.3 m (連結面間)と標準的な電車のそれに比べて1.3 m も長いため、同じ座席数ながらシートピッチは30mm長い。0番台には車内公衆電話や車椅子対応トイレを設置している。また、LEDを用いた情報案内装置を各車の車端部に設置した。2000年代に入ってからはドアチャイムも設置されている[3]。なお、公衆電話については、後述する200番台も含めて2007年3月18日以降使用を中止した。
種別・行先表示器と号車番号表示器は字幕式である。製造当初は前面行先表示器の字幕の地色が黒であった。キハ58系のように臨時列車に使用されることを考慮し、高山本線・中央本線の駅名や、急行「エメラルド」での運用を想定した東舞鶴駅などを行先として表示できるようになっている。
運用は後述する200・300番台と区別されておらず、快速「みえ」のほか、武豊線にも入線する。
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キハ75-1
(2001年9月15日 / 名古屋駅) - JR DC kiha75-101.jpg
キハ75-101
(2001年9月15日 / 名古屋駅)
200・300番台および400・500番台(ワンマン対応)
テンプレート:Sound
(2次車:201 - 208 鳥羽・武豊向き・トイレ付き、301 - 308 名古屋向き・トイレなし)
(2次車:401 - 406 鳥羽・武豊向き・トイレ付き、501 - 506 名古屋向き・トイレなし)
1999年(平成11年)に投入された2次車で、快速「みえ」の増発と急行「かすが」用キハ58系・キハ65形気動車の置き換え、また武豊線用の車両置き換えと東海道本線(名古屋)直通列車の増発を目的に日本車輌製造で製造された。この増備により従来武豊線を走っていたキハ40系は名古屋車両区から美濃太田車両区と伊勢車両区に転出した。その後、「かすが」は2006年(平成18年)3月17日をもって廃止され、快速「みえ」と武豊線列車などに運用されている。
0・100番台からの変更点
- 貫通扉上部に前照灯が増設された。また、車体最大高を3.9m→3.63mとした。制御・駆動系などは基本的に0・100番台と同じである。
- 転換クロスシートは313系電車と同様の中折れ機構を持つタイプに変更され、シートピッチも940mm → 910mmとなり、乗降扉付近のスペースを広げ、定員が増加した。
- ドアチャイムを設置[4]。
- 0・100番台の客室内LED式情報案内装置に組み込まれていたデジタル時計は省略された。これに伴い禁煙表示の位置も変更されている。
- 400番台には公衆電話は設置されていない。
- 前面行先表示器の字幕は白地・黒字体に変更(0・100番台も交換)。
- 400・500番台は、武豊線のワンマン列車用として乗務員室後部に運賃表示器・運賃箱を設置し、後部乗降扉に埋め込み式の整理券発行器を設置した。これらは313系3000番台と同一である。座席配置は0・100・200・300番台と同一で、多客時の臨時列車などでは指定席車として運用される場合もある。
- 電気連結器は一般的なものに変更された(0・100番台も交換)。
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キハ75形2次車で運用される急行「かすが」
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運転台コンソール(500番台)
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室内(300番台)
ドア付近につり革を備える - JR Tokai 75 series DMU 002.JPG
座席(300番台)
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ドア横の運賃表示器、ドア開閉ボタン、整理券発行機(500番台)
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ドアスイッチ(300番台)
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運転台仕切り壁と貫通路(500番台)
写真は車掌乗務時 - JR Tokai 75 series DMU 007.JPG
運賃表示器(左)と情報表示器(500番台)
3000番台
武豊線電化に伴う転用を控えワンマン対応、耐寒化などの改造を施したもの。元番に+3000されている。2014年3月に1編成(3207+3307)が出場している[5]。
運用
- 快速「みえ」は4両編成で運転されている。なお「みえ」ではワンマン運転を行わないが400・500番台が定期の「みえ」の運用に就くこともある。
- 武豊線内列車は基本的に2両編成、ラッシュ時および東海道本線への直通列車は4両編成を基本とした運用となる。
- このほか、臨時急行「熊野市花火号」や臨時快速「さわやかウォーキング号」、四日市花火大会の臨時列車などでの運用実績もある。
- 2009年11月1日には、佐久間レールパークの閉鎖に合わせて、臨時快速「佐久間レールパークフィナーレ号」として、初めて飯田線豊橋 - 中部天竜間で営業運転された。
- 2013年11月9日、11月10日には、愛知県豊川市で「B-1グランプリin豊川」の開催に合わせて、飯田線の臨時増発列車として営業運転された。
- 2012年2月までに全車両に対してATS-PTの設置工事が施工されている。
- JR東海では2015年を目途に武豊線を電化する計画がある。2011年3月から同線にキハ25形が投入されたため、捻出された本形式は上記の「みえ」の増結に運用されている。また、武豊線の電化後は、キハ25形とともに高山本線を中心とした運用が予定されている[6]。