音高

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テンプレート:独自研究 音高(おんこう)、ピッチとは、

  1. 音楽用語
  2. 音声学用語

で、知覚されるの高さ、もしくは音の物理的な高さ(基本周波数[Hz])のこと。

「音高」の聴覚上の概要と物理的な意味(波数)は必ずしも一致しない。物理的な測定によってある音の基本周波数が決定されたとしても、倍音や部分音(Partial)のために、知覚される音高とは異なる場合もある。

本項では音楽用語の「音高」「ピッチ」について解説する。音声学の「ピッチ」についてはアクセントを参照。

音高の知覚

音高の呼び名に音名がありアルファベットと数字の組み合わせで表すことが多い。

ピアノの中央ド音(C4)の上のラ音(A4)は、標準で440 Hzの高さに調律されることが多く、その場合は440[Hz]の純音と等しい音高として知覚されるが、その周波数の倍音を必ずしも含むとは限らない。さらに、周波数の微細な変化は、知覚される音高の変化を必ずしも伴わない。実際に、音の丁度可知差異(jnd、Just noticeable difference)は約5セント(半音の5/100)である。しかし、この値は音域によって異なり、音を同時に鳴らした場合にはより精密となる。人間におけるその他の刺激と同様に、音高の知覚についても、ヴェーバー‐フェヒナーの法則によって説明することができる。

人が感じる音高は音の大きさや音域そして音色に影響されるといわれる。一般に大きい音ほど(僅かだが)高めに聴こえ、可聴域の下限に近い音は高め、上限に近い音は低めに聴こえる。このためピアノでは調律の際に最低音域の波数を低め、最高音域の波数を高めに設定することが通常行われる(つまりオクターブの波数比が2倍より大きくなる)。また、特に低音域では音の振幅が大きくなる程、音高は低く知覚される。また、倍音の多い(強い)音ほど高めに聴こえる。

周波数成分が複数ある音(自然界や楽器の音は全てそうである)から、人間がどのようにして音高を捉えているのかは、はっきりとは分かっていない。多くの人が通常は「2つの音の和音」と感じるような音も、前後の音楽の関連によって単音として聴こえることもある。つまり音高(基本周波数)の認知に記憶の要素も関与する。

また、音響心理学ではミッシング・ファンダメンタル(= 失われた基底音、Missing fundamental, suppressed fundamental, phantom fundamental)という現象が知られている。これは、ある音から基本周波数を含む周波数域を取り除いた場合でも、元の音と同じ音高として認識してしまう現象である。この現象は脳が音高を基本周波数だけでなく倍音の比率も援用して知覚しているために起こる。

周波数が高い音を「高い」音、周波数が低い音を「低い」音というように空間的な「高低」を当てはめて表現するのは、多くの言語に共通している(英語: high-low、ドイツ語: hoch-tief = 深い)。音程(音の高さの違い)は周波数比にほぼ比例し、440 Hz と 880 Hz の2音の高さの違いと、880 Hz と 1760 Hz の音の高さの違いはどちらも 1 : 2 であるから、同じ違いであると認識される(この例はどちらも 1 オクターブである)。

他の人間の感覚と同様に、聴覚にも錯覚が存在し、この「聴覚の錯覚」(Auditory illusion)の結果、音高の相対的な知覚が惑わされる場合がある。これには、「3全音パラドックスTritone paradox)」などいくつかの例があるが、最も特筆すべきなのは「無限音階(シェパード・トーン、Shepard tone)」である。これは、連続の、あるいは不連続の特別な音のスケールが、上昇ないしは下降し続けるように知覚される現象である。

このように、音高を聴覚によって定義する場合、物理的に定められる波数とは必ずしも一致しない。

演奏会におけるピッチ

中央の1点ハ音(ド・C4・c')の上の1点イ音(ラ・A4・a')は、1939年にロンドンで行われた国際会議で 440 Hz とされたため(通常"A = 440 Hz"か"A440"と記される)、英語圏では今でもこれが頑なに守られているが、大陸ヨーロッパではもっと高いピッチが主流であり、特にドイツ語圏は高いピッチが好まれ、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団は A = 444~445 Hz が基準だとされている[1]。日本では1948年に A = 440 Hz を導入する以前は A = 435 Hz を標準としていた。現在の日本ではオーケストラや演奏会用のピアノは A = 442~443 Hz、学校教育や家庭用のピアノを初め、電子楽器など多くの楽器は A = 440 Hz が一般的となっている。

オーケストラでは移調楽器が多く、基準音高は、表記法にかかわらず、実音で表される。

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脚注

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関連項目

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  1. 最相葉月 『絶対音感』 小学館、1998年、170、171頁