電話 (電波型式)

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電話(でんわ)は電波型式のひとつで、電波声・音楽のような音響信号で変調したものである。

電話用の送信機に、モデムで音響信号に変換したデジタルデータやファクシミリ信号などを入力した場合は、電波法上はそれぞれの電波型式とみなされる。

ナローバンド

ナローバンドは、0.3~3.1または3.4kHzの音響信号を伝送できるものである。会話のための音声伝送として、移動体通信電話網多重伝送・業務無線などに用いられている。

振幅変調

振幅変調(AM)は、占有周波数帯域が狭いため、低い周波数で用いられている。

振幅変調の種類と用途
日本語 英語 周波数帯 用途 特徴
単側波帯 SSB: Single Sideband 中波短波 船舶航空機向けの洋上通信 最も狭帯域
両側波帯 DSB: Double Sideband 超短波 民間航空機 複数の無線局が存在する場合に、緊急時の割り込み通信が可能
極超短波 軍用機
実数零点単側波帯 RZ SSB: Real Zero - 超短波極超短波 放送事業用連絡無線の標準の一つ 狭帯域でデジタル変調と比較して遅延時間が少ない

周波数変調

周波数変調(FM)は、超短波極超短波において、アマチュア無線、業務無線、コードレス電話などに用いられているが、デジタル変調化が進行している。また、無線局数の増加に伴い、占有周波数帯幅の縮小による、多チャネル化が行われてきた。

日本におけるチャネル間隔縮小の歴史

デジタル変調

デジタル変調は、超短波極超短波において、携帯電話PHS衛星電話などの移動体通信業務無線に用いられている。

通信需要の増大対応で、占有周波数帯域を狭くするためである。また、秘話性の向上やデータ通信の高速化を可能にする効果もある。

狭帯域デジタル変調の例
搬送波間隔(kHz) ロールオフ率 変調方式 チャネル当たり伝送速度(kb/s) 多重数 通信方式 用途
6.25 0.2 π/4 QPSK 9.6 1 半複信 業務無線
6.25 0.2 M16 QAM 8 1×2 TDD
15 0.2 M16 QAM 7.5 6 TDMA-TDD 市町村防災行政無線(同報・固定系)
25 0.5 π/4 QPSK 8 4 TDMA 第三者無線(800MHz)
25 0.5 M16 QAM 8 6 TDMA 第三者無線(1.5GHz)

ワイドバンド

ワイドバンドは、音楽放送など広帯域の音響信号を伝送できるものである。

AMラジオ放送では0.3~7kHz、FMラジオ放送では0.05~15kHzの帯域が伝送可能である。デジタル放送では、さらに広帯域のものも存在する。

狭帯域専用の受信機で広帯域AMの低域部分の受信可能であるが、狭帯域FM専用の受信機で広帯域FMを受信すると音声のひずみが大きく実用にならない。これは、広帯域FMの場合、周波数偏移も非常に大きいのが普通であるため、IFフィルタやディスクリミネータが周波数軸上で飽和するためである。仮に、最大周波数偏移を狭帯域FMと同等とすれば、問題なく受信可能である。

関連項目