道路標示
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道路標示(どうろひょうじ)は、道路の交通に関し、規制又は指示を表示する標示で、路面に描かれた道路鋲・ペイント・石等による線・記号又は文字である(道路交通法2条1項16号)。原則的には、道路交通法4条1項に基づき都道府県公安委員会が設置する。道路法45条に基づき道路管理者が設置する区画線のうち一部は、道路標示とみなされる(道路交通法2条2項、道路標識、区画線及び道路標示に関する命令7条)。
交通事故を未然に防ぐための規制、指示による道路交通の円滑化などを目的に設置されている。日本の道路標示は規制標示・指示標示の2つに区分されている。
区画線は、道路管理者が、道路の構造を保全し、又は交通の安全と円滑を図るため、必要な場所に設けるものであり、区画線のうち、車道中央線と車道外側線に限っては、道路標示とみなされる。
規制標示
- 転回禁止 (101)
- →終端に矢印を付けた上下逆のU字形と、禁止を表す×印の組み合わせ。ただし「終わり(115)」表示と併用される場合、×印は使われない。
- 追越しのための右側部分はみ出し通行禁止及び追越し禁止 (102)
- →橙色の線。俗に「はみ禁」や「オレンジライン」等と呼ばれる。中にはポールを立てたり(高速道路の暫定2車線に多い)、線の上を走ると音が鳴るようにしている場合もある。
- 片方向の車線のみの規制(坂道で下り坂側の車線のみ等)の場合は、橙色と白色の線を並べて引いた標示となる。この場合、橙色の線の側の車線のみの規制となる。
- 進路変更禁止 (102の2)
- 上記「追越のための~」と同様に、一方の車線からの進路変更のみを禁止する規制の場合は、橙色と白色の線を並べて引いた標示となる(橙色の線の側の車線からの進路変更のみ禁止)。
- 駐停車禁止 (103)
- 駐車禁止 (104)
- 最高速度 (105)
- →標準書体が規定されており、数字1文字の大きさは縦5m・横50cm(「4」の字のみ横60cm)、文字の肉厚は横方向(=縦線の幅)15cm・縦方向(=円弧部分の最大肉厚)45cm、字間は20cm(40km/h標示の「4」と「0」の間は10cm)となっている。ただし、兵庫県と広島県では独自に文字幅と字間を詰めている(標示消失対策によるもので、1文字の横寸法45cm=「4」の字は50cm=、字間は10cm)。また、山口県では標準のサイズ・字形規定に従わない標示が多く見られる。
- →広島県においては、1998年頃に現在の字形が採用されるまで、文字寸法は全国標準と同じながらも、線幅が細く曲線部分も楕円弧とした独自書体を用いていた。現在も一部の道路に残存例が見られる。
- 立入り禁止部分 (106)
- 停止禁止部分 (107)
- 路側帯 (108)
- → 路側帯
- 駐停車禁止路側帯 (108の2)
- 歩行者用路側帯 (108の3)
- 車両通行帯 (109)
- 優先本線車道 (109の2)
- 車両通行区分 (109の3)
- 特定の種類の車両の通行区分 (109の4)
- 牽引自動車の高速自動車国道通行区分 (109の5)
- 専用通行帯 (109の6)
- 路線バス等優先通行帯 (109の7)
- 牽引自動車の自動車専用道路第一通行帯通行指定区間 (109の8)
- 進行方向別通行区分 (110)
- 右左折の方法 (111)
- 平行駐車 (112)
- 直角駐車 (113)
- 斜め駐車 (114)
- 普通自転車の歩道通行部分 (114の2)
- 普通自転車の交差点進入禁止 (114の3)
- 終わり (115)
指示標示
- 横断歩道 (201)
- → 横断歩道
- 斜め横断可 (201の2)
- 自転車横断帯 (201の3)
- 右側通行 (202)
- 停止線 (203)
- →通常は奥行30~45cmの横線。積雪地ではしばしば停止線標識が併用される。これとは別に視認性向上のため、高知県などでは停止線を二重に引くか(次項の「二段停止線(203の2)」とは異なる)、または線の奥行を50cm以上としている例が見られる。
- 二段停止線 (203の2)
- 進行方向 (204)
- 中央線 (205)
- → 中央線
- 車線境界線 (206)
- 安全地帯 (207)
- 安全地帯又は路上障害物に接近 (208)
- 導流帯 (208の2)
- 路面電車停留場 (209)
- 横断歩道又は自転車横断帯あり (210)
- 前方優先道路 (211)
その他
道路標示に使われる塗料は路面標示用塗料、トラフィックペイントといわれ、常温用・加熱用・溶融用の3種類に大別される(JIS K5665)。