第18族元素
族 | ←18→ |
周期 | |
1 | テンプレート:Small He |
2 | テンプレート:Small Ne |
3 | テンプレート:Small Ar |
4 | テンプレート:Small Kr |
5 | テンプレート:Small Xe |
6 | テンプレート:Color Rn |
7 | テンプレート:Color Uuo |
第18族元素(だいじゅうはちぞくげんそ)は長周期表第18族の、ヘリウム・ネオン・アルゴン・クリプトン・キセノン・ラドン・ウンウンオクチウム(未承認であり、性質も推定。)をいう。大抵は希ガス、稀ガス(ともに rare gas)や貴ガス (noble gas) と呼ばれる。
原子における最外殻電子が閉殻となっているため、化学的に非常に不活性である(不活性の度合いは He → Xe の順に弱くなる)。かつては化合物が知られていなかったために不活性ガス (inert gas) 類と呼ばれたが、今日においてはグループの属性を正しく言い表していない。
日本語の希ガスの名称は「稀(まれ)な」に由来する。これもかつて化学的分離や抽出が困難であった時代の名称の名残である。空気中には0.9%のアルゴンが含まれている。これは二酸化炭素 (0.03%) の30倍であり、それほど稀な元素というわけでもない。一方、英語では、貴ガスに相当する、 noble gas の表記がされている。
ヘリウムを除いて、常圧かつ凝固点以下で弱いファンデルワールス結合による結晶(単原子分子による分子性結晶)を形成する。
化合物
希ガスの性質を研究する中で、既に水和物やクラスレート型の化合物が見つかってはいた。しかしながら、これらの化合物においては水素結合の網目構造の中に希ガス原子が閉じ込められているだけであり、真の化合物とは呼べない。化学結合を備えた最初の希ガス化合物は、1962年5月、カナダのブリティッシュコロンビア大学のネイル・バートレットとD・H・ローマンによって合成されたヘキサフルオロ白金酸キセノン (XePtF6) である[1]。酸素分子 O2 を酸化するヘキサフルオロ白金酸の反応から類推し、O2 (12.2eV) とほぼ同じイオン化エネルギーを持つキセノン (12.13eV) を酸化できるのではと考えたことが成功の鍵であった。8月には XeF4 が、同年末は XeF2 と XeF6 も合成された。
1963年には、放電を用いてクリプトンの化合物 (KrF2) が合成され[2]、また同年にラドンの化合物も合成された。
ハロゲン化物としては、キセノンあるいはクリプトンのフッ化物が知られている。2000年にはアルゴンの安定な化合物、アルゴンフッ素水素化物(HArF) も報告された[3]。
酸化物としては、六フッ化キセノン XeF6 または四フッ化キセノン XeF4 が水と反応した三酸化キセノン XeO3 が知られる。
利用
放電管中にこれらの気体を充満させ、放電を行うと気体により様々な色の光を発する。この性質はネオン管(ネオンサイン)や消毒ランプなどに利用される。また、反応性が低いことから、太陽系形成初期の同位体組成比を維持していると考えられるため、極微量の希ガス分子でも高感度に検出できる専用の質量分析計を利用し、地球内部[4]及び地球外岩石の由来や様々な過程の情報を分析することが可能である[5]。例えば、小惑星探査機はやぶさが持ち帰った小惑星イトカワのサンプル解析に用いられた[6]。
発光色
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Helium | Neon | Argon (with some Hg in the "Ar" image) |
Krypton | Xenon |
気体の放電による発光の色は、いくつかの要因によって変化する。例えば:[7]
- 放電時のパラメータ。局所的な電流密度や電場、温度など。一番上の列の写真では、放電管の中の位置によって色が様々に異なっている。
- 気体の純度。わずかに他の気体が混入しても色に影響する。
- 放電管の材料。一番下の列の写真では、厚いがふつうのガラスの管によって、紫外光および青色光が抑えられていることに注意。
参考文献
- Frenking, G. Nature 2000, 406, 813. テンプレート:Doi
出典
- ↑ Bartlett, N. Proc. Chem. Soc. 1962, 218.
- ↑ MacKenzie, D. R. Science 1963, 141, 1171. テンプレート:Doi
- ↑ Khriachtchev, L.; Pettersson, M.; Runeberg, N.; Lundell, J.; Räsänen, M. Nature 2000, 406, 874. テンプレート:Doi
- ↑ 同位体・希ガストレーサーによる地下水研究の現状と新展開 日本水文科学会誌 Vol.37 (2007) No.4 P221-252
- ↑ 希ガス同位体地球惑星科学 東京大学大学院理学系研究科附属地殻化学実験施設・惑星化学研究室
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