アルゴン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

テンプレート:元素

アルゴンテンプレート:Lang-en-short)は原子番号18の元素で、元素記号Arである。周期表において第18族元素(希ガス)かつ第3周期元素に属す。アルゴンは地球大気中に3番目に多く含まれている気体で、その容量パーセント濃度は0.93%であり、二酸化炭素 (0.039%) より多く存在している。地球上のアルゴンのほとんどは質量数40のもの(アルゴン40)であり、これは地殻中のカリウム40の崩壊により生成した。一方、宇宙においてはアルゴン36が最も多量に存在し、超新星爆発による元素合成によりつくられた。

「アルゴン」という名はギリシャ語で「怠惰な」「不活発な」を意味する「αργον」という単語に由来する。事実、アルゴンは化学反応をほとんど起こさない元素である。最外殻電子数が8でありオクテット則を満たしているので、アルゴンは安定でほかの元素と結合しにくい。三重点は83.8058 Kであり、これは1990年国際温度目盛 (ITS-90) の定義定点に採用された。

特徴

ファイル:Argon ice 3.jpg
凍結させたアルゴン

希ガスの一つ。常温、常圧で無色、無臭の気体。希ガスのため不活性である。比重は、1.65(-233 ℃: 固体)、1.39(-186 ℃: 液体)、空気に対する比重は、1.38。固体での安定構造は、面心立方構造 (FCC)。

空気中(地表)に 0.93% 含まれているのでアルゴンは空気を液化、分留して得ることができる(酸素の沸点が近いので、これとの分離が少々面倒)。

希ガスの中では最も空気中での存在比が大きく、乾燥空気を構成する物質では第2位の酸素の 20.93% についで第3位の 0.93% である。空気中のアルゴンの存在比が希ガス中最も大きいのは、自然界すなわち岩石中に存在していたカリウム40の一部 (11%) が電子捕獲によってアルゴン40となったためである。このため地球および火星など岩石惑星大気中ではアルゴン40の同位体比が圧倒的に大きいのに対し、太陽大気中ではアルゴン36の同位体が大部分を占める[1]。第4位は二酸化炭素だが、2008年現在得られる資料では 0.038% であり3位との差は大きい。

用途

アルゴンの2004年度日本国内生産量は219,461 km3、工業消費量は38,348 km3である。近年の需要に対応して、2005年日本工業規格 (JIS K 1105) が改正され、純度が高められた。

歴史

1892年にレイリー卿ジョン・ウィリアム・ストラット)が大気分析の過程で未知の気体に気づき、1894年にウィリアム・ラムゼーと共にその正体がアルゴンであることを突き止めた[2]。しかし、その100年も前に、ヘンリー・キャヴェンディッシュが存在に気がついていたと言われている。なお、1904年にレイリー卿は「気体の密度に関する研究、およびこの研究により成されたアルゴンの発見」よりノーベル物理学賞を、ウィリアム・ラムゼーは「空気中の希ガス元素の発見と周期律におけるその位置の決定」によりノーベル化学賞を、それぞれ授与された。

アルゴンという名称はギリシャ語で「不活発、不活性」という意味の「αργόν」に由来する。「働く」という意味の「εργον」に「αν」をつけた「αν εργον」(働かない)が語源とする説もある。また、ギリシャ語で「怠け者」という意味の「αργος」が語源とする説もある。

化合物

アルゴンは単原子でオクテット則を満たしていることから、他の原子と結合した化合物は長い間知られていなかった。2000年フィンランドの研究者により初のアルゴン化合物、アルゴンフッ素水素化物 (HArF) の合成が発表された。これは、アルゴンとフッ化水素ヨウ化セシウムを混合して 7.5 K紫外線照射することにより合成された[3]

同位体

テンプレート:Main

出典

テンプレート:Reflist

外部リンク

テンプレート:Sister テンプレート:元素周期表

テンプレート:Link GA

テンプレート:Link GA
  1. 小嶋稔 『地球物理概論』 東京大学出版会、1990年
  2. テンプレート:Cite
  3. Khriachtchev, L.; Pettersson, M.; Runeberg, N.; Lundell, J.; Räsänen, M. Nature, 2000, 406, 874-876. DOI: 10.1038/35022551