知立駅

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ファイル:Nagoya Railroad - Chiryu Station - Platform - 01.JPG
知立駅ホーム 名古屋側より東岡崎側を望む、一番左側ホームが6番線

知立駅(ちりゅうえき)は、愛知県知立市栄二丁目にある名古屋鉄道である。

利用可能な鉄道路線

駅概要

当駅は名古屋本線と三河線の接続点となっているために利用者が多く、全列車が停車する。1999年までは朝と昼間に一部の特急は通過していた。

両線は、元は愛知電気鉄道と三河鉄道という別会社で、両線が立体交差する地点にそれぞれ駅を設けて連絡し、合併後に駅名を統一するもののその状態は続いた。しかし、1959年に名古屋本線に三河線が乗り入れられるよう駅を新設して現在の形となり、三河線にあった当初の駅は三河知立駅と改称された(名古屋本線側は東知立駅に改称、1968年に廃止)。

三河線は知立駅にてスイッチバックする乗り入れる配線になっているが、現在では三河線全線を直通する列車はなく、この駅を境に豊田市猿投方面の北側区間(山線)と刈谷碧南方面の南側区間(海線)で運転系統が分かれている。ただし知立駅に到着した列車がそのまま反対側の区間への始発列車になる設定もあり、この場合は下車をせずに乗り継ぐことができる。

駅周辺では2023年度を完成予定とした駅の立体交差事業のため、仮線用用地の確保、仮側道工事及び明治用水管路移設工事など準備工事が始まっている。

駅構造

3面5線の地上駅であるが一番端に留置線があり、これが1番線になっている。3つあるホームのうち、2番と3番、4番と5番が島式ホーム、6番が単式ホームである。それぞれのホームは豊橋・碧南・猿投寄りにある地下通路でつながっており、乗り換え移動には階段を利用しなければならない。

構内のバリアフリー化は、6番線と改札口の間にスロープが設けられた(2010年7月にエレベーター工事のため使用停止したが、8月中旬に勾配を緩くして再度設置された)以外進んでいなかったが、連続立体交差事業に先行し、ホームを結ぶ仮の渡線橋(仮駅移行後も使用予定)とエレベーターの工事が2010年3月頃に着工し、2011年3月23日に利用を開始した。[1]これが完成するまではホームにはエレベーターは無く、車椅子利用者は駅員の補助を受ける必要があり、6番線以外は改札口を通らず、駅を迂回して専用口から直接ホーム内に入る形になっていた。

各番線とホームの有効長は、1番線(ホーム無し)が4両、2・3番線が6両(ただしホームは4両分。100系登場時に若干延伸)、4 - 6番線は8両までの対応が可能。4番線に8両編成が停車する場合、豊橋寄りの1両は非常にホーム幅が狭い部分にかかる。

日中の三河線は猿投行きが2番線、碧南行きは4番線から発車する列車がほとんどである。これは本線との乗り換え時間の関係上、時間に余裕のある猿投行きは本線から遠い2番線から、余裕のない碧南行きは近い4番線を使用していると思われる。3番線はほとんど使われない。

発車標ソラリー式2段表示や、液晶ディスプレイ式(2010年6月設置、5番線を除く)で、各ホーム上と連絡通路にある。三河線用のソラリーは本線用とは表示が異なり、上が豊田方面、下が碧南方面となっている(液晶ディスプレイは上下が逆で、上が碧南方面で下が豊田方面)。また、本線用のものも他の駅とは少し異なり、種別変更や特別停車の案内に加えて備考欄に待避駅の案内もできる(豊明待避、新安城待避など)。三河線用のソラリーも備考欄があり「碧南で吉良吉田行に連絡」や、「猿投で西中金行に連絡」などと表示できるが、三河線末端区間が廃止されたため使われない。この他、6番線には三河線乗り換えのホームを表す7セグメントデジタル表示もある。ソラリーが設置される前は行灯式のものが設置されていた。 発車標のほか、最近になって液晶ディスプレイを用いた乗換案内が各跨線橋の入口に設置された。

なお現在駅のホームの上屋根は、名鉄の駅にしては高い方である。その支柱はすべて古レールを再利用したもので、中には1897年カーネギーの文字が読み取れるものもある。

4・5番線に、ミューチケット券売機(2007年に廃止されたミューチケット売り場の代わり)がある。かつては4・5番線に軽食店、6番線に駅そば店(以上、2009年12月25日に閉店)、4・5、6番線には売店「サンコス」(2010年6月閉店)があった。

駅の改札前には自動券売機が3台と、窓口が2つあり1台の自動券売機は少し東側にある。他の2台の自動券売機のうち1台はタッチパネル式(この自動券売機ではミューチケットも販売している)で、全ての機械はトランパス対応である。窓口では定期券、ミューチケット、乗車券などを販売している。

のりば
ホーム 路線 方向 行先 備考
2 三河線 上り 刈谷碧南方面 名古屋本線下り線に入線可能(営業列車では使用されない)
三河線 下り 豊田市猿投方面 ほとんどの列車、名古屋本線下り線に入線可能(営業列車では使用されない)
3 三河線 上り 刈谷・碧南方面 名古屋本線下り線に入線可能(営業列車では使用されない)
三河線 下り 豊田市・猿投方面 名古屋本線下り線に入線可能(営業列車では使用されない)
4 名古屋本線 下り 名古屋岐阜犬山津島方面 三河線から名古屋本線への直通列車(回送列車を含む)及び三河線・名古屋本線の知立折り返し列車が使用
三河線 上り 刈谷・碧南方面 ほとんどの列車、三河線から名古屋本線への直通列車(回送列車を含む)及び三河線・名古屋本線の知立折り返し列車が使用
5 名古屋本線 下り 名古屋・岐阜・犬山・津島方面 名古屋本線豊橋方面からの全列車はここに入線(待避線なし)
6 名古屋本線 上り 東岡崎豊橋豊川稲荷西尾方面 名古屋本線豊橋方面への全列車はここに入線(待避線なし)

配線図

テンプレート:駅配線図

特徴

  • 1998年からこの駅の掲示板に、イラストレーターのウノ・カマキリが、「知立(ちりゅう)は知立(ともだち) 夢人画廊(ゆめびとぎゃらりぃ)」というイラストの掲示板を出している。この駅周辺の人物をスケッチしたものが中心。「知立」を「ともだち」(友達)と読み替えて、町興しに一役買っている。ウノ・カマキリは、この地の出身で、1994年4月に隣の三河知立駅の掲示板に、「夢人駅(むじんえき)」と題して「夢人駅漫画展」を常設したことがきっかけである。
  • 本線上り6番ホームの豊橋寄りには、知立の弘法さんとして親しまれている遍照院遙拝所がある。
  • 駅構内や名古屋本線の発着があるホームには売店があり、改札口近くでは知立市の名物「あんまき」も売られている。
  • 駅舎の2階には、東側の支線を主に担当する知立乗務区が入っている。

高架事業

経緯

知立駅周辺は鉄道により市街地が分断され、また鉄道と道路が平面交差していることで慢性的な交通渋滞が発生するなど、長年に渡り生活に及ぼす影響が看過できない事態になっていた。また、名古屋本線も神宮前駅から比較的距離があるにも関わらず、待避線が無いため緩急接続ができなかったり(実際、当駅を含む新安城駅 - 豊明駅間は待避不可)、三河線との乗り換えにも階段を利用しなければならず、バリアフリーの観点から長年改築が望まれていた。このため、知立市は知立駅を中心とした名鉄名古屋本線と三河線の連続立体交差事業計画を策定、合わせて知立駅周辺土地区画整理事業を行うこととした。

概要

建設される高架駅は3階構造の4面8線の駅で、1階に改札や駅業務施設及びコンコ−スなど、2階に2面4線の名古屋本線ホーム、3階が2面4線の三河線ホームとなる。この三河線ホームは「コ」の字形の頭端式ホームで、通過可能な外側の2線が長いアプローチを経て名古屋本線(名古屋方面)と接続し、「コ」の字の内側に入る2線は知立駅での折り返しとなる。これまでの計画では、総事業費は499億円で2008年度まで仮線工事、2009年度に仮線切替、2011年度に高架本体工事、2013年度に高架切替、2014年度の完成予定であった。2013年3月から仮駅工事が始まっており、南側へ線路を2線ずつずらす計画である。また、南改札口を設ける予定である。その後、上り線→下り線(本線のみ)→三河線と下り副本線の順番に高架化する。

事業費問題

この連続立体交差事業の事業費は名鉄負担分を除き、愛知県と知立市で1:1となっているが、財政規模が大きくない市にとっては重い負担となっている。これまでに知立市は、愛知県に対し事業費負担割合の1:1から2:1への見直しを、近隣5市へは事業への協力を要請した。しかし受け入れられなかったため、事業費問題の解決には至らなかった。これに対し事業費を圧縮削減する方策も次々と出され、三河線を高架から除外し2階構造とする案、事業で同時に高架化予定の三河知立駅を廃止または高架区間外へ移転する提案などがあった。これについては沿線住民の一部から駅の移転誘致を希望する声が挙がっているため、三河知立駅の市北部への移転が有力視されている。また事業計画では、三河線北側(山線)の一部高架区間を単線構造としているため、名鉄が計画している将来の複線化に合わせて複線構造への見直しを求める声も出ているが[2]、計画の変更には至っていない。なお知立市は、愛知県に対し事業費負担割合の1:1から2:1への見直しを引き続き求めている。

2009年8月13日の中日新聞の報道によれば、事業主体の愛知県による総事業費の再算定の結果、当初の499億円から615億円に23%増の大幅な増額となることが判明した。増額の内容は原材料費が約40億円と最も大きく、エレベーター設置等の設計変更や用地補償費増大分を含め全体で116億円もの増加となった。2010年春に予定される名鉄との工事協定の締結を前にした再算定の結果で、事業費の負担割合は国が約260億円、愛知県と知立市がそれぞれ約130億円、名鉄が約95億円となる。これに合わせ事業期間も当初予定の2014年度完成から2023年度完成に大幅に延長される。

2012年1月25日の中日新聞によると、愛知県は原則1:1の割合は変更しないものの「知立市民のみならず広域利用者の利便性向上になる」として一部の事業については負担軽減を検討していると報道された。これにより、知立市は負担が約23億円減ることになる。

利用状況

知立市の統計によると1日当たりの平均乗客人員は、2008年度15,347人、2009年度15,056人、乗降客数は2009年度30,132人。名古屋本線の駅では7番目に多く、名鉄の全ての駅の中では瀬戸線の栄町駅が加わるため8番目に多い。三河線の駅では、最も利用客が多い。

駅周辺

バス路線

歴史

  • 1923年大正12年)
    • 4月1日 - 現在の知立駅付近に新知立駅(仮駅)が開業。
    • 6月1日 - 岡崎線が西岡崎駅(現在の岡崎公園前駅)まで延伸され、新知立駅が三河鉄道との交点の高架上に移転。仮駅廃止。
  • 1959年昭和34年)4月1日 - 現在の知立駅(3代)が開業。旧駅は名古屋本線側を東知立駅、三河線側を三河知立駅に改称して分離。三河線の三河知立駅・重原駅から知立駅までの新線開業。
  • 1969年(昭和44年)7月6日 - 知立駅通過の「快速特急」が上下毎時1本設定される。
  • 1970年(昭和45年)12月25日 - 快速特急が廃止され、知立駅停車の特急に戻る。
  • 1992年平成4年)11月24日 - 昼間時間帯、毎時上下1本の特急を再び知立駅通過とする。なお、これ以前から平日朝の下り特急2本は通過していた(かつては座席特急の多くが通過していた名残り)。
  • 1999年(平成11年)5月10日 - 知立駅の特急通過を中止。全列車が停車するようになる。
  • 2003年(平成15年)10月1日 - トランパス導入。
  • 2011年(平成23年)2月11日 - ICカード乗車券「manaca」供用開始。
  • 2012年(平成24年)2月29日 - 「トランパス」供用終了。
  • 2023年(平成35年)度 - 高架化完成の見込み

隣の駅

名古屋鉄道
名古屋本線
快速特急
東岡崎駅 - 知立駅 - 神宮前駅
特急
新安城駅 - 知立駅 - (一部鳴海駅) - 神宮前駅
急行
新安城駅 - 知立駅 - (一部豊明駅) - 前後駅
準急
新安城駅 - (一部牛田駅) - 知立駅 - 豊明駅
普通
牛田駅 - 知立駅 - 一ツ木駅
三河線(ダイヤ上直通列車はなし)
三河知立駅 - 知立駅 - 重原駅

関連項目

脚注

  1. 【10.02.10】知立駅に名鉄がエレベーターを先行設置。鉄道高架の仮線の遅れ待てず。:日本共産党知立市議団
  2. 知立市議会平成18年12月定例会会議録 12月7日一般質問(9)当面する行政課題について(知立市公式サイト)

外部リンク

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