玉田黙翁

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玉田 黙翁(たまだ もくおう, 元禄10年(1697年) - 天明5年(1785年))は、江戸時代中期の儒学者。名を信成、通称記内、別号適山、また虎渓庵とも称した。播磨国印南郡東志方村細工所の生まれで大庄屋柔庵玉田義道の嫡子である。母は宮永氏の出身。

山崎闇斎門下の三宅尚斉の門人で程朱の儒学に於いて一家をなしていたうえに医学にも造詣が深く、弓馬槍剣の術にも秀で、産業経済についても見識を持っていた。しかし名声を求めることはせず、自ら天地一閑人と称し播州の僻地に住み天命を楽しみながら質素な生活を送っていた。ところが領主である大久保侯が、黙翁の晩年にこれを聞き是非所説を拝聴したいと招請したが固く辞退していた。度重なる熱心な懇請に折れて74歳の時に二回、78歳の時一度江戸へ出て大久保侯に講義をした。以後は相模国小田原藩大久保家の客将として史学編纂や儒学の研究に貢献。画家の浦上玉堂などに講義を行った。

玉田家の歴史 玉田家は、姫路の飾西郡置塩庄玉田村(現夢前町玉田)を興した、村上源氏赤松氏一族の子孫です。 修斎の時に藩主から虎ヶ谷(野尻)地区開墾(現加古川市志方町野尻)の命が下って移り住みました。 その後、生野代官の命により幕府の天領である生野(現朝来郡生野町)に移り住み越知谷新田の開墾に従事しました。 加古川市資料 玉田黙翁(もくおう)は元禄10年(1697)に現在の加古川市志方町野尻に生まれ、 天明 5 年(1785)に没するまで、その大半を故郷で過ごした医者であり、文学者です。 黙翁は名前を信成、字を子靖、通称を金次郎、のちに喜内(記内)といい、虎渓庵(こけいあん)、適山、黙翁などと号しました。 祖父の修斎(正信)、父親の柔庵(義道)、ともに三代とも医者でした。 黙翁には兄の信近がいたらしいのですが、若くして亡くなったために信成(黙翁)が玉田家を継いだということです。 黙翁の事跡についてあまり詳しくはわかりませんが、父柔庵が明石の三宅しょう尚さい斎(1662-1741)に学んだこともあり、 黙翁も同じく尚斎について儒学を学びました。 因みに尚斎は、江戸時代の著名な儒学者である山崎あん闇さい斎の門下で、その三傑の一人といわれた人物です。 やがて黙翁は、地元野尻で虎渓精舎(こけいしょうじゃ)という私塾を開きます。 ここは、「虎渓精舎記」という記録に《玉田氏延光翁、昔年築為読書之所》とあり、祖父の書斎を転用したものと思われます。 現在も野尻古墳群の西側の山すそを分け入ったところにその跡が残っています。当然のことながら、虎渓というのは虎ヶ谷のことです。 この塾では姫路藩の合田麗沢(れいたく)、竜野藩の股野玉川(ぎょくせん)らが学び、地元の人たちも加わったことが想像されます。 黙翁はほとんど志方の地を離れることはなかったのですが、 74歳のときとその4年後の2回、小田原領主の招きで江戸に出て講義を行いましたが、どちらも1年で戻りました。 黙翁の著作は、現在もわずかに残っていますが、身近に接することができないのは残念です。 「増訂印南郡誌」には祖父、父、黙翁三代の事跡が簡単に記されています。

加古川市資料には、 学問の名家としてその誉れを集めた玉田家ですが、黙翁没後、その孫の代で絶えてしまいました。 とありますが、下記資料があります。 生野町(現兵庫県朝来市生野町)西福寺保管資料より。 徳川幕府生野代官に新田開発の技術をみこまれ、 加古川市志方町野尻から兵庫県生野町に移り住むように命ぜられました。そして、現在の神崎町越知谷を開墾いたしました。 江戸時代最後の当主は玉田源衛門作蔵といい、源衛門は幕府に届ける管称で、作蔵が通称です。 徳川一橋家の飛地領の現加古川市志方町で大庄屋を務めておりました 苗字帯刀も許されておりました。 明治政府の政策で、全国民が苗字をつけるようになりましたが、 多くの人々が、その土地の城主や、庄屋の苗字をそのままつけました。 同じ地方に同じ苗字が多いのはそのためです。 越知谷の作畑新田地区の住民の苗字もほとんどが、玉田姓をつけたそうです。 松樹寺というお寺があるのですが、墓石のほとんどが玉田家となっております。 玉田家の石碑、過去帳等の資料が 生野町西福寺に残されています。

(問合せ先)tamada@viola.ocn.ne.jp

(参考) ・「増訂印南郡誌」 印南郡役所 (099.9-ナ) ・「志方町誌」 印南郡志方町 (092.1-シ) ・「加古川市史」 第 2 巻 (092.1-シ-2) ・図 書 館 だ よ り 加古川市立図書館 一般閲覧室 新版23号 2004 年 3 月 (加古川市加古川町木村 226-1 電話 22-3471) (加古川市図書館ホームページ URL http://www.kakogawacity-library.jp)テンプレート:Academic-bio-stub テンプレート:Japanese-history-stub