炎の蜃気楼

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炎の蜃気楼』(ほのおのミラージュ)は、桑原水菜による日本小説挿絵東城和実(1-12巻)、浜田翔子(13-40巻)が担当している。本編は全40巻。コバルト文庫刊。

概要

テンプレート:出典の明記 現代に怨霊となって甦る戦国時代の武将(怨将)の闊歩する闇戦国。彼らを調伏して冥界へ送る使命を科せられ、400年間他人の体を奪いながら(換生)生き続けてきた者たちが主な登場人物。彼らの戦いと愛憎を軸に物語は展開していく。ポピュラー、ノンポピュラーを問わず、実在した歴史人物たちをモデルに、彼らの心の裡の悩み、葛藤、喜びなどを巧みな心理描写で書き出している。その今までにない卓越したストーリー性と、予想を超える展開で、若い女性たちを中心に人気を博している。主人公は、仰木高耶(おうぎ たかや、上杉景虎)で、副主人公は、橘義明(たちばな よしあき、直江信綱)。

舞台が日本中の歴史的な寺社、遺跡などであるため、ファンが舞台となった神社などを巡る「ミラージュ紀行(ミラージュ・ツアー[1])」という旅行でも知られる[2]。例えば、毎年5月に開催される米沢の上杉祭りにくる若い女性にかなりの率で、ミラージュファンが見られるといわれる。ライトノベルやまんが作品の舞台めぐり、いわゆる「聖地巡礼」のはしりとも言える。

桑原水菜の作品テーマは、太宰治の「駆け込み訴え」のキリストユダ、「アマデウス」のモーツァルトサリエリのような関係性であり、それは新シリーズ「赤の神紋」へと受けつがれている。

関連作品は、1994年から1997年に白泉社「セリエミステリー」(廃刊)で浜田翔子画で漫画化、過去の物語を綴った番外編、ドラマCDやイメージアルバム(音楽CD)の発売、アニメ化されるなど多岐にわたる。

1994年から2003年まで、FM山口のアニラジ「ウキウキ放送局V」内で約9年間に渡り、当作品を30字以内で語る「炎の蜃気楼 30字シアターFX」というコーナーが存在し、このコーナーのみを編集したカセットテープがファンの間で出回っていた(桑原にも送られている)。V時期の公開録音初ゲストには速水奨を迎えたり、「セリエミステリー」95年10月号の読者コーナーでも紹介されて桑原と浜田がコメントを付けている。TVアニメ化の際にはプロデューサーが番組コーナーにゲスト出演し、アニメ公式サイトにもリンクが貼られていた。

作品をモチーフにしたワインを中心としたシリーズ「契」は、1996年より発売。現在はワインのみならずスウィーツ、ビール、ケーキ等も販売されている。主人公の仰木高耶の誕生日を記念した「高耶バースデー便」、同じく副主人公の直江信綱の誕生日を記念した「直江バースデー便」なども存在する。しかしながら2006年度でワインの製造販売を中止するという旨が、製造元の小島酒店より出された。

2007年には米沢に「炎の蜃気楼記念館(仮称)」の設立も予定されていたが、延期の運びとなった。

その他にも高橋ゆう徳川綾子藤崎こう藤井咲耶徳丸佳貴杜山まこ陵くみこ、といった同人作家を多数BL業界に輩出していることでも有名である。

また、同コバルト作家である藤原眞莉金蓮花、漫画家の黒乃奈々絵が作品のファンであることを告白している。

ストーリー

現代にくり広げられる「闇戦国」を舞台に、主人公たちが活躍するサイキック・アクション。

城北高校2年生の仰木高耶。《闇戦国》の事件に巻き込まれた親友・成田譲を助けた謎の男・直江信綱から、自分が400年前の歴史上の人物・上杉景虎だと告げられる。戦国武将上杉謙信の命により、400年間、他人の肉体を奪う〈換生〉を繰り返し、怨霊調伏の使命を遂行して生き続けてきた、上杉夜叉衆のリーダー・直江信綱の主君にあたるのだが、ある事件がきっかけで記憶を封印している状態だという。とまどい、疑念を抱く高耶だったが、譲の安全が第一だと、直江に協力する。

その後、夜叉衆のメンバーである柿崎晴家(現名・門脇綾子)、安田長秀(現名・千秋修平)も姿を現し、冥界上杉軍の夜叉衆としての活動が本格化する。高耶も〈力(りょく)〉を徐々に取り戻し、調伏も施行できるようになる。同時に封印した景虎の記憶も回復していくが、それにともない30年前の直江との確執も兆しを見せはじめる。

景虎に対する強い抵抗心を持ち、素直に彼を愛せない直江。直江の自分への固執は、高耶が直江を受け入れていないゆえだと思い、直江の愛を受け入れられない高耶。お互いが必要とし合っているはずなのに、歪みはしだいに大きくなっていく。

特に直江は魂核の疲労から、〈力〉が使用不可能になるまで追い詰められていく。〈力〉の失効=〈換生〉の不可能となり、=「直江信綱」としての人生の終わりを意味する。直江がもし死ねば彼を永遠に失うかもしれない事態に、高耶は焦りを募らせるが、高耶を庇って直江が凶弾に倒れる。

登場人物

※声の記述は、アニメ版で表記。

仰木高耶(おおぎ たかや)
声 - 関俊彦
直江信綱(なおえ のぶつな)
声 - 速水奨
千秋修平(ちあき しゅうへい)
声 - 松本保典
門脇綾子(かどわき あやこ)
声 - 玉川紗己子
高阪弾正(こうさか だんじょう)
声 - 堀内賢雄
成田譲(なりた ゆずる)
声 - 松野太紀
北条氏康(ほうじょう うじやす)
北条氏政(ほうじょう うじまさ)
北条氏照(ほうじょう うじてる)
声 - 田中秀幸
風魔小次郎(ふうま こじろう)
森野沙織(もりの さおり)
声 - 矢島晶子
武田由比子(たけだ ゆいこ)
声 - 折笠愛
武田信玄(たけだ しんげん)
織田信長(おだ のぶなが)
声 - 置鮎龍太郎
森蘭丸(もり らんまる)
荒木村重(あらき むらしげ)
声 - 郷田ほづみ
風魔小太郎
声 - 宮本充
波多山智
声 - 関智一
伊達小次郎
声 - 神谷浩史
片倉小十郎
声 - 立木文彦
下間頼竜
声 - 森川智之
狭間繁治
声 - 石井康嗣
だし
声 - 田中敦子
阿木
声 - 龍田直樹

作中用語

テンプレート:節スタブ

夜叉衆(やしゃしゅう)
調伏(ちょうぶく)
換生(かんしょう)
闇戦国(やみせんごく)
破魂波(はこんは)
思念波(しねんは)
霊波同調(れいはどうちょう)
外縛(げばく)
憑依霊(ひょういれい)
六道界(ろくどうかい)
裂命星(れつみょうせい)
裏四国(うらしこく)
冥界上杉軍(めいかいうえすぎぐん)

シリーズ一覧

原作(既刊40巻)

第一部
  • 第1巻:炎の蜃気楼/初版1990年11月10日
  • 第2巻:緋(あか)の残影
  • 第3巻:硝子(ガラス)の子守歌
  • 第4巻:琥珀の流星群
  • 第5巻:まほろばの龍神
  • 断章:最愛のあなたへ
  • 第6-8巻:覇者の魔鏡(前・中・後編)
  • 第9巻:みなぎわの反逆者
  • 第10-12巻:わだつみの楊貴妃(前・中・後編)
第二部
  • 第13・14巻:黄泉への風穴(ふうけつ)(前・後編)
  • 第15-19巻:火輪の王国(前・中・後編/烈風編/裂濤編)
  • 第20巻:十字架を抱いて眠れ
第三部
  • 第21巻:裂命の星
  • 第22巻:魁(さきがけ)の蠱(むし)
  • 断章:砂漠殉教
  • 第23-28巻:怨讐の門(青海編/赤空編/白雷編/黒陽編/黄壌編/破壊編)
第四部(最終部)
  • 第29巻:無間浄土
  • 第30-36巻:燿変黙示録I〜VII
  • 第37巻:革命の鐘は鳴る
  • 第38巻:阿修羅の前髪
  • 第39巻:神鳴りの戦場(いくさば)
  • 第40巻:千億の夜をこえて

番外編

  • 「Exaudi nos アウディ・ノス」
  • 「群青」
  • 「真紅の旗をひるがえせ」
  • 「炎の蜃気楼メモリアル」
  • 「赤い鯨とびいどろ童子」
  • 「『炎の蜃気楼』紀行」(トラベルエッセイ・コレクション)
  • 「炎の蜃気楼を巡る ミラージュ・フォト紀行―東日本編―」(文庫本外)
  • 「炎の蜃気楼を巡る ミラージュ・フォト紀行―西日本編―」(文庫本外)

漫画

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  • 「炎の蜃気楼」1〜3
    • 第1・2巻「炎の蜃気楼」
    • 第3巻「CLAWLESS HAWK(爪のない鷹)」「凍てついた翼」「炎の蜃気楼・スペシャルショート」「オウギチャンネル!」(『炎の蜃気楼』まんがエッセイ)

イラスト集

  • 「東城和実POSTCARD COLLECTION」
  • 「『炎の蜃気楼イラスト集』-愛する者へ―」
  • 「『炎の蜃気楼イラスト集』「BLOODY MOON―癒えることなき傷口のように―」」

ドラマCD

  • 「まほろばの龍神」
  • 「最愛のあなたへ」
  • 「この夜に、翼を」
  • 「鷲よ、誰がために飛ぶ」

イメージアルバム

  • 「炎の蜃気楼 ―MIRAGE OF BLAZE―」
  • 「炎の蜃気楼 off vocal version」(カラオケ)
  • 「わだつみの楊貴妃―炎の蜃気楼II―」
  • 「火輪の王国―炎の蜃気楼III―」
  • 「執愛(ヴォーカル・コレクション)―炎の蜃気楼IV―」
  • 「炎の蜃気楼 off vocal version」(カラオケCD2枚組)
  • 「炎の蜃気楼 オリジナルサウンド・トラック」
  • 「炎の蜃気楼 SPECIAL CD OLLECTION」(4枚組)
  • 「みなぎわの反逆者 オリジナルサウンド・トラック」

ラジオドラマ

1998年10月ニッポン放送で放送された。

アニメーション

2002年1月7日から4月8日までキッズステーションで放送。全13話。

2004年に『炎の蜃気楼 〜みなぎわの反逆者〜』のタイトルでOVAが発売。全3巻。

スタッフ

特記のないものはTVアニメ・OVA共通。

  • 原作 - 桑原水菜集英社「コバルト文庫」刊)
  • 監督 - 工藤進(TVアニメ)、室井ふみえ(OVA)
  • 監修 - 平田敏夫(TVアニメ)
  • エグゼクティブプロデューサー - 白川隆三(TVアニメ)
  • 企画 - 佐野総一郎(TVアニメ)
  • シリーズ構成 - ときたひろこ(TVアニメ)
  • キャラクターデザイン - 竹田逸子(TVアニメ)、室井ふみえ(OVA)
  • 総作画監督 - 内田順久、竹田逸子(TVアニメ)
  • メカニックデザイン - やまだたかひろ(TVアニメ)
  • 美術監督 - 松宮正純(TVアニメ)、金子英俊(OVA)
  • 美術設定 - 青木智由紀(TVアニメ)
  • 色彩設計 - 谷本千絵(TVアニメ)、三笠修(OVA)
  • 撮影監督 - 柳沢宏明(TVアニメ)、白井久男(OVA)
  • 編集 - 瀬山武司(TVアニメ)、寺内聡(OVA)
  • 音楽 - 亀山耕一郎
  • 音響監督 - 鶴岡陽太
  • プロデューサー - 増島由美子
  • アニメーションプロデューサー - 白井勝也(TVアニメ)
  • アニメーション制作協力 - スタジオマトリックス(TVアニメ)
  • アニメーション制作 - マッドハウス
  • 製作 - ANIPLEX

主題歌

オープニングテーマ
「Blaze 2002」(TVアニメ)
作詞 - TRACY ROSE / 作曲 - SAM PROJECT / 編曲 - 亀山耕一郎 / 歌 - KATHY SHOWER
「A Vision Of Flames」(OVA)
作詞 - Suzi Kim / 作曲 - 中村望 / 編曲 - 梅堀淳 / 歌 - 山根麻以
エンディングテーマ
「Tears Of Indigo」(OVA)
作詞 - 山根麻以&Suzi Kim / 作曲 - 山根麻以 / 編曲 - 江口貴勅 / 歌 - 山根麻以

各話リスト

  • TVアニメ
話数 サブタイトル 脚本 絵コンテ 演出 作画監督
1 炎渦の邂逅 ときたひろこ 工藤進 木村寛 松下純子
2 闇からの換生 ふでやすかずゆき 平田敏夫 奥村吉昭 奥村吉昭
李炫姃
3 無明の覚醒 中村亮介 原博 工藤進 村上勉
4 連鎖の予感 江夏由結 平田敏夫 木村寛 つばたよしあき
5 終わりなき葛藤 ときたひろこ 駒井一也 小泉謙三
6 緋色の刻印 筆安一幸 西村純二 平池芳正 梅原隆弘
秦野好昭
7 怨嗟の記憶 ときたひろこ 木村寛 松下純子
8 迷執の果て 中村亮介 中野新道 奥村吉昭
9 果てしなき虚空 江夏由結 うえだひでひと 大山のぼる 増谷三郎
野田六助
10 哀しい背信 ときたひろこ ひいろゆきな 木村寛 桑名郁朗
11 永遠の業火 江夏由結 渕上真 工藤進
はしもとなおと
秦野好紹
金東俊
DR DIGITAL
12 修羅の選択 中村亮介 小泉謙三
中野新道
工藤進
はしもとなおと
中野新道
川井祐太
泰野好昭
やまだたかひろ(メカ)
13 遥かなる残照 ときたひろこ 平田敏夫 工藤進
木村寛
石井久美
松下純子
やまだたかひろ(メカ)
  • OVA
話数 サブタイトル 脚本 絵コンテ 演出
(演出助手)
作画監督 発売日
第1章 悲願 筆安一幸 室井ふみえ 阿覧角嗣 室井ふみえ 2004年7月28日
第2章 タイガース・アイ 阿覧角嗣 田中洋之
(吉野智美)
平尾隆之
山本善哉 2004年9月29日
第3章 みなぎわの風 阿部恒 室井ふみえ
田中洋之
(吉野智美)
阿覧角嗣
山本善哉
室井ふみえ
2004年11月26日

『真皓き残響』シリーズ(『炎の蜃気楼』邂逅編)

『炎の蜃気楼』シリーズの主人公たちの出発点ともいえる、400年前の邂逅からを書く。シリーズの、いわゆる「過去編」。

以下続刊
「夜叉誕生」(上・下)
「妖刀乱舞」(上・下)
「外道丸様」(上・下)
「十三神将」
「琵琶島姫」
「氷雪問答」
「奇命羅変」
「十六夜鏡」
「仕返換生」
「神隠地帯」
「蘭陵魔王」
「生死流転」

『炎の蜃気楼』幕末編

  • 『獅子喰らう』コバルト文庫、く5-92、炎の蜃気楼 幕末編、2009年4月

『炎の蜃気楼』シリーズの幕末編。換生を繰り返した主人公たちの、それぞれの幕末。

邂逅編とは違い、怨霊調伏の使命が形骸化し、生き続けることに疲労と疑問を感じる彼らが中心。幕末という、理想や希望・夢など、自分たちに忘れかけたものを抱えて「生きる」人々と時代。それらと出会い、夜叉衆がどう感じ、生きたのかを書く。

『炎の蜃気楼』シリーズでの、景虎と直江の関係、また後半の「生きる」とは?などに繋がっていく布石とも取れる。

『炎の蜃気楼』昭和編

邂逅編完結に伴い、新たな物語の幕が開くことになった。舞台は、昭和三十年代の日本で、その世に換生した夜叉衆たちはその経済高度成長期の中、どのような姿でその時代と共に奮闘していたのかを書かれている。本編と深い関わりがあった美奈子は主人公の「前生」にも登場する。それに、昭和編は2014年秋、舞台化も決定した。

「夜啼鳥ブルース」(2014/01/10)
「揚羽蝶ブルース」(2014/04/10)
「瑠璃燕ブルース」(2014/07/01)

脚注

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外部リンク

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  1. 岡本健「アニメ聖地巡礼の誕生と展開」『メディアコンテンツとツーリズム:鷲宮町の経験から考える文化創造型交流の可能性北海道大学観光学高等研究センター文化資源マネジメント研究チーム、39頁。(2009年3月25日)
  2. 今井信治「アニメ「聖地巡礼」実践者の行動に見る伝統的巡礼と観光活動の架橋可能性―埼玉県鷲宮神社奉納絵馬分析を中心に―」『メディアコンテンツとツーリズム:鷲宮町の経験から考える文化創造型交流の可能性』北海道大学観光学高等研究センター文化資源マネジメント研究チーム、101頁。(2009年3月25日)