洗濯板

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洗濯板とタライ

洗濯板(せんたくいた)とは、1797年にヨーロッパで発明された洗濯のための道具[1]明治中期に日本に伝来。自動洗濯機の出現によりほとんど用いられなくなったが、日本では靴下などの汚れの酷い部分を予洗いするためなどに使われることがある。

材質と構造

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ガラス製の洗濯板

材質は木材・金属・ガラスなどが用いられ、形状は一枚の長方形で洗濯に用いられる表側とそうでない裏側とがある。表側には長い辺に対して垂直方向に鋸状の切り込みがあり、これに水に濡らした洗濯物を押しつけながら洗濯物を往復させることによって洗濯が行えるようになっている。

洗濯板の使用における洗濯の原理

洗濯物は大抵の場合は繊維品であり、洗濯板に押しつけられることによる圧力と摩擦にある程度まで耐えることができる。一方、洗濯物にとりついた汚れは水に溶けやすく、洗濯物が水に濡れている環境では、洗濯板上での圧力と摩擦とに洗濯物ほどに耐えることができない。その結果、汚れは分解・剥離して洗濯物から分離し、分離した汚れは水によって洗い流されるが、洗濯物はその姿をとどめることになる。これが洗濯の原理である。

洗濯板を用いた洗濯のコツ

洗濯板を用いるかどうかにかかわらず洗濯に不可欠なのはである。まず洗濯物を水につけ、汚れが分解・分離しやすくすることが必要である。

洗濯に要する水はもともときれいであることが望ましい。さらに、水は分離した汚れを流し去る役割も果たすため、常に入れ替わるのが望ましい。

かつては大量の水が確保できる川辺が洗濯板を用いた洗濯に最適な場所であった。しかし、川辺が遠いところではやむなく井戸端が用いられた。しかし水道が発明され普及すると、蛇口の近くにたらい桶を置く環境が好まれるようになった。

きれいな水をえつつ洗濯板上を洗濯物が往復しやすいようにするには、それらのものをなるべく近くに配置することが望ましい。結果的に、洗濯物はたらい桶の中に、洗濯板はたらい桶からはみ出す程度の位置に置かれることとなる。現在では洗濯板の強力な助け手である洗濯用洗剤を用いることができる。

洗濯板の限界

洗濯板は平板なため、形状の複雑な汚物の洗濯には適さない。また、こびりつく力の強力な汚れや分解しにくい汚れに対しても効果が発揮できない。たとえばの洗濯に洗濯板の使用は全く不適切であり、靴の汚れに対して効果的なたわしブラシを用いることになる。

洗濯板を用いた洗濯には経験と労力を要する。今日では、洗濯板を用いた洗濯は個人に対する負担が大きく、社会全体でみても非効率なものになってしまっている。

洗濯板の現状

洗濯機の普及にともなって洗濯板の使用はもはや日本人の日常ではなくなった。しかし最近では、ハンカチや靴下、また一人暮らし用の少量の洗濯をするための、安上がりで簡易な器具として見直されている。百円ショップなどで小型・プラスチック素材の洗濯板も販売されている。

楽器

ジャグミュージックでは、洗濯板を楽器に用いる事がある。日本では現代的なチンドン屋などが用いて演奏をする。 テンプレート:節stub

「やせっぽち」から「貧乳」へ

洗濯板は、転じて非常にやせている人の隠喩として用いられた。1960年代までは、日本でも食糧事情が悪く、体質だけでなく、栄養不足から、肋骨が透けて見えるほどやせた子がかなりいた。90年ころから週刊誌などに登場する『巨乳』の対義語としていわゆる貧乳を指す表現として用いられる事があるが、『貧乳』も本来は、乳汁の分泌量が不十分で、乳児が健康に育たない意味であった。

同様の表現にまな板があるが、洗濯板の場合、胸の起伏が目立たない事に加えて、肋骨の凹凸感も表現される。

関連項目

脚注

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  1. 大西正幸『電気洗濯機100年の歴史』技報堂出版、ISBN 978-4-7655-4461-0
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