杉沢村伝説

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杉沢村伝説(すぎさわむらでんせつ)は、青森県にあったとされるにまつわる都市伝説[1]

伝説の概要

伝説の内容
かつて青森県の山中に、杉沢村という村があった。昭和の初期、「一人の村人が突然発狂し、村民全員を殺して自らも命を絶つ」という事件が起きた。誰もいなくなった村は、隣村に編入され廃村となり、地図や県の公式文書から消去された。しかし、その廃墟悪霊の棲み家となって現在も存在し、そこを訪れた者は二度と戻っては来られない。
場所としての特徴
諸説あるが、概ね次のようなものである。
  • 村へ向かう道路に、「ここから先へ立ち入る者 命の保証はない」と書かれた看板がある。
  • 村の入口に朽ちた鳥居があり、その根元にドクロのような石(もしくは岩)がある。
  • 奥へ進んでゆくと廃墟と化したかつての住居があり、その内部では事件の惨劇を物語る血痕のようなものが多数見受けられる。

この伝説は元々、青森県の一部でのみ知られていたが、後にインターネット上で話題になり、さらに2000年8月24日放送のフジテレビバラエティ番組奇跡体験!アンビリバボー』の特番で取り上げられたことで全国的に広まった。同番組では数回にわたり「杉沢村」の特集を行ったが、最後まで村の正体が分からず、「杉沢村は時空の歪みの中に存在し、現われたり消えたりする村である」と結論づけた。

真相

「杉沢村という村(集落)が、過去に青森県内に存在していた」、ということ自体は事実である。

ただし、正確には「杉沢」ではなく「小杉」という地名であった。現在の青森市郊外にあたる「小畑沢」という地区の小字で、「杉沢村」というのは小杉地区の通称であった。通称の由来は、「杉林の中を沢が流れていたから」、「住所の小杉から「杉さ行ぐ」が訛った」などの諸説がある。

小杉地区は実際に廃集落となっているが、原因は「過疎により限界集落を通り越して消滅したため」で、明治以降の青森県内で、大量殺人事件があった」という記録は無い。伝説上の杉沢村は、「人口殺人によりゼロとなったため、地方自治体として機能できず、青森市に合併され消滅した」、としている場合もあるが、青森市の小杉地区には地方公共団体としての「杉沢村」が存在したことは無い

また、この伝説が1938年(昭和13年)に岡山県で発生した「津山事件」に酷似していることから、これがこの伝説の大元ではないか、という説もある。この「津山事件」が、横溝正史の小説『八つ墓村』の冒頭で語られる事件の実際の原型であるが、誤って「杉沢村事件」がモデルだとされてしまうこともある。

なお現在、一般的に最も広く知られている「杉沢村跡地」とされる場所は個人の私有地となっている。

備考

  • その他の「杉沢村」
    青森県内には、青森市内(旧浪岡町)、南部町(旧福地村)、三戸町などに「杉沢」という集落・地名があるが、この「杉沢村」とは無関係である。
  • 風道(野性の証明
    森村誠一の小説『野性の証明』に登場する、「大量虐殺事件が起こった岩手県の「風道」という集落」のモチーフがこの伝説である、とする説もある。
  • インターネット
    この伝説が流行した時期に、「杉沢村」を調査・捜索しようとする廃墟マニアやオカルトファン、または「肝試し」目的の者が現れ、各々の冒険譚がインターネットなどで公開されたが、信憑性が低いものが殆どであった。
  • メディア
    「現地への道筋を示すキーワード」とされるものが各種メディアで伝えられたが、いずれも抽象的であったり、それぞれ内容も異なるなど、信用に足るものではなかった。

関連メディア

脚注

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関連項目

外部リンク

  • 松山ひろし 『3本足のリカちゃん人形―真夜中の都市伝説』 イースト・プレス、2003年、179-181頁。