有田陶器市

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
ファイル:Arita tokichi 200804.jpg
有田陶器市(2008年)

有田陶器市(ありたとうきいち)とは毎年ゴールデンウィークの期間に佐賀県西松浦郡有田町で開催される、陶磁器を販売するイベント。

概要

有田焼など「陶器の町」として知られる有田ならではの有名なイベントで2003年で100回目を数えた伝統がある。メインストリートの皿山通りには様々な陶器を扱う店が並び、100円を切る手軽な値段のものから何百万もする豪華なものまでバラエティーに富んだ陶器が販売される。開催時期には、朝6時過ぎから早い店が開き始め、一部の店は夜7時すぎまで営業が続けられる。

歴史

1896年に香蘭社社長・九代深川栄佐衛門・有田磁器合資会社社長田代呈一を中心に「陶磁器品評会」が始まり、1915年より陶磁器品評会(現在の「九州山口陶磁展」)に併せて、地元の陶磁器店が在庫品や等外品の「蔵ざらえ販売」を始めたのがきっかけとなり陶器市が始まった。第二次世界大戦後になると、半端モノや傷モノ、時には有田焼以外の低級品を含めて豊富に並べ安値で売るといったスタイルが確立。客側の目利き、店側との駆け引きが楽しめるイベントとして隆盛した。現在では、この時期に向けて造られる若手作家の作品なども増えており、玉石混淆の度合いが高まっている。またfacebookなどのSNSのイベントページを活用した情報発信()や皿かぶり競走など、新しい観光としての取り組みも始まっている

アクセス

休日には20万人台、平日でも数万人の訪問客が押し寄せることから、客側からすればいかに効率よく目当ての店にたどり着くかが課題となる。現在は、西九州自動車道が開通したことから、自動車によるアクセスが比較的容易になったが、それでもなお波佐見有田インターチェンジからの連絡道路および臨時駐車場(有料)が大変混雑する。このため、初期の頃から後述の最寄り駅まで臨時列車が運転されてきた経緯がある。有田駅前にも、こうした列車客相手に店が建ち並ぶようになった。

臨時列車「有田陶器市号」

有田陶器市の開催期間中には、陶器市の最寄り駅である九州旅客鉄道有田駅上有田駅に向かう臨時列車「有田陶器市号」が設定される。現在は快速列車のみの運転だが、かつては特急列車急行列車の設定もあり、1999年までは特急・急行・快速の3種別の列車が走っていた。2007年より普通列車の設定もなされた。

なお特に注釈をつけない限り、全列車鹿児島本線長崎本線佐世保線経由である。

  • 特急「有田陶器市号」・「有田陶器市みどり号」:主に博多駅早岐駅間を485系電車を用いて運行していた。1日2往復の運転が多かったが、このうち1往復ではハウステンボス駅発着の臨時特急「ハウステンボス81・82号」に併結する形を取った。通常特急は通過する上有田駅に特急「みどり」の一部とともに停車し、便宜を図っていた。1999年を最後に「有田陶器市号」としての運行はなくなり、その後は「みどり」の臨時列車として運行していたが、2010年は列車名に有田陶器市の名前が復活した「有田陶器市みどり号」として運行された。この列車は定期の「みどり」とは異なり全列車二日市駅は通過する。
  • 急行「有田陶器市号」:主に熊本駅〜有田駅間を58系65形気動車を用いて運行していた。1日1往復の設定である。通常この区間に乗車する時は必ず鳥栖駅で乗り換えないといけないが、この列車では乗り換えなくていいというメリットがあった。だが走行する全区間が電化区間であるにもかかわらず気動車で運行されたため遅いこと、鳥栖駅でスイッチバックを行うこともあって全区間で3時間近くかかり、特急乗り換えの場合と比べて1時間近い差が生じることから利用は伸び悩んだ。末期は上有田駅発着に短縮したりもしたが、使用車両の廃車が進んだこともあり2004年の設定を最後に設定されていない。
  • 快速「有田陶器市号」:主に門司港駅・博多駅・南福岡駅〜有田駅(下りは早岐駅)間を811系電車813系電車などを用いて運行されるものと、上有田駅〜長崎駅間を佐世保線・大村線・長崎本線(市布駅回り)経由で58・66系気動車を用いて運行されたが、キハ58系の廃車によりキハ200系3両(一部にキハ220形連結)で運行されているものに分かれる。前者は約5往復、後者は1往復の設定である。この列車も通常乗り換えが必要な区間を走り、しかも乗車券だけで乗れるので人気が高い。しかし、2007年度までは門司港行きで運転される快速有田陶器市号は博多〜小倉間で特急に3回、通常の快速に2回も追い越され、同区間においては通常の快速に乗車した場合の方が小倉方面へは早く着く状態になっていたが、2008年度は改正され、通常の快速には抜かれなくなったので所要時間が短縮した。なお、2007年からは上有田駅〜長崎駅間の列車を除いて号数表記がなくなった。
  • 普通「有田陶器市号」:上有田駅〜早岐駅間を佐世保線経由で58・66系気動車(キハ58系は2009年に引退済み)を用いて運行しているものと、肥前山口〜早岐間などで運転される臨時普通列車である。以前は前述の上有田駅発着快速列車の間合い運用であったが、キハ58・65系気動車の廃車後は電車を用いて運転されている。元々この間合い運用は時刻表には載らないまでも恒常的に行われていたが、2007年より1往復が「有田陶器市号」として時刻表に載るようになった。また、門司港行きの快速有田陶器市号は小倉駅からは普通有田陶器市号とアナウンスされる。

外部リンク