居合道

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テンプレート:混同 テンプレート:Infobox 武道・武術 居合道(いあいどう)とは、古武道抜刀術(居合術)を現代武道化したものである。

歴史

起源

居合道の源流である抜刀術(居合術)は、戦国時代から江戸時代初期にかけての剣客林崎甚助によって創始されたといわれる。江戸時代には数多くの流派が生まれた。

明治から昭和前期

明治維新後、新政府の政策により居合術は衰微したが、1895年明治28年)に大日本武徳会が結成され、他の武術と共に居合術も振興が図られた。大日本武徳会は、優れた居合術の演武をした者に精錬証(のち錬士)及び教士範士の称号を授与した。ただし段位は設けなかった[1]。また、当時は居合より居合という呼び方が一般的であり、大日本武徳会では居合術と呼称していた[2]

1945年昭和20年)、太平洋戦争日本が敗戦した後、大日本武徳会は占領軍指令により解散し、日本刀も多くが没収、廃棄された。

昭和後期以降

占領が解除された1952年(昭和27年)、大日本武徳会の事実上の後継団体として全日本剣道連盟が発足したが、全日本剣道連盟は当初剣道のみを所管し、居合道は所管しなかったテンプレート:Refnest。そのため無双直伝英信流第20代宗家河野百錬らが、1954年(昭和29年)に全日本居合道連盟を結成した。

1956年(昭和31年)、全日本剣道連盟が居合道部を創設し、全日本居合道連盟との間で合併が議論されたが、意見がまとまらず交渉は決裂したテンプレート:Refnestテンプレート:Refnest。これにより居合道界は全日本居合道連盟と全日本剣道連盟居合道部に分断された。

1974年(昭和49年)に河野百錬が死去すると、無双直伝英信流宗家の継承争いが起き、全日本居合道連盟から大日本居合道連盟日本居合道連盟全国居合道連盟が派生し、居合道の連盟は複数に分裂した。現在、各連盟にほとんど交流はなく、演武大会や段級位審査はそれぞれの連盟が独自に行っている。

流派

各連盟に加盟している流派は、無双直伝英信流及び夢想神伝流が多数を占める。次いで伯耆流田宮流無外流等が多い。

技法と特徴

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一本目 前

座った状態で、から刀剣を抜き放ち、さらに納刀に至るまでをも含めた技術を、一つの独立した武道と成している国は全世界でも日本のみで、実は非常に稀有なものである。

剣道のような打ち合いや激しい運動ではないため、老若男女を問わず学べる武道でもある。2009年(平成21年)の全日本剣道連盟居合道初段取得者1270人のうち女性は約3割を占める[3]

また、剣術との相違点は、剣術は初めから互いを敵とした敵対動作から始まる、いわゆる敵との「立合」から始まるのに対し、居合道は主に床の間での想定のような普段の生活の中など、「居」ながらにして敵に「合う(遭遇する)」として形が組まれている点にある。演武では、奉納、作法を意識している点も挙げられる。

抜刀道との相違点は、抜刀道は主に刀を抜いた状態から立ち技で試し斬りを行うが、居合道は主に空間の形稽古を行い、抜き付けとよばれる刀を鞘から抜き放ちながら斬る技術が重視されている。試し斬りは団体にもよるが、頻繁に行うものではなく、一切行わない団体も多い。

服装・用具

道着を着用する。高段者は正装として紋付仙台平の袴を着用することもある。

初心者は居合刀と呼ばれる模擬刀を使用することが多いが、上級者は真剣を使用する。

段級位制・称号

各連盟において段級位及び称号範士教士錬士)が設けられており、形の演武及び筆記試験を経て授与される。最高段位や受験資格等の規定は連盟によって異なる。全日本剣道連盟の居合道については剣道の段級位制に準ずる。

試合

試合は実際に斬りあうのではなく、段位ごとに、連盟の規定技(全日本居合道連盟刀法全日本剣道連盟居合などの連盟制定形)や流派の形を演武し、審判員の掲示による多数決採点で評価することで勝敗を判定する。1964年東京オリンピック体操競技を見て採点方法のヒントを得た政岡壹實が、居合道普及の一策として考案した[4]。高段位においては勝敗を決めず演武のみになる団体もある。

また、神社などで形を披露する奉納演武を執り行うこともある。試合と異なり儀式的な意味合いが強い。

年表

居合道専門団体

脚注

注釈

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出典

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参考文献

  • 池田清代『居合道名人伝』上・下、スキージャーナル
  • 剣道日本『居合道虎の巻』、スキージャーナル

関連項目

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  1. 池田清代『居合道名人伝 上巻』54頁、251頁、スキージャーナル
  2. 武道範士教士錬士名鑑』(昭和12年)、大日本武徳会本部雑誌部
  3. ウーマンアイ 刀剣人気 歴女が進化、居合や殺陣に魅了 - 47NEWS共同通信 2010/02/15)
  4. 池田清代『居合道名人伝 上巻』59頁、スキージャーナル