天王はるか

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テンプレート:Pathnav 天王 はるか(てんおう はるか)は、武内直子作の漫画作品『美少女戦士セーラームーン』に登場する架空の人物。

テレビアニメ版での声優緒方恵美。海外名はAmara(アマーラ)

人物

セーラーウラヌスに変身する。淡い金色(原作では銀色)の短髪が特徴。男のようで男ではない、女のようで女ではない人物。ただし、テレビアニメでは「男装の麗人」という設定。

登場当初から常に海王みちるとペアになって行動しており、先に戦士として覚醒したみちるとの出会いが描かれている[1]。現代に転生し、戦士として覚醒した冥王せつなを加えた外部太陽系三戦士として行動することもある。テレビアニメでは紫色のスカーフを持っている[2]

海王みちるとはセーラー戦士としてもプライベートでもパートナー[3]であるが、アメリカ版テレビアニメではその描写を抑えるためにアマーラ(はるか)とミシェル(みちる)は従姉妹同士という設定になっている。木野まこと愛野美奈子に一目惚れされたことが何度かある。男らしさ、女らしさに囚われないその生き方から木野まことにとって憧れの女性の一人として数えられている。また、海王みちるとは異なったニュアンスで月野うさぎをプリンセスとしても一人の人間としても思慕している描写があり、原作ではウラヌス変身時にセーラームーン(うさぎ)にキスをし、男装時もうさぎにキスようとしたが、未遂に終わる。

スプリンターにしてレーサー。高校一年なのだが、制服姿でスポーツカーを愛車として公道で走らせている[4]。原作の愛車は武内直子の好きなメタリックブルーのFerrari F512M、テレビアニメ版のイエローの愛車はTOYOTA 2000GTオープントップに酷似しているが左ハンドルでリアシートがある。車にも乗るがバイクを数種類、天王丸というヘリコプターも所有しており、テレビアニメではモトクロスレースで優勝し、原作ではヘリコプターで無限学園に登校していた[5]

中学生の頃は陸上競技、バスケットボールフェンシングハンググライダーをしており、モノローグによると優勝を総なめにしていたが陸上競技からモーターレースに興味が移っていた模様。原作では男装時に武闘派のまことと空手で対決し勝利している。ピアニストとしても非凡な才能を持ち合わせており、テレビアニメではパーティーで、原作ではファンタスティック国際音楽祭でみちるのヴァイオリンとの二重奏を奏でているが、テレビアニメ版のファンタスティック国際音楽祭に相当するスリーライツ・海王みちるのジョイントコンサートには参加してはいない。「アニメイトカセットコレクション」ではゲイバーでバイトしたこともある。

みちると共に高級マンションに住んでいる。原作では家賃月100万で、はるか曰く「パトロンがいるからお金には困らない」とのことだが、真相は不明。無限学園崩壊後、みちるとせつなの三人で転生後の土萠ほたるを養育し、ほたるからは『はるかパパ』と呼ばれていた[6]。テレビアニメではほたるを伴ったプルートと再会し、ギャラクシアの陰謀によって急成長を遂げていくほたるをみちる、せつなと共に養育しセーラームーンたちの前に現れる。

無限学園の生徒として通学し、土萠教授などの様子を覗っていた。原作では、無限学園崩壊後、しばらくの間転生したほたるの養育の傍らテストレーサーの仕事に専念していたが、後にうさぎ達と同じ十番高校へ編入した[7]。十番高校では陸上部に所属しており、後輩の女子たちから慕われていた。うさぎの友人である大阪なるとも、昼食を取るような仲の様子。

原作とテレビアニメでの相違

テレビアニメと原作での性格・設定の違いが非常に顕著である。なお、実写ミュージカルはテレビアニメの設定をベースとしている。

原作
セーラームーン及び内部戦士たちの前に初めて姿を見せた時、ウラヌスの姿の上にマントとマスクを着用していた。そのため第二のタキシード仮面として読者に大きな印象を与えた。
無限学園に潜入するため変装の一環として『男性の姿』をしていたため一人称は『あたし』と『俺』、喋り方も『女性の姿』『男性の姿』それぞれ使い分けていた。
『男性の姿』以外は基本的に普通の女性の衣装を着用しており、番外編では無限学園のセーラー服姿を見せており、十番高校編入後はセーラー服を着ている。原作後半では完全に女性として暮らしているようである。
天王はるかは男性の姿と女性の姿をそれぞれ持つと解釈されることが多い[8]。両方の性を持つためか『女だから男に負けるのは当然』という考え方を嫌ったり、うさぎに性別を問われた際『男か女であることが重要なのか』と返している[9]。ネプチューンが「ウラヌスは男でもあり女でもある、どちらの性もどちらの強さもあわせ持つ戦士なのです」[10]とムーンに語っているが、この言葉をどう解釈するかはファンの間でも意見が分かれている。
テレビアニメ及びミュージカル
セーラームーン及び内部戦士たちの前に初めて姿を見せた時は通常のウラヌスの姿だったが、テレビアニメではネプチューンともにシルエットのみの登場だった。
身体的には完全に女性であるが、セーラー戦士として覚醒する以前から男装を好む『男装の麗人』であり、一人称は『僕』で原作とは違い口調も男性的。
原作とは違いセーラーウラヌス以外で女性の格好をすることが殆どなく、ミュージカルでは十番高校編入後も学ランを着ている。
シリーズ中一貫して『男役』を演じ続けている。しかしみちるから『女の子』、うさぎから『女の人』、そしてモノローグで自身をクイーンと称していたことから性自認は完全に『女性』であることが伺える。
海王みちる曰く、「モテる男は嫌い」とのこと。テレビアニメではスリーライツ、特にみちるに接触を試みた上にうさぎに片思いしていた星野光(セイヤ コウ)のことを目の敵にしていた。しかしギャラクシア戦では自身を含めた太陽系戦士たちが倒れていく中、ネプチューンと共にセーラースターファイター(星野光)を試し、自分たちのプリンセスを託して倒れる。その後、星野は故郷の星に帰る直前に、はるかが自分にうさぎを託した時のセリフを地場衛に対して言っている。

プロフィール

プロフィールは殆ど原作のもの。

  • 年齢:16〜17歳、23歳(原作ラスト)
  • 誕生日:1月27日
  • 誕生石:ガーネット
  • 星座:水瓶座
  • 血液型:B型
  • 好きな色:金色
  • 好きな食べ物:サラダ
  • 苦手な食べ物:納豆
  • 好きな教科:体育
  • 苦手な教科:現代文
  • 苦手なもの:告白
  • 趣味:ドライブ
  • 特技:陸上、自動車競技
  • 将来の夢:レーサー
  • 経歴:無限学園高等部→十番高校(原作)

セーラーウラヌス

天王星を守護星に持つ天空と飛翔の戦士。ミュージカルでは「戦いの戦士」、「疾風の戦士」とも自称している。

外部太陽系三戦士の成員の一人であり、宇宙を監視する存在。セーラー戦士として覚醒した後、常にセーラーネプチューンと共に行動をしている。明言はされていないが外部太陽系戦士内におけるリーダー格であり、内部戦士たちに高圧的に指示をすることが多い[11]

戦闘力は極めて高く、風と重力を武器に敵と戦い、肉弾戦も得意でミュージカルでは敵勢力にパワーならジュピター、格闘ならウラヌスと分析されている。加えて風のようと形容される俊足を誇っている。その強さゆえ、敵の強さを表現するにあたり「ウラヌスですら適わない=強い敵」と演出されることも多い。抜群のパワーとスピードで、いままでのセーラー戦士たちを上回る攻撃力を発揮する[12]。またミュージカルでは切り込み隊長のように先制攻撃を仕掛けることが多い。

決め台詞は「天王星の風騒ぐ、新たな時代に誘われて、セーラーウラヌス、華麗に活躍」3人集合時には「天空の星、天王星を守護に持つ、飛翔の戦士セーラーウラヌス」。原作第三期の登場台詞は「風の星!天王星を守護にもつ天空の戦士!セーラーウラヌス参上!」。ウラヌスは男であり女でもある、双方の性と双方の強さを持つ戦士だとネプチューンに述べられている。セーラー戦闘服が青色(テレビアニメでは深いブルー)メインとなって、胸前のリボンは黄色。チョーカーが外部戦士の中に飾りを付けない状態を表す。短いの手袋がセーラーネプチューンと同じ設定。ピアスはリング形。ヒールが高めのショートブーツを履いている。原作のイメージカラーは青色、テレビアニメ版のイメージカラーはダークブルー。

スーパーセーラーウラヌス
セーラーサターンが再び覚醒した時にパワーアップする姿。他のセーラー戦士と同じブローチ、リボンや肩の部分、セーラー襟部分に1本の白いラインが入り(ネプチューン・プルート・サターン同様)、テレビアニメではピアスも左耳片方から両耳など変わった。スーパー変身後の手袋が原作とテレビアニメでは長さが違う(原作は短→長、テレビアニメは短いまま)。技のスピードにも磨きが掛かった。
プリンセス・ウラヌス
原作の第4期末では新しい聖杯が誕生した時に変化したプリンセスとしての姿。天王星のセーラープリンセスの城として「ミランダキャッスル」という城を持っている。コスチュームの基本カラーは深いブルーで、胸元をU字形に開いたタンクトップのようなデザイン。脇の部分にある飾りベルトのようなパーツ以外は特に飾りがついていないのも特徴。スカート部は左右に深い切れ込みが入っており、薄い色のスカートが見え隠れする。
備考
ローマ神話のウラヌス、ギリシャ神話のウラノスゼウスの祖父、息子クロノスのクーデターで追われた先代の天空神。ギリシア神話のウラヌスはクロノスによって男性器を切り落とされたとされており、ある意味では「男でも女でもある」セーラーウラヌスと対称に位置する(男にも女にも当て嵌まらない)と言える。タリスマンであるスペース・ソードのモデルは三種の神器天叢雲剣(草薙剣)から。現在の英名はかなりあとに他の惑星に倣い「未使用の神話上の大物」の名が付けられたため、天体の外見や運行上の特徴と付けられた神名の関わりは希薄で、中国の五行による名もない[13]。これは海王星、冥王星も同様。そこで外部太陽系戦士の技は「神話から取材した背景イメージ画上でボイジャー2号の惑星探査データに基づくその惑星の姿を模したエネルギー光球をぶつける」という演出で描写されている。

アイテム

  • リップ・ロッド(テレビアニメS - スターズ第1話)
    • ウラヌスへ変身する際に使用する青いスティック形状のアイテム。内部太陽系セーラー戦士の変身アイテムとは形が違い、先端はV字型にフィン状の飾りが付いた球体になっており、その上に天王星の紋章が刻まれた六芒星型の飾りが付いている。
  • 腕時計型通信機(テレビアニメS)
    • みちると揃いの通信アイテムで正式名称は不明。紋章である天王星の惑星記号があしらわれている。
  • 宇宙の剣(スペース・ソード)
    • 攻撃を司るタリスマン[14]。宝剣のタリスマンであるスペース・ソードで強力な風を操り敵を切り裂く。形状は原作版ではダガーナイフ(小太刀、またはシャムシール)型で気を込めて必殺技を放つ際に刀身が伸びる。またタリスマン同士の共鳴でも同様のことが発生する。ただ劇中で伸びた形が殆ど直線状(ロングソード型)で表現されており、おそらくライトセーバービームサーベル等の原理のような刀身と思われる。テレビアニメ版では刀身は濃いピンク色や金色で攻撃の際に発光する。普段は真っ赤な刀身での状態が続いた。基本的に伸び縮みせずシャムシールの形をしているが(一度SuperSの劇場版で伸びる描写があった)、宝石の付いたつきで、共鳴の際に鞘に収められた状態で共鳴した。
  • ウラヌス・クリスタル(原作第4期)
    • はるかのセーラークリスタル。再び覚醒したほたるから与えられた。

変身呪文

  • ウラヌス・プラネットパワー!メイクアップ!
    • リップ・ロッドに天王星のマークが輝き、リップ・ロッドを握って大地に描がれた円陣から激しい風を巻き上げて、セーラー戦士の白いスーツへと変わる。前髪を掻き揚げると輝くルージュを唇につけて後、ポーズを決める。
  • ウラヌス・クリスタルパワー!メイクアップ!(原作第4期)

セーラーウラヌスの必殺技

  • 天界震(ワールド・シェイキング)
    • 原作では超震動波を発して攻撃する。
    • テレビアニメでは右手を上に挙げ、右手のひらを集めて金色の光輝に右拳の中を閃かせた後、大地と空気のエネルギーを集中させ、超高圧エネルギーが輪を持つ金色の光の電気球に生成して、体を一回転させた後に右拳を地面に叩き付け、超高圧光球が地震のごとく地面に這わせながら上昇して、強い疾風のように敵に向かって襲い掛かる。敵の身体が超高圧光球の強烈な震動波を受けて、空間諸共崩れた消滅となることである。また、超高圧光球を放出する時に閃電で地が割れても見られた。巨大化して、敵陣に突っ込んで攻撃が可能。
  • 宇宙剣乱風(スペース・ソード・ブラスター)
    • 原作では魔具(タリスマン)の一つ宇宙の剣(スペース・ソード)に風のエネルギーを纏わせて、敵を斬撃する。初登場時に「わが魔具タリスマン 汝の御力 示したまえ われを保護せよ!」の掛け声で、宇宙の剣(スペース・ソード)の攻撃力を発揮できる。
    • テレビアニメでは剣のタリスマンを振りおろし、真空刃のような飛ぶ斬撃で敵を攻撃する。敵の数に合わせて単体型と複数型の刃状の衝撃波(単体型の刃は金色で、複数型の刃は濃いピンク色)を飛ばすことが出来る。また、テレビアニメ第三期124話とテレビアニメ第五期190話で刃の形の剣圧が敵や物質を爆破することである。
  • 宇宙乱気流(スペース・タービュレンス。原作第5期)
    • 気流の渦を起こし、敵を巻き込むことができる。
  • ギャラクティカ宇宙乱気流(原作第5期)
    • 宇宙乱気流のギャラクシアに操られたバージョン。
  • ウラヌス・ワールド・アタック(格闘ゲームのみ)
    • 全身に風のエネルギーを纏わせてから突進してアッパーを繰り出す。

脚注

テンプレート:Reflist

テンプレート:美少女戦士セーラームーン
  1. アニメ第106話「運命のきずな! ウラヌスの遠い日」より。
  2. テレビアニメ第96話「冷酷なウラヌス? まことのピンチ」より。
  3. 『テレビマガジンデラックス53 決定版 美少女戦士セーラームーンS』第19頁より「はるかとみちる。二人の心は強い友情で結ばれている。」で述べる。
  4. 国際運転免許証をもっていると考えれば合法であるが日本国内においては18歳までは公道では運転できない。北米版では留年しているという設定。
  5. 原作では十番高校編入後はみちるを後ろに乗せた自転車通学。ミュージカルではヘリ送迎がネタとなっており、はるかはジャガーの自転車での登校に、みちるは徒歩での登校に変更されている。
  6. ほたるが自発的に『パパ』と呼んだのか、はるかがほたるに『パパ』と呼ばせていたのかどうかは不明。
  7. その際にはもはや男装の必要もないためうさぎたちと同じ女子制服、セーラー服を着用している。
  8. 骨格が明確に違っており、性可逆と捉えられている。両性具有とも考えられるが真相は不明。
  9. パンセクシャル(全性愛)に近い思想と捉えるファンが多い。
  10. 原作旧装版第9巻、Act29(新装版第7巻、Act32)より。
  11. ミュージカルでは『スペースソードをぶんぶん振り回す』『偉そうに命令する』『無駄に格好つける』のがウラヌスだと内部戦士たちにコメントされてしまうほど。
  12. 『テレビマガジンデラックス53 決定版 美少女戦士セーラームーンS』第12頁より。
  13. 天王星は望遠鏡での天体観測が行われるようになり地動説が確定した後の1781年、イギリスの天文学者ウィリアム・ハーシェルによって発見され当初彗星と思われていたが後に自身によって惑星と確定された。そのため、暫くは「ハーシェル」という名前で呼ばれており、紋章(惑星記号)もハーシェルの「H」を他の惑星記号に似せて図案化したもの。
  14. 『なかよしメディアブックス&アニメアルバム44 美少女戦士セーラームーンS II』第38頁より。