大塚国際美術館

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大塚国際美術館 (おおつかこくさいびじゅつかん, The Otsuka Museum of Art) は、徳島県鳴門市鳴門公園内にある、陶板複製画を中心とした博物館大塚製薬グループの創業75周年事業として1998年平成10年)に開設され、運営は財団法人大塚美術財団。とくしま88景に選定。

日本最大の美術館(延床面積29,412m²)として1998年(平成10年)に開館した。後発の国立新美術館2007年(平成19年)開館、47,960m²)に次ぐことになったが、兵庫県立美術館(27,461m²)などを上回る日本第2位、私立では最大の美術館建築である[注 1]。美術館の年間来場者数は約22万人。

展示

展示されている作品は、大塚グループの大塚オーミ陶業株式会社が開発した特殊技術によって、世界中の名画を陶器の板に原寸で焼き付けたものである。オリジナルの収集に拘るのではなく自社技術を用いてふんだんに作品を複製、展示するという構想は、企業の文化事業としての私立美術館の中でも非常に特異な試みといえる。美術教育に資するべく、作品は古代から現代に至るまで極めて著名、重要なものばかりを展示しており、これらを原寸で鑑賞することでその良さを理解し、将来実物を現地で鑑賞して欲しい、との願いが込められている。

陶板複製画は原画と違い、風水害や火災などの災害や光による色彩の退行に非常に強く、約2,000年以上にわたってそのままの色と形で残るので、これからの文化財の記録保存のあり方に大いに貢献すると期待されている。 この特徴を生かし、大塚国際美術館では写真撮影が可能であったり、直接手を触れられたり、一部作品を屋外に展示していたりする。屋外の庭園に展示されたモネの『睡蓮』などはその性質を生かした好例である。

もう一つの特徴として、今は現存しない作品(修復前の、レオナルド・ダ・ヴィンチ最後の晩餐』・戦火で失われたゴッホの『ひまわり』)や、戦災等で各地に分散されている作品(エル・グレコの大祭壇衝立)を復元するなどの試みも行われている。 板を組み合わせることで大型化にも対応でき、ミケランジェロの『最後の審判』も、オリジナルの展示環境全体を再現したシスティーナ・ホールに展示されている。このホールは2004年(平成16年)5月9日衆議院議員の後藤田正純水野真紀の結婚披露宴が行われたことでも有名となっており、2010年(平成22年)2月27日にも夫人が徳島出身である横綱白鵬の結婚披露宴も行われている他、2009年からは将棋の王将戦松竹歌舞伎なども開催されている。

  • 館内の陶板画の写真撮影は、”人物を入れた構図” ”フラッシュ及び三脚使用禁止”という条件で許可される。
  • 陶板複製画を原寸で展示していることから全体を1日で回ることは難しく、複数回訪れて初めて全体像を知ることが出来る美術館であるとの来場者の声が多い。(鑑賞ルートが、地下3F~地上2Fまで約4kmに渡って展示)

主な展示作品

世界25ヶ国・190余の美術館が所蔵する西洋名画1,000余点を、オリジナルと同じ大きさに複製し展示している (館内では「1,074点」と説明されている)

これらの陶板複製画約1,000余点は、ピカソの子息や各国の美術館館長、館員が来日し検品を行っている。

※公式HPにて詳細な展示作品リストが公開されている。[1]

基礎データ

ファイル:The Otsuka Museum of Art13s3872.jpg
本館1(手前)・本館2 /1F庭園前

建築概要

  • 敷地面積 - 66,630平方メートル
  • 建築面積 - 9,282平方メートル
  • 延床面積 - 29,412平方メートル
  • 構造 - RC造、一部K造
  • 規模 - 地下5階、地上3階
  • 設計 - 坂倉建築研究所東京事務所
  • 施工 - 竹中工務店
  • 竣工 - 1997年
  • 開館 - 1998年3月21日
  • 所在地 - 〒772-0053 徳島県鳴門市鳴門町土佐泊浦字福池65-1 鳴門公園

開館情報

  • 開館時間 - 9:30 ~ 17:00 (入館券販売は16:00まで)
  • 休館日 - 月曜日 (祝日の場合は翌日)

  ※1月は正月明けに連続休館あり、8月は無休

  • 入館料 - 大人 3,240円 大学生 2,160円 小・中・高生 540円 (2014.4.1~)

  ※団体割引・障害者手帳割引・JAF割引・前売り券あり(ローソンチケット等)

サービス施設

ガイド

  • ギャラリートーク(展示解説) - 美術ボランティアによる定時ガイドを行っている。
  • 音声ガイド機 - B3ミュージアムショップで貸し出しを行っている(1台500円)。
  • 大塚アートくん[2] - B3展示室10ヵ所を1時間ほどでガイドする自走式ロボット。
    • ガイドロボの「大塚アート」くんは、B3フロアを自動運行で走行し絵画などの説明をする。(※ALSOK 綜合警備保障株式会社の製品で、本来は巡回警備用)

館内設備・警備体制

  • 車椅子・ベビーカー貸出あり/コインロッカー・授乳室・救護室・多機能WC(車イス用・オストメイト対応など)・自動販売機・公衆電話 あり
  • 美術館正面玄関は長いエスカレーター(約40m)になっている。車椅子利用者は別の入口に案内される。
  • 駐車場 - 無料駐車場あり(約340台)/無料シャトルバスあり(駐車場~美術館正面玄関)
  • 美術館駐車場は少し離れた場所にある為、車使用時には注意が必要。(無料シャトルバス運行)
  • 美術館の警備は、全般的にALSOKが行っている。(※駐車場警備・シャトルバス運行等は大塚倉庫。)

イベント

  • ひと月に2組限定で結婚式が可能。(館内のスクロヴェーニ礼拝堂挙式・システィーナホールでフラワーシャワー・鳴門パークヒルズで披露パーティー…という流れ)
  • 2月頃…歌舞伎/6月頃…第九合唱コンサート/12月頃…クリスマスコンサート…など例年のイベントや、時期にあわせた臨時的なイベント、子供や家族向けのワークショップなど多岐に渡り行われている。

沿革

  • 1998年(平成10年)3月21日、大塚国際美術館開館。
  • 2007年(平成19年)、館長の大塚明彦がローマ教皇庁より聖シルベストロ教皇騎士団勲章を受章。(日本国内におけるキリスト教の文化・伝統の紹介、その認知度を高めた功績によるもの)
  • 2009年(平成21年)、羽生善治深浦康市による第58期王将戦第1局がここで行われた。(57期の第6局で対局する予定だったが、第5局で決着がつき翌期に持ち越された。)美術館での対局は将棋界初。このとき羽生の提案もあり最後の審判をバックにタイトル戦としては初めて対局開始から終局まで公開対局で行われた。
  • 2009年(平成21年)より毎年、システィーナ・ホールにおいて松竹により歌舞伎が行われている。片岡愛之助上村吉弥らが主演をつとめることが多い[3]
  • 2010年(平成22年)の夏に開催した「FNS27局対抗!三輪車12時間耐久レース O-1グランプリ2010」ではこの大塚国際美術館をも含めた「飛鳥IIで行く2011新春・四国こんぴら初詣クルーズ」が賞品となり南明奈小島よしお田中卓志RYOEIそして監督のクリス松村のチームヘキサゴンが見事に優勝してこの賞品を獲得した。
  • 2011年(平成23年)10月、1998年の開館当初から、土地や建物の不動産登記が行われていなかったことが、開館から13年後に判明した。同館は「直ちに登記手続を行う」としている[4]
  • 2011年(平成23年)12月、旅行クチコミサイト「TripAdvisor®」トリップアドバイザー株式会社が発表した「行ってよかった美術館&博物館ランキング2011」で大塚国際美術館が1位に選ばれた[5]
  • 2012年(平成24年)4月1日より、財団法人大塚美術財団は、一般財団法人大塚美術財団に変更となる。
  • 2012年(平成24年)4月より、大人気コミックの「テルマエ・ロマエ」とタイアップし、週に1回程度ツアーを開催している。古代ローマ時代の絵画を中心に案内。館内のショップでは、原作コミックの販売も行われている。
  • 2013年(平成25年)1月21日より、津波発生時の地域住民・観光客の一時的な避難場所となる。鳴門市と大塚国際美術館が結んだ協定で、津波発生の危険性が高いとき、市から美術館への要請にて開放される。 (※避難場所として開放されるのは、正面玄関/地下3階エントランスホール/地下4階搬入車両・関係車両専用駐車スペース/地上1階庭園の4か所で、営業時間内の対応が前提。4か所であわせて5600人が避難できると試算されている。4か所いずれも海抜8~40mで、県の浸水域想定には入っていない。開放期間は大津波警報や津波警報が解除され、安全が確認されるまでとされている。)[6]
  • 2013年(平成25年)3月21日、開館15周年を迎える[7]
  • 2013年(平成25年)4月2日、美術館の公式Twitterを開始[8]
  • 2013年(平成25年)5月17日、美術館の公式facebookを開始[9]
  • 2013年(平成25年)8月7日、来館者300万人達成。大阪府から来た夫婦へ、記念品として生涯有効入館券(陶板製)と美術館図録が贈られた[10]
  • 2014年(平成26年)5月31日より、映画『万能鑑定士Q -モナ・リザの瞳-』とタイアップし、館内にあるルーヴルの複製画六点を巡り、観察眼と推理力でキーワードを導き出す鑑賞ラリーを開催。
  • 2014年(平成26年)6月、第二次世界大戦時の大空襲で焼失したゴッホの「ひまわり」を、陶板画で再現するプロジェクトを開始。ゴッホが7枚描いたとされているひまわり絵のうち唯一、現存しない作品である。展示開始予定は10月1日から[11]

交通アクセス

大塚国際美術館前
位置 [[[:テンプレート:座標URL]]34_13_52.31_N_134_38_13.19_E_ 北緯34度13分52.31秒東経134度38分13.19秒](鳴門市街・徳島方面)
[[[:テンプレート:座標URL]]34_13_52.50_N_134_38_9.76_E_ 北緯34度13分52.50秒東経134度38分9.76秒](鳴門公園方面)

周辺

  • 美術館正面には大塚グループの保養施設「潮騒荘」がある。
  • 近隣の観光施設として、鳴門公園渦の道・エスカヒル鳴門・架橋記念館エディなど)や、観潮船(うずしお汽船・鳴門観光汽船)乗り場がある。

  ※美術館から、渦の道や観潮船乗り場までは徒歩で移動可。(美術館は当日に限り再入館可)

  ※宿泊施設から美術館までの送迎を行っているところもある。

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ

注釈

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出典

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関連項目

外部リンク

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  1. 「展示作品リスト」を公開いたしました
  2. 「アートくん」プレスリリース
  3. 愛之助、吉弥、壱太郎が意気込み~大塚国際美術館 第五回システィーナ歌舞伎 歌舞伎 on the web
  4. 徳島の大塚国際美術館、13年にわたり未登記 産経新聞 2011年10月14日
  5. トリップアドバイザー・特集ページ
  6. 美術館を一時的な避難場所に 1/21 四国放送
  7. おかげさまで15周年
  8. 大塚国際美術館公式ツイッターはじめました
  9. 大塚国際美術館公式Facebookはじめました
  10. 来館者300万人達成記念セレモニーを開催
  11. 空襲で焼失、ゴッホ「ひまわり」陶板画で再現へ YOMIURI ONLINE 6月12日