夕張メロン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
ファイル:Half cut of Yubari melon.JPG
夕張メロン(ハーフカット)
ファイル:Yubari melons in the cardboard box.JPG
箱詰めされた夕張メロン

夕張メロン(ゆうばりメロン)および夕張キングメロン(ゆうばりキングメロン)は、北海道夕張市を生産地とするメロン

概要

品種名は「夕張キングメロン」であり、「夕張メロン」は商標名である。「スパイシーカンタロープ」を父、「アールスフェボリット」を母として作出された赤肉のネットメロン(マスクメロン)で高級メロンとしても全国的に有名である。

名称

夕張市農業協同組合に集荷され、厳格な検査に合格したものだけを「夕張メロン」のブランドで出荷するため、夕張メロンは夕張市農業協同組合の登録商標となっている。隣接する市町村産では、夕張の名を冠することはできない。そのため、90年代前半まで北海道内で栽培されていた夕張キングを箱詰めした場合、その地域ブランド名を記したケースや箱で販売されていた。但し、箱に記載の品種名は「夕張キング」と表示がなされていた。

流通

日持ちに難点があり、大手宅配業者、フットワークと提携。当時としては、画期的な産地直送システムを導入。それまで北海道内でしか食べられなかった夕張メロンを、産地直送化することにより、道外への出荷が可能になる。

生産

夕張メロンの種は、農協の金庫で厳重に保管されている。ハウス栽培とトンネル栽培があり、ハウス栽培は7月中旬までに出荷し、トンネル栽培は9月までに出荷する。いずれも地這え栽培を主として、一つの株から二本の蔓を伸ばして3 - 4個収穫する。受粉はミツバチによって行われ、受精からの日数は40 - 46日位である。しかしながら、条件によってはその日数も異なり、気温が高いときのほうが、収穫は早まって糖度も落ちる傾向にある。

類似品種

札幌キングキング系と呼ばれている赤肉メロンも、夕張メロンとほぼおなじ掛け合わせで交配されている(アールス・フェボリットには種類が色々あり、そのうちの一つを親としている)。一方、ルピアレッドに代表されるレッド系と呼ばれるものは、食感と糖度が違う別の品種である。

  • 夕張IKメロンは、小林2号(I.Kメロン)と夕張キング(夕張メロン)の交配種。

歴史

  • 1961年 - 「夕張メロン」誕生。
  • 1982年 - 大手宅配業者「フットワーク」と提携し、全国出荷が可能になる。
  • 2011年 - 「夕張メロン生産組合」生誕50周年。

初競り

北海道の農産物の流通場所である札幌市中央卸売市場で行われる初競りでは、小売店百貨店・一般企業などが価格を競合する。

近年、2玉入1箱で100万円以上の値を出し、夕張市の財政破綻後も、高額値を叩き出す。初セリ時の落札者上位10名には、落札者の証として、夕張市農協より時計付きのパネルが贈呈される。

最高落札価格の推移

初競りでの落札価格(2玉入1箱)
競り日 価格(円) 等級ランク 落札者 備考
1985 5月7日 60,000 不明 三越札幌店 - 
1986 不明 不明 不明 三越札幌店 - 
1987 不明 不明 不明 三越札幌店 -  
1988 不明 不明 不明 三越札幌店 - 
1989 不明 150,000 不明 三越札幌店 - 
1990 不明 不明 不明 三越札幌店 - 
1991 不明 234,000 不明 三越札幌店 - 
1992 5月6日 260,000 不明 三越札幌店 最高額更新
1993 5月8日 220,000 不明 三越札幌店 -
1994 5月13日 260,000 三越札幌店 -
1995 5月6日 250,000 不明 三越札幌店 -
1996 5月9日 270,000 特秀 三越札幌店 最高額更新
1997 5月15日 270,000 特秀 三越札幌店 - 
1998 5月14日 270,000 特秀 三越札幌店 - 
1999 5月16日 270,000 三越札幌店 - 
2000 5月15日 280,000 特秀 三越札幌店 最高額更新
2001 5月16日 300,000 特秀 三越札幌店 最高額更新
2002 5月14日 300,000 三越札幌店、丸井今井札幌本店 - 
2003 5月13日 330,000 大丸札幌店、丸井今井札幌本店 最高額更新、大丸札幌店は開業初年
2004 5月14日 420,000 ロビンソン百貨店札幌店 最高額更新、ロビンソン百貨店札幌店は開業10周年
2005 5月16日 600,000 株式会社小笠原商店 最高額更新、同社は新千歳空港の土産店
ビッダーズに出品、12.1万円と12.0万円で落札
2006 5月17日 800,000 株式会社四季舎 最高額更新、同社は苫小牧市の食品卸会社
楽天オークションに出品、7.0万円と7.2万円で落札
2007 5月15日 2,000,000 丸井今井札幌本店 最高額更新、丸井今井は創業135周年
夕張市財政破綻後の初競り(夕張市財政破綻の復興支援として)
2008 5月13日 2,500,000 有限会社イビ 最高額更新(現在までの最高値)
同社は、場外市場向かいさっぽろ青果館内にある鮮魚店
店内に展示後、1カット100円にて販売 
2009 5月15日 500,000 有限会社上田物産 同社は、場外市場の鮮魚店
全国的な不況(リーマンショック)の煽りを受け落札価格が落ち込む
2010 5月17日 1,000,000 有限会社蔵重商店 同社は、札幌市中央卸売市場の青果物仲卸会社
中央卸売市場の発展貢献者に寄贈
夕張メロン生産組合生誕50周年
2011 5月13日 1,000,000 有限会社蔵重商店 4月に就任した鈴木直道夕張市長が競り見学
小売業3団体に無償提供
2012 5月17日 1,000,000 有限会社蔵重商店 昨年に引き続き鈴木直道夕張市長が競りに立会い
東川町の農業生産法人Tokoファームの依頼による落札
2013 5月24日 1,600,000 有限会社蔵重商店 3年連続で鈴木直道夕張市長が競りに立会い
食育の授業で親交のある札幌市立藻岩北小学校にプレゼント

出来事

テンプレート:節stub

  • 80年代前半に夕張メロンの苗木を北海道内の他の土地で生産・収穫されたものを夕張メロンとして販売された経緯があり社会問題となった[1]。そのため、北海道石狩・空知(夕張市周辺を除く)・後志・上川管内で栽培された夕張キングは夕張市からの苦情により出荷地方が独自に定めた名称[2]で販売していた時期があり、その場合はブランド名は出荷地域のブランド名を用いており品種としては「夕張キング」とする事例があった。90年代前半に夕張キングの種及び苗木が夕張市のみの取扱となった事から夕張キングを他の地方で栽培される事はなくなっている。
  • 正規品の夕張メロンの箱(JA夕張の検印はない)が入手できるためか、製品シールの偽装工作も発生し、異なるメロン(同系品種のメロン(ほべつメロンなど)に貼り付けて販売された事件も発生している。

脚注

  1. 但し「品種」として夕張キングを使用している事から出荷時の名称として夕張メロンの表示を行っていただけであり、ブランド名としての扱いではなかった点に注目
  2. 「○○(地域名)メロン」等のブランド名が別途設けられており、北空知地方では「北斗メロン」、後志地方では「らいでんメロン」等の地域ブランド名での流通であった事に注目

関連項目

外部リンク

テンプレート:Fruits-stub