土佐くろしお鉄道

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テンプレート:Infobox 土佐くろしお鉄道株式会社(とさくろしおてつどう、Tosa Kuroshio Railway Co., Ltd.)は高知県で鉄道事業を行っている第三セクター方式の鉄道事業者である。本社は高知県四万十市中村駅に、登記上の本店は高知市の高知県庁に構える。

概要

高知県と沿線自治体で株式の9割以上を保有する自治体主導の第三セクター鉄道会社である。国鉄再建法の施行により工事が凍結された日本鉄道建設公団建設線の宿毛線及び阿佐西線(阿佐線(ごめん・なはり線)として開業)を引き受けるために設立されたが、後に第3次特定地方交通線に指定されることが確実となった中村線も引き受けることとなった。

2002年に開業した阿佐線では各駅に高知出身の漫画家やなせたかしデザインのイメージキャラクタを設定したりオープンデッキの車両を投入するなどの営業施策をとっている。公式サイトは日本語・英語に加えて、日本のウェブサイトでは珍しいフランス語のページも用意されている。

また1998年の追突事故や2005年の宿毛駅舎衝突事故などの重大事故を何度か起こしていることから安全意識に対する姿勢を問う声もある。このため、2005年6月には安全対策を推進すべく近畿日本鉄道のOBを社長に迎えたが、事故や災害の影響もあって、経営面では資金繰りが悪化しており、上下分離方式の導入なども検討されている。

なお2005年度の経営状況については、徹底したコスト削減やごめん・なはり線が好調なこともあって、収支が改善している。

役員

沿革

  • 1986年(昭和61年)
    • 5月8日:土佐くろしお鉄道株式会社設立。
    • 11月22日:中村線引き受け決定。
  • 1987年(昭和62年)2月5日:宿毛 - 中村間免許。
  • 1988年(昭和63年)
    • 1月28日:後免 - 奈半利間免許。
    • 4月1日:中村線窪川 - 中村間開業。
  • 1997年(平成9年)10月1日:宿毛線宿毛 - 中村間開業。
  • 1998年(平成10年)6月11日:中村線で立ち往生した列車に救援列車が追突する事故が発生。運輸省(現国土交通省)より警告書を出される。以後6月11日を事故防止の日に定め、毎年訓練を実施。
  • 2002年(平成14年)7月1日:阿佐線(ごめん・なはり線)後免 - 奈半利間開業。
  • 2003年(平成15年)12月8日:中村線荷稲駅 - 伊与喜駅間が土砂崩壊により不通に。
  • 2004年(平成16年)1月10日:中村線荷稲駅 - 伊与喜駅間運転再開。
  • 2005年(平成17年)
    • 3月2日:宿毛駅構内で特急列車が衝突事故。宿毛線宿毛 - 中村間が不通に。
    • 4月7日:宿毛線東宿毛 - 中村間営業運転再開(普通列車のみ。特急列車は6月13日から)。
    • 11月1日:宿毛駅営業再開。宿毛線全線営業運転再開。
  • 2006年(平成18年)3月1日:全駅で駅番号表示を開始。
  • 2010年(平成22年)3月20日中村駅リノベーション工事完成(9月29日にグッドデザイン賞特別賞・中小企業庁長官賞、10月1日に国土交通省 日本鉄道賞 特別表彰 地方鉄道駅舎リノベーション賞を受賞)。

路線

下段は駅ナンバリングの頭文字

  • 中村線 : 窪川 - 中村(43.0km・第一種鉄道事業
  • 宿毛線 : 宿毛 - 中村(23.6km・第一種鉄道事業)
    上記2路線とも「土佐くろしお鉄道」(Tosa Kuroshio)からTK
  • 阿佐線(ごめん・なはり線) : 後免 - 奈半利(42.7km・第一種鉄道事業)
    愛称名の「ごめん・なはり線」からGN

車両

普通列車用車両は全てトイレつきである。海岸沿いの区間が多いことからステンレス車両を使用している。ステンレス車両は高価なため、他の第三セクター鉄道ではあまり使用例がない。

中村線・宿毛線用

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2000系(2030, 2130, 2230, 2231)
1990年に四国旅客鉄道(JR四国)2000系が登場し、相互直通運転が開始されたのに伴い、車両使用料の調整のためにJR保有車とほぼ同一仕様で新製した車両である。JR四国車との差異は、車番の十位が3であることと、2030の運転台側に電気連結器が残存(JR保有車からは撤去)していることである。
運用管理全般をJR四国に委託しており、高知運転所に所属している。2000年にJR四国が土讃線に設定した「アンパンマン列車(ブルー)」が好評を博したため、翌2001年に土佐くろしお鉄道保有車4両にもラッピングを施し、「アンパンマン列車(ピンク)」とした。当初はJR四国車と共通で1両単位の運用を組んでいたが、「アンパンマン列車」となった後は全4両で1編成を組んだ編成単位の運用を行うようになった。なお、土讃線の「アンパンマン列車」は2009年9月頃にリニューアルされ、JR四国車が「グリーン」、土佐くろしお鉄道保有車が「オレンジ」になっている。
かつては全車の側窓下に土佐くろしお鉄道のロゴマークのステッカーが、先頭車側面(トイレ部分)に高知県の鳥であるヤイロチョウのイラストタッチのステッカー(国民休暇県高知)が貼られていた。現在は「アンパンマン列車」のラッピングが施されているため、見ることができない。
TKT8000形(TKT8001 - TKT8005, TKT8011, TKT8012, TKT8021)
1988年の中村線転換開業時に登場した気動車である。1997年にTKT8011, TKT8012が、1999年にTKT8021が増備された。車体は両運転台式の17m級で(中央部に3枚の大型窓)、前頭部がFRP製である他は軽量ステンレス製である。なお、当形式は国鉄転換第三セクター鉄道初のステンレス製であり、この仕様は阿佐海岸鉄道ASA-101形・ASA-201形に引き継がれている。エンジンはTKT8001 - 8005は250PSの6H13ASを、TKT8011, TKT8012, TKT8021は330psのDMF13HZを共に1基搭載する。
全車が一般仕様で、座席は転換クロスシートとロングシートを組み合わせたセミクロスシート(TKT8021はお座敷改造対応のオールロングシート)である。1両ごとに愛称が付いており、TKT8001=トンボ、TKT8002=椿、TKT8003=くろしお、TKT8004=さんご、TKT8005=四万十、TKT8011=さくら、TKT8012=ジョン万(土佐国中浜村(現・土佐清水市)出身で幕末に通訳、教育者として活躍したジョン万次郎こと中浜万次郎がアメリカ人につけられたニックネームにちなむ)、TKT8021=ヤイロチョウとなっている。定員はTKT8001 - TKT8005が105人(座席45人、立席60人)、TKT8011, TKT8012が108人(座席45人、立席63人)、TKT8021が115人(座席45人、立席70人)。
TKT8021は日本宝くじ協会宝くじ号で、2006年にやなせたかしのデザインによるラッピングが施され、元の愛称ヤイロチョウに加えて(中村・宿毛線)「だるま夕日」号の名称がつけられている。


阿佐線用

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9640形(9640-1S, 9640-2S, 9640-3 - 9640-11)
2002年の阿佐線開業時に登場した気動車である。2003年に9640-11が増備された。形式番号の「9640」は、「くろしお」に引っかけたもの。車体は両運転台式の21m級で、前頭部が普通鋼製である他は軽量ステンレス製となっている。エンジンは450ps/2100rpmのコマツ製SA6D140H-1形直噴式ディーゼル機関を1基搭載しており、最高速度は110km/hとなっている。JR四国1000形気動車との併結も可能である。
1S、2Sの2両は特別仕様車として前頭部が流線型になり、海側には眺望に配慮してオープンデッキ式の通路が設けられている。また、前頭部にはクジラを模したペインティングがされ、1Sは青系で側面にはやなせたかしのデザインしたキャラクターが、2Sは緑系で海側には魚の、山側には農産物のイラストが描かれている。2Sは日本宝くじ協会寄贈の宝くじ号である。定員は107人(座席30人、立席77人)。
3 - 11は一般仕様で、座席は転換クロスシートとロングシートを組み合わせたセミクロスシート(11はオールロングシート)である。定員は132人(座席52人、立席80人)。転換シートは背もたれが非常に高いのが特徴で、座ると落ち着いた雰囲気を味わえるものの、前の席の高い背もたれもあって車内の見通しはほとんど効かない。
11は2Sと同じく宝くじ号で、「手のひらを太陽に」号(略称:太陽号)という名称が付けられている。
本車両の一般仕様車両のみJR土讃線の普通列車として高知 - 土佐山田間の運行にも使用されている。

運賃・料金

大人普通旅客運賃(小児半額・10円未満切り上げ)。2014年4月1日改定[1]

中村線・宿毛線
キロ程 運賃(円)
初乗り3km 170
4 - 6 210
7 - 9 250
10 - 12 330
13 - 15 400
16 - 18 470
19 - 21 540
22 - 24 620
25 - 27 700
28 - 30 770
31 - 35 870
36 - 40 980
41 - 45 1,090
46 - 51 1,200
52 - 57 1,330
58 - 63 1,460
64 - 67 1,600
阿佐線(ごめん・なはり線)
キロ程 運賃(円)
初乗り6km 250
7 - 12 400
13 - 19 550
20 - 27 710
28 - 35 910
36 - 43 1,070

阿佐線内で、隣り合う駅までの運賃は、上の表にかかわらず210円である。

大人特急料金(小児半額・10円未満切り上げ)。2014年4月1日改定[1]。特急列車の普通車を利用の場合は乗車券・特急券が必要。

中村線・宿毛線のみ
キロ程 指定席(円) 自由席(円)
初乗り25km 520 310
26 - 50 620 410
51 - 67 830 620

大人グリーン料金(小児同額)。2014年4月1日改定[1]。特急列車のグリーン車を利用の場合は乗車券・指定席特急券(この場合の料金は自由席特急券と同額)・グリーン券が必要。

中村線・宿毛線のみ
全線均一820円。小児同額。

特記事項

  • 窪川駅・後免駅を除く土佐くろしお鉄道内の駅の窓口(みどりの窓口を含む)では、乗車券や特急券の購入の際にクレジットカードの利用ができない。
  • 精神障害者保健福祉手帳の提示により運賃が割引になる。

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ テンプレート:Reflist

関連項目

外部リンク

テンプレート:Sister

  • 1.0 1.1 1.2 テンプレート:PDFlink - 土佐くろしお鉄道、2014年1月23日(2014年4月9日閲覧)