名誉

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名詞としての「名誉」

名誉(めいよ、Honour)とは、自身の業績、功績、態度、姿、振る舞い、あり方、生き方を讃えられ、それをすぐれている、価値があると自他共に認め、それを自らの尊厳、誇りと見なすこと。「何かを名誉に思うこと」を誇りという。また、社会的地位が高く名声があることも名誉と考えられ、こうした名誉を望む欲求を名誉欲という。

中世では特権階級が存在し、特権を与えられるその理由・根拠の一つとして名誉が尊ばれた。それゆえに、個人や家系、所属集団の名誉を守ることが重要視され、それが傷つけらた場合には決闘や戦争に発展することすらあった。例えば、とりわけ名誉(体面)を重んじたことで知られる日本の武家社会では、切腹仇討ちという風習を生み出した。

形容詞としての「名誉」

優れた業績を成したり、大いなる貢献をした人物を讃えて、大学や学会などの特別な地位(栄誉職名誉職)や称号を贈る場合に冠される言葉。 以下のような例がある。

名誉会長や名誉教授は会長、教授として顕著な実績を残した者に送られる場合が主であるが、将棋界名誉名人は名人になっていないが名人級の功績のある者に与えられる。名誉市民などはその地域に貢献した場合や、地域出身の成果を残した人物に付与され、本籍住民票が現在無くても与えられることが多い。名誉白人は以上のものとはやや性格が異なるが、人種差別が公式に存在する国家で「国家・地域に貢献した白人でない人物・人種に付与」されるものである。

必ずしも全てがそうとはいえないが、名誉を冠する地位はそれが無い地位に比べ一般的に会費納付などの義務や議決権行使などの権利を有しない場合が多い。

法的な名誉 名誉権と名誉毀損

法律上において名誉とは人権のひとつと考えられる。個人や法人のプライバシーの侵害行為や誹謗中傷などにより社会的評価が下がり、信用の低下或いは喪失に伴う失職、職業上、或いは生活上の不利を蒙ることを名誉毀損といい、損害賠償の対象や犯罪としての構成要件となる(名誉毀損罪参照)。このような不当行為から名誉を守り、または回復する権利を名誉権という。

名誉にまつわる言葉

  • 地位と名誉:社会的に高い地位と名声・名望があること。
  • 名誉ある撤退:大義ある撤退のこと。
  • 名誉なこと:表彰される場合に、答礼として述べる。「光栄なこと」と同義。

文献情報

  • 「名誉の政治学-バークの政党論を手がかりに」苅谷千尋(政策科学14(1)立命大学)[1][2][3]
  • 「欧州共同体の国際交通権及び名誉権」川崎晴朗(外務省調査月報2007.No.4)[4]
  • 「名誉の社会学 -現代における名誉の可能性-」大野道邦(奈良女子大学社会学論集2005.3.1)[5][6]

関連項目