労働法

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テンプレート:Labor 労働法(ろうどうほう、:Arbeitsrecht、:droit du travail、:Labor Law)とは、労働関係および労働者の地位の保護・向上を規整するの総称。

概要

近代以降の資本主義社会の発達において、労働を売ることのみを生活の手段とする労働者は、低賃金や過長な労働時間等、劣悪な労働条件の下での労働を強いられ、使用者に対し経済的・社会的に弱者の地位に置かれた。自由平等を原則とする近代市民法によっては、こうした労働者の保護が十分にできなかったため、労働者の生存を保障するための市民法原理の修正として、社会権思想に基づいた労働法が生まれた。最初の労働者保護立法は、イギリスで1802年に制定された工場法である。その後、第一次世界大戦後のワイマール・ドイツにおいて、労働法は独自の法分野として確立した。[1]

日本

日本において「労働法」は、法律の名称ではなく、労働事件最高裁判所裁判例等における法律判断を含めた法体系を指す、主として講学上の用語である。

日本で「労働法」という語が用いられるようになったのは早い。1920年には既に東京帝国大学末弘厳太郎による「労働法制」という講義が行われていた。1924年に「労働法」という名称での講義を日本で初めて行ったのは、東京商科大学(現・一橋大学)の孫田秀春であり、労働事務次官を務めた富樫総一なども孫田のゼミナールで学んだ。しかし、労働法は労働運動に関するものであると当局に危険視されたことや、履修した学生が警戒され企業から採用されなくなったことから、この東京商科大学の労働法講義は名称を変更させられることになった。

日本では、1911年に工場法が制定されたが、内容的には低水準のものであった。日本の労働法の本格的な形成は、第二次世界大戦後に始まり、1945年に(旧)労働組合法、次いで1946年には労働関係調整法、そして1947年に労働基準法・職業安定法・失業保険法が制定され、独自の法分野として確立されるに至った。[1]その後は、主として裁判所の判例法理等を取り込んで、労働法の体系を整備していった[2](例えば、解雇権濫用法理など)。

労働関係の代表的な法律として、労働基準法労働組合法労働関係調整法があり、これらを労働三法と呼ぶ。また、増加する個別労働紛争への法律による対応として、2008年3月1日に労働契約法が施行された。

日本の労働に関する主要な法律

その他の法律については、労働に関する法令の一覧を参照。

スペイン

スペインの労働法は、労働者保護を重視するものとなっている。労働者の解雇は容易に行うことができず、解雇されても失業保険が整備されている。こうした環境が、外国企業の投資敬遠、外国人労働者の流入といった事態を招いている、という指摘がある[3]

中華人民共和国

中国では、長い間企業は国営企業であったため、労使関係は行政府の命令で調整されており、労働法は存在しなかった。その後、1979年の市場開放を機に市場経済が浸透していくに従い、以下のとおり労働法が整備されていった[4]

労働契約法制定の背景には、20世紀末から外国からの投資が盛んとなり生産能力が増加、「世界の工場」と呼ばれるようになった一方で、試用期間や違約金の濫用により労使間の対立が激しくなったことがある[4]

インドネシア

インドネシアの労働法は、労働者の解雇にかかるコストが非常に高い。解雇に関して支払う費用は、そのまま雇い続けるよりも高くなると言う。このことは、外国からの資本投入の際にネックとなっている、という指摘がある[5]

国際労働機関

国際労働機関(ILO)は、強制労働児童労働の廃絶、婦人労働者の待遇の向上にとどまらず、移民船員家庭内労働者も含めたすべての労働者の労働条件、雇用機会における差別の根絶と生活水準向上のために、1919年の組織発足以降180を超える国際労働条約を採択している。同時に補完的に採択されている勧告とともに国際労働基準を構成している。

脚注

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関連項目

外部リンク

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  1. 1.0 1.1 『労働法 第4版』朝倉むつ子・島田陽一・盛誠吾 著、有斐閣、2011年
  2. ダニエル・H・フット『裁判と社会―司法の「常識」再考』溜箭将之訳 NTT出版 2006年10月
  3. 「スペイン:不動産バブルの崩壊と排他主義」『日経ビジネスオンライン』日経BP社、2008年4月3日付配信
  4. 4.0 4.1 「中国における労働契約法の制定とその課題」『Business labor Trend』独立行政法人 労働政策研究・研修機構、2008年2月号
  5. 「インドネシア、急成長への助走 政情安定で成長政策を強化、だが国内外に課題多し」『日経ビジネスオンライン』日経BP社、2007年11月14日付配信