国際労働機関

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ノーベル賞受賞者 ノーベル賞
受賞年:1969年
受賞部門:ノーベル平和賞
受賞理由:

国際労働機関(こくさいろうどうきかん、テンプレート:Lang-en、略称:ILO)は、1919年に創設された世界の労働者労働条件生活水準の改善を目的とする国連最初の専門機関。本部はジュネーヴ

概要

加盟国は185ヶ国(2012年6月現在)。 日本は常任理事国であるが、労働者保護に関わる重要な条約(1号条約(一日8時間・週48時間制)、47号(週40時間制)、132号(年次有給休暇)、140号(有給教育休暇)など)が未批准である。

沿革

  • 1919年 - 第一次世界大戦後、当時の社会活動家による国際的な労働者保護を訴える運動、貿易競争の公平性の維持、各国の労働組合の運動、ロシア革命の影響で労働問題が大きな政治問題となっていたため、国際的に協調して労働者の権利を保護するべきと考えられた。パリ講和会議において国際連盟の姉妹機関としての国際労働機関の設立が合意され、ヴェルサイユ条約第13編労働などの各講和条約には規約が記載された。そのILO憲章の前文では『普遍的で持続的な平和は社会正義によってのみもたらされる』と明記された。[1]当初の参加国は43ヶ国[2]
(a) 労働は、商品ではない。
(b) 表現及び結社の自由は、不断の進歩のために欠くことができない。
(c) 一部の貧困は、全体の繁栄にとって危険である。
(d) 欠乏に対する戦は、各国内における不屈の勇気をもって、且つ、労働者及び使用者の代表者が、政府の代表者と同等の地位において、一般の福祉を増進するために自由な討議及び民主的な決定にともに参加する継続的且つ協調的な国際的努力によって、遂行することを要する。
  • 1946年 - 国際連合と協定を結び、国連の目的達成の一翼を担う、最初の専門機関となる。ILO憲章を改正し、フィラデルフィア宣言をその付随文書として取り込む。
  • 1977年 - アメリカ合衆国は、社会主義国への批判とイスラエルへの支援の目的で脱退したが、1980年に復帰した[3]
  • 1999年 - 総会において21世紀のILOの目標として「すべての人へのディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の実現」を掲げた。

組織

ILOの組織は、総会・理事会・国際労働事務局等の本部組織の他に40以上の国に地域総局と現地事務所を設けている。また、ILOは社会対話の推進から国連機関のなかで唯一[4]、加盟国が政府労働者使用者の三者構成で代表を送っている。

総会

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第1回ILO総会(1919年、ワシントンD.C.)

総会はILOの最高意思決定機関である。通常は毎年1回、6月に開催され、国際労働条約・勧告の審議・採択、各国の実施状況の審査、加盟国の承認などを討議する。加盟国の代表は政府代表2名、労働者代表1名、使用者代表1名の計4名からなる三者構成を採っている。政労使の各代表はそれぞれ独立して発言や投票を行い、各加盟国を一つの単位とはしない。

この他に、約10年に一度、船員労働のみを審議する「海事総会」がある。

理事会

理事会はILOの執行機関である。総会の決定事項の執行やILO事務局の監督を行う。理事は政府理事28名、労働者理事14名、使用者理事14名の計56名で構成される。このうち政府理事10名は常任理事国(アメリカイギリス日本ロシアイタリアドイツフランスインド中国ブラジル)から任命される。

国際労働事務局

国際労働事務局はILOの日常業務を遂行する機関である。事務局には理事会が任命する事務局長の下に2000名を超える職員がおり、諸会議の報告書作成や労働・生活条件の国際的な資料収集と分析等を行っている。

国際労働条約

ILOには、189の条約と201の勧告がある(2011年6月現在)。[5]

設立以来、具体的な国際労働基準の制定を進めてきており、近年では、男女の雇用均等同一労働同一賃金の徹底、強制労働児童労働の撲滅、移民労働者や家庭内労働者の権利にも力を注いでいる。ILO総会で採択される条約を国際労働条約という。それを批准した国だけしか拘束しない。しかし、採択時に反対した加盟国も、条約を自国で批准権限を持つ機関(日本では国会)に提出しなければならない。

日本は、48の条約を批准しているが、これは全条約のうち約4分の1、ヨーロッパ諸国のおよそ半分またはそれ以下である。(例、ドイツ83、イギリス86、スウェーデン92、フィンランド98、オランダ106、ノルウェー107、フランス123、スペイン133)

開発途上国への技術研修などの役割も果たしており、そのために国際研修センター(トリノに設置)を置いている。

日本との関係

日本は設立時から参加しており国際会議には政府・使用者・労働者(松岡駒吉他)のそれぞれ代表を送っている。1938年に脱退し、サンフランシスコ講和条約調印の1951年にILOへの復帰を果たした。

1922年以来、脱退・再加盟を経て1954年から常任理事国を務めている。1975年からは政府、労働者、使用者の三者すべてが常任理事となっており、理事会における議席を占めているものの国内では、派遣業界がILO勧告を守らないなどといった例も数多く見られる。これに対し拠出金や人的協力においては非常に協力的でありILO側からも高く評価されている。

日本の主な未批准条約

ILOが採択した184条約(失効5条約を除く)のうち、日本が批准しているのは48条約で、わずか四分の一に過ぎない。以下は日本の主な未批准条約;

1号条約(一日8時間・週48時間制)、47号(週40時間制)、132号(年次有給休暇)、140号(有給教育休暇)などの労働時間・休暇関係の条約。

1998年のILO新宣言(「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」)で「最優先条約」とされた8条約のうち、105号(強制労働の廃止)111号(雇用及び職業における差別待遇禁止)の二条約。

その他、94号(公契約における労働条項)、97号(移民労働者)、103号(母性保護)、148号(作業環境)、151号(公務労働者)、 155号(労働安全衛生)、157号(社会保障の権利維持)、158号(使用者の発意による雇用の終了)、171号(夜業)、173号(労働者債権の保護)、175号(パートタイム労働)、177号(在宅形態の労働)、183号(母性保護)など。

日本では特に、労働時間関連[6]、雇用形態についての条約批准に消極的である傾向がうかがえる。連合全労連など、日本の労働団体はこれら未批准の条約の早期批准を求めている[7][8]

いずれかの国が人道的な労働条件を採用しないことは、自国における労働条件の改善を希望する他の国の障害となる」とILO憲章に書かれているとおり、日本も国際労働機関から早期批准を求められている。

参考文献

関連項目

脚注

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外部リンク

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テンプレート:ノーベル平和賞受賞者 (1951年-1975年)
  1. Constitution of the International Labour Organisation, Preamble
  2. 日本ILO協会『ILOのあらまし : 活動と組織・主な条約と勧告』pp.2-6
  3. 中山和久 『ILO条約と日本』28ページ
  4. ILO駐日事務所 ILOについて
  5. 国際労働条約の一覧
  6. 18本の労働時間休暇関係の条約を1本も批准していない。
  7. テンプレート:Cite web
  8. テンプレート:Cite web