ヤマハ・メイト

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テンプレート:出典の明記 メイトMate)は、かつてヤマハ発動機(ヤマハ)が製造販売していたビジネス用オートバイである。シリーズ車種として排気量やエンジン別に数車種のバリエーションが展開された。

概要

メイト製造以前からホンダスーパーカブ同様のアンダーボーンフレーム車を製造していたが、1965年に発売されたモデルの車名がMate U5D[1]となって以降、同社ビジネス車はすべてメイトシリーズとして展開された。

車体各部はライバル車種とほぼ同様の構造・方式であるが、エンジンは空冷2ストロークエンジンを搭載するため、パワー過渡特性が良く、山間丘陵部や田舎の登坂や広範囲配達での法人用途に支持を受けた。反面、2ストエンジンであるために、低速、低回転での走行が多い用途ではマフラーがすぐ詰まり出口側がオイルカスで汚れる、そのオイルカスや排気オイルで車体や服が汚れる、周辺の空気がオイルくさくなったり白煙で汚れる、スーパーカブにメンテフリー性や廃車までの積算距離で劣る、などの理由から主に平地都市部の全用途や、農村部の個人用途では、他メーカー車に乗るユーザー層も少なくなかった。

長期に渡りスーパーカブやスズキ・バーディーのライバル、市場ナンバー2的存在であったが、昨今の郵政仕様や銀行向けなどのビジネス用マニュアルトランスミッションオートバイの需要の喪失や減少(スクーターに比較してのギアチェンジの煩雑さや、ロッカーアーム式サスペンションの性能の低さ、チューブ式タイヤのパンクしやすさ、フレームが細く高重心で前かごもフォークマウントであるため重量物を積むと動揺して走行が不安定になる、などから。ヤマハ・ギアの前かごはフレームマウント)、政府による自動車排出ガス規制強化などの要因により、2ストエンジンの排ガス対策はコスト的に難しいこともあり、2008年9月をもってメイトシリーズ全モデルが生産終了となった。後継はビジネスモデルスクーターギアとなったため(メイト終了以前から2ストモデルがリリースされており、ビジネスおよび一般向けに好評で市場が拡大する一方であったうえに、4ストモデルがリリースされてこれも販売が好調であった。ホンダも新型ベンリィで対抗しているが後発で追いつけていない)、ヤマハは長年続いていた日本国内向けのマニュアル式アンダーボーンフレーム車両の生産はビジネス以外のモデルを含めて全て打ち切った格好となった[2]

なおマニュアル式ビジネスオートバイ淘汰は市場全体の流れであり、スーパーカブはスクーターやベンリィに近い設計として大幅改修を受けた現行モデルとなりつつ110ccモデルをラインナップすることでかつてヤマハの牙城であった山間部や田舎での法人需要および郵政・警察需要を吸収。バーディはチューブレスタイヤ採用など大幅改修してもなお苦戦し現在は50ccモデルのみ販売に縮小されており、主な警察需要はアドレスシリーズである。

V50は2007年の生産終了時に、依然として2ストロークエンジンを求める根強いユーザー層に応えるため大量に在庫をストックさせていた。この在庫方式はRZから続くヤマハの伝統的な手法でもある。

Vメイト系

ファイル:1986 yamaha v50.jpg
1986年式V50メイト</br>ダブルシート付き輸出仕様

2ストロークエンジンを搭載し、同社初の分離潤滑・オートルーブが大きな特徴である。

アンダーボーンフレームはプレス板をモナカ合わせにした側面形状からUボーンフレームと呼ばれ、シリーズ名にUが冠せられた。

1971年にUシリーズはエンジンの吸気方式をロータリーディスクバルブから市販車初のクランクケースリードバルブへ変更し、Vメイトシリーズとなった。近年ではメイトといえば、このVメイトを意味する。基本設計は歴代で共通であるが、1982年式以降が近代型といえる(これはライバルのスーパーカブも同じである。一般的にカブと言えば1981年以降のモデルをさす[3]。ただし、いわゆるタイカブ以降、現行の中国生産モデルは含まない)。

原付二種(小型自動二輪車)クラス用のV70やV90も2ストロークエンジンで発売されるが、後にV80に統合。さらにV80もT80→T90へとモデルチェンジされた。

Tメイト系

ファイル:TownMate.jpg
タウンメイト90

タウンメイト50・80

Vシリーズの上級版として1982年に発売。

Tシリーズはさらなる静寂性・汚れにくさ・燃費向上などを図り、SOHC4ストロークエンジンならびに本クラスでは珍しいシャフトドライブを採用したのが大きな特徴である。

メンテナンスフリーを目的としたが、業務用には依然Vシリーズがラインナップされ、一般用にもVシリーズやスクーターと競合したせいもあってか、部品耐久性つまりメンテフリーとロングライフに圧倒的に優れるカブの市場寡占状態を崩すまでには至らず、当初豊富だったグレード数も徐々に統合・縮小された。

ニュースメイト90・タウンメイト90

1994年に郵政仕様車のT90Tを、新聞配達用に転用したのがニュースメイトT90N。さらに1997年に汎用型としてV80とT80を統合した後継車となるリファインを実施したのがタウンメイト90である。このためタウンメイト90は、エンジンがT50系の流れを、車体が郵政用Vシリーズの流れを汲む。強豪のホンダと違い郵政モデル単体ではラインナップ維持が難しいための苦肉の策でもあった。ゆえに郵政仕様譲りの無骨な業務用途の設計で、他社からは一般販売されない郵政仕様にあこがれる一部マニアからも支持を受けた。また本エンジンをベースにYB-1FourやTT-R90などが生まれた。

いずれもテレスコピック式フロントサスペンションと前後14インチタイヤを採用、駆動方式は一般的なチェーン方式である。

ニュースメイト

メイトの新聞配達仕様。前部大型カゴおよびそこのステーにマウントされるヘッドライトとウインカー・後部大型キャリア、ヘッドライト部分はポジションランプとして前かごで配達する際にヘッドライトを遮らなくて済む設計とするなど、要はホンダのプレスカブに競合するヤマハ版である。V50N・V80N・T90Nなどが存在した。

競合車種

上述2車と本車は、日本の郵便物集配達等を担ってきた郵政省(→郵政公社日本郵政グループ)にも採用された。

外部リンク

テンプレート:Motorcycle-stub テンプレート:ヤマハのオートバイの車種

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ

  1. http://www.nipponstyle.jp/comment/index.php?date=0702
  2. ただし現在も東南アジアでの現地向けモデルの生産は継続しており、一部は国内に逆輸入されている
  3. http://www.m-bike.sakura.ne.jp/?p=12412  排気量やグレードによって異なっていたボディは全車共通の新型となり車名からCが消えた(型式には付く)1981年のフルモデルチェンジ。