メモリー効果

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メモリー効果(メモリーこうか、memory effect、メモリ効果)またはメモリー現象とは、ニッケル・カドミウム蓄電池(ニカド電池)やニッケル・水素蓄電池などの二次電池を継ぎ足し充電したことで、放電中に、一時的な電圧降下を起こす現象である。メモリー効果により早期に機器が必要とする電圧を下回ると容量が減少したように見えるため、『見た目上の容量が減る事』 と説明される事もある。リチウムイオン二次電池では、メモリー効果は無いとされるのが一般的。

継ぎ足し充電

ニッケル・カドミウム蓄電池ニッケル・水素蓄電池のような二次電池における継ぎ足し充電とは、完全に使い切っていない電池を充電することである。

メモリー効果の影響

メモリー効果の名は、継ぎ足し充電を開始した付近で顕著に起電力の低下が起こる(充電を開始した残量を「記憶」する=memory)ことに由来する。

これは単に起電力が低下するだけであり、容量の減少は見かけの現象で、起電力が低下しても放電させ続ければトータルでは容量はさほど減少していない。しかし、単純に高い起電力を要求する機器や、起電力から残量を予想し動作を止める機器、二次電池の 『終了直前まで電圧を維持する特性』 に依存している機器では影響が大きい。一方で、起電力が多少低下しても問題なく、あるいは残量の検出に電圧を用いない(放電量積算方式)機器は、この効果について考慮する必要はない。

リフレッシュ

メモリー効果から回復するには二次電池をリフレッシュすればよい。ここで言うリフレッシュとは、一度電池を最後まで(終止電圧まで)放電してから再び充電すること。

メモリー効果は、リフレッシュにより概ね回復するのだが、簡単なおもちゃや豆電球のように 『保護回路がない=終止電圧を下回ってなお放電が続く機器』 では過放電(深放電)のリスクが高い。過放電してしまうと電池に大きなダメージを与える上、このダメージはメモリー効果と違い回復しない。できるだけリフレッシュ動作に対応した充電器や、保護回路のある放電器を用いてリスクを避ける必要がある。

備考

初期のレーサーミニ四駆ブームの頃は、小学館の学年別学習雑誌でも取り上げられていた為、ミニ四駆少年たちは軽負荷のモーターや豆電球を接続して放電させていた(ただし、この方法では過放電を避けるため、放電終了後直ちに負荷を取り外す必要がある)。のちにフルカウルミニ四駆ブーム到来時にはタミヤから放電器まで発売された。

対策

機器側での対策

近年では低電圧での動作ができる機器が増えてきたことで、ニッケル・カドミウム蓄電池の普及当初ほどメモリー効果の影響は大きくない。デジタルカメラのような高電圧を要求する機器は、専用のリチウムイオンバッテリーパックを提供するようになってきている。

電池の進化

もともとニッケル・水素蓄電池は、ニッケル・カドミウム蓄電池と比較するとメモリー効果は小さかった(それが長所の一つだった)。そして、さらにメモリー効果の影響を小さくした新型ニッケル・水素蓄電池として旧三洋電機の開発したeneloopが2005年11月に発売となった。(eneloop は現在Panasonic から販売されるが、同社の充電式EVOLTA をはじめとして、各社の新型(自己放電抑制型)ニッケル・水素蓄電池のほとんどは、基本的に従来型のニッケル・水素蓄電池相応のメモリー効果回避性能である。eneloop が当初から 『従来型のニッケル水素電池よりも電圧を引き上げ、メモリー効果を回避した』 という技術的背景を明示しているのに対し、充電式EVOLTA は 『ニッケル・カドミウム蓄電池よりメモリー効果に強い』 となっている)

メモリー効果が生じない電池

リチウムイオン二次電池
リチウムイオン二次電池携帯電話ビデオカメラなど高電圧が必要な機器に用いられている。(メモリー効果はほぼ無いが、不必要に頻繁な充放電は単純に寿命を消化するので注意)
鉛蓄電池
鉛蓄電池では全くメモリー効果が生じないうえに充放電サイクルによる寿命への影響が小さい。しかし、過放電(バッテリー上がり)による劣化が著しい事もあり、劣化を避けるにはこまめに満充電状態にすること。

関連項目