ポルシェ・911

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テンプレート:Otheruseslist テンプレート:要概要 ポルシェ911(ポルシェきゅういちいち、英語:Nine Eleven 、ドイツ語:Neunelfer )はポルシェ1964年から製造・販売しているスポーツカーである。ポルシェ・356の後継車種で、世界のスポーツカー・スーパーカーの中でも数少ない、RRの駆動方式を基本としている車である。

タイプ7

1956年にスタートした356の後継車プロジェクトはフェルディナント・アレクサンダー・ポルシェを中心に勧められた。356は設計当初2座席であり2年生産された後に補助座席として後部2座席が付け足され室内が狭かったことから、室内スペースを広く取るためホイールベースを延長し2+2シートを確保するという骨格のもとで進められ、試作車が3 - 4台製作された。プロジェクトはエルヴィン・コメンダErwin Komenda )に引き継がれ、一時は大型4人乗りモデルも検討されたが、最終的に2+2のコンパクトクーペに落ち着いた。

テンプレート:Infobox 自動車のスペック表

初代 901型(1964年 - 1974年)

Oシリーズ

1963年356の後継車としてフランクフルトモーターショープロトタイプがデビューし、1964年から本格生産に入った。当初は開発コードそのままに「901」と名乗っていたが、プジョーが真ん中に0の入った3桁数字をすべて商標登録していたため「911」と改めた[1]。初代生産型は開発コードの901からそのまま901型と称され、部品番号の冒頭にも901が入っている(同様の理由でポルシェ・904はポルシェカレラGTSに改名されている)。通称「ナロー」。日本にはミツワ自動車により1965年より輸入されている。技術担当重役はF.トマラ、エンジン開発主任はフェルディナント・ピエヒ、スタイリングはフェルディナント・アレクサンダー・ポルシェが担当した。

エンジンは新たに開発された空冷水平対向6気筒でボアφ80mm×ストローク66mm。低騒音と高出力を兼ね備えており将来性があるとの観点から、従来のプッシュロッド式に換えてSOHCが採用された。排気量は大きなマージンを取りかつ手の届きやすい価格にするため排気量1,991ccになったものの、後の市場の要求次第で2.7Lくらいまで拡大できるようになっていた。総アルミニウム合金製のクランクケース、チェーン駆動[2]されるカムシャフトドライサンプ[3]、鉄をアルミフィンで包んだバイラル構造シリンダー[4]、軸流式冷却ファン[5]などが特徴点として挙げられる。キャブレターソレックストリプルチョーク40PIオーバーフロー型をツインキャブで採用していた。クラッチはフィヒテル&ザックス(Fichtel & Sachs 、現ZF)が生産した砂型アルミニウム鋳物製で軸間距離は68mm、φ215mm単板ダイアフラム式。

全長は4163mm。全幅は1,610mm。ホイールベースは2,211mm。トレッドは前1,337mm、後1,317mm。リムは前後とも4.5J15in。タイヤは前後とも165HR15。ブレーキは1系統でパッド面積前52.5cm2、後40cm2。オルタネーターは490W。

暖房はヒートエクスチェンジャーに加え、補助的にメインタンクのガソリンを利用し電気的に点火するエーバーシュペッヘル製ヒーターを標準採用した。

1967年フランクフルトモーターショータルガモデルが発表された。

  • 911 - エンジンは圧縮比9.0で130PS(96kW、128hp)/6,100rpm、17.8kgm/4,200rpmの901/01型が搭載されていた。プロトタイプは高度な職人が個々に作っていたので問題が起こらなかったが、大量生産を始めるとフロントキャンバー4'、リアキャンバー1°6'、フロントトーイン15 - 20'、リアトーイン0 - -2'、キャスター7°45'[6]という厳しいサスペンション調整に関する公差を守れず、初期の製品は非常にハンドリングが神経質となったため、11kgの鋳鉄製錘2つが「バンパー補強材」の名目でフロントバンパー両側に取り付けられた。初期型に搭載されていたソレックス製キャブレターでは2,500 - 3,000rpmの領域でパワーが出ず、ソレックスの工場に職員が派遣されたが効果は上がらず、1966年2月から元々ランチア・フラミニアV6用に開発されたウェーバー401IDA3C/40IDA3C1に変更され、これによりエンジン形式名が901/05型エンジンとなった。911Sに先行して採用されていた新型のヒートエクスチェンジャーが1966年11月に採用され暖房の効きが改善されると同時にバルブオーバーラップを小さくした901/06型エンジンとなった。
  • 911S1966年7月25日発表、1967年発売) - Sはスポーツを意味する。軽合金鍛造ピストン採用、バルブ大径化とオーバーラップ引き上げ、ポート大径化、圧縮比9.8で160PS(118kW、158hp)/6,600rpm、18.2kgm/5,200rpmの901/02型エンジンを搭載し、リアトレッドを拡大されたモデル。トランスミッションは5速のみ高くし911用を流用している。新型のヒートエクスチェンジャーが使用され、暖房の効きが改善された。ブレーキは通風式となった。

Aシリーズ

1967年8月から1968年7月まで生産された。リムが5.5J15に変更された。セミオートマチックトランスミッションであるスポルトマチック905型[7]のオプション設定がされた。スポルトマチック搭載車はエンジン形式が別になっているが、装着に必要なアタッチメントラグを持つ以外の差はない。ブレーキが2系統に増えた。エーバーシュペッヘル製ヒーターはオプションになった。

  • 911L1968年発売) - それまでの911を改称し、Oシリーズの911Sに続いてブレーキが通風式になった。引き続き901/06型エンジン、スポルトマチック車は901/07型エンジン。アメリカ仕様[8]901/14、アメリカ仕様スポルトマチック車901/17。
  • 911T1968年発売) - Tはツーリングを意味する。圧縮比8.6で110PS/5,800rpm、16.0kgm/4,200rpmにデチューンされた901/03型エンジンを搭載しポルシェ・912の後継として発売された廉価版。鋳鉄にクロムメッキを施した旧式のクローマルシリンダー、ピストンはアルミダイキャスト、クランクシャフトは一般の911の鍛造から鋳造に変更されるとともにカウンターウェイトを省略されるなど各所でコストダウンされているが、これらのコストダウンはレース車輛への改造を念頭に、すなわちレース車輛でさらに高価なパーツに交換しなければならない、もしくは改造されることが多い箇所に限定されており、レースでもそのまま使用するシリンダーヘッドや吸排気バルブやキャブレターは、低出力エンジンであるにもかかわらず全く911Sと同一である。1968年セミオートマチックトランスミッションであるスポルトマチックの設定がされ、スポルトマチック車は901/13型エンジン、ブレーキが通風式となった。
  • 911S - エンジンはOシリーズと同一。スポルトマチック車は901/08型エンジン。
  • 911R1967年限定発売) - レース、ラリー用特殊モデル。デュアルイグニッション、特殊軽合金製シリンダーの採用、圧縮比10.3、バルブのタイミング変更と大型化、ウェーバー46IDAキャブレター採用等ポルシェ・906とほぼ同等のチューニングを受け210PS/8,000rpm、21kgm/6,000rpmを発生する901/22型[9]エンジンを搭載した。ボディーはフロントフェンダー、前後リッド、バンパーがグラスファイバーに置換、窓がアクリルに置換、内装簡素化など非常に軽量化され800kg。先行試作3台と量産20台、計23台が生産された。量産型は製造をカール・バウアが担当し、窓が薄く軽量化されているなど細部が異なる。また量産型のうち数台はワークスに残ってレースに参戦した。1967年ムジェロで行なわれた330マイルレースで3位入賞、スポルトマチック搭載車がマラトン・ド・ラ・ルートで総合優勝、1968年ムジェロで行なわれた330マイルレースで3位入賞、1969年ツール・ド・フランスで総合優勝、DOHCの916型エンジン搭載車がコルシカラリーで優勝。1967年モンツァ・サーキットで本来出場予定だった906の代役でスピード世界記録に挑戦、この際持ち込まれたエンジンが挑戦開始直前に100時間耐久ベンチテストを済ませ点検のために降ろされていたエンジンで、本来記録挑戦に使えるようなものではなかったが手違いで持ち込まれたことが判明し時間がなかったためそのまま使用され、トヨタ・2000GTが持っていた記録を大幅に更新、連続走行15,000km、10,000マイル、20,000km、72時間、90時間の世界新記録と14の2,000ccクラス国際新記録を達成した。
スピード・トライアル記録
種目 平均最高速度
3時間 226.69km/h
6時間 225.26km/h
12時間 214.56km/h
24時間 212.31km/h
48時間 210.14km/h
72時間 209.95km/h
96時間 209.23km/h
1,000マイル 225.63km/h
2,000マイル 211.54km/h
5,000マイル 212.24km/h
10,000マイル 210.29km/h
1,000km 226.25km/h
2,000km 217.00km/h
5,000km 212.25km/h
10,000km 210.22km/h
15,000km 210.02km/h

Bシリーズ

1968年8月から1969年7月まで生産された。ホイールベースが2,271mmに延長されるなどで操縦性が大幅に改善され、ポール・フレールは「ポルシェの中古車を買おうとしている人々に、それ以前の車は考えない方がいいとわたしは助言してきた」と書いている。185/70VR15タイヤと6J15inホイールを納めるためにホイールアーチがつくようになり、これ以降「ナロー」との俗称を使わない人もいる。911E911Sの燃料供給がボッシュ製6プランジャーメカニカルインジェクションに変更され出力が向上するとともに燃費が改善され、また点火が容量放電となって渋滞時のプラグ汚損が軽減された。リアウィンドーに熱線が入り、オルタネーターが770Wに大容量化されている。エアコンがオプション設定された。

  • 911T - クランクケースがマグネシウム圧力鋳造に変更されることで10kg軽量化された。ブレーキのパッド面積は前52.5cm2、後52.5cm2
  • 911E1969年発売) - 911Lからの改名。圧縮比9.1で140PS/6,600rpm、17.8kgm/4,500rpmの901/09型エンジン、スポルトマチック901/11型エンジン。
  • 911S - 170PS/6,800rpm、18.5kgm/5,500rpmの901/10型エンジン。オイルクーラーが新設された。ブレーキはアルミニウム製となりパッド面積は前78cm2、後52.5cm2、ライニング13mm厚。

Cシリーズ

1969年8月から生産された。ボアφ84mm××ストローク66mmに拡大し排気量2,195cc。マニュアルトランスミッションがアルミニウムダイキャスト製に強化された911型となりクラッチはφ225mmに大径化された。マニュアルトランスミッションは後マグネシウム製に変更された。

  • 911T/2.2 - 125PS/5,800rpm、18.0kgm/4,200rpmの911/03型エンジンに置換した。スポルトマチック装備は911/06型、US仕様は911/07型、US仕様スポルトマチック装備は911/08型エンジン。キャブレターがソレックス製からゼニス・ストロンバーグ製に置換された[10]。マニュアルトランスミッションは4速が標準でオプションで5速も選択できた。マニュアルトランスミッション車のブレーキが通風式となりこれで全車種通風式となった。容量放電が911Tにも採用され、全車種容量放電点火となった。
  • 911E/2.2 - マニュアルトランスミッションは5速が標準。155PS/6,200rpm、19.5kgm/4,500rpmの911/01型、スポルトマチックは911/04型エンジン。自動車高調整機能付きハイドロニューマチックストラットを装備している[11]
  • 911S/2.2 - 180PS/6500rpm、20.3kgm/5200rpmの911/02型エンジン。マニュアルトランスミッションは5速のみでスポルトマチックは用意されなかった。

Dシリーズ

1971年7月まで生産された。

  • 911T -
  • 911E -
  • 911S -

Eシリーズ

1971年8月から生産された。ボアφ84×ストロークφ70.4mmで排気量2,341ccに拡大された。マニュアルトランスミッションがレース用の916型をベースとし軸間距離77mmに拡大されたマグネシウムダイキャスト製5速915型または4速915型に変更された。クラッチがφ225mmに拡大された。オプションのスポルトマチックが強化されつつトルク比2.2に変更された4速925型または3速925/10型に変更された。オイルタンクが右後輪の前に移動された。

  • 911T/2.4 - 130PS/5,600rpm、20kgm/4,000rpmの911/57型エンジン、スポルトマチックは911/67型エンジン。ヨーロッパ仕様のゼニス製キャブレターのままではアメリカの排気ガス規制に合格できず、アメリカ仕様は911E/2.4911S/2.4と共通の6プランジャー燃料噴射ポンプを採用し140PS/5,600rpm、20kgm/4,000rpmの911/51型エンジン、スポルトマチックは911/61型エンジンとなった。アメリカの排気ガス規制が厳しくなり、1973年1月よりボッシュのKジェトロニックに変更され圧縮比8.0で140PS/5,700rpm、20.5kgm/4,000rpmの911/91エンジン、スポルトマチックは911/96型エンジンに置換された。
  • 911E/2.4 - 165PS/6,200rpm、21kgm/4,000rpmの911/52型、スポルトマチックは911/62型エンジン。
  • 911S/2.4 - 190PS/6,500rpm、22kgm/4,000rpmの911/53型、スポルトマチックは911/63型エンジン。

Fシリーズ

1973年7月まで生産された。コストと使い勝手の面からオイルタンクが右後輪後部に戻された。

  • 911T/2.4 -
  • 911E/2.4 -
  • 911S/2.4 -
  • 911カレラRS2.71973年限定生産) ? グループ4のホモロゲーションを取るために911S/2.4をベースに当初500台が限定販売されたもので、ボディを軽量化し、ボア×ストロークφ90mm×70.4mm、圧縮比8.5で、2,687ccで210PS/6,300rpm、26kgm/5,600rpmの911/83型エンジンを搭載した。ツーリング、スポーツ、レーシングの3グレードがあり、スポーツグレードの重量は960kg。当初の生産台数はすぐに売り切り、1,000台以上が追加生産されたためグループ3のホモロゲーションも得た。日本に正規輸入されたのはスポーツグレードのみで14台。「73カレラ」と俗称され名車として現在まで語り継がれている。トランスミッションは5速915型のみ。917からフィードバックされた技術でアルミニウムシリンダーにニッケルとシリコンの化合物を付着させた「ニカシル」シリンダーによりこの大径ボアを実現している。ホイールはフロント6J15、リア7J15。タイヤはフロント185/70VR15、リア215/60VR15。

Gシリーズ

1973年8月から1974年7月まで生産された。ボアφ90×ストローク70.4mmの2,681ccに拡大された。ニカシルシリンダーで後アルシルシリンダーに変更された。リアサスペンションアームがアルミニウム鋳物製となった。

  • 911/2.7 - カムシャフトが新型の911/97型に変更された911/92型エンジン、スポルトマチックが911/97型エンジン。
  • 911S/2.7 - カムシャフトが新型の911/98型に変更された911/93型エンジン、スポルトマチックは911/98型エンジン。
  • 911SC/2.7 -
  • 911カレラRS3.01975年限定発売) ? 109台生産され、うち50台以上がカレラRSRに改造された。ボアφ95×ストローク70.4mm、圧縮比10.3の2,994ccで230PS/6,200rpm、28.0kgm/5,000rpmの911/77型エンジン。燃料供給はボッシュメカニカルインジェクション。トランスミッションは5速915型のみ。ブレーキはポルシェ・917から流用したアルミニウム製。ボディ重量は900kg。
  • カレラRSR1975年限定発売) - 911カレラRS2.7をレース用に改造したもので排気量2,806cc、300PS/8,000rpm、30.0kgm/6,500rpmの911/72型エンジンを搭載している。ブレーキは917から流用しカムシャフトは906から流用している。ボディ重量は900kg。1975年には出力が345PSまで向上している。

Hシリーズ

1974年8月から1975年7月まで生産された。930型ターボとの併売で外観も米国の連邦自動車安全基準 (Federal Motor Vehicle Safety Standard, FMVSS) のバンパー強度規定Std215に従った5マイルバンパーの装着により外観が一新され以降930型が製造中止になる1989年まで「ビッグバンパー」と俗称されたが、ノンターボモデルは901型のまましばらく生産された。オルタネーターが980Wに大容量化され、ヒートエクスチェンジャーが改良され、オプションだったエーバーシュペッヘル製ヒーターは廃止された。ポルシェ史上初めてアメリカ市場向けのエンジンの公称性能を他の市場向けより低く称した。

  • 911/2.7 - ボッシュKジェトロニックで150PS/5,700rpm、24kgm/3,800rpmの911/41型エンジン、スポルトマチックは911/46型エンジン。アメリカには輸出されなかった。
  • 911S/2.7 - ボッシュKジェトロニックで175PS/5,800rpm、24kgm/4,000rpmの911/42型エンジン、スポルトマチックは911/47型エンジン。アメリカ市場向けは165PS、23kgmの911/43型エンジン、スポルトマチックは911/48型エンジン。カリフォルニア向けはEGRを装着し160PS、22.4kgmの911/44型エンジン、スポルトマチックは911/49型エンジン。
  • 911SC/2.7 - 機械インジェクションで210PS。

Iシリーズ

1975年8月から生産された。ブレーキのパッド面積は前78cm2、後52.5cm2。自動低温始動装置を装備した。給油ポンプが大型化され、冷却ファンが5枚羽根に強化された。Hシリーズ911/2.7に相当するグレードは廃止され、Hシリーズ911S/2.7に相当する911/2.7911SC/2.7に相当する911カレラ3.0のみとなった。1976年から全車種500℃の亜鉛槽にドブ漬け[12]で防錆処理されたティッセン(現ティッセンクルップ)製鋼板を採用し、ボディの耐久性が大幅に向上した。サイドミラーが電動式となった。

  • 911/2.7 - Hシリーズの911S/2.7に搭載されていたエンジンを搭載した。
  • 911カレラ3.0 - ボアφ95×ストローク70.4mmの2,994cc。オプションで前が7J15inホイールに205/50VR15タイヤでトレッド1,398mm、後が8J15inホイールに225/50VR15タイヤでトレッド1,405mm。
  • 911リミテッド1976年限定発売) - フェルディナント・ポルシェ生誕100周年[13]を記念し500台限定。一般の911より70万円も高価であったが日本でも50台が販売された。外部塗装は、ダイヤモンドシルバーメタリック。薄く色が入ったアロイホイール、布ばりシート、パワーウィンドー、フロント色ガラスが特別仕様。

Kシリーズ

1977年7月まで生産された。

  • 911/2.7
  • 911カレラ3.0 - オプションで前が7J16inホイールに205/55VR16タイヤでトレッド1,438mm、後が8J16inホイールに225/50VR16タイヤでトレッド1,511mm。

Lシリーズ

1977年8月から生産された。180PS/5,800rpm、25kgm/4,000rpmのエンジン。トランスミッションは5速915型のみ。

2代目 930型(1974年-1989年)

テンプレート:Infobox 自動車のスペック表 当初より米国の連邦自動車安全基準 (Federal Motor Vehicle Safety Standard, FMVSS) のバンパー強度規定Std215に従った5マイルバンパーが装着された。930型は本来ターボモデルを指すものであり、「ビッグバンパー」であってもNAモデルは1977年モデルまで901型のままである。1978年にはNAモデルも930型となった。

ボディの種類はクーペと脱着式のルーフをもつタルガの2種類。トランスミッションは当初915型と呼ばれるポルシェ内製トランスミッション(ポルシェシンクロ)を採用した。

Hシリーズ

  • 911ターボ1975年発売、1976年日本発売) - 1973年フランクフルトモーターショーで「911ターボ」試作車が展示され、280PSで最高速度280km/hとアナウンスされていた。1974年パリサロンに「930ターボ」試作車が展示された。生産車はボア×ストロークφ95mm×70.4mmで2,994cc、圧縮比6.5の930/50型エンジンを搭載、ボッシュKEジェトロニックとブースト圧0.8気圧のKKK製ターボチャージャーで260PS/5,500rpm、35.0kgm/4,500rpm。日本仕様は昭和50年(1975年)規制に適合するため等で245PS/5,500rpm、35.0kgm/4,000rpm[14]。大パワーに対応するタイヤを納めるべくフェンダーを備え全幅は1,775mmまで拡げられた。1978年モデルからはカタログ上の名称は1978年「ターボ」、1979年「930ターボ」、1980年「911ターボ」と変遷しているが、特別大きな変更はない。豪華な内装をもつ高性能スポーツカーとして高価格ながら販売は好調であった。トランスミッションは当初4速MT930型であり、ポルシェは「ありあまるパワーには4速で充分」と説明したが、「ポルシェシンクロトランスミッションの許容量がターボのパワーに耐え切れずやむなく4速にした」というのが通説。クラッチ径はφ240mm。

Iシリーズ

1975年8月から生産された。サイドミラーが電動式となった。1976年から全車種500℃の亜鉛槽にドブ漬け[15]で防錆処理された鋼板を採用し、ボディの耐久性が大幅に向上した。

  • 911ターボ

Kシリーズ

1977年7月まで生産された。

  • 911ターボ - 前が7J16inホイールに205/55VR16タイヤでトレッド1,438mm、後が8J16inホイールに225/50VR16タイヤでトレッド1,511mm。

Lシリーズ

1977年8月から生産された。

  • 911ターボ - ボア×ストロークφ97mm×74.4mm、排気量3,299ccに拡大され圧縮比7.0で300PS/5,500rpm、42.0kgm/4,000rpm。新たに空冷式インタークーラーを装備した。エンジン取り付け位置が30mm後退し、これに伴いリアタイヤの指定空気圧が上げられた[16]。アメリカ向けと日本向けは排気リアクターと低オクタン対応のため265PSに抑えられている。

1978年モデル

901型のままだったノンターボ車が930型に移行した。この年新潟県警パトロールカーとして配備され、その後20年近く活躍したことが知られている。

  • 911SC1978年発売) - 従来の911Sに当たる。ボアφ95×ストローク70.4mmの2,994cc、930/17型エンジン。ボッシュのKジェトロニック、圧縮比8.5、180PS/5,500rpm、27.0kgm/4,000rpm。
  • 911SCS1978年発売) - 従来の911カレラに当たる。
  • 911ターボ

1979年モデル

  • 911SC
  • 911ターボ

1980年モデル

  • 911SC
  • 911ターボ

1981年モデル

日本でターボモデルの輸入が一時途絶えた。

  • 911SC

1982年モデル

  • 911SC

1983年モデル

ポルシェ・356で人気のあったオープンモデルであるカブリオレが復活した。

  • 911SC

1984年モデル

1984年フランクフルトモーターショーで「カレラ」の名称が復活した。

  • 911カレラ - ボア×ストロークφ95mm×74.4mm、圧縮比10.3、排気量3,164ccエンジン。225PS/5,900rpm、27.3kgm/4,800rpm。フラップ式のボッシュLジェトロニックを採用した。馬力も1973年のカレラRSを超えたことから、かつてレーシングモデルにのみ与えられていたカレラの名称は以降ノンターボモデルの名称として使用されるようになった。

1985年モデル

フロアパンとバルクヘッドの板厚が0.75mmから1mmにアップし、剛性が向上した。ターボの日本輸入が再開された[17]

  • 911カレラ
  • 911ターボ

1986年モデル

  • 911カレラ
  • 911ターボ - ボッシュKジェトロニック。ターボはKKK製。ボア×ストロークφ97mm×74.0mm、3,287cc、288PS/5,300rpm、38.9kgm/4,250rpm[18]

1987年モデル

ノンターボモデルのトランスミッションがボルグワーナー式のゲトラグ製G50型を採用した。

  • 911カレラ
  • 911ターボ

1988年モデル

コンロッドボルトが強化され、ブレーキパッドがアスベストフリーとなった。

  • 911カレラ
  • 911ターボ - ボディーバリエーションとしてタルガトップ[19]。とカブリオレ[20]を選択できるようになった。
  • 911ターボ・フラットノーズ1988年限定発売) - リトラクタブルライトとすることで空力を改善し、330PSエンジンを搭載したモデル。

1989年モデル

  • 911カレラ
  • 911ターボ - トランスミッションが5速のゲトラグ製に変更されている。
  • 911ターボS1989年限定発売) - 330PSエンジンを搭載し足回りも強化され少数製造された。

3代目 964型(1989年-1993年)

1989年に964型に移行した。ボディー構造が一般的なモノコックとなり、サスペンションがフロントマクファーソンストラット+コイルスプリング、リアがセミトレーリングアーム+コイルスプリングに変更された。外観は930型に似ているが、80%が新規部品である。また四輪駆動のカレラ4が設定された。 テンプレート:Main

4代目 993型(1993年-1998年)

1993年に993型に移行した。次の996型のエンジンが水冷だったため、911としては最後の空冷モデルとなった。 テンプレート:Main

5代目 996型(1998年-2004年)

1998年に996型に移行した。トレードマークの一つとされて来た空冷エンジンが水冷エンジンとなりシャシーも一新された。 テンプレート:Main

6代目 997型(2004年-2011年)

2007年に997型に移行した。996型で不評だった涙滴型ヘッドライトが廃止となり、往年の丸型ヘッドライトが復活した。シャシーは996ベース。前期型は996ベースのエンジンを使用し、後期型より直噴式新型エンジンに変更されPDKが導入された。 テンプレート:Main

7代目 991型(2011年-)

2011年に991型に移行した。最大の特徴は車体に軽量金属を使用した軽量シャシーである。エンジンは997後期型を改良。 テンプレート:Main

インターミディエイトシャフトの破損について

996型と997前期型に搭載された水冷エンジンではタイミングチェーンがエンジンの左右で前後に分かれて配置されている。そのためクランクシャフトからカムシャフトへ動きを伝達するインターミディエイトシャフトの長さが延長されてクランクケース前後を貫通している(空冷時代の基本構造を受け継いだクランクケースを継続使用するターボおよびGT2、GT3を除く)。このインターミディエイトシャフトの不具合がブログ、掲示板、日本国土交通省の自動車不具合情報ホットラインなどで報告されている。ポルシェ本社は本不具合に対する公式見解を発表していないが、利用者からの情報を総合すると不具合は996型および997前期型で発生しているようである。997前期型の2006年と2007年モデルで応急的な対策(ボルトなどの改良)がなされたが、当該年式においても依然としてインターミディエイトシャフトの不具合は散見される。本不具合は車両走行中に応力のかかるインターミディエイトシャフト(のボルトおよびベアリングの経年変化によって劣化した部分)に負荷が集中した結果、突然耐え切れず破損してしまうものである。この破損によりインターミディエイトシャフトを通して制御されていたカムシャフトが暴走し、車はエンジンブローによって動作不可能となる。復旧にはエンジンの交換が必要である。2012年10月より、本件に関してポルシェジャパンによるサービスキャンペーン(リコールとは異なる)が実施され、該当車(2001年5月4日から2005年2月21日製造分)は無償で点検、必要に応じ修理されることになった。 なお、直噴エンジンに換装された997後期モデルからはインターミディエイトシャフトそのものが存在しないため、本不具合とは無縁である。

脚注

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参考文献

  • 『ワールドカーガイド1ポルシェ』ネコ・パブリッシングISBN4-87366-090-4
  • 『われらがポルシェ ポルシェなんでも事典』講談社
  • ポルシェ博物館/松田コレクション資料
  • 小林彰太郎『世界の自動車-5 ポルシェ』二玄社
  • THE 911&PORSCHE MAGAZINE No.63『走り、愉快』
  • 福野礼一郎『幻のスーパーカー』双葉社 ISBN4-575-28840-3
  • 『スポーツカーカタログ見聞録』ティーポ1998年8月号増刊
  • 『外国車ガイドブック1975』日刊自動車新聞社
  • 『外国車ガイドブック1976』日刊自動車新聞社
  • 『外国車ガイドブック1977』日刊自動車新聞社
  • 『外国車ガイドブック1978』日刊自動車新聞社
  • 『外国車ガイドブック1979』日刊自動車新聞社
  • 『外国車ガイドブック1980』日刊自動車新聞社
  • 『外国車ガイドブック1981』日刊自動車新聞社
  • 『外国車ガイドブック1982』日刊自動車新聞社
  • 『外国車ガイドブック1983』日刊自動車新聞社
  • 『外国車ガイドブック1984』日刊自動車新聞社
  • 『外国車ガイドブック1985』日刊自動車新聞社
  • 『外国車ガイドブック1986』日刊自動車新聞社
  • 『外国車ガイドブック1987』日刊自動車新聞社
  • 『外国車ガイドブック1988』日刊自動車新聞社
  • 『外国車ガイドブック1986』日刊自動車新聞社
  • 『外国車ガイドブック1987』日刊自動車新聞社
  • 『外国車ガイドブック1988』日刊自動車新聞社
  • 『外国車ガイドブック1989』日刊自動車新聞社

関連項目

外部リンク

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  1. テンプレート:Cite book
  2. 4気筒の356カレラエンジンではベベルギア駆動であったため騒音が大きく、ベルト駆動はシンプルで静粛であるが当時としてはハンス・グラースしか採用しておらずリスクを負うべきではないとの結論になり、チェーン駆動となった。高性能エンジンはフライホイールが軽くチェーンに大きな加速力が掛かるため、当時最高品質であったレノルド(Renold )製を採用した。
  3. 水平対向エンジンは横幅があるため横Gが掛かった時のオイルレベル変動が激しい。ウエットサンプでオイルパンを深く取ればエンジンの重心を上げねばならず、4気筒エンジンでもカレラにはドライサンプが採用されていた。
  4. 当初はアルミ合金、試作段階では鋳鉄製であった。
  5. 従来使われていたシロッコ式は非常に安価にフォルクスワーゲンから購入できたが効率が劣り、また風が左列に行くので右列用にダクトを設けるか右寄りにファンを移動する対策が必要になっていた。
  6. 初期の説明書による
  7. トルク比2.0
  8. スロットルを閉じた時排気マニフォールドに空気を吹き込むVベルト駆動のエアポンプが追加されている。
  9. 906の901/20型はクランクケースがマグネシウム製であるがこれはアルミニウム製である点が異なる。
  10. ポルシェ博物館資料P76。
  11. ポルシェ博物館資料P76。
  12. 電気メッキではない。「ポルシェ911ストーリー」P146。
  13. ポルシェ博物館資料P108。
  14. 「外国車ガイドブック'77」P144。
  15. 電気メッキではない。「ポルシェ911ストーリー」P146。
  16. ポルシェ博物館資料P80。
  17. 「昨年から再輸入されるようになった」『外国車ガイドブック1986』P136。
  18. 『外国車ガイドブック1986』P208。
  19. 「外国車ガイドブック1988」P142。
  20. 「外国車ガイドブック1988」P143。