ペットボトル症候群

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ペットボトル症候群(ペットボトルしょうこうぐん、:PET bottle syndrome)とは、スポーツドリンク清涼飲料水などを大量に飲み続けることによっておこる急性糖尿病である。正式名称はソフトドリンク(清涼飲料水)・ケトアシドーシス清涼飲料水ケトーシスとも呼ぶこともある。ソフトドリンクやスポーツドリンクの急激な大量摂取だけでなく、「みかんの缶詰」「アイスクリーム」などの糖分の多い食品の大量摂食でも発症することが報告されている[1]

概要

1992年5月、聖マリアンナ医科大学の研究グループが報告し糖尿病性ケトアシドーシスの症状となった若い人達の多くがペットボトルで清涼飲料水を飲んでいたことから命名された。

市販清涼飲料の多くには、100mlあたり10g(グラム)程度とかなり多く糖質が含まれている。スポーツドリンクにはたいてい100mlに6g程度の糖分が含まれている。ペットボトル飲料の普及とその手軽さから、知らず知らずのうちに過剰な糖分を摂取することになる。20代から30代の若者に多い。最近は、暑さの為、発症者が多くなり、40代から50代の高齢者にも多くなっている(2011年8月現在)。

ソフトドリンクを普段水代わりとして飲んでいる場合、1日に2L程度飲むと仮定すれば120 - 200gもの糖分を摂ることになる(熱量にして470 - 780kcal)。日本人の食事摂取基準(2005年版)によれば、人が1日に必要とする炭水化物は総エネルギー必要量の50%から70%を目標にすべきとされる[2]

炭水化物の摂取基準(総エネルギーの50 - 70%とした場合)
標準男性 標準女性
生活強度 低い[3] ふつう[4] 高い[5] 1 2 3
18〜29歳 288 - 400g 331 - 464g 381 - 534g 219 - 306g 256 - 359g 294 - 411g
70歳以上 200 - 280g 231 - 324g 263 - 368g 169 - 237g 194 - 271g 219 - 306g

症状

テンプレート:See also 糖尿病の一形態であるため基本的な症状は糖尿病と変わらない。

「喉の渇き」「倦怠感」「体重の急激な減少」など。典型的なのどの乾きの症状を単純な水分不足による喉の乾きと誤認し、更に清涼飲料水を飲むことで、いっそうの悪化を招く。

重篤な場合は、糖尿病性ケトアシドーシスとなり、「多尿」「嘔吐」「腹痛」「意識混濁」「昏睡(糖尿病性昏睡)」から死亡に至る事がある。

合併症

清涼飲料水の大量摂取が原因となっているが、基礎疾患として肥満、生活習慣病(メタボリックシンドローム)を有している例が多数報告されている[6][7][8]。その為、基礎疾患の悪化のほかにケトーシス発症後に高カルシウム血症高トリグリセライド血急性膵炎、大腸輪状潰瘍、高脂血症、肺梗塞などの合併症の発症も報告される[9][10]

検査

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治療

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関連文献

  • 食べもの文化編集部『清涼飲料上手な飲み方選び方』芽ばえ社、2003年4月。ISBN 978-4895792677。

脚注

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関連項目

外部リンク

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  1. みかん缶詰・アイスクリームの大量摂取を契機に清涼飲料水ケトーシスと同様の病態を来たした1例 糖尿病 Vol.52(2009) No.3 P255-258
  2. 日本人の食事摂取基準(2005年版)(厚生労働省)
  3. 生活の大部分が座位で、静的な活動が中心の場合
  4. 座位中心の仕事だが、職場内での移動や立位での作業・接客等、あるいは通勤・買物・家事、軽いスポーツ等のいずれかを含む場合
  5. 移動や立位の多い仕事への従事者。あるいは、スポーツなど余暇における活発な運動習慣をもっている場合
  6. 清涼飲料水ケトーシスにIII型高脂血症と糖尿病性黄色腫を合併した1例 糖尿病 Vol.47(2004) No.12 P939-943
  7. 清涼飲料水多飲に伴うケトアシドーシスに大腸輪状潰瘍を合併したインスリン欠乏型の糖尿病の1例 糖尿病 Vol.55(2012) No.5 p.345-351
  8. 清涼飲料水の多飲を契機に発症, 高カルシウム血症, 高トリグリセリド血症と無痛性急性膵炎を合併した2型糖尿病での糖尿病性ケトアシドーシスの1例 糖尿病 Vol.44(2001) No.11 P913-916
  9. ソフトドリンクケトアシドーシスに高トリグリセライド血症と重症急性膵炎を合併した1例 糖尿病 Vol.54(2011) No.1 P34-39
  10. 肺梗塞を合併して死亡した “ペットボトル症候群” の1剖検例 糖尿病 Vol.39(1996) No.6 P431-437