バック・イン・ザ・U.S.S.R.

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バック・イン・ザ・U.S.S.R. (Back in the U.S.S.R.) は、1968年に発表されたビートルズのアルバム『ザ・ビートルズ』(通称、『ホワイト・アルバム』)の収録曲である。同アルバムのオープニング曲。

解説

レノン=マッカートニーの作品。実質的にはポール・マッカートニー作とされる。本曲はポール・マッカートニー自身の「航空機での移動中の体験を元に作られた曲」ともいわれている。タイトルとテーマは、チャック・ベリーの「バック・イン・ザ・USA」のパロディーで、同作品のアメリカをソビエト連邦(USSR)に置き換えたものである。サビの歌詞とコーラスの形態はザ・ビーチ・ボーイズのパロディーとなっている。実際この曲は、1968年2~3月にインドのリシケシで行われたマハリシ・マヘーシュ・ヨーギーの元での修行中に作曲され、同じ目的でリシケシに滞在していたザ・ビーチ・ボーイズのマイク・ラヴが、作曲にあたって多少のアイデアを提供したことを公言している。ビーチ・ボーイズのライヴでも時折この曲が演奏されている。

この曲の録音中にリンゴ・スターが一時的に脱退したため(この曲でのリンゴの演奏に納得いかなかったポールが度々注文をつけ、リンゴがキレてスタジオを飛び出してしまった)、ドラムスはポールが演奏し、リードギターも担当した。リンゴはこの曲のポールのドラムプレイを絶賛していたという。

ジェット機の着陸時のSEが冒頭から全体にわたって用いられている。

補足

  • 1984年7月4日に行われた、ザ・ビーチ・ボーイズのワシントンD.C.での野外ライヴに、リンゴがゲスト出演し、一般観客の前でこの曲のドラムスを演奏した。前述の通りレコーディングでリンゴ・スターはドラムスを叩いていないため、本作において初めての公式ドラムス演奏となった。なお、1969年のゲット・バック・セッションにて、計画されていたライヴ用のリハーサルで、この曲がリンゴのドラムスにより演奏されているため、リンゴ自身にとっては上記のライヴが初めてではない。
  • 歌詞に出てくる“Moscow girls”に続く“Georgia's always on my mind.”は、ホーギー・カーマイケルスチュワート・ゴレルの「Georgia on My Mind」のパロディーであると共に、グルジアの英語での綴りがジョージアと同じ(Georgia)であることを掛けている。このアイデアは、マイク・ラヴが提示したものの1つである。
  • 当時、密輸や海賊盤を通じてビートルズの楽曲やスタイルが若者の間に浸透していたソ連国内では、もっとも人気の高い作品の一つとなった[1]。発表35年後の2003年にポールが行った初のロシア公演では、モスクワ赤の広場で本作品が演奏され、コンサートのハイライトとなった。会場入りが遅れてこの曲を聞きそびれたプーチン大統領のために、アンコール時に2回目の演奏が行われた。

収録アルバム

脚注

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  1. "How the Beatles Rocked the Kremlin" (BBC / Blakeway Productions, 2009)