ドクゼリ

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ドクゼリ(毒芹、Cicuta virosa)はセリ科ドクゼリ属多年草有毒植物。別名、オオゼリ(大芹)。ドクウツギトリカブトと並んで日本三大有毒植物の一つとされる[1]


特徴

セリにやや似るが大型で、地下茎は太く筍状の節がある。は中空で上部で枝分かれし、高さ80 - 100cmになる。は柄があり、2-3回羽状複葉になり、小葉は長楕円状披針形で、長さ3-8cm、幅5-20mmになり、縁には鋸歯がある。

花期は6-7月。花茎を伸ばして先端に複散形花序をつけ、球状に白色の小花を多数つける。複散形花序の下の総苞片は無く、小花序の下の小総苞片は数個ある。果実は長さ約2.5mmで、毛は生えない。地下茎は筍に似た節が延びて繁殖する。

分布と生育環境

日本では、北海道、本州、四国、九州に広く分布し、水辺、湿原に生育する多年生の抽水植物[2]。ユーラシア大陸に広く分布する。

中毒

春先の葉の形状が食用のセリとよく似ている上に[2]、生育環境も共通しているため、若葉をセリと間違って摘み、中毒する者が後を絶たない[2]。ただし、葉や茎にセリ特有の香気がない点や、セリと違って地下茎が存在する点に注意すれば区別は比較的容易である。地下茎をワサビと間違えて食べた死亡例や、痒み止めに使用しての死亡例も報告されている[1]

成分はシクトキシン (Cicutoxin)、シクチン (Cicutin) で全草に含まれる。皮膚からも吸収され易い性質を持ち、中毒症状は痙攣呼吸困難嘔吐下痢、腹痛、眩暈、意識障害など。死に至る場合もある。ヒト致死量:50mg/kg。5g以上の摂取で致死的中毒の可能性がある[1]

処置

  • 呼吸対策として気道確保、酸素吸入、人工呼吸
  • 痙攣対策として、pentobarbital sodium(ネンブタール注)、thiopental sodium(ラボナール注)の静注。特異的治療はジアゼパムあるいはペントバルビタールの静注。これらの薬物は、痙攣を止める作用だけでなく、ピクロトキシンの作用点(GABA受容体)に対する特異的拮抗薬である[1]
  • 強制利尿、血液透析、血液吸着による毒成分の体外排出。

参考画像

脚注

  1. 1.0 1.1 1.2 1.3 テンプレート:Cite web
  2. 2.0 2.1 2.2 ドクゼリ:4人が食中毒 セリに酷似、1人重体 新潟市保健所、発表 /新潟 毎日新聞 2013年4月2日(火)13時16分配信

参考文献

関連項目

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外部リンク