トヨタ・GRエンジン

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GRエンジンとは、トヨタ自動車V型6気筒ガソリンエンジン系列である。バンク角は60度。

2003年12月に登場したクラウン(S180系、12代目)に搭載され、翌年の11月にはマークXにも搭載され、嘗ての直6JZ型G型とV6の VZ型MZ型の後継エンジンとなった。 2005年にはレクサス・GSに搭載される形で3.5Lの2GR-FSEが登場した。また、同年10月にはクラウンのマイナーチェンジに伴い、アスリート系の上級グレードに2GR-FSEが搭載されている。当初、国内では無鉛プレミアムガソリン仕様のみだったが、ユーザー間ではむやみなパワー向上よりも経済性を重視する声が増えてきたことや、レギュラーガソリンでも十分な出力を得られることから、一部レギュラーガソリン仕様が登場した。

バリエーション

1GR

1GR-FE
  • タイプ BEAMS V型6気筒 DOHC 24バルブ VVT-i / Dual VVT-i
  • 排気量 3,955cc
  • ボア×ストローク 94.0×95.0
  • 圧縮比 10.0 / 10.4

<出力・トルク(日本仕様)>

  • (1)183kW(249PS)/5,200rpm 380Nm(38.8kg-m)/3,800rpm (プレミアムガソリン仕様)
  • (2)203kW(276PS)/5,600rpm 380Nm(38.8kg-m)/4,400rpm (レギュラーガソリン仕様)

<搭載車種>

GR型で最初にデビューしたエンジン。この4.0L仕様は主にSUVに搭載されるため、他のGR系エンジンに比べて、最高出力や洗練度、官能度は重視されず、その分耐久性や低、中速のトルク特性に重点が置かれた開発がされている。1世代目のモデルは、同クラスのエンジンである3.8Lの6G75三菱・パジェロに搭載される)には最高出力でわずかに及ばなかったが、2009年9月に発売された150系ランドクルーザープラドに搭載されたものは同一形式ながらスペックが逆転。排気側にも可変バルブタイミング機構を追加(デュアルVVT-i化)し大幅にパワーを向上させ、低・中回転域のトルクとともにクラストップのスペックを得た。これは主にバルブ形状やタイミング、燃焼室形状等の細かい見直しにより燃焼速度を向上させた結果である。また同時に耐ノック特性も改善され出力を向上させながらレギュラーガソリン仕様となっている。

2GR

2GR-FE
  • タイプ BEAMS V型6気筒 DOHC 24バルブ Dual VVT-i
  • 排気量 3,456cc
  • ボア×ストローク 94.0×83.0
  • 圧縮比 10.8

<出力・トルク(日本仕様)>

  • (1)206kW(280PS)/6,200rpm 348Nm(35.5kg-m)/4,700rpm(3代目RX350)
  • (2)206kW(280PS)/6,200rpm 346Nm(35.3kg-m)/4,700rpm(ハリアー)
  • (3)206kW(280PS)/6,200rpm 344Nm(35.1kg-m)/4,700rpm(その他)
  • (4)206kW(280PS)/6,400rpm 350Nm(35.7kg/m)/4,660rpm(ロータス・エヴォーラ)
  • (5)257kw(350PS)/7,000rpm 400Nm(40.79kgm)/4,500rpm(ロータス・エキシージ,ロータス・エヴォーラS)- スーパーチャージャーにより過給

<搭載車種>

横置きが前提となるため、FFベースの車種に搭載されている。国内ではエスティマ、ハリアー(2006年~2008年)、ヴァンガード(2007年~2012年)、アルファードなどに搭載されている。 また、2008年ロンドンモーターショーで発表された、ロータス社の新型車エヴォーラには当エンジンが搭載される。 2GR-FSEで搭載されているポート噴射と直噴を兼用した新燃料噴射システムD-4Sは省略され、一般的なポート噴射のみとしている。 これはFF車への搭載が前提となるため、さらなる軽量・コンパクト化、低コスト化、高生産性を追求した結果であろう。 また、2GR-FSE搭載車では315馬力程度が発揮されるが、2GR-FEでは一律280馬力となる。一方で燃費は大きく改善される方向にある。 組み合わされるミッションは5速、及び6速の2つである。 一部のSUPER GT・GT300クラス用マシンのエンジンとしても用いられている(例・MR-Sカローラアクシオ)。

2GR-FXE(2GR-FEベース)
  • タイプ BEAMS V型6気筒 DOHC 24バルブ Dual VVT-i
  • 排気量 3,456cc
  • ボア×ストローク 94.0×83.0
  • 圧縮比 12.5

<出力・トルク(日本仕様)>

  • (1)183kW(249PS)/6,000rpm 317Nm(32.3kg-m)/4,800rpm(RX450h)

<搭載車種>

2GR-FSE
  • タイプ V型6気筒 DOHC 24バルブ Dual VVT-i (D-4S)
  • 排気量 3,456cc
  • ボア×ストローク 94.0×83.0
  • 圧縮比 11.8

<出力・トルク(日本仕様)>

  • (1)234kW(318PS)/6,400rpm 380Nm(38.7kg-m)/4,800rpm(レクサスIS,マークX,レクサスGS(2代目))
  • (2)232kW(315PS)/6,400rpm 377Nm(38.4kg-m)/4,800rpm(クラウンアスリート,レクサスGS)
  • (3)218kW(296PS)/6,400rpm 368Nm(37.5kg-m)/4,800rpm(レクサスGS450h、クラウンハイブリッド)

<搭載車種>

直接燃料噴射(D-4S)を採用したエンジン。直噴仕様となるが、いわゆる直接噴射だけではなく、ポート噴射式も併用した世界初の機構を持つエンジン。低・中回転域では状況に応じて2者を使い分け、高回転では直接噴射の燃料気化冷却により耐ノック特性を改善しながら最高回転数に至る。給・排気両側の可変バルブタイミング(デュアルVVT-i)と合わせ、すべての回転域で高トルクを確保するなど扱いやすい特性を持つ。また双方の利点を生かし、高出力、低燃費を実現している。一方、新世代エンジンでありながら可変吸気システムを持たないシンプルな機構も特徴である。これは高回転域での効率を追求した結果である。これにより高回転域においてシャープな吹け上がりと、官能的なサウンドを同時に実現している。一方でフリクションロスの徹底的な低減によりメカノイズが減少、アイドリング時のインジェクターの音が目立つなどの意見もある。

2GR-FXE(2GR-FSEベース)
  • タイプ BEAMS V型6気筒 DOHC 24バルブ Dual VVT-i (D-4S)
  • 排気量 3,456cc
  • ボア×ストローク 94.0×83.0
  • 圧縮比 13.0

<出力・トルク(日本仕様)>

  • (1)217kW(295PS)/6,000rpm 356Nm(36.3kg-m)/4,500rpm(GS450h)

<搭載車種>

3GR

3GR-FE
  • タイプ V型6気筒 DOHC 24バルブ Dual VVT-i
  • 排気量 2,994cc
  • ボア×ストローク 87.5×83.0
  • 圧縮比 10.5

<出力・トルク(中国仕様)>

  • (1)170kW(231PS)/6,200rpm 300Nm(30.6kg-m)/4,400rpm(クラウン中国仕様)

<搭載車種>

  • レイツ (マークXの中国仕様)
  • クラウン (中国仕様)
  • IS300 (中国・ブルネイ・中東仕様)
  • GS300 (中国・東南アジア・中東仕様)

中国仕様のクラウンなどに搭載されるために開発されたエンジン。中国や中東など、アジア諸国で生産・販売されるため直噴仕様ではなく、生産性や整備性に優れる通常のポート噴射式に改められている。日本国内向けのパトロールカー仕様は、従前型の2JZエンジンとは異なり、市販モデルと同一のエンジンが搭載されている。よって、ポート噴射式の3GR-FE搭載のパトロールカーは存在しない。

3GR-FSE
ファイル:Toyota 3GR-FSE cut model.jpg
3GR-FSEのカットモデル
  • タイプ V型6気筒 DOHC 24バルブ Dual VVT-i (D-4)
  • 排気量 2,994cc
  • ボア×ストローク 87.5×83.0
  • 圧縮比 11.5

<出力・トルク(日本仕様)>

  • (1)188kW(256PS)/6,200rpm 314Nm(32.0kg-m)/3,600rpm(クラウンロイヤル)

<搭載車種>

  • マークX - GRX121
  • クラウン(ロイヤルサルーン・前期型アスリート) - GRS182・183・202・203
  • クラウンパトロールカー(交通取締用四輪車[散光式警光灯車・反転式警光灯車]) - GRS182-AETRH(散光式) / GRS182-AETKH(反転式)
  • GS300 (北米・韓国・台湾仕様の初期型、大洋州・欧州・南アフリカ共和国仕様)

直接燃料噴射(D-4)仕様。

4GR

4GR-FSE
  • タイプ V型6気筒 DOHC 24バルブ Dual VVT-i (D-4)
  • 排気量 2,499cc
  • ボア×ストローク 83.0×77.0
  • 圧縮比 12.0

<出力・トルク(日本仕様)>

  • (1)158kW(215PS)/6,400rpm 260Nm(26.5kg-m)/3,800rpm(プレミアムガソリン仕様)
  • (2)149kW(203PS)/6,400rpm 243Nm(24.8kg-m)/4,800rpm(レギュラーガソリン仕様)

<搭載車種>

  • マークX - GRX120・130
  • クラウン - GRS180・181・200・201
  • IS250 - GSE20・25
  • クラウンパトロールカー(昇降式警光灯付車) - GRS180

5GR

5GR-FE
  • タイプ V型6気筒 DOHC 24バルブ Dual VVT-i
  • 排気量 2,497cc
  • ボア×ストローク 87.5×69.2
  • 圧縮比 10.0

<出力・トルク(中国仕様)>

  • (1)145kW(197PS)/6,200rpm 242Nm(24.7kg-m)/4,400rpm (クラウン中国仕様)

<搭載車種>

4GR型と同じく2.5Lエンジンであるが、ボア×ストロークが異なるため、5GR型となる。これは、GR型エンジンを中国で生産するにあたり、設備上の関係で3.0Lとボアを共通にする必要があったためである。また、3GR-FE同様、整備性や生産性の観点から、直噴を採用していない。

搭載車種詳細

1GR-FE - 4.0L


2GR-FE - 3.5L

2GR-FSE - 3.5L

  • 12代目クラウン(GRS184)
  • 13代目クラウン(GRS204/GWS204)
  • 14代目クラウン(GRS214)
  • 2代目IS350(GSE21)
  • 3代目GS350/GS450h(GRS190/GWS190)
  • 2代目マークX(GRX133)

2GR-FXE - 3.5L

3GR-FE - 3.0L

3GR-FSE - 3.0L

4GR-FE - 2.5L

4GR-FSE - 2.5L

5GR-FE - 2.5L

関連項目

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