トヨタ・RAV4

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RAV4(ラヴフォー)は、トヨタ自動車で生産されているSUV

概要

モノコック構造の乗用車をベースにした、オフロード車「クロスオーバーSUV」の先駆となった車種である。RAV4の成功を受け、他社もCR-V本田技研工業)、エクストレイル日産自動車)、フォレスタースバル)などのクロスオーバーSUVを製造するなど、SUV市場に大きな影響を与えた。なお、RAV4の登場に先んじて日本市場ではエスクードが販売されていたが、エスクードはデザインやサイズはRAV4のクロスオーバーSUVと酷似しているものの、本質的には堅牢なラダーフレーム構造を持つクロスカントリー車であるという点で異なる。

初代RAV4は、本国の日本でいう「5ナンバーサイズ」に収まるコンパクトなサイズのSUVであったが、主に北米市場の要求から、モデルチェンジのたびにボディサイズを拡大、2代目以降3ナンバーサイズとなった。

主要市場の欧米においては他の同社製SUVよりもコンパクトなサイズとなっている。生産はトヨタ自動車田原工場と、グループ会社の豊田自動織機である。

その後RAV4は、世界中で販売台数を延ばしており、欧州全域・北米南米オセアニア中国東南アジア南アフリカなど、世界200か国以上で使用される世界戦略車である。

歴史

初代(SXA1#型・1994年 - 2000年)

テンプレート:Infobox 自動車のスペック表 1989年東京モーターショーにRAV-FOURとして出展し、4年後の1993年の東京モーターショーにプロトタイプが披露された後、1994年5月に発表。

カローラセリカなどのコンポーネンツを流用しながらも、フロアパネルは独自に起こされ、リアサスペンションも鍛造リンクを用いた仮想球面支持の専用品となるなど、オン・オフ両面の性能追求のため、惜しみなく技術が投入されることとなった。

パワートレーンは直列4気筒 2.0L 3S-FE型 ガソリンエンジントランスミッション横置きに搭載し、ドライブトレーンには国産車では数少ないベベルギア式のセンターデフを持つ本格的なフルタイム4WDである。

CMキャラクターには木村拓哉が起用された。

1995年4月には、ホイールベースを延長し、居住性と利便性を向上させた5ドアモデル「RAV4 V」(ラヴフォーファイブ)が追加された。

しかし、1995年10月ホンダからセンターデフを省略したスタンバイ4WDとするなど、徹底したコストダウンで低価格戦略を採る CR-Vが発売された。CR-VはRAV4より一回り大きい3ナンバーボディにもかかわらず、RAV4と同じ価格帯という安さと、コラム式AT&ステッキ式パーキングブレーキによるウォークスルーなどを武器にシェアを伸ばし、さらには1997年にスバルからフォレスターも発売されたため以後苦戦する。1996年8月にマイナーチェンジを実施し、これに伴いCR-Vに対抗するため、スポーツエンジンである 3S-GE型 を搭載した3ナンバーボディのスポーツモデルTypeG、3ドアソフトトップ(前席は標準型にも設定されていた脱着式パネルサンルーフで、Bピラー以降が幌のもの。いすゞ・ミューと同じタイプ)も追加された。 1998年8月には平成10年アイドリング規制に適合。

シティユースを目的とした車ではあるものの、余裕のある最低地上高や優秀な4WD性能、及びボディ下部が破損しにくい樹脂プロテクターで覆われている事などから、プライベートで足回りのチューニングを施しオフロードで力を発揮させるユーザーや、全日本オフロードトライアルのシリーズ戦に出場する選手も現れた。また、この4輪独立サスペンションは、オンロードでは乗用車と変わらない操縦安定性と快適性をも提供する。 RAV4をベースとした電気自動車の RAV4 EV も後にフリート販売された。

変わったバリエーションとしては、「パーソナルセレクション」という、ボディカラーの配色、内装色を指定された色の中から自由に選べるオプションがあった。初期の頃には迷彩パターンや、Bピラーとルーフ一部をロールバーよろしく塗り分けるパターンもあったが、後期型以降は、メインの外板×バンパーやアンダーパネル×内装色の組み合わせを選ぶシステムに落ち着いた。

2代目(CA20W型・2000年 - 2005年)

テンプレート:Infobox 自動車のスペック表 2000年5月に登場。海外戦略を重視した為に、同年のジュネーブモーターショーで海外先行デビューした。3か月後の8月にフルモデルチェンジしたカローラ系のコンポーネンツを使用するが、フロアパネルは先代同様に専用設計となっている。エンジンは2WD用に1ZZ-FE(1.8L)と、4WD用に1AZ-FSE(2.0L直噴)が設定されている。グレードは下からX、X-G、エアロスポーツ、ワイドスポーツの4つでそれぞれに4ATと5MTが組み合わされていたが、2003年8月のマイナーチェンジ時にエアロスポーツ、及び各MT仕様が廃止された。

当モデルは、先代の弱点であった室内空間の貧弱さを克服する方策としてボディサイズを拡大し、全モデルで3ナンバーボディサイズとなった(それでも他社製の同クラスSUVに比べると小型であった)。また、先代モデルが3ドアモデルメインの開発であったことに対し、当モデルではより居住空間に優れた5ドアモデルメインの開発が行われた。内外装の質向上も著しく、よりシティユースを志向したモデルであると言える。しかし、同時期にフルモデルチェンジしたホンダ・CR-Vや、日産・エクストレイル等のライバルに再び苦戦を強いられ、さらには日本国内でのSUVブームの沈静化もあり、最終的に良好なセールスを記録するには至らなかった。反面、欧米では非常に人気が高く、輸出仕様には本革シートを装備したモデルや、ディーゼルターボガソリンターボエンジンを搭載したモデルも存在している。

2000年に制定された低排出ガス車認定制度における認定車第1号であり、最初に同ステッカーをつけたのはこの車種である。


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3代目(CA30W型・2005年 - )

テンプレート:Infobox 自動車のスペック表 2005年11月14日に登場。国内目標月間販売台数は2000台と発表。2006年1月から海外販売し、グローバルな目標年間販売台数は30万台。 同年のフランクフルトモーターショーでお披露目していた。トヨタの「MCプラットフォーム」を進化させた「新MCプラットフォーム」を初めて採用した市販車。エンジンは1種類で上郷・下山両工場製の2AZ-FE(2.4L)のみ。グレードは下からX、G、スポーツの3つ。全モデルでCVTのみの設定となる。4WD性能はこれまでのセンターデフ+ビスカスカップリング式フルタイム4WDではなく、電子制御式4WDに変更された。

当モデルは、先代モデルに比べてさらにボディサイズが拡大され、海外市場をより強く意識した内容となっている。また、初代から設定されていた3ドアモデルが廃止され、5ドアモデルのみの設定となるが、日本国内では2007年8月から派生車種ヴァンガードとして発売された海外向け(欧州・アフリカ・南米の一部以外)のモデルは、荷室などを延長したロングボディであり、ドア枚数こそ変わらないものの、これまで通りロングとショートの2種類のボディタイプを持つ。

なお、ロングタイプでは3列シートも選択可能で、エンジンは2.4L 直4の他に3.5L V6(北米、豪州等のみ)エンジンも用意されている。

欧州向けや南米・アフリカ向けの一部は日本と同じサイズのショートボディであり、4WDモデルしか設定されていない。また他の地域ではみられない、1AZ-FE(2.0L)および2AD-FTV(2.2Lディーゼル、135ps)、2AD-FHV(2.2Lディーゼル、180ps)エンジンを搭載したモデルもある。なお、ディーゼルエンジンと組み合わされるトランスミッションは6MTのみとなっている。また、欧州向け右ハンドル車(主にイギリス向け)は、豊田自動織機のみでの製造となっている。

日本では、フロントエンブレムに従来のトヨタマークではなく“N”をかたどったエンブレムを採用。これはネッツ店で専売となった車種に順次採用されている。なお、ネッツ店専売モデルになったことで販売店区別であったサブネームの「J」と「L」が消滅し、RAV4に車名統合された。これらの取扱車種の統廃合によってRAV4と同じく、カローラ店ネッツ店で併売されていたクルーガーはカローラ店の専売モデルとなったが、2007年6月にRAV4ロングボディの日本仕様であるヴァンガードを後継に、発売中止となった。

製作工場はトヨタ自動車田原工場、及び豊田自動織機長草工場、中国天津の一汽豐田天津工場である。

2007年9月6日には、特別仕様車X Limitedを発売。

2008年9月1日、マイナーチェンジ。エクステリアをグレードごとに差別化したほか、スペアタイヤを廃した新グレード「STYLE」を追加した一方で「G」を廃止。

2009年10月20日、韓国トヨタにより韓国市場にて発売を開始。ロングボディ採用の北米仕様をベースとしている。

2012年5月、アメリカ・カリフォルニア州においてテスラ・モーターズとの提携商品となる電気自動車「RAV4 EV」を年内に発売すると発表。1回の充電で100マイル(約160km)の走行を可能とした。

2012年12月3日、一部改良。S-VSC(ステアリング協調車両安定性制御システム)、ヒルスタートアシストコントロール&ダウンヒルアシストコントロール制御システム、ステアリングスイッチ(オーディオスイッチ)を標準装備。併せて、既存グレードを「STYLE」に集約し、グレーメタリック塗装の18インチアルミホイールやカラードオーバーフェンダーなどを装備した「STYLE"S Package"」を新設。また、JC08モード燃費に対応した。

4代目(2013年 - )

テンプレート:Infobox 自動車のスペック表

2012年11月開催のロサンゼルス・モーターショーにてワールドプレミアを行い、翌2013年1月より北米市場に、また欧州市場には同年3月に投入された[1][2]。韓国においても2013年中盤に販売を開始。なお日本では2013年11月13日に公式発表された3代目ハリアーが4代目RAV4のプラットフォームを使用した兄弟車として優先販売する関係で2014年秋ごろの登場予定。北米仕様のエンジンは2.5Lとなり、トランスミッションは4速ATから6速ATに変更される。欧州仕様は先代同様の2.0Lガソリン、2.2Lディーゼルに加え、新開発の2.0Lディーゼルを搭載する。 テンプレート:-

取扱い販売店

2代目まではRAV4Lはトヨタカローラ店系、RAV4Jはネッツ店(旧トヨタオート店)系にて取扱っていたが、3代目はネッツ店専売となった。

車名の由来

Recreational Active Vehicle 4Wheel Drive を略したもの。

またRAV4LのLはLiberty、RAV4JのJはJoyfulを表す。

脚注

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関連項目

外部リンク

テンプレート:Sister テンプレート:トヨタ車種年表 テンプレート:Toyota Corolla Timeline テンプレート:Netz Timeline

テンプレート:自動車
  1. トヨタ RAV4 新型、米国価格は2万3300ドルから - Responce、2012年12月19日配信
  2. トヨタ RAV4 新型、欧州仕様に最新クリーンディーゼル - Respoce、2012年12月11日配信