トヨタ・クイックデリバリー

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ファイル:Toyota QD200 212.JPG
QD200ハイブリッド
シート座面、
フロア、
ステップの関係を示す

クイックデリバリーQuick Delivery )は1982年(2t級は1986年)から2011年までに生産された、トヨタ自動車ウォークスルータイプ配送車(デリバリーバン)である。

なお、この項では同系列である「ダイナ/トヨエース・アーバンサポーター」についても記述する。

概要

もともとは、ヤマト運輸(現・ヤマトホールディングス)の「車内での作業時でも腰をかがめる必要のない天井が高い車がほしい」という依頼を受けて開発された。ウォークスルーバンとは、運転席から左側ドアや荷室に、車内を容易に移動できるクルマである。その車体構造を生かし、移動販売車や簡易キャンパーなどにも使われる。

ダイナトヨエースハイエーストラックのジャストローシャーシの上に背の高い箱型車体を架装したもので、組み立てはフレーム付き車両を得意とするアラコ(現・トヨタ車体)が担当。当初は「ダイナ・クイックデリバリー」「トヨエース・クイックデリバリー」(積載量2t級)、「ハイエース・クイックデリバリー」(積載量1t級)のように、積載量および販売店で車名が分けられていた。後に車名が「200」(2t積)「100」(1t積)にそれぞれ変更されている。ヤマト運輸では両方が使われており、積雪寒冷地では4WD車も導入されている。

2t積・1t積ともに車体はほぼ共通であるが、サスペンションスプリングブレーキをはじめ、デフホーシングプロペラシャフトなどのドライブトレインは2t積の「U系」と1t積の「Y系」では対許容荷重や容量が異なる。

エンジンはダイナ、トヨエース、200がトヨタ・ダイハツ共同開発の、トラック用のヘビーデューティーな「B系」ディーゼルエンジンを、ハイエース、100は乗用ピックアップトラック用のライトデューティーな「L系」ディーゼルエンジンを積む。2006年平成18年)10月以降、QD200のエンジンは、ハイブリッドシステムが追加された日野製のN04C-TNへ変更されている。

トランスミッションはどちらにも5MT4ATがあり、ともにコラムシフトであるが、やはり最大トルク許容量で分かれている。

少量生産ゆえ、メーカー希望小売価格消費税込みで550万円を超える。開発依頼元のヤマト運輸ですら、クイックデリバリー生産終了直前には圧倒的に安上がりなごく普通の2tトラックを導入することが多くなっていた。

2011年(平成23年)で生産・販売が中止された。

歴史

初代(1982年-1985年)

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  • 1982年昭和57年)9月 ハイエースクイックデリバリー(積載1.25t)登場。ヤマト運輸では"S号車"と呼称。
    • ちなみに初代はタミヤからプラモデルとして商品化されるが、ヤマト運輸がクロネコのマークを第三者に商業利用させない、かつ自社車両の塗装デザインを販売品には利用させないとしていることからヤマト運輸関連のデザインが使用できず、イメージカラーは佐川急便のものとなっていた。2013年平成25年)7月にはタミヤ仕様として再発売(リニューアル)された。
    • 神奈川県川崎市にある聖マリアンナ医科大学病院では、クイックデリバリーの車体を拡大し、2t級のダイナのシャシを流用したドクターカーが配備されていた。

2代目

1.25t系(1985年-2000年)

  • 1985年昭和60年)12月 フルモデルチェンジ。スタイルは初代のイメージを残している。
  • 1987年昭和62年)10月 4WD車を追加。
  • 1991年平成3年) マイナーチェンジ。サイドパネルの凸凹が省略され、外観がスマートになった。
  • 1995年平成7年) マイナーチェンジ。搭載エンジンを2.4リッターの「2L型」から2.8リッターの「3L型」に変更し、平成6年排出ガス規制適合。
  • 2000年平成12年) 生産終了。

ザ!鉄腕!DASH!!』の「DASH 0円食堂」のキッチンカーのベース車として廃車寸前だった恐らく1995年にマイナーチェンジした時のモデルを使用。 テンプレート:-

2トン積系(1985年-1999年)

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BU68VH・RZU68VH

  • 1985年(昭和60年)12月 新たに積載量2tが追加。ダイナクイックデリバリー / トヨエースクイックデリバリーとして登場。ヤマトでは"N号車"と呼称。
  • 1991年(平成3年) マイナーチェンジ。サイドパネルの凸凹が省略され、スマートな外観になった。
  • 1995年(平成7年)5月 マイナーチェンジ。2t積系の名称はクイックデリバリー200(略称はQD200)となる。
    エンジンを3.0リッターの2代目「B型」から3.4リッターの「3B型」へ変更し、平成6年排出ガス規制に適合。フロントマスクと内装が変更された。また、LPGエンジン2.7Lの「3RZ-FP」が搭載されたモデルも登場した。
  • 2代目の2t系は1999年(平成11年)にフルモデルチェンジされたが、1.25t系は2000年(平成12年)まで継続生産された。

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3代目(1999年-2011年)

BU28#K・#ZU28#K・XKU28#K

  • 1999年(平成11年)8月18日 2t積系のみモデルチェンジ。カウルトップの位置が低くなり、フロントウインドシールドや車体上半が丸みを帯びたスタイルとなる。ホイールボルトがPCD139.7 mmの6本から、203.2 mmの5本に変更となる (ホイールハブ穴径146 mm)。
    搭載エンジンは3.66リッターの「4B型」ディーゼルエンジンシフトレバーは先代同様コラムシフトとなるが、フロアシフト感覚で操作できるレバー形状に変更された。
  • 積載量2t系は、2000年(平成12年)以降はヤマト運輸の専用モデル(W号車)となり、一般向けの販売は取り止めとなった。
  • 2000年(平成12年) 先代に続きLPG車設定。エンジンは2.7リッターの「3RZ型」がベースの「3RZ-FP型」で、ヤマト運輸では2000台を超える台数が導入された。
  • 2006年(平成18年)10月25日 マイナーチェンジ。2t系の一般向けの販売が再開され、ハイブリッドシステムを採用した日野インタークーラーターボディーゼルエンジン「N04C型」(直噴コモンレール式)が搭載された。トランスミッションコラムシフトの5MTのみである。なお、ハイブリッド車の最大積載量は2.00tから1.95tに変更された。
  • 2007年(平成19年)9月4日 マイナーチェンジ。ファイナルギアの変更等により燃費を6%向上させ、「平成27年度重量車燃費基準」を達成した。「低排出ガス車」の認定を国土交通省より取得しておりグリーン税制による減税措置対象車。
  • 2008年(平成20年)9月1日 希望小売価格を改定。マイナーチェンジ当初から税込15.75万円値上げされた。
  • 2009年(平成21年)9月1日 W号車の車番が一杯になったため、次から新車で登録する車番はR号車の空き番号を利用したものになった。また最大積載量も1.70tに変更となった。
  • 2011年(平成23年)生産・販売中止。

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アーバンサポーター(2001-2003年)

テンプレート:Double image aside 2WD:LY228K

4WD:LY270

  • 2001年(平成13年) クイックデリバリー100に代わる一般向けモデルとして、軽積載モデルのY200系ダイナ/トヨエースをベースとした「アーバンサポーター」(積載量1.25t系)へ移行。搭載エンジンは3.0リッターの「5L型」。4WDも設定され、陸上自衛隊にも納入されている。
  • 2003年(平成15年) 生産終了。

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販売店

ライバル車種

関連項目

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外部リンク

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