トムラウシ山

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

テンプレート:Infobox 山

トムラウシ山(トムラウシやま)は、北海道中央部、上川管内美瑛町十勝管内新得町の境にそびえる大雪山系南部の標高2,141 m。「大雪の奥座敷」と称される。日本百名山に選定されている[1]

概要

トムラウシとは、アイヌ語で「花の多いところ」を意味するとも、「水垢が多いところ」の意だともいわれる。30〜10万年前に活動した火山で、山頂に溶岩ドームがあり、麓の新得町側にはトムラウシ温泉がある。国土地理院一等三角点の名称は、「富良牛山」と記されているが[2]、これはアイヌ語起源の地名によく用いられる当て字である。

火山であり、山頂には噴火口もあるが、現在は完全に活動を停止している。噴火口は一部が崩れていてU字型になっている。山の上部は森林限界ハイマツ帯で、池塘や沼が点在し高山植物が群生している箇所がある。山頂部の溶岩台地には大きな岩が積み重なり「ロックガーデン」と呼ばれ、ナキウサギの生息地になっている。山域は1934年(昭和5年)に大雪山国立公園の特別保護地区に指定された[3]

登山

1926年(大正15年)5月に、北海道大学山岳部のパーティーが積雪期の初登頂をした[4]

登山ルート

ファイル:Primula cuneifolia in Midoridake Hokkaido 2006-8-5.jpg
大雪山系で見られるエゾコザクラ

登山ルートは、新得町・トムラウシ温泉からのもの、東川町天人峡温泉からのもの、北から白雲岳忠別岳を経る縦走路などがあるが、かなり奥深い山であるため、最短ルートの新得町からのルートを用いても山頂まで6〜7時間はかかり、山小屋などの設備も少ない。

その上、天候が崩れると夏でも気温は摂氏8〜10度、体感温度氷点下まで下がることがある。これによる気象遭難事故も度々起きているため、登頂にはツェルト固形燃料などの非常用装備夏季でも秋季の北アルプス並の防寒具の持参・経験者の同行が求められる。

しかし、奥深い山である故に、広大な花畑や湖沼などの大自然が荒らされることなく残されており、多くの登山者が憧れてやまない存在である。特に上記の北から縦走してくるルートは、大雪山系の雄大さを余すところなく堪能できる日本屈指の名ルートである。山頂の北側には北沼があり、その北側は「日本庭園」と呼ばれ、岩が点在しチングルマエゾノツガザクラなどの高山植物が見られる。山頂の南東部には南沼があり、イワヒゲエゾコザクラコマクサなどの高山植物が見られる。その南は「トムラウシ公園」と呼ばれ、エゾノハクサンイチゲなどの高山植物が見られる。

周辺の施設

登山道周辺には、避難小屋キャンプ指定地がある[5]。最寄りの山小屋は、無人のヒサゴ沼避難小屋で、南のトムラウシ温泉には国民宿舎東大雪荘がある。

名称 所在地 標高
(m)
トムラウシ山からの
方角と距離(km)
収容
人数
キャンプ
指定地
備考
白雲岳避難小屋 白雲岳の南東の肩 1,990 テンプレート:Direction2 15.5
60
テント80張 夏期のみ管理人在中
忠別岳避難小屋 忠別岳と五色岳の中間点東 1,620 テンプレート:Direction2 6.9
30
テント15張 無人
ヒサゴ沼避難小屋 ヒサゴ沼畔 1,600 テンプレート:Direction2 3.0
30
テント30張 無人
南沼キャンプ指定地 南沼の西 1,950 テンプレート:Direction2 0.7 テント20張
国民宿舎東大雪荘 トムラウシ温泉 650 テンプレート:Direction2 7.6
118
テント50張 通年営業、登山口

遭難事故

夏場でも2件の死亡事故例が報告されている。

地理

周辺の山

大雪山の白雲岳と忠別岳を経て、オプタテシケ山十勝岳へ延びる稜線上にある。忠別岳との間には、五色岳(1,868m)と化雲岳(1,954m)があり、オプタテシケ山との間には、ツリガネ山(1,708m)とコスマヌプリ(1,626m)がある。山頂から南東2.3kmの位置には、前トムラウシ山(1,649m)がある。

山容 山名 標高
(m)
三角点等級
基準点名[2]
トムラウシ山からの
方角と距離(km)
備考
姿見から望む旭岳 旭岳 2,290.89  一等
「瓊多窟」
テンプレート:Direction2 15.2 北海道の最高峰
日本百名山
ニペソツ山から望む石狩岳 石狩岳 1,967 テンプレート:Direction2 14.2 日本二百名山
高根ヶ原から望む忠別岳 忠別岳 1,962.75  二等
「忠別岳」
テンプレート:Direction2 8.0 忠別岳避難小屋
忠別岳から望むトムラウシ山 トムラウシ山 2,141.19  一等
「富良牛山」
テンプレート:Direction2 0  日本百名山
天狗岳から望むニペソツ山 ニペソツ山 2,012.88  三等
「二塀卒山」
テンプレート:Direction2 16.8 日本二百名山
美瑛岳から望むオプタテシケ山と美瑛富士 オプタテシケ山 2,012.48  三等
「美瑛岳」
テンプレート:Direction2 10.1 日本三百名山
美瑛岳から望む十勝岳 十勝岳 2,077 テンプレート:Direction2 17.9 日本百名山

源流の河川

以下の源流の河川は、それぞれ石狩湾太平洋に流れる。

  • クワウンナイ川 (石狩川水系忠別川支流
  • トムラウシ川、パンケトムラウシ川、カムイサンケナイ川、ユウトウムラウシ川 (十勝川の支流)

トムラウシ山の風景

美瑛から望むトムラウシ山 北沼とトムラウシ山 トムラウシ山から望む大雪山と北沼

テレビ番組

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ テンプレート:Reflist

参考文献

関連項目

テンプレート:Sister

外部リンク

テンプレート:大雪山 テンプレート:日本百名山 テンプレート:一等三角点百名山 テンプレート:北海道百名山 テンプレート:北海道の百名山

テンプレート:Mountain-stub
  1. 『日本百名山』深田久弥(著)、朝日新聞社、1982年、ISBN 4-02-260871-4
  2. 2.0 2.1 引用エラー: 無効な <ref> タグです。 「kijyun」という名前の引用句に対するテキストが指定されていません
  3. テンプレート:Cite web
  4. テンプレート:Cite book
  5. テンプレート:Cite book
  6. 遭難事故 2002年7月トムラウシ
  7. 大雪山系で遭難、10人死亡北海道新聞、2009年7月17日)
  8. テンプレート:Cite web
  9. テンプレート:Cite web
  10. テンプレート:Cite web