トッカータとフーガニ短調

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テンプレート:Sound テンプレート:Portal クラシック音楽 トッカータとフーガ ニ短調テンプレート:LlangBWV565は、ヨハン・ゼバスティアン・バッハが作曲したオルガン曲である。

解説

数多いヨハン・ゼバスティアン・バッハ(以下バッハ)のオルガン曲のなかでも特に人気の高い作品のひとつである。演奏時間は8~12分程度。トッカータ部の演奏時間は3分足らずで、強烈な旋律で始まる。全体的に急速であり重厚感を併せ持つ。フーガ部は、4声体で書かれてはいるものの対旋律の性格が弱く、他のバッハのフーガと比べると比較的単純な構成になっている。楽想が絡み合うような濃厚なものではなく、強弱をつけながら連なり出会うといった簡素なものであるが、重厚感は強い。演奏の難易度は比較的高めではあるが他のバッハのオルガン作品と比較すれば平易である。

本作はもともとはヴァイオリン用で、後にオルガン用に編曲されたという説もあり[1]、復元を試みヴァイオリン・ソロ用に編曲した版(アンドリュー・マンゼら複数ある)による録音もリリースされている。

カール・タウジヒフェルッチョ・ブゾーニマックス・レーガーらの編曲がピアノで演奏されることも多く、レオポルド・ストコフスキー編曲の管弦楽版もある。とりわけ開始部は非常に有名であり、喜劇などにもパロディ的に用いられることがある。突然訪れた悲劇を面白おかしく強調する様な場合に用いられる。

偽作説

この作品には偽作説がある。一般にはバッハの最も初期の作品と言われているが、他のフーガとは異なった趣を持ち、また曲の規模のわりに内容が平易であるといったことも特異である。

偽作説の根拠は

  • バッハの自筆譜が現存せず、最も古い筆写譜が18世紀後半のものであること。
  • フーガの書法が異例であること。特に主題が単独で提示されるオルガンフーガ、および短調の変終止で終わるオルガン・フーガはバッハの全生涯を通じて他に例がないこと。
  • いささか表面的な減7の和音の効果や技巧の誇示が認められること。

などが挙げられる。ロルフ・ディートリッヒ・クラウス Rolf Dietrich Claus は、この曲の作者をテューリンゲン地方のオルガニスト、ペーター・ケルナーJohann Peter Kellner, 1705年 - 1772年)としている[2]。なお、フーガ主題の前半はブクステフーデのオルガン作品《前奏曲とフーガ ニ短調BuxWV140》に見られる。

トッカータとフーガニ短調を題材にした作品

  • おそ松くん 2作目48話「ゼン寺修行で六つ子もよい子」(詐欺師が修行で茨の道を歩くシーンにて使用)
  • おぼっちゃまくん 28話「へけゃ~しゅ!よーしゃなく厳しい戦い」(公園で茶魔の狡猾さを見兼ねて亀光が激昂するシーンにて使用)
  • ファンタジア(レオポルド・ストコフスキー編曲の管弦楽版で演奏)
  • ジャイラス

脚注

テンプレート:Reflist

関連項目

テンプレート:Commons category

  • 嘉門達夫 - この曲をベースに「鼻から牛乳」を制作

外部リンク

楽譜
録音
楽譜、動画など
ピアノ用編曲

テンプレート:ファンタジア

  1. 「こんな曲、ぼく知らないよ」とバッハいい
  2. Claus, Rolf-Dietrich. 1998. Zur Echtheit von Toccata und Fuge d-moll BWV 565. Verlag Dohr, 2nd ed. Cologne. ISBN 3-925366-37-7. (ドイツ語)。参考:Yo Tomitaによるレビュー.