ソル・フィース

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ソル・フィース』(SOL-FEACE)は、ウルフチームが開発した横スクロールのシューティングゲーム1990年11月にX68000で発売(5インチフロッピーディスク3枚)。翌1991年メガCDに移植された。

概要

8方向移動とショットボタンで自機を操作。 ステージ最後には大きなボスが登場し、撃破することで1ステージクリア。全7ステージの構成。5面以降のコンティニューは全て5面からの再開となる。

X68000版は、ディスク3枚組の1枚まるまるオープニングに使用。オープニングを見ない場合は、残りの2枚で起動できる。オープニングは手描きCGによるちょっとしたアニメになっており、パイロット2人が敵の猛攻を潜り抜け、1面ボスを撃破する内容になっている。テンポのよい音楽とのコラボレーションにより、爽快感溢れる仕上がりになっており、発売当時はそこそこ高い評価を得ていた。

もともとアーネストエヴァンズ同様ROMカートリッジ版の企画がセガの要望からメガCD作品へと変わったという経緯があり、メガCDのハードウェアスペックのアピールのため、スプライトの回転拡大縮小機能を多用していると宣伝された。しかしメガCDの回転拡大縮小機能自体がBIOSに組み込まれたソフトウェアで行っており(ソニック・ザ・ヘッジホッグで初使用)、北米でリリースされたROMカートリッジ版でも同じプログラムを使用している為に回転拡大などの画面効果に差異はない。 また、メガCDの他の機能(追加のMC68000やPCM音源)を一切使用していない。

自機

自機は3つの砲を備えており、上下左右の移動に連動して自機上下の砲の角度が変化するのが特徴である。 パワーアップアイテムを獲得する際に接触した方向の砲にアイテムが適用される。 パワーアップアイテムは段階的に強くなるものではなく、威力は一定。出現場所がほぼ固定のため、パターン化することにより攻略を確立することが出来た。

両翼に異なる武器を装備するアイディアは1986年シルフィードに通じるものがある。

アーケードシューティングからよりもパソコンシューティングからのアイディア流用が多いのが特徴。

特徴

細かい実験的なアイデアが多数盛り込まれている。

  • 攻撃がショットボタンのみ。
  • 側壁に接触ミスにはならず跳ね返されるだけで済む。ただし正面からの追突はミスになる。
  • 当たり判定が特定部位にしかなく、その部分以外はすり抜け可能な敵キャラクター。
  • 多関節キャラクターの多用。
  • 曲射レーザーを多関節で表現。
  • 前移動時に自機後方に出るバックファイアーで敵を倒せる。
  • 破壊できない浮遊物を打ち続けることで、浮遊物の進行方向を変更できる。

今でこそ曲射レーザーは一般的になっているが、家庭向けオリジナル作で実装したのはこの作品が初である[1]

また、製作者はマイコンBASICマガジンへのゲームプログラム投稿の常連であるBug太郎である事も知られ、同誌では愛情ある紹介記事が書かれている。

難易度

自機の当たり判定は小さくはないにも関わらず敵弾一撃でミスとなり、武器を全て失った状態でその場復帰となるため難易度は高いと言える。上下の接触ではミスにはならないとは言え、地形と敵と弾のコンビネーションで強制スクロールとなるステージが多く、また、4面等では背後から敵が迫り来るが、自分が逆を向けないなどの辛い場面も多かった。特に曲射レーザー(追尾型)など多彩な攻撃をしてくる6面のボスや7面は、極端に難易度が高く、多くのユーザーが挫折を味わった。

サウンド

他のウルフチーム作品同様、桜庭統が担当。

X68000版は、先に発売している、グラナダFZ戦記アクシス同様、内蔵のFM音源の他にMIDIに対応。ローランドMT-32, CM-32LLA音源のほかにCM-64(CM-32P)のPCM音源にも対応し、かなり完成度の高い作品に仕上がっている。 ただMIDI音源のエンディング曲は内蔵のFM音源と比べてテンポのズレが生じ違和感がある。意図的なものなのか、不具合なのかは不明。

メガCD版は、X68000版のMIDI音源(CM-64版)をベースによりグレードアップさせたものとなっている。 しかしモノラル録音の上、ステージ1用BGMにはCDのプレス工程で紛れたと思しきノイズが入っており、加えてCD-DA部分にはBGMだけではなくSE(効果音)がミックスされているなど、サウンドトラックとして聴くにはかなり難がある。ただし、海外版(Sega-CD版)はCD-DAからSEが除去されており、サントラとしての鑑賞には全く問題はない。

海外版の「SOL-DEACE」はROMカートリッジ形態で発売され、サウンドはX68000版を元にしたFM音源となっている。

EggMusicブランドでサウンドトラックのオンライン販売が行われている。オンライン販売のみで、CD化はされていない。X68000版では、内蔵FM音源+ADPCM、MIDI(MT-32、CM-64)の両方の計3種、メガドライブ版ではメガCD版、海外版の「SOL-DEACE」の音源の計2種が収録されている。

  • ソルフィース X68000サウンドトラックス
  • ソルフィース メガドライブ・サウンドトラックス

移植

1991年12月12日:メガCD

移植に際して声優(塩沢兼人冬馬由美)を起用したオープニング、エンディングが追加された。

その他

  • 自機のスピードはゲーム開始前の環境設定画面で行なうという奇抜なものになっている。
  • X68000版は特定のキーを押しながら起動することで、オープニングが「民明書房版」と呼ばれるジョークOPに変更される。
  • 海外版は北米、欧州ともにCD版は原題の「SOL-FEACE」がそのまま使われているが、北米のみリリースされたROMカートリッジ版では「SOL-DEACE」に変更されている。これは英語ではFEACE(造語)が英語のfilth(汚物)と発音が似ているとの判断が働いたものである。
  • 海外版のボックスアートは北米CD版のみがファンタジーゾン風のカラフルなものに変更されている(北米ROM版および欧州CD版は日本と同じイラストが使われている)。

脚注

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  1. アーケードではロストワールド、家庭用ではその移植作のフォゴットンワールズが本作に先行している。

関連作品

外部リンク