スヌーピー

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株式会社ファミリア本社(旧三菱銀行神戸支店)のスヌーピー像

スヌーピーSnoopy)は、アメリカ漫画家チャールズ・モンロー・シュルツが1950年から書き始めた漫画『ピーナッツ』に登場するビーグル犬。性別はオス。作品の主人公チャーリー・ブラウン少年の飼い犬である。趣味は変装、スポーツ、小説の執筆など多岐にわたる。

生まれた場所はデイジーヒル子犬園で、8匹兄弟の1匹。誕生秘話を語るアニメ作品もある[1]。漫画への初登場は、連載開始から2日後の1950年10月4日のことである。

世界的に知られるキャラクターであり、その愛らしさから日本でも人気が高い。日本においては、スヌーピーという名前自体が漫画『ピーナッツ』を指す代名詞となっている。

名前のSnoopyは、snoop(うろうろ嗅ぎ回る、詮索する)から来ている。

キャラクター

概要

チャーリー・ブラウンの飼い犬である。お互いの絆は強いのだが、いつまでたってもチャーリーの名前を覚えず「丸頭の男の子(round-headed boy)」と呼んでいる。

チャーリーがスヌーピーの飼い主となる前には、ライラという少女によって飼われていた。しかしペット禁止の所へ引っ越すこととなり、飼えなくなったため、いったん生まれ故郷のデイジーヒル子犬園へと戻されていた。チャーリーがスヌーピーを飼う事になった経緯は漫画『ピーナッツ』によると以下の通りである。あるとき幼いチャーリーが砂場で遊んでいると、隣にいた見知らぬ子供に頭からバケツいっぱいの砂を浴びせかけられた。彼は泣き出し、母親が慌てて家へと連れ帰った。翌日チャーリーの両親は彼を車でデイジーヒル子犬園へと連れてゆき一匹の仔犬を買い与えた、というものである。アニメ版では、新聞広告を見たチャーリーがライナスとともに引き取りにでかけ、5ドルで引きとった[1]ことになっている。

誕生日は8月10日。初めは、この日か8月28日かはっきりしなかったが[2]2011年6月1日付のソニー・クリエイティブプロダクツ発行のプレスリリース[3]及び同年7月4日付の日本のスヌーピー公式サイト(下記リンクを参照のこと)発行のメールマガジン111号にて、それが8月10日に決定したことが発表され、これに伴い、同サイトでは、スヌーピーのバースデー特設サイトをオープンさせた[4]

性格・特徴

ナルシシストでもあり、「水皿の水にぼくのかおがうつっている。ぼくはのどが渇いているけど、この水をのみほせばぼくのかおは見られなくなる。ならぼくを見ているほうがいいや」といった発言もある。

好きな食べ物はドッグフードはもちろんのこと、チョコチップクッキーやピザ、アイスクリーム、ルートビアなど。しかし、大好物である筈のチョコチップクッキーや、アーモンドクッキーのような「食べ物が中に入っている食べ物」は嫌いだと言っていたこともあった。彼は犬歯をはじめとした犬の歯並びをしておらず、人間と同じ歯並びをしているのが、「いたずらスヌーピー」の作中でにんまり笑った時に確認できる(かなりキレイな歯並びをしている)。

ウッドストックが大親友であり、彼の言葉を理解できるキャラクターである。他にウッドストックの言葉を理解できるキャラクターは兄弟のスパイクなどいるが、ウッドストックの仲間たちとコミュニケーションや区別が出来るのはスヌーピーだけである。スヌーピーのお腹の上で寝たり、アイスホッケーで遊ぶなど仲良しコンビである。母の日にはいっしょに空を眺めそれぞれの母親を想ったりする。 猟犬であるにも関わらずウサギが大好きであり、弁護士の変装をしてピーターラビットと思われるウサギの弁護を行ったり、ウサギ達もスヌーピーが病院に入院すると見舞いに行くほどである。

苦手な物は隣に住む(名前はWW2、すなわち「第二次世界大戦」。シュルツは第二次世界大戦に従軍している)やココナッツ(作者自身が苦手だった。スヌーピーに限らず、『ピーナッツ』の登場人物の多くがココナッツを嫌う描写がある)、ビーツなど。フリーダの飼い猫・ファーロンとも仲が悪い。閉所恐怖症なので犬小屋の屋根の上で眠る。眠っていても屋根から落ちないのは作者曰く「渡り鳥の足と同じで、耳の筋肉が収縮して屋根につかまって落ちないようにしているから」らしい。

視力が悪く普段はコンタクトレンズを着けている。後悔していることは髭を生やさなかったことなど。恋多き性格で、何度か結婚寸前まで話が進んだこともあるがいずれも破局。結婚式の直前に媒酌人を頼んだ兄のスパイクに婚約者を奪われたこともあり、そのこともあってかガールハントの対象は女の子になってしまった。スポーツ万能で漫画の中では様々なスポーツに挑戦している。チャーリー・ブラウンの野球チームでも不動のショート。冬の時期はアイスホッケーにいそしみ、1980年頃からスケートリンクの製氷車、ザンボーニの運転を始め、1991年には「世界一のザンボーニ・ドライバー」としてザンボニー社から表彰されている。さらに耳を回転させることにより、ヘリコプターのように飛行することが可能。成犬になってからは背中に大きな黒斑があるのだが、めったに描かれない(背を見せるシーンがない)。

ルーシー、ペパーミント・パティ、マーシーと言った女の子に対して、挨拶代わりや落ち込んでいる時等の慰めとして、キスをする事がしばしばある。ただし、稀にチャーリーにもキスをする事がある。

作品内での扱い

初登場は1950年10月4日。連載当初は普通のビーグル犬だったが、回が進むごとに知的になっていった。1952年5月27日には、頭の中で考えていることが吹き出しのセリフとして描かれるようになる(吠える描写はあるものの、人間の言葉は喋れないため)。1957年6月28日には直立二足歩行ができるようになった。ついには著作活動を始め、弁護士医者、果ては戦闘機操縦士といった変装をするようにもなった。

スヌーピーの吹き出しによるセリフは、実際に喋っているものではないが、飼い主のチャーリー・ブラウン、そして、まれにライナスにはスヌーピーの考えていることが通じていると思われる描写もある(なお作者は「実際の言葉」と「頭の中で考えていること」を吹き出しの下部の形で区別する手法を取っている)。また、空想のなかではフランス語を巧みに操り、フランス語の素養のあるマーシーをルートビア片手に誘う描写も多い。

シュルツはこのキャラクターに当初、Sniffyという名前を考えていたが、他の漫画作品ですでに使用されていた。そこで、自身の母親が亡くなる少し前に「次に犬を飼うときはスヌーピーという名にしよう」と発言していたことをヒントに、スヌーピーと名付けた経緯がある。

犬小屋

彼の住んでいる犬小屋は、外見では想像できないほど広い。スヌーピーやチャーリー・ブラウンの話では地下室に繋がる階段があり、地下室の玄関ホールにはカーペットが敷いてあり、観葉植物が置かれていたりテレビやエアコン、さらには卓球台やビリヤード台までもが設置してあるという。しかもいくつかの部屋に区切られており、図書室などもある。ライナスが逃げ込んだりテレビを見ていたりすることもある。かつてはゴッホの絵が飾られており(1966年9月19日の火事で焼失)、現在はワイエスの絵が飾られている。時々チャーリー・ブラウンやライナス、シュローダーが彼の家の大掃除を手伝う。

犬小屋は、スヌーピーが隣の猫をからかうたびに頻繁に破壊され、飛行機や、また後述のレッド・バロンのエピソードでは戦闘機となり、撃たれて穴が空いたり煙を吹き上げたりする。

初期は斜めから見たアングルでも描かれていたが(焼失した際にも周囲を巡る話がある)、次第に横から見た図しか描かれなくなった。作者によれば、犬小屋も横からしか描かなければ、読者もスヌーピーの「なりきり」(例えば、飛行士に扮したスヌーピーにとっては、単なる犬小屋も戦闘機である)により感情移入できるのではないかと考えたからだという。地下室のネタもこの頃から始まっている。

犬小屋を作ったのはチャーリー・ブラウンだが、彼の不器用さにスヌーピーが蹴りを入れて直したエピソードがある。

ごはん皿、水皿

スヌーピーはさまざまな色の皿を持っているが、通常は赤い皿をごはん皿、黄色い皿を水皿として使用している。しかし、皿の種類を区別できていない(イヌは色盲だから当然だが)。皿の直径は10.25cm(皿を5280回廻ると1マイルということから)。皿は虫達の競技大会のスタジアムとして使用されることもある。冬には皿に乗って、ソリ遊びのようにして楽しむ。

ごはん皿はスヌーピーにとって重要なアイテムである。旅に出かける際にも、ごはん皿を帽子のように被りどこにでも持ち歩く。しかし、食いしん坊のスヌーピーはドッグフードを食べる際に皿を嘗め回すので、すぐに皿の底に穴を開けてしまう。その消費量はすさまじく、これ以上皿を買い換えるならばチャーリー・ブラウンの父親の散髪屋を畳まなければならなくなると言われたほどである。

水皿は犬小屋並みにミステリアスである。この水皿では釣りをすることも出来るし、さらにはホエールウォッチングをすることも出来る。また、水皿に頭を突っ込むことがスヌーピーにとって最高のリラックス法である。

今まで使用していたごはん皿、水皿は全て写真に撮りアルバムに収め、時々眺めては昔を思い出している。

スヌーピーの変装

スヌーピーは知的なキャラクターとなるに従って、多くの仮装(コスプレ)をするようになった。その数は140を超えると言われる。なお、変装の多くは「世界的に有名な…」(The world famous...)という肩書きで始まるものが多い。

ジョー・クール(Joe Cool)
サングラスがトレードマークの大学生。キャンパスをぶらぶらしてガールハントをしている。
第一次世界大戦の撃墜王(The World War 1 Flying Ace)
愛機「ソッピース キャメル」を操縦し、颯爽と大空を駆け巡る操縦士ゴーグル付き飛行帽を被り[5]マフラーを締めた姿で、「フォッカー三葉機(フォッカー Dr.I)」に乗るライバルのレッド・バロンとの空中戦を繰り広げる。夜になると小さなカフェ(マーシーの家。給仕はもちろん彼女)へ行き、ルートビアを楽しむ。ウッドストックが担当整備兵やレッド・バロンの助手”ピンク・バロン”として、また、マーシーがフランス娘役で登場することもある。
11月11日復員軍人の日には、作者の友人で漫画家のビル・モールディンの家に行ってルートビアを酌み交わす。
ベトナム戦争の時期、作者は悩んだ挙句このキャラクターによる漫画を一時封印した。その後も、空中戦のシーンを書くよりも、その背景を描写することが多くなり、それがこのシチュエーションに深みをもたらした。
バンド「ロイヤル・ガーズメン(Royal Guardsmen)」が1967年に「第一次世界大戦の撃墜王」をモチーフとした「Snoopy vs. Red Baron(暁の空中戦)」という歌を歌い、ビルボードの「Hot 100」で2位を記録した。
小説家
毎回「暗い(真っ暗な)嵐の夜だった」(en:It was a dark and stormy night...)[6]ではじまる小説を愛用のタイプライターで書き続けているが、毎回出版社からは送り返されている。唯一出版された本もたった1部で絶版。ルーシーからアドバイスは受けているがあまり参考になっていないようだ。
弁護士
山高帽(驚くと飛ぶ)と黒い蝶ネクタイを着用し、常に鞄を引きずっている。名刺には「破産処理、財産管理、事故処理、医療問題、遺言検認、遺言書作成、そして、犬にかまれたときに」と書かれている。ピーター・ラビット赤ずきんが顧客になったこともある。公判の日に法廷の場所が分からなくなることもしばしば。
ビーグル・スカウト(Beagle scout)
ボーイスカウト。隊員達はウッドストックをはじめとする小鳥達。ところが小鳥達は変わり者ばかりで思わぬ行動を取ってスヌーピーが困惑する事も少なくない。

スヌーピーの兄弟・姉妹・家族

スパイク(Spike)
帽子と髭がトレードマークのスヌーピーの兄。スヌーピーは兄弟の中で彼と一番親しい。他の兄弟と比べるとひょろひょろでかなり痩せているが、本人いわく、痩せているのではなく「スッキリしているんだ」とのこと。ニードルス近辺の荒野に独りで暮らしている。話し相手はサボテンのジョーと岩。サボテンの集会、サボテン・クラブでは会長を務める。不動産事務所を営んでいる。かつては猟犬として人間に飼われていたこともあったが、追いかけていたウサギが道路に飛び出し車にはねられてしまったことにショックを受け、誰も傷つけず、誰にも傷つけられない荒野へ引っ込んだという。スヌーピーの婚約者と駆け落ちしたことがある(その後、当の婚約者はコヨーテと駆け落ちしてしまった)。ミッキーマウスと知り合いで、靴をもらったことがある。実はスヌーピー以外でウッドストックの言葉を理解できるキャラでもある(ウッドストックが月と間違ってニードルズに着いた際、ちゃんと彼と話ができていることから)。スヌーピーの第一次世界大戦の空想世界では一歩兵を務める。ちなみに、彼の名前はスヌーピーのモデルとなった作者少年時代の飼い犬の名前をそのまま使用している。
オラフ(Olaf)
スヌーピーの弟。醜犬コンテストで優勝した経験があるほどの太っちょ。しかし本人いわく、太っているのではなく「ふっくらしているんだ」とのこと。兄弟の中で最も大食いであるが、スヌーピー同様ココナッツは苦手。つぼを口に当て、音を鳴らすことが出来る。
アンディ(Andy)
スヌーピーの兄弟(兄か弟かは不明)。毛がふさふさしているという点を除けばスヌーピーにそっくり。オラフと一緒にスパイクの住む砂漠を捜し続けている。
マーブルス(Marbles)
スヌーピーの弟。名前の通り耳や体の模様がぶち(アニメではぶちは茶色)。スヌーピーの変装癖が理解できずに放浪の旅に出てしまう。
ベル(Belle)
スヌーピーの女きょうだい[7]。パッチリとした目が特徴。現在はティーンエイジャーの息子とカンザスシティに住んでいる。彼女からの手紙を読んだスヌーピーの台詞「あのヤクザ犬は逃げたのか」から、以前は夫あるいは同棲相手がいたと推測される。スヌーピーの第一次世界大戦の空想世界では看護婦を務めている。
ローバー(Rover)
スヌーピーの兄弟(アンディと同様、兄か弟かは不明)。1992年のテレビスペシャル「スヌーピーズ・リユニオン(邦題:スヌーピー誕生)」で登場。『ピーナッツ』の世界では登場していない。
モーリー(Molly)
スヌーピーの女兄弟(アンディと同様、姉か妹かは不明)。ローバーと同様、「スヌーピーズ・リユニオン」で登場していて、『ピーナッツ』の世界では登場していない。
スヌーピーの父親
白髭をたくわえたスヌーピーの父親。フロリダで隠居生活をしている。
ミッシー(Missy)
スヌーピーの母親。家族への手紙を断った。ファックスを持っているらしい。スヌーピーの第一次世界大戦の空想世界では、負傷したスパイクの見舞いのために船に乗ってやってきた。『ピーナッツ』の世界では名前は不明。
ベルの息子
ピンクパンサーに似たひょろりとした体格のティーンエイジャー。母であるベルと共にカンザスシティに住んでいる。  

その他

  • アポロ10号 - 月着陸船のコールサイン(愛称)が「スヌーピー」だった。司令船の名前はチャーリー・ブラウン。またNASAでは宇宙飛行士が使う通信用ヘッドセットを、その形状と色から「スヌーピーキャップ」と呼んでいる。
  • シルバー・スヌーピー賞 - アメリカ航空宇宙局が有人宇宙飛行計画の貢献者に与える賞[8]
  • タレントのSHEILAがスヌーピーが大好きで、翻訳の谷川俊太郎が認めるほど詳しく、それが縁で、スヌーピーとコラボレーションブランドを立ち上げた。[1]。スポーツ界では安藤美姫も大のスヌーピーファンである。
  • スヌープ・ドッグ - 彼が子供の頃に、親から「目がスヌーピーに似ている」という理由で「スヌープ」というあだ名で呼ばれていたのが芸名の由来。
  • SNOOPY×USPP長谷川ミキプロデュース) - QVCがファッションブランドUSPP&キャラクターのコラボが実現。
  • でつ

参考文献

  • Mail Magazine@SNOOPY.co.jp Vol.111(2011年7月4日付、下記の外部リンクにある日本のスヌーピーサイトが発行)
  • Beverly Gherman "SPARKY" (2010)

脚注

テンプレート:Reflist

外部リンク

fr:Peanuts#Snoopy
  1. 1.0 1.1 「Snoopy's Reunion」(1991年作品)
  2. 原作漫画では、1951年8月28日に掲載された話と1968年8月10日に掲載された話においてスヌーピーの誕生日を祝っている。
  3. テンプレート:PDF
  4. スヌーピーのバースデー特設サイト(日本のスヌーピー公式サイトより)
  5. この時代はヘルメットはまだ登場していない
  6. もっとも陳腐な小説の書き出しと考えられていて、英国ヴィクトリア朝のエドワード・バルワー=リトンという作家の『ポール・クリフォード』という小説の書き出しである。サンホセ州立大学にはen:Bulwer-Lytton Fiction Contestというコンテストが設けられ、この書き出しで始まる最も陳腐で最悪な小説を選んでいる。
  7. 日本のスヌーピー公式サイト ピーナッツの仲間たち
  8. テンプレート:Cite web