ジャッカー電撃隊VSゴレンジャー

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テンプレート:注意 テンプレート:Infobox Filmジャッカー電撃隊VSゴレンジャー』(ジャッカーでんげきたい ブイエス ゴレンジャー)は、1978年の春休み東映まんがまつりにて上映された劇場用オリジナル作品。封切は1978年3月18日。併映は『世界名作童話 おやゆび姫』『惑星ロボ ダンガードA 宇宙大海戦』『キャンディ・キャンディ 春の呼び声』『一休さんとやんちゃ姫』の4本。

概要

謎のUFO軍団と、ヨーロッパで仮面ライダーV3と戦っていた鉄面軍団、サハラ砂漠でゴレンジャーと戦っていたサハラ軍団、モンゴルでキカイダーと戦っていた拳闘士軍団が、テレビシリーズ『ジャッカー電撃隊』の劇中で死んだはずの鉄の爪(アイアンクロー)のもとに集結し、犯罪組織クライムを再結成。科学特捜隊の燃料部隊を襲撃し、強奪したウランをもとに水爆を製造して、世界を征服しようとするクライムにジャッカーとゴレンジャーが立ち向かうストーリー。本作は、ジャッカーの完結編である。

ゴレンジャーの5人のうち、変身前の姿はペギー松山(モモレンジャー)しか登場しないが、アオレンジャーとキレンジャーの声はオリジナルキャスト[1]が担当している。またミドレンジャーの声はテレビシリーズのバンクを再使用し、アカレンジャーの声はバンク音声と代役による声を併用した。

東映まんがまつりでは、既にアニメ映画として永井豪原作作品同士が競演する劇場版マジンガーシリーズ(『マジンガーZ対デビルマン』、『グレートマジンガー対ゲッターロボ』など)が先例としてあったが、特撮作品では本作が唯一の競演作品となる。本作では世界各地で他の石森特撮ヒーローが戦っているとの設定がなされ、悪役にも天本、安藤、潮といった各作品で活躍した俳優が起用されるなど、石森ヒーロー作品の集大成的作品となった。

『ジャッカー電撃隊』を最後に、上映当時には多数制作されていた石森章太郎原作の東映特撮作品のほとんどが終了している。

複数のスーパー戦隊が競演し、敵と戦うスタイルは、18年後の1996年から始まったオリジナルビデオ作品シリーズ「スーパー戦隊Vシネマ」に引き継がれている。また、石森原作の東映作品のつながりを映像で明確に描いた数少ない作品のひとつである(「アマゾンでは仮面ライダーアマゾン十面鬼と戦っている」などの言及もある)。

ストーリー

ポーカーで負けた罰として、新宿でカレンの買い物の荷物持ちをさせられていたジャッカーの面々。その上空に突如UFOが現れ、街は混乱に陥った。急遽基地に戻ったジャッカーはスカイエースでこの円盤を追いかける。しかしそのUFOはジャッカーたちをおびき寄せる囮であり、その間に科学特捜隊の燃料部隊が襲撃に遭いウランを強奪されてしまう。

基地に戻ったジャッカーは鯨井長官と番場行動隊長から、クライムは壊滅していなかったことや、クライムが世界中でヒーローたちと戦う「拳闘士軍団」と結束していたことを聞く。

そんな中、「奇怪岬」の水爆製造工場に潜入していたスパイ・001が情報を持ち帰ろうと基地を脱出するが、道中で射殺されてしまう。001の水死体を検分する際、桜井とカレンは怪しい女を見つけ、追跡を開始。追い詰められた女は桜井たちに身分証明書を見せた。「ゴレンジャー」…そう、彼女こそ西サハラから拳闘士軍団を追ってやってきたモモレンジャーことペギー松山であった。001が着ていた服は太陽光線を浴びると文字が浮き出る仕掛けになっており、これはスキュタレー暗号(棒に巻きつけると文章としてわかるようになっている)となっていた。その暗号には「エンバン」「スイバク」の文字、そして書かれた緯度・経度が交わる点には秘密のアジトがあることが記されていた。

さっそく「奇怪岬」に向かったジャッカーとペギー。桜井・カレン・ペギーが東・大地を囮にし、厳重な警戒網を突破して基地に侵入。そこで桜井たちはクライム首領・アイアンクローの作戦の全貌を知る。それは「東京を含む世界7大都市に水爆を落とし、一時的にUFOで宇宙に退避。騒ぎが収まったところに再び地上に降り立ち、世界征服を済ませる」というものであった。しかし桜井たちは発見されてしまい、モモレンジャーとともに基地外に脱出。そこに一度基地に戻っていた東と大地がスカイエースで登場。搭載していた変身カプセルで桜井・カレンも変身してジャッカーが戦闘準備完了。さらに、西サハラからゴレンジャーを乗せたバリドリーンが日本へ帰還した。

こうしてゴレンジャーとジャッカーが揃い、クライム四天王との死闘を開始したのであった。

登場人物

ジャッカー電撃隊

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桜井五郎 / スペードエース
元オリンピック近代五種ゴールドメダリストのサイボーグ。カレンと行動を共にする。クライム四天王との戦いではアカレンジャーと共に地獄拳闘士と戦った。最終的には鉄の爪を倒す。
東竜 / ダイヤジャック
元ボクサーのサイボーグ。大地と共に桜井たちが水爆工場に潜入する際の囮を担当。クライム四天王との戦いではアオレンジャーと共にUFO船長と戦った。
カレン水木 / ハートクイン
元警察官のサイボーグ。冒頭ではポーカーに勝ったことから、桜井たち男性陣に買い物の荷物持ちをさせていた。クライムとの戦いでは恋仲の桜井と行動を共にした。クライム四天王との戦いではモモレンジャーと共に鉄面男爵と戦った。また、モモレンジャーと共にUFOの振り付けを披露し、UFO船長配下の戦闘員を悩殺する一面もあった。
大地文太 / クローバーキング
元海洋学者のサイボーグ。東と共に囮を務めた。クライム四天王との戦いではミドレンジャーと共にサハラ将軍と戦った。同じ怪力戦士であるキレンジャーとは通じるものがあったようで、最後の握手もミドレンジャーとではなく、彼と握手していた。
番場壮吉 / ビッグワン
ジャッカーの行動隊長。ジャッカーとゴレンジャーがピンチに陥った際に参戦し、「ゴレンジャーハリケーン・ビッグボンバー」を考案した。戦闘時の変装は「地元の釣り人」。
鯨井大助
ジャッカーの指揮官であるジョーカー。再び日本支部の長官として活動。ジャッカーにクライムに不穏な動きがあることと世界中で悪と戦うヒーローの存在を語った。
姫 玉三郎
国際科学特捜隊隊員でジャッカーの炊事担当。番場と共に変装した状態で戦場に現れた。

秘密戦隊ゴレンジャー

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アカレンジャー
ゴレンジャーのリーダー。ジャッカーとの共闘ではスペードエースと共に地獄拳闘士と戦う。
アオレンジャー
ゴレンジャーのサブリーダー。ジャッカーとの共闘ではダイヤジャックと共にUFO船長と戦う。
キレンジャー
ゴレンジャーのメンバー。クライム四天王との戦いではジャッカーとコンビは組まなかったが、ビッグワンを讃えたり、同じパワーファイターのクローバーキングと握手をしたりした。
ペギー松山 / モモレンジャー
ゴレンジャーの紅一点。サハラ軍団を追っていた際にジャッカーの桜井とカレンと接触。以降はその2人と行動を共にし、ゴレンジャーの中では最初にジャッカーと共闘した。クライム四天王との戦いではハートクインと共に鉄面男爵と戦う。
ミドレンジャー
ゴレンジャーのメンバー。ジャッカーとの共闘ではクローバーキングと共にサハラ将軍と戦う。ジャッカーとの握手はモモレンジャーと一緒にハートクインと握手した。

犯罪組織「クライム」

テンプレート:Main アイアンクロー(鉄の爪)以外は、本作品のみ登場のオリジナルキャラクター。世界中でヒーローたちと戦っていたが、復活したアイアンクローのもとに集結、クライムを再結成した。全員が合体することで四天王ロボとなる。

アイアンクロー(鉄の爪)
犯罪組織クライムの首領。ジャッカーとの戦いで戦死したと思われたが復活。新生クライムとクライム四天王を率いて再び活動を開始した。以前、シャインから与えられた「太陽系のエンペラー」を名乗る。クライム四天王全滅後、UFOを使って世界各国に水爆を投下しようとするが、自身の爪をビッグワンにすり替えられており、スペードエースに偽の爪をコントロールされ、UFOと共に爆死した。
UFO船長
クライム四天王の一人。謎のUFO軍団を率い、東京上空に飛来した。日本、イギリス、フランス、アメリカ、中国ほか、世界七ヶ国を水爆で攻撃するという作戦を指揮する。
鉄面男爵
クライム四天王の一人。鉄面軍団を率い、ヨーロッパで仮面ライダーV3と戦っていた。武器はボウガンと槍である。
サハラ将軍
クライム四天王の一人。サハラ軍団を率い、サハラ砂漠でゴレンジャーと戦っていた。サブマシンガンと剣を武器とする。
地獄拳師
クライム四天王の一人。拳闘士軍団を率い、モンゴルでキカイダーと戦っていた。拳法の使い手で鉄球が武器。
四天王ロボ
クライム四天王が合体した姿で、体中に砲門を装備している。ゴレンジャーハリケーンやジャッカーコバックすら効果がないほどの強敵だが、ゴレンジャーとジャッカーの共同作戦には適わず、合体攻撃・「ゴレンジャーハリケーン・ビッグボンバー」の前に敗れ、大爆発して果てた。

装備・戦力

ゴレンジャーハリケーン・ビッグボンバー
ゴレンジャーとジャッカー電撃隊の合体技。前期ゴレンジャーハリケーンのパス回しでアカが蹴りこんだエンドボールをビッグワンが受け取りビッグボンバーの弾丸とドッキングさせ、ビッグボンバーで撃ち出す。ゴレンジャーハリケーンとジャッカーコバックが通じなかった四天王ロボをこの技で撃破した。

キャスト

声の出演

スーツアクター

  • 配役に関しては不明。
高橋利道
鈴木弘道
横山稔
古賀弘文
春田三三夫
岡本美登
高橋健二
建部豊
井上清和

スタッフ

備考

  • サハラ軍団戦闘員の衣装は、『ゴレンジャー』のゾルダー(黒十字軍戦闘員)の衣装を流用。
  • 企画時のタイトルは『大鉄人17VSジャッカー電撃隊』であり、ジャッカーと共闘するのはゴレンジャーではなく、ワンセブン(&レッドマフラー隊)だった[3]
  • ジャッカーマシン4台のうち、ハートバギーのみ未登場だった(劇中でカレンはスペードマシーンに乗っていた)。理由は不明。
  • スーパー戦隊シリーズ』において石森章太郎原作としては最終作となり、間隔を置いて再開された『バトルフィーバーJ』からは原作者の名前を八手三郎に譲ることになる[4]

映像ソフト化

  • VHSでは「ジャッカー電撃隊」の1巻に収録。
  • DVD:「スーパー戦隊 THE MOVIE BOX」(2003年6月21日発売)、単巻の1巻(2004年7月21日発売)に収録。
  • BD:「スーパー戦隊 THE MOVIE Blu-ray BOX 1976-1995」(2011年6月21日発売)に収録。

脚注

  1. アオレンジャー(新命明)を演じていた宮内洋はジャッカーでもビッグワン(番場壮吉)として出演していたため、最終的にアオレンジャーは声のみの出演となった。
  2. 二曲をつなぐメドレー風に作成。前者はささきいさおのセリフが入らない(後に「オリジナル・カラオケ」として商品化された)バージョンが使われている。
  3. X文庫『メーキング・オブ・東映ヒーロー(3)メカニカルヒーローの世界』(講談社・1987年) p.100
  4. 『ゴレンジャー』や『ジャッカー』のキャラクターが登場する『百獣戦隊ガオレンジャーVSスーパー戦隊』や『轟轟戦隊ボウケンジャーVSスーパー戦隊』に『海賊戦隊ゴーカイジャー』等では、原作者に加えられているが、基本的に八手三郎原作となっている。

関連項目

外部リンク

テンプレート:スーパー戦隊シリーズ