クサギ

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テンプレート:生物分類表 クサギ(臭木、Clerodendrum trichotomum)は日当たりのよい原野などによく見られるシソ科の落葉小高木。葉に悪臭がある事からこの名がある。日本全国のほか朝鮮、中国に分布する。従来はクマツヅラ科に入れられてきたが、現在はシソ科に移されている。

種小名は、「三分岐」の意味で[1]、花序の枝を指す。

特徴

は大きく、長い葉柄を含めて30cmにもなり、柔らかくて薄く、柔らかな毛を密生する。葉を触ると、一種異様な臭いがするのがこの名の由来である。
は8月頃咲く。花びらは萼から長く突き出してその先で開く。雄しべ、雌しべはその中からさらに突き出す。花弁は白、がくははじめ緑色でしだいに赤くなり、甘い香りがある。 昼間はアゲハチョウ科の大型のチョウが、日が暮れるとスズメガ科の大形のがよく訪花し、受粉に与る。
果実は紺色の液果で秋に熟し、赤いがくが開いて残るためよく目立つ。この果実は鳥に摂食されて種子分散が起きると考えられている。

道ばたなどでよく見かけ、遷移においては、藪の状態の所に侵入する最初の樹木として先駆植物(パイオニア)の典型である。

分布と変異

日本では北海道から九州、琉球列島まで分布し、国外では台湾、中国まで分布がある。四国以南には、葉が長くなり、花序がよりまとまって生じる変種ショウロウクサギ (C. trichotomum var. esculentum) があり、沖縄ではほとんどがこれである。ほかに、葉にほとんど毛がないアマクサギ (C. trichotomum var. yakusimensis) がある。

利用

には名の通り特異なにおいがあるが、茶の他に、ゆでれば食べることができ若葉は山菜として利用される。収穫時には、臭いが鼻につくが、しばらくすると不思議なくらいに臭いを感じなくなる。果実は草木染に使うと媒染剤なしで絹糸を鮮やかな空色に染めることができ、赤いがくからは鉄媒染で渋い灰色の染め上がりを得ることができる。実の青色色素は名古屋大学の佐々木教祐らにより構造が付きとめられ、種小名にちなんでトリコトミン (Trichotomine) と命名されている[2]

また、英語名をharlequin glory bower[3]などといい、欧米では観賞用に栽培される。

日本でクサギそのものが栽培されることは少ないが、栽培は容易。繁殖は挿し木、株分け、根伏せなど。種子以外に根からの不定芽でよく増える。 同属のヒギリ(C. japonicum 、東南アジア原産の常緑低木)、ゲンペイクサギ(C. thomsoniae 、アフリカ 原産の常緑つる性木本)、ボタンクサギ(C. bungei 、中国原産の落葉低木)などは観賞用に栽培される。ボタンクサギは時に野外に逸出して野生状態で生育している。

臭い木

クサギの他にも、以下のように、その臭気のためにクサギの名を持つ木がある。

脚注

  1. テンプレート:Cite book
  2. テンプレート:Cite journal
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外部リンク

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