ガントリークレーン

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ファイル:Gantry crane.jpg
積荷を行うガントリークレーン。新潟東港にて。
ファイル:Nahashinkou gantry.jpg
那覇港のガントリークレーン。那覇空港が近い為ブームが途中で折れる構造になっている。
ファイル:Gantrycrane aomi.jpg
東京港青海コンテナふ頭のガントリークレーン

ガントリークレーン (gantry crane)とは、レール上を移動可能な構造を持つ型(橋脚型)の大型クレーンである[1]港湾の岸壁に設置されてコンテナなどの貨物の積み卸しを行うクレーンを指すことも多く[2][3]特定重要港湾重要港湾のほとんどに設置され、貨物の荷役の効率化で欠かせない機械の一つである。単位輸送(en:Unit load)方式によって、天候にも労働条件にもあまり左右されずに荷役ができる。コンテナクレーン[2]、橋型クレーン[4]、門型起重機[4]、ブリッジクレーン[4]ともいう。「カントリークレーン」は誤表記。 なお、ガントリー(gantry)とは、門型の構造物を指す言葉[5][6]。コンテナーはストラドルキャリアが運ぶ。

構造

ファイル:Gantry crane for Container (illustration) NT.PNG
ガントリー・クレーン
1.オペレータ室 2.ブーム部 3.アウトリーチ 4.スパン 5.バックリーチ 6.機械室 7.レール 8.スプレッダー 9.コンテナ船

ガントリークレーンはエプロン上に平行に敷設されたレール上を左右に移動するために橋ゲタの両端に2本ずつの車輪を備え、巻き上げワイヤーロープが上下移動し、トロリージブクレーンが岸壁と船内を往復することで、岸壁と船内の荷役を円滑に進めることができる。

ガントリークレーンのうちコンテナ荷役に利用されるものには、コンテナを掴むためにスプレッダという専用の装置を備えている。これはコンテナ上部の四隅についているコーナーポケット(=穴)にロックピンを挿入し固定することで30トンもあるコンテナを迅速・確実に運搬する為のものである。

また、吊具(リフター)を取り付けることで、コンテナ荷役だけでなく船舶鉄鋼品工作機械など様々な貨物の荷役を行うことができ、コンテナターミナル以外にも数多く設置されている。

コンテナ船や貨物の大型化に伴い、揚程48.5mを超えるスーパーガントリークレーン、56mを超えるメガガントリークレーンと呼ばれるものや、20フィートコンテナを同時に2個持ち上げられるスプレッダも登場している。

操作

クレーン本体が岸壁と平行に移動することを「走行」といい、スプレッダが岸壁と直角に移動することを「横行」、スプレッダを上昇・下降させることをそれぞれ「巻き上げ・巻き下げ」という。

クレーン上部には運転室が設けられ、「ガンマン」と呼ばれるクレーン・デリック運転士が岸壁や船内の船内荷役作業主任者玉掛作業者と連絡を取りながらクレーン動作の全ての操作を行っている[7]

その他

荷役を行っていない時には海上に張り出したブームをほぼ垂直に上げ、船舶の航行の邪魔にならないようにする。この姿から、キリンの愛称で呼ばれる。
ガントリークレーンは、
・十分な貨物量を持つ客先
・購入、更新、保守の技術及び資金
という条件が常に揃わなければ維持できないため、重要港湾の象徴的な存在となっている。

脚注

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外部リンク

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  • ガントリークレーン - 小学館 デジタル大辞泉コトバンク
  • 2.0 2.1 ガントリークレーン - 神戸港埠頭株式会社WEBサイト
  • 「ガントリークレーンの説明」 - 港湾空港情報:仙台塩釜港(仙台港区)(国土交通省 東北地方整備局 塩釜港湾・空港整備事務所)
  • 4.0 4.1 4.2 ガントリークレーン - 三省堂 大辞林weblio辞書)
  • ガントリー - 三省堂 大辞林(コトバンク)
  • 鉄塔#形状による分類の門型鉄塔(ガントリー鉄塔、gantry tower)も参照のこと。
  • スティーヴン・スピルバーグ監督の『宇宙戦争』の冒頭ではトム・クルーズが「ガンマン」をしている。