カンムリワシ

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ファイル:Spilornis cheela immature.jpg
カンムリワシ幼鳥
西表島・浦内マングローブ群落(2008年12月)

カンムリワシ(冠鷲、Spilornis cheela)は、鳥綱タカ目タカ科カンムリワシ属に分類される鳥。

分布

インドインドネシアスリランカタイ、中国南部(福建広東雲南など)、日本石垣島西表島与那国島)、ベトナム

形態

全長55cm。全身の羽毛は褐色で、翼や腹面には白い斑点が入る。尾羽は白く、先端部の羽毛は黒い。後頭部に白い羽毛の混じる冠羽が生えることが和名や英名の由来。

幼鳥では、胸から腹にかけての羽毛、肩羽、雨覆羽が白から黄褐色で、生後第 2暦年頃から成羽への換羽が行われる[1]

Sibley分類体系での位置

テンプレート:Sibley

生態

湿地水田マングローブ林等に生息する。

食性は動物食で、両生類爬虫類甲殻類昆虫類等を捕食する。特にヘビを好み、英名のCrested Serpent Eagleはこの食性に因む命名。南西諸島にはトビが生息しないため、トビと同じような生態的地位を占め、時には自動車に轢かれた小動物の死骸を食べることもある。樹上や電柱から獲物が通りかかるのを待ち、獲物を見つけると襲いかかる。通常のタカ類は空中から獲物に直接爪を立てる事が多いが、本種は一度獲物の傍に降り立って地上で攻撃することが多く、そのため狩りに失敗することも多い。

3-4月に樹上に木の枝を組み合わせた皿状の巣を作り、1個の卵を産む。抱卵日数は35日で、雌雄ともに抱卵する。雛は孵化してから60数日で巣立ちを終え、翌年の春に独立する。 従来、日本では繁殖が確認されていなかったが、1981年写真家宮崎学によって3巣の営巣が西表島で見つかり、八重山諸島での繁殖が確定された。

保全状態評価

日本における人間との関係

第14循環(2002年2月-2009年3月)の時期には石垣島が大きく開発されたため、環境の変化がどのような影響を及ぼすか懸念されている。さらに人為的に持ちこまれた外来種である、オオヒキガエルインドクジャクの増加による影響も同様に懸念されている。また、車の増加により、交通事故も多発している[2]

環境省では、1988年以来、数年に一度、特定の期日に石垣島及び西表島に生息しているカンムリワシの数をカウントする「カンムリワシ一斉カウント調査」を行っている。この調査では、2006年には石垣島で78羽、西表島で58羽、2012年には石垣島で110羽、西表島で78羽が確認されているが、確認個体数は天候等の条件によって異なるため、環境省那覇自然環境事務所は過去の調査結果と比べても生息個体数に大きな変化はないと推測している[3][4]。ただし、石垣島・西表島ともに網羅的な生息数調査が行われたことがなく、生息数が減少しているのかも含めて、正確な実態は不明であるため、総数を把握するための生息数調査を望む声がある[5]

その他

参考文献

  • 『小学館の図鑑NEO 鳥』、小学館、2002年、41頁。
  • 日高敏隆監修 樋口広芳、森岡弘之、山岸哲編 『日本動物大百科 第3巻 鳥類Ⅰ』 平凡社、1996年、163-164、166頁。
  • 宮崎学著『鷲鷹ひとり旅』平凡社、1987年、93-100頁。

脚注

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関連項目

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外部リンク

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  1. テンプレート:Cite journal
  2. カンムリワシ:交通事故で犠牲、増加 毎日新聞、2012年5月11日
  3. テンプレート:PDFlink 環境省 那覇自然環境事務所、2012年1月23日
  4. カンムリワシ一斉調査 過去最多の110羽確認、生息個体数に変化なし 八重山毎日新聞、2012年1月23日
  5. カンムリワシ生息数(総数)調査の要望 日本野鳥の会西表支部、2012年4月5日
  6. 衆議院公害対策並びに環境保全特別委員会議事録 第84回国会議事録 1978年5月18日付参照
  7. 華僑華人與奧林匹克:日本“棒球之神”王貞治 - 華僑華人 人民網