オシリス

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パピルス製の巻物に書かれたエジプトの死者の書オシリスの姿

オシリス(Osiris)は、古代エジプト神話に登場する神の一柱。オシリスとはギリシャ語読みで、エジプト語ではAsar(アサル)、Aser(アセル)Ausar(アウサル)、Ausir(アウシル)、Wesir(ウェシル)、Usir(ウシル)、Usire、Ausareとも呼ぶ。イシスネフティスセトの4兄弟の長兄とされる。王冠をかぶり、体をミイラとして包帯で巻かれて王座に座る男性の姿で描かれる。

同神話によれば生産の神として、また、エジプトの王として同国に君臨し、トトの手助けを受けながら民に小麦の栽培法やパン及びワインの作り方を教え、法律を作って広めることにより人々の絶大な支持を得たが、これを妬んだ弟のセトに謀殺された。尚、この際遺体はばらばらにされてナイル川に投げ込まれたが、妻であり妹でもあるイシスによって、男根を除く体の各部を拾い集められ、ミイラとして復活。以後は冥界アアルの王としてここに君臨し、死者を裁くこととなった。その一方で、自身の遺児・ホルスをイシスを通じて後見し、セトに奪われた王位を奪還。これをホルスに継承させることに成功。以降、現世はホルスが、冥界はオシリスがそれぞれ統治・君臨することとなった。

ただし、この神話はエジプト人自身の記述ではなく、ギリシアの哲学者プルタルコスによる「イシスとオシリスについて」に基づくものである。オシリスの偉業は武力によらずエジプトと近隣の国家を平和的に平定し、産業を広めた古代のシリア王をモデルにしているとされる。 神の死と復活のモチーフは、各地の神話において冬の植物の枯死と春の新たな芽生えを象徴しており,オシリスにも植物神(もしくは農耕神)としての面があると見られる。右図にあるように肌が緑色なのは植物の色を象徴しているからだといわれる。

古代エジプトの墓の遺跡に、彼の肖像が描かれたり、その名前が記録されているのはそのためであり、当時の人々の死生観に彼の存在が大きく影響していたことの現れであろう。

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