あぶくま型護衛艦

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あぶくま型護衛艦
右より、DE-231おおよど、DE-232せんだい、DE-234とね
艦級概観
艦種 護衛艦(DE)
艦名 河川名
建造期間 1988年 - 1991年
就役期間 1989年 - 就役中
前級 DE:ゆうばり型護衛艦
次級 DEX(多機能護衛艦)
性能諸元
排水量 基準:2,000トン
満載:2,900トン(推定)
全長 109m
全幅 13.4m
吃水 3.8m
機関 CODOG方式 (最大 27,000ps
三菱S12U-MTK ディーゼルエンジン(5,000ps) 2基
川崎スペイSM1A ガスタービンエンジン(13,500ps) 2基
推進器(260rpm 2軸
速力 27kt(最大)
航続距離 5,624海里 (18ノット巡航時)[1]
乗員 120名
兵装 62口径76ミリ単装速射砲 1基
高性能20mm機関砲CIWS 1基
Mk.31 GMWS近SAM(計画のみ)
ハープーンSSM4連装発射筒 2基
74式アスロックSUM8連装発射機 1基
HOS-301 3連装短魚雷発射管 2基
艦載機 VERTREPHIFR可能、運用設備なし
C4I MOFシステムSUPERBIRD-B2衛星通信)
海軍戦術情報システム
(OYQ-7リンク 11)
81式射撃指揮装置2型22C/E 1基
レーダー OPS-14対空捜索用 1基
OPS-28対水上捜索用 1基
ソナー OQS-8 中周波型
TACTASS(計画のみ)
電子戦
対抗手段
NOLQ-6C ESM装置
OLT-3 ECM装置
Mk.137デコイ発射機 2基

あぶくま型護衛艦(あぶくまがたごえいかん、テンプレート:Lang-en)は海上自衛隊に所属する護衛艦(DE)の艦級。護衛艦隊地方配備部隊において主力艦の一つとなっている。

来歴

本級は冷戦の末期に計画されたもので、いすず型護衛艦を更新し[2]、当初はちくご型(42DE)に相当する数(ちくご型は11隻)の配備を構想されていたが、冷戦終結による緊張緩和によって6隻の建造で終了した。以後、汎用護衛艦であるはつゆき型(52DD)あさぎり型(58DD)が地方隊へ配備されたため、あぶくま型以降DEの新造はしばらく中断した。しかし、26中期防において、多様な任務へ対応能力の向上と船体のコンパクト化を両立させた多機能護衛艦(DEX)の建造が予定されている[3]

艦名は川の名前から取られている。地方隊の中核を担うべく計画され、2008年3月の海上自衛隊部隊組織改編に伴って地方隊が廃止された後は、護衛艦隊の2桁番号護衛隊所属となり現在も第一線で活躍している。平成24年度と25年度予算で合計6隻分の艦齢延伸のための先行的部品調達予算が計上された。以後順次、改修予算も計上されれば、艦齢延伸のための改修が開始される予定である。艦齢延伸措置を行い、運用期間をこれまでより5~10年程度延伸する計画を予定している[4]

設計

船型は全体的にあさぎり型(58DD)に類似しており、遮浪甲板(平甲板)型の採用やクリッパー型の艦首形状も同様である。ただし本型では、上部構造は従来通りの形状であるものの、船体の外舷には約7度[5]の傾斜がかけられており、海上自衛隊の護衛艦としては初めて、ステルス性を意識した設計が行われている。また乗組員の居住環境向上をはかるため、従来の3段ベッドにかえて2段ベッドを採用した最初の護衛艦でもある[2][6]

主機としては、「いしかり」(52DE)以来のCODOG方式が採用されたものの、52〜55DEでは1組のCODOG機関の出力を減速機を介して両舷2軸に分配する方式であったのに対し、本型においては左右2軸に1組ずつを配する方式とされた。また機種も刷新されており、高速機としては、あさぎり型と同じくロールス・ロイス・川崎 スペイSM1Aガスタービンエンジンが搭載された。一方、巡航機としては、海上保安庁みはし型巡視船に搭載されたのと同型の三菱S12U-MTK 4サイクル直列12気筒ディーゼルエンジンが搭載された。機関配置もあさぎり型と同様で、前部の第1機械室に左舷軸機を、後部の第2機械室に右舷軸機を収容している[7]

装備

いしかり」及びゆうばり型では重量軽減のため採用されなかったアスロック対潜ミサイルを搭載し、さらにちくご型には無かったハープーン艦対艦ミサイル[2]を装備して、DEとしては初めてバランスの取れた対潜・対水上能力を備えた。また、やはりDEとして初めて戦術データ・リンクに対応して海軍戦術情報システムに完全対応したほか、ECM機能をもつ電子戦装置を搭載するなど、電子兵装に関しても、就役当時の護衛艦隊所属艦と遜色のないレベルまで強化されている[8]

対潜作戦に重要な哨戒ヘリコプターの搭載能力はないものの、後部甲板にヴァートレップ(VERTREP: ヘリコプターによる補給)に対応できるアプローチスペースが備えられている。

ちくご型と同様、アスロックの予備弾は搭載されていないので、搭載弾は、8連装発射機に装填された即応弾8発のみとなる。発射機は前後煙突間の中部甲板に設置されているが、これはやまぐも型(37DDK)以降、2000トン級以下の護衛艦にアスロックを搭載する場合の標準的な要領であった。37DDKで採用された際、艦首尾方向で相当の射界の制約があることが指摘されていたが、当時、攻撃の際には複数艦で敵潜を包囲し、各艦がソナー探知を維持しつつ円運動しながら攻撃するという「サーキュラー・アタック」と呼ばれる手法が採用されていたことから、用兵者の強い不満には至らなかった[9]。なおソナーとしては、アメリカレイセオン社のDE-1160シリーズのライセンス生産によるOQS-8を船首装備として搭載する[10]

日本近海での使用を前提としているため、対空兵装は、前甲板の76ミリ速射砲と後甲板の高性能20mm機関砲CIWS)のみであり、対空戦闘能力は限定的なものでしかない。76ミリ砲と艦橋の間にRAM近接防空ミサイルの搭載スペースが用意されているが、RAM装備の改装は現在のところ予定にはなく、空地となっている[2]

ファイル:JMSDF DE233 Chikuma 20090208-1a.JPG
兵装配置
前甲板に76ミリ単装砲、後部甲板にSSM発射筒とCIWS。煙突間にASROC発射機

テンプレート:Double image aside テンプレート:Clear

同型艦

艦番号 艦名 建造 起工 進水 竣工 所属
DE-229 あぶくま 三井造船
玉野事業所
1988年
(昭和63年)
3月17日
1988年
(昭和63年)
12月31日
1989年
(平成元年)
12月21日
護衛艦隊第12護衛隊
呉基地
DE-230 じんつう 日立造船
舞鶴工場
1988年
(昭和63年)
4月14日
1989年
(平成元年)
1月31日
1990年
(平成2年)
2月28日
 護衛艦隊第13護衛隊
佐世保基地
DE-231 おおよど 三井造船
玉野事業所
1989年
(平成元年)
3月8日
1989年
(平成元年)
12月19日
1991年
(平成3年)
1月23日
護衛艦隊第15護衛隊
大湊基地
DE-232 せんだい 住友重工
追浜造船所浦賀工場
1989年
(平成元年)
4月14日
1990年
(平成2年)
1月26日
1991年
(平成3年)
3月15日
護衛艦隊第12護衛隊
(呉基地)
DE-233 ちくま 日立造船
舞鶴工場
1991年
(平成3年)
2月14日
1992年
(平成4年)
1月22日
1993年
(平成5年)
2月24日
護衛艦隊第15護衛隊
(大湊基地)
DE-234 とね 住友重工
追浜造船所浦賀工場
1991年
(平成3年)
2月8日
1991年
(平成3年)
12月6日
1993年
(平成5年)
2月8日
護衛艦隊第12護衛隊
(呉基地)

参考文献

テンプレート:Reflist

外部リンク

テンプレート:Sister

テンプレート:あぶくま型護衛艦

テンプレート:護衛艦
  1. テンプレート:Cite web
  2. 2.0 2.1 2.2 2.3 自衛隊装備年鑑 2006-2007 朝雲新聞 P236-237 ISBN 4-7509-1027-9
  3. 中期防衛力整備計画(平成26年度~30年度)について
  4. テンプレート:Cite web
  5. テンプレート:Cite journal
  6. テンプレート:Cite journal
  7. テンプレート:Cite journal
  8. テンプレート:Cite journal
  9. テンプレート:Cite journal
  10. テンプレート:Cite book