ストライクダガー
テンプレート:Pathnav ストライクダガーは、テレビアニメ『機動戦士ガンダムSEED』を初めとしたコズミック・イラシリーズ作品に登場する架空の兵器。
本項では、メディアミックス作品に登場する派生機についても解説する。
目次
機体解説
テンプレート:機動兵器 地球連合軍は、初の制式主力MSとしてGAT-X105 ストライクを原機とする量産機ダガーを開発した。この機体は、ストライク最大の特徴であるストライカーパックシステムを始め機能・性能の多くを相応のダウングレードを経て受け継いでおり、モビルアーマー (MA) や航空機、戦車などの在来兵器群に替わる地球軍の新たな主力機として量産・配備が決定していた。
しかし時局は急を要しており、連合軍はMSの頭数を揃えるため迅速に調達可能な簡易機を優先し誕生したのが本機で、デトロイトに本社がある国防産業連合に加盟している企業で量産された。これに伴って制式化時期が上述の「ダガー」と逆転したために、本機に「ストライク」の名が付加されることとなった。
生産コスト低減を目的とした本機は、正式量産型であるダガーと比較すると、背部ストライカープラグの省略を始め、頭部ブレードアンテナ及び機関砲の半減、各部装甲の単純化などのデチューンが施されている(一説によれば、この為に対EMP装備さえ省略されたという [1])。機体の基本骨格にはストライクと同系列のX100系フレームを採用。背部ストライカープラグの代替として同規格の簡易アタッチメントが設置され、空挺降下用のパラシュートパックなど簡易的な装備なら装着・運用が可能である。
標準武装としてGAT-Xシリーズで実用化された小型携帯ビーム兵器を装備。ザフトのジンやその上位機であるシグーを上回る攻撃力を有する。
また、開発において最大の懸案とされたナチュラルパイロット用OSも実用レベルの完成度が確保され、低錬度のパイロットでも充分に性能を発揮することができる。
関連ゲーム『機動戦士ガンダムSEED 終わらない明日へ』のキラ編「舞い降りる剣1」序盤のムービーには、黄色と緑色のカラーリングで背部にビームサーベルを装備していない差異がある本機が登場している。
武装
- M703 57mmビームライフル
- 量産機用としては初の外部電源型ビーム銃器。機関部の設計は デュエルのビームライフルを基本に、ダットサイトからレシーバーにかけてのパーツは52mm機関砲ポッドと共通とし、生産性の向上を図っている。基本構造を変えることなく戦後もマイナーチェンジが重ねられ、C.E.73年に生産されているモデルは型番がM7045/F7となっている(70年式3型→70年式45/F7型)。
- 書籍によってはグレネードランチャーが付属しているとされているが、劇中では使用されなかった為、真偽の程は定かではない[2]。
- 発射音は、GAT-Xシリーズのものと異なる音となっている。
- ES01 ビームサーベル
- 格闘戦用の斬撃武装。ストライカーシステムを持たないため、直接機体背部に設置されている。GAT-Xシリーズと違い装備数は1基のみ。重斬刀の刀身も容易に切断可能で、ビーム兵器及びその防御装備を持たないジンやシグーに対し高いアドバンテージを持つ。その後もダガー系MSの標準装備としてマイナーチェンジが繰り返され、「ブロック35F」にまで発展する。
- ビーム刃の色はイージスのサーベルと同じく黄色。以降の連合系量産型MSのサーベルの色も同色で統一されている。
- 75mm対空自動バルカン砲塔システム「イーゲルシュテルン」
- GAT-Xシリーズと同型の対空用迎撃火器。生産性優先の為、頭部左側にのみ装備されている。
- 対ビームシールド
- ダガー系MSに広く装備される対ビームコーティングシールド。実体兵器に対しても充分な耐性を持ち、ジンの重斬刀なら受け止めることができる。
- GAT-X機やオーブ系MSが装備する直線構成のシールドと異なる曲面的なデザインが特徴で、被弾エネルギーの分散減衰率を若干向上させたもの。初期設定(ストライクの初稿時点)ではこのシールドがストライクの装備となる予定だった。
- パラシュートパック
- 背部アタッチメントに装備されるパラシュート内蔵バックパック。オーブ解放作戦の際、輸送機からオーブ本土へ降下した空挺部隊所属機が装備した。ビームサーベルを撤去しないと装備出来ない。
劇中での活躍
パナマ防衛戦において、第13独立部隊所属の機体が多数投入され、ザフト軍のMS部隊を相手に優勢を保っていたが、グングニールによって行動不能に陥っている。
以後はストーリー展開によって敵方の量産機となり、オーブ解放作戦ではM1アストレイを中心とするオーブ国防軍に対し主に物量面で終始優勢を保ち同国を占領、それと平行して行われたビクトリア奪還作戦においては性能面においても優位に立って勝利を収め、戦争継続を可能とするなど反攻作戦の中核を担う。
ボアズ攻略戦ではゲイツを主力とするザフトMS部隊と互角以上の戦いを繰り広げた。
『SEED MSV』では、第二次ヤキンドゥーエ攻防戦後は、正式量産機である105ダガーや次世代機のダガーLの配備に伴い、南アメリカ合衆国などの途上国へ払い下げられ、南アメリカ独立戦争では新旧ダガータイプ同士の戦闘が繰り広げられた。
『機動戦士ガンダムSEED DESTINY FINAL PLUS 選ばれた未来』では、オーブに合流した地球連合艦隊に姿が確認できる。
ロングダガー
『ASTRAY』に登場。ストライクダガーと同時期に開発された上位機種。ナチュラル向けに安定した性能・操縦性を目指したストライクダガーと異なり、優れた身体能力を持つ戦闘用コーディネイター「ソキウス」専用に開発された高性能機である。部品の半数以上がストライクダガーと共通であるため、生産性にも優れている。
ストライクの後継機というよりは、GAT-X102 デュエルのコンセプトを受け継いだ機体であり、本来は「デュエルダガー」と命名されるはずであったが、ザフトに鹵獲されたMSの名称を冠する事に連合軍内部で強い抵抗感があり、その結果「ロングダガー」という名称になった。しかし、結局は後に本機をナチュラル仕様に改修した機体に「デュエルダガー」の名称が与えられている。デュエルダガーの完成後、本機の生産は中止された。
フォルテストラ
着脱式の追加装甲ユニット。元々の本機の設計には盛り込まれていなかった装備だが、アークエンジェルが記録したアサルトシュラウド装備型デュエルとの交戦データを基に開発、01D実機にも装備された[3]。右肩部のリニアキャノンや左肩部のミサイルランチャー等、武装の構成もデュエルのアサルトシュラウドに酷似している。
このフォルテストラは内蔵火器やスラスターによって火力・推進力を大幅に向上させる。装備後は重量増加による運動性低下という欠点があるため、任意に排除する事も出来る。また、装甲排除時に生じる隙は、排除と同時に閃光弾を発光させ、敵の視界を一瞬奪う事で対処出来る。
フォルテストラは「強いドレス」という意味。
ジャン専用ロングダガー
連合所属時代のジャン・キャリーがジンに続いて搭乗した機体。
白系統のパーソナルカラーに塗装されているが、性能は通常機と変わらない。パナマ攻防戦でオリジナルというべきデュエルと交戦。性能、パイロット能力とも互角か、むしろジャン優勢であったが、グングニール発動により他のストライクダガーと共に行動不能となり敗北した。しかしデュエルのパイロットは止めを刺さなかったためジャンは生き残った。なお、ジャンはこの一戦を最後に地球連合軍を除隊している。
デュエルダガー
ロングダガーをナチュラル向けに改修した機体。青系統の機体色以外はロングダガーとほぼ同一機だが、OSの調整によってナチュラルでも操縦可能な機体となっている。主にエースパイロットを中心に配備された。
105ダガー
『SEED MSV』に登場。ストライクダガーで排除された各種機能を盛り込んだストライクの正当な量産機。正式名称はダガーだが、ストライクの型式番号「GAT-X105」を取って通称「105ダガー」(イチマルゴダガー)と呼ばれることもある。
ストライクダガーでは見送られたストライカーパック用プラグを持ち、バックパックを換装する事で様々な戦況に対応出来る。ストライクのスペックに再検討を加え、ストライクダガーのものに更に改良を加えた新OSを搭載した事で、パイロットの能力を問わない扱いやすい機体となっている。
この他ストライクダガーとの相違点としては、頭部センサーのスペックがストライクと同レベルに引き上げられた事や、PS・TP装甲をコストの削減の為採用せず、代わりにコクピットや動力部などのバイタルエリアにDPX-D30融除剤ジェルを応用したラミネート装甲を採用した事でビーム兵器への耐性が大きく向上している点等が挙げられる。
量産1号機のロールアウト時期はストライクダガーとほぼ同じ(一説にはストライクダガーよりも先)であったが、その後は生産性の高いストライクダガーが優先して量産された為、戦時中の生産数はわずか23機(システム実証機1、試作機2機を含む)に止まり、一部のエース級パイロットを中心に配備された。戦後は名実共に地球軍主力MSとなり、また、マイナーチェンジが繰り返し実施され、最終的に「ブロック7」にまで発展した(具体的改修点は明らかにされていない)。南アメリカ独立戦争時には、ダガーL部隊の指揮官機として、多数が実戦投入されている。
『機動戦士ガンダムSEED DESTINY ASTRAY』の「Re:Master Edition」刊行に伴う描き下ろしエピソードにおいて、ダンテ・ゴルディジャーニ搭乗機とエルザ・ヴァイス搭乗機が、ユーラシア連邦によるアメノミハシラ攻撃に参加。両機ともソードストライカー装備で、ダンテ機が黒、エルザ機が赤のカラーリングとなっている。ダンテ機はエルザ機のシュベルトゲベールを、エルザ機はダンテ機のマイダスメッサーを、それぞれ交換して使用している。
元々は『月刊ホビージャパン』の連載『SEED MSV』において、大河原邦男がデザインを描き下ろし、背景設定を森田繁が作成したもので、紙媒体の企画物の域を出ないものだった。その後「SEED MSV」で「SEED MSV読者人気投票」第1位となり、その後プラモデル商品化が実現。さらに、『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』第38話のヘブンズベース防衛シーンにて、数カットながらランチャーストライカーやジェットストライカーを装備した機体が数機登場した。再編集版の『機動戦士ガンダムSEED DESTINY FINAL PLUS 選ばれた未来』では、メサイア墜落のシーンで機体の残骸が確認出来る。
武装(105ダガー)
- 40mm口径近接自動防御機関砲「イーゲルシュテルンII」
- 両側頭部に内蔵された対空機関砲塔。75mm口径であった従来のイーゲルシュテルンを小口径化し、装弾数の増加を図っている。また、弾芯が改良されているため、小口径化による貫徹力の低下は防がれているという。
- GAU8M2 52mm機関砲ポッド
- ヤキン戦役戦中に完成した23機に支給されたもので、01A1最初期の携帯兵装。本来はGAT-333 レイダー制式仕様のパイロンに設置される航空兵装の1つである[4]。M703ビームライフルの量産が進むまでは01A1の主兵装として重用された。ビームライフルの生産技術が確立されると、本銃の生産ラインは内部構造を改めたMX703Gへ移行した。
- MX703G ビームライフル
- 連合軍の兵器改変ガイドライン71Dに準拠して試作されたシステム型ビーム兵器。ビーム兵器と実体弾兵器を共通プラットホームで共用する事を目的に開発された。形状はGAU-8M2 52mm機関砲ポッドと全く同一であり、内部機構はともかく外装の共用化には成功している。元々試作火器であるのと、M703Kビームカービンがより普及したため、本銃の配備はスローターダガーなどごく一部の機体に限られた。
- M703kビームカービン
- C.E.73年時の携帯火器。ダガーLにも多く供給された火器。劇中ではヘブンズベース所属機が使用した。
- 12.5mm対人機関銃
- 足の甲部に内蔵された50口径(12.5mm)の対歩兵用機関銃。従来のMSの装備では対人用としてはオーバーキルとなるため用意された。
- MSに対歩兵専用の火器が装備されたのは連合、ザフト両軍を通じて初である。しかし、50口径の機関銃はどちらかと言えば対物兵器に属されるものであり、対人用としては過剰すぎる威力である。漫画版でも使用されていて難民キャンプを一掃した。漫画の描写では大人が真っ二つにされ吹き飛んでいる。
- ちなみに、バリー・ホーはこの銃に撃たれたことがあるが、劇中描写では拳銃程度の威力にしか描かれていない。
- ES01 ビームサーベル
- ストライクダガーと同型のビームサーベル。予備と合わせて2基装備されている。
- 背部にはストライカーパックの接続プラグが存在するため、設置箇所は両腰に変更されている。
ガンバレルダガー
105ダガーにガンバレルストライカーを装備した機体。
元々ガンバレルストライカーは、アラスカ(JOSH-A)に帰投したアークエンジェルに、ムウ・ラ・フラガ専用装備として配備される予定であったが、ムウがアラスカでアークエンジェルと共に脱走したため実現する事はなかった(連合としては、ストライクの活躍がコーディネイターではなくナチュラルのものであったとして宣伝したい意図があり、そのため「エンデュミオンの鷹」の二つ名で知られるムウがストライクに搭乗していたとし、それまでの戦いも彼が行っていたかの様に見せかける予定だった。また、ムゥはカリフォルニア士官学校に転属が決まっており、上層部は実戦を考慮せず、プロパガンダの意味でしかこの機体を考えていなかった[5]。
その後、「月下の狂犬」の二つ名で知られるユーラシア連邦陸軍大尉モーガン・シュバリエに高度な空間認識能力がある事が判明し、ガンバレルストライカーは彼の105ダガーに装備された。シュバリエ大尉はボアズ攻略戦に本機を駆って参戦、高い戦果を上げている。
『SEED MSV戦記』によると、シュバリエ搭乗の本機は第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦にて5機の105ダガーを率いて、ドクターことミハイル・コースト以下のジン・ハイマニューバ6機と交戦。ミハイルを追い詰めるものの、ジェネシスの発射で戦闘の中断を余儀なくされていた(ミハイルは味方からのメッセージで離脱)。ガンバレルダガーは4機の内3機がジェネシスに巻き込まれ、シュバリエの部下は全員ジェネシスの犠牲となった。
なお、コミカライズ版では部下の無鉄砲な行動が逆にジェネシスの射線から逃れる事に繋がり、その後に部隊を率いてジェネシスに取り付こうとしたが、火器運用試験型ゲイツ改に阻まれ機体は大破していた。
その他、戦中にはカナード・パルスのハイペリオンと、戦後の南アメリカ独立戦争では偽情報によって宇宙へと上がってきたエドワード・ハレルソン搭乗のレイダー制式仕様と交戦していた。
『VS ASTRAY』では、月基地に接近してきたルドルフ・ヴィトゲンシュタインのグフイグナイテッドと交戦し、捕縛していた。
105スローターダガー
『機動戦士ガンダムSEED C.E.73 STARGAZER』に登場。一般の01A1にマイナーチェンジを加え、若干の性能向上を図ったカスタム機。第81独立機動群「ファントムペイン」の主力機としてウィンダムと共に配備された。通常は単に「スローターダガー」と略される。
改修前に比べ外見上の差異は無いが、機体色が黒・グレー基調の専用色に変更されている。背部には大気圏内飛行が可能な程に出力強化されたエールストライカーを標準装備する。
「スローター (Slaughter)」とは「虐殺」、「殺戮」、「屠殺」などの意味。
スローターダガーは、「105ダガーにマイナーチェンジを加えた改良型」に「エールストライカーを標準装備した機体」であり、それにより「いかなる戦況にも対応可能なフレキシビリティを持った万能MS」である。オーブ連合首長国領海内でのマーシャン殲滅作戦では、5機中1機のみが標準装備であるエールストライカーを装備し、他の機体はパイロットの性格と能力に合わせてソードストライカー、ランチャーストライカー、I.W.S.P.、ライトニングストライカーを装備して出撃した。
なお、エールストライカー装備時の重量が68.09tとされているが、本来エール実装時のダガーの重量は77.35t(ダガー57.05t+エールストライカー20.30t)である為、機体かエールストライカーのどちらかが10t近く軽量化されている事になる。
- 劇中での活躍
- 『機動戦士ガンダムSEED C.E.73 STARGAZER』劇中では第2話でスウェン・カル・バヤン中尉駆るストライクノワールと共に、キルギス基地を襲撃したザフト系ゲリラ掃討作戦に参加。その後、ゲリラが潜伏している疑いのある難民キャンプを脚部対人機銃で無差別攻撃した。第3話ではD.S.S.Dトロヤステーション攻撃に参加、D.S.S.Dのシビリアンアストレイ部隊と交戦している。
バスターダガー
『SEED MSV』に登場。105ダガーをベースに開発されたGAT-X103 バスターの量産機。当初、砲撃戦運用の量産機の開発は、バスターと同等の装備を持つ「バスターストライカー[6]」の設計により進められていた。しかし、より高度な性能を求めた結果、パックを固定装備化する設計に変更され、その経緯で本機が開発される。またGAT-X131 カラミティ用の火器の搭載も検討されていたが、量産機としては火力過剰と判断され廃案となった。
両肩ミサイルポッドはバスターの半分である3連装方式に変更されているが、両脇の砲はバスターと同一の装備が採用され、同様に両者を連結して対装甲散弾砲、または超高インパルス長射程狙撃ライフルとして運用することも可能である。また、バスターの弱点であった格闘能力の低さをカバーするため、オプションとして両腕ハードポイントにビームサーベルを設置する。
生産された機体はC.E71年8月8日に開始された連合軍の「八・八作戦」の一環であるオーストラリアの「エアーズロック降下作戦」に初めて投入された。中でも、レナ・イメリア中尉(後に大尉)機の軽快な機動とミサイル乱射による弾幕を有効利用した戦法は、正に彼女の異名である「乱れ桜」に相応しいものであった。また、この戦法は宇宙空間でも健在である
また南米独立戦争時には大西洋連合所属のスティーブがこの機体で連合から脱走、南米の戦闘が行われた街で取材に来ていたジェスと遭遇している。
NダガーN
『SEED DESTINY MSV』に登場。105ダガーをベースに開発された特殊戦用機である[7]。本機が担うこの「特殊戦」とは、GAT-X207 ブリッツと同じミラージュコロイドシステムによる隠密性を活用したもので、敵防衛拠点や前線後方施設の破壊ないし索敵、要人の誘拐・暗殺といった非正規戦を指す[7]。
105ダガーをベースに、GAT-X207 ブリッツの機能を盛り込んだ実験機名目で開発された。頭部は二つ眼のデュアルセンサーを露出させたいわゆる「ガンダムヘッド」となっている他、ブレードアンテナもブリッツと同型のものが使用されている。システム面の原型機であるブリッツがロールアウト直後にザフトに強奪されたため、開発不能が危惧されたが、増加製作されていた実験機が数機存在したため事なきを得たという[7]。
この機体は、Nジャマーキャンセラーにより動作保証された核エネルギーを動力源にしている。これは、ミラージュコロイドを機体表面に定着させるための電場形成に大量の電力が必要とされるためである。ミラージュコロイド使用状況下での活動時間は、ブリッツに比べて大幅に延伸しており、事実上半無制限と言ってよい。更に、宇宙空間において浮遊物等が存在する場所では、バーニア噴射の代わりに前腕、膝、足先などから射出されるアンカーにより移動できるため、熱紋センサーにも探知されない(このアンカーは武器としても使用可能)。
機体そのものがユニウス条約に抵触しているため、公式記録上は存在しておらず主に非公式部隊が運用している。その為、運用を行うのは主に「一族」のマティス率いる情報部や、ファントムペイン所属のパイロットである。ヘブンズベース戦の際、ワイルドダガーと共にニーベルングの警護に配備されていた。また、ロード・ジブリールの護衛としてオーブまで同道していたと思われる機体が存在する(パイロットは既に逃亡していた)。 初期の運用例としてはジャンク屋ギルドの手に渡る前のジェネシスαからの連合軍特殊情報部隊によるテスタメント強奪への参加がある[8]。表向き、本機の開発プロジェクトはユニウス条約締結と同時に中止された事になっていたが、スタッフ共々民間企業へ出向するという形で継続された。スタッフは自らを「シノビマフィア」「ニンジャワークス」と名乗っていたという。一説によれば機体名の二つの「N」はそれぞれ「ニンジャ」と「ニュートロン」を指すとも言われるが、機体の秘匿性から真相は定かではない[9]。
ブリッツの機体色が黒に近い暗青色であるのに対し、本機は暗緑色である。
型式番号のSOは「エスオー」で「Special Operation」特殊作戦の略[7]。
武装(NダガーN)
- DFH-S2026 攻盾システム「シルトゲヴェール」
- その名の通り盾(シルト)と銃(ゲヴェール)=70mm高エネルギーブラスターを備えた攻防一体の装備。
- ピアサーロック「ハーケンファウスト」
- 機構そのものはブリッツの「グレイプニール」と同型。クローの形状は熊手状に変更されている。射出以外にもそのまま格闘武装として使う事も可能。
- ハーケンファウストとは、ドイツ語で「鉤の拳」の意味。
- GES-D07G+ 対装甲刀
- 左腰に装備された大小2振りの刀剣。ストライクのアーマーシュナイダーの改良モデル。機体の意匠を反映してか忍刀の様な形状を持つ。
ダガーL
『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』から登場。C.E.73年時における地球連合軍の主力機で、105ダガーと同様のストライカーパックシステム対応機でありパック換装によって様々な戦況に対応可能。又、1本のみの頭部アンテナや各部アーマーの形状など、機体のデザインは105ダガーよりもストライクダガーに近い。
「ストライカーパックシステム搭載MSの大量生産」を前提とした設計で、機体製造のコスト削減の為、性能をダガーよりも低下させ、ラミネート装甲も採用しておらず、集団戦闘における総合性能は01A1と同等ながらビーム耐久力では01A1に劣る[10]。また武装面においても、ビームライフルよりもエネルギー消費率の少ないビームカービンが採用されているが、ビームサーベルは腰部分に2本装備している。
胴体部ラミネート装甲の排除や一部装甲の削減[11]など、随所にコストダウンがなされているので、生産性においては105ダガーを大きく上回る。その上、基本性能は105ダガーにほぼ匹敵している為、機体性能と生産性をうまく両立させた、完成度の高い機体でもある。
機体名称のLは「Lightweight clothing」(英語で軽装の意)の頭文字。
本機は第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦の時点でかなりの数が量産され月基地に配備されており、核攻撃後のプラント制圧戦を目的に開発されていた。しかし、緒戦で核攻撃が防がれた事と、ジェネシス発射により大被害を受けた事でZAFTによる反攻を恐れた地球連合軍上層部はダガーLを地球に強制的に帰還させ、本機が参戦する事は無かった[12]。その為、実際の初陣は南アメリカ独立戦争からで、以降はC.E.73年まで地球連合軍の主力として運用されていた。同じくストライカーパックシステムを採用した次世代型主力機GAT-04 ウィンダムの配備が本格化したことで105ダガーなどの系列の機体などと共に旧世代の機体と化していった。そのため各戦線で交換配備が進んでいるが、C.E.73年代においてはまだ多くの機体が配備されている状況にある。
武装(ダガーL)
- M2M5 トーデスシュレッケン12.5mm自動近接防御火器
- 頭部と胸部に各2門ずつ設置される近接防御火器。イーゲルシュテルンに比べ6分の1という小口径だが、弾芯や炸薬の改良などによって威力の低下は2分の1に抑えられている。小口径化に伴うスペースの余裕から装弾数が増加している。CIWSとしてはかなり小口径故にMSはおろか航空機に対しての攻撃力もやや心許無いが、その分大量の弾薬を搭載できる為、ミサイル防御用には非常に有用であると言える。トーデスシュレッケンとは、ドイツ語で「死の恐怖」の意味。
- M703k ビームカービン
- 「M703 57mmビームライフル」の短銃身モデル。連合、ザフト、オーブ全軍を通じて従来のビームライフルよりもかなり小型で、そのサイズはカービン(小銃)よりもむしろMS用のハンドガンと言える。威力や射程距離よりも取り回しや速射性・近接戦闘に重点を置いた装備である。
- ES04B ビームサーベル
- 両腰アーマーにマウントされているビームサーベル。なお、両腰のアーマーは内部のスティレットを含めてウィンダムと同一の装備。
- Mk315 スティレット投擲噴進対装甲貫入弾
- 両腰アーマー内に格納される投擲用の短剣。投擲後はロケット推進によって目標に到達し装甲を貫徹、内部で炸裂しダメージを与える。
- Mk39 低反動砲
- MSの全高に匹敵するサイズの肩掛け式携帯火砲。ザフトのジンが装備する無反動砲より大型。劇中ではダークダガーLがアーモリーワンの宇宙港を攻撃するのに用いられた他、通常型のダガーLにも装備されている。弾種は不明。
ダークダガーL
漆黒に塗装されたダガーL。アーモリーワンでのガンダム強奪作戦の陽動で港に停泊するザフト艦の攻撃に使用された。通常のダガーLにステルス機能を追加しているが、これは宇宙空間での視認性を抑える処置であるため、ミラージュコロイドなどの本格的なステルス機能は装備されていない。劇中ではMk39 低反動砲を装備したファントムペイン専用機として登場。
劇中での活躍(ダガーL)
『SEED DESTINY』第2話にてガーティ・ルーの艦載機として初登場。奇襲とはいえ少数機でアーモリーワンより迎撃に出たザフトのMS部隊を圧倒、ダークダガーLは同コロニーの宇宙港を壊滅させるなど、セカンドステージシリーズ奪取に貢献。4話ではミラーとジョーンが乗るダガーLがミネルバを追い詰めるが、こちらはレイのブレイズザクファントムに撃破された。9話の「フォックスノット・ノベンバー」では地球軍アルザッヘツ月艦隊の主力を務め、物量を活かした戦術でザフト軍主力と互角の戦闘を繰り広げた。他に第18話ではインパルスのビームライフルを破壊するシーンがある。他にも地上の第81独立機動群旗艦ジョン・ポール・ジョーンズ所属機やベルリン戦でのボナパルト所属機、ヘブンスベース所属機など各戦線で使用されているが、物語後半のアルザッヘル・ダイダロス攻防戦ではウィンダムへの機種転換が完了したためか、姿が確認できない。
『機動戦士ガンダムSEED DESTINY FINAL PLUS 選ばれた未来』では、デスティニープランに反対したオーブ軍のM1アストレイやムラサメと共闘する本機の姿が登場する。
ワイルドダガー
『SEED DESTINY MSV』に登場。地球連合軍第81独立機動群「ファントムペイン」がザフトより奪取したZGMF-X88S ガイアの解析データを基に開発された実験機。
外見、変形機構共ガイアとほぼ同一だが、頭部センサーや携帯火器など、各所にダガーのパーツが流用されている。可変MSにカテゴライズされているため、イージスやレイダーと同じくX300のナンバーが与えられている。なお型番のQは「Quadruped」(英語で四足獣の意味)の頭文字。
四足形態時の頭部は専用ガトリング砲や専用ビームサーベルのアタッチメントになっており、腰部後面には尻尾状の多目的滑腔砲が搭載されているなど、ソフトスキンから空陸の重装甲目標まで幅広い対処を可能としている。
地球軍はMSを含めた在来陸戦兵器では、ザフト軍のバクゥタイプが有する不整地機動力に対抗困難なのを痛感しており、同様なコンセプトの陸戦型MSの開発に乗り出した。ところが、経験、ノウハウの不足から、この新機軸の兵器開発は困難を極め、更にユニウス条約締結による軍縮の煽りを受け一旦開発は中断される。
しかし、ファントムペインによってもたらされたガイアのデータにより、四足型MSへの二足歩行型MSの技術応用の目処が立ち、ガイアの模倣という形で開発は再開された。また、ダガーのパーツを大量に流用する事で、この種の兵器としては破格の低コストを実現した。
本機は試作機であるにも関わらず発注数は72機にのぼり、そのうち70機が実際に製造されている[7]。
ブレイク・ザ・ワールド事件後に開発がスタートし、先行完成機がヘブンズベース戦に投入された。その後は外観を含むその心理的威圧能力も買われて低強度紛争向けの任務で重宝され、西ユーラシアや中東地域の反連合ゲリラ討伐に多用されたと言われる。
脚注
関連項目
- ジム (ガンダムシリーズ)
- ウィンダム (ガンダムシリーズ) 本機の後継機。
- ↑ プラモデル付属小冊子「機動戦士ガンダムSEED MSV ハンドブック」より。
- ↑ ただし、一部のゲーム作品ではグレネードが使用可能なストライクダガーが存在する。ちなみに、このグレネードはストライクダガーの公式設定画に描かれている。
- ↑ 小説版『ASTRAY』の記述より。
- ↑ ホビージャパンMOOK『機動戦士ガンダムSEEDモデルVol.3 SEED MSV編』105-106頁。
- ↑ 電撃ホビーマガジン2004年7月号より。
- ↑ 後に「ライブラリアン」が開発した「バスターストライカー」との関連は不明。
- ↑ 7.0 7.1 7.2 7.3 7.4 ホビージャパンMOOK『機動戦士ガンダムSEED DESTINYモデルVol.2 DESTINY MSV編』の記述による。
- ↑ 千葉智宏 『機動戦士ガンダムSEED DESTINY ASTRAY 上巻 -真実を求める者-』 メディアワークス、31頁。
- ↑ 月刊ホビージャパン2005年6月号より。
- ↑ CE73年の時点で18m級MSのラミネート装甲を一撃で貫通できる威力を有しているビームライフルがザフト以外に広く民間にも数多く出回っているという現状では、実装していても実質無効化していると考えられる。無論レールガンや機銃、ミサイルに対し無力なのでは本末転倒である
- ↑ 例としてあげるならばアンクルアーマーや肩のバーニアの削除等。
- ↑ 『電撃ホビーマガジン 2005年2月号』19頁。