からくりサーカス
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『からくりサーカス』は、藤田和日郎による日本の漫画作品。『週刊少年サンデー』(小学館)にて1997年32号から2006年26号にかけて連載された。単行本は全43巻。仏名は『Le Cirque de Karakuri』。
目次
概要
200年前に起こった悲劇を因縁として巻き起こる、自分の意思を持ち人間に害をなす「自動人形(オートマータ)」と、操り人形を武器にオートマータを破壊することを使命とする人形破壊者「しろがね」との戦いと、それに巻き込まれ、数奇な運命をたどることになる3人の主人公達の繰り広げる物語である。
藤田和日郎の長編第2作である冒険活劇。作者の前作『うしおととら』を上回る複雑なプロットや展開、それに匹敵するであろう強烈なバイオレンス描写とアクション、前作にはあまり見かけられなかった恋愛要素も盛り込んでいるのが特徴。演出の特徴としては、オートマータ(敵の)がやられたときに細かい歯車やネジなどの部品が飛び散ることである。
前作同様、物語を最初から見ないと話の筋を殆ど理解できない造りになっている。200年に及ぶ膨大な時間を舞台としており、さらに過去現在の時間軸を縦横無尽に配置しているのが原因である。また、1巻ごとのエピソードが物語の真相に深く関わっているのもその一つである。その複雑なストーリー漫画の描写やアクション描写などから高い人気を誇る。
物語は全体として人形劇の体裁をとっており、人形(芸人)と人間(芸人/観客)との対立という形になっている。例えば人類の敵であるオートマータは人形であるが、それに立ち向う「しろがね」達も、他人の意思に縛られた操り人形である。そして黒幕もある人物の妄執をダウンロードされた操り人形であり、彼自身の口から何度かその立場を表明している。
物語はそうした運命や他人の意思によって縛られ操られたもの達を人形と見立て、そんな境遇から脱却しようとする者、人間であろうとする者達の大いなる「舞台劇」として展開する。タイトルや、登場人物が演劇にゆかりの名前が多いのは偶然ではない。特にオートマータなどの名前にはコンメディア・デッラルテの役名が多く使われていた。
最終話では、登場人物としての各々のエピローグが語られた後、カーテンコールとして作品に登場した主要なキャラクターの殆どが「役者」として笑顔で舞台に立つ姿が描かれ、「劇」としての作品を締めくくっている。
友人である島本和彦は、「『うしおととら』が藤田のやりたい事を全てぶつけた名作なら、こちらは広げた風呂敷を徹底的に広げ続けた事で完成された名作」と本作を評した[1]。
1998年3月より放送されたサンデーCM劇場にて30秒ほどの長さながらアニメーション化されている。また、1999年3月より放送された『祝創刊40周年 オールスター総出演編』でも本作のキャラクターが登場している。なお、現在でも『週刊少年サンデー』の公式サイトにて視聴が可能。
あらすじ
サーカス編とからくり編はストーリーの区切りが付くたびに交代で語られる。
プロローグ
小学5年生の才賀勝は、父親である大手家電メーカー"サイガ"社長・才賀貞義の死により180億円の遺産を相続。これによって異母兄弟から命を狙われていたところを加藤鳴海と「しろがね(エレオノール)」に助けられる。しかし、叔父の才賀善治に誘拐された勝を救出した鳴海は爆発に巻き込まれ、切断された片腕を残して行方不明となる。
サーカス編
残された勝とエレオノールは追っ手から逃れるため旅芸人のサーカス一座「仲町サーカス」で生活を始め、人々と触れ合うことで徐々に成長することとなる。追手との戦いの中で、本人達も知らなかった勝とエレオノールの持つ出生の秘密が明らかになっていき、勝はエレオノールに守られる立場から、エレオノールを守る者としての自覚を持ちはじめる。
からくり編
死亡したと思われた鳴海は人形破壊者「しろがね」のギイに命を救われており、片腕と記憶を失くして自らも人形破壊者となっていた。自動人形を追う旅を続けるうちにゾナハ病の真実を知った鳴海は、人形を破壊することだけを自分の使命とするようになっていく。自動人形との激戦の最中、多くの仲間の犠牲と引き換えに命を存えたことによって、その使命は彼個人の感情を塗り潰してしまうほどに、さらに重くのしかかるようになる。
からくりサーカス編(本編)
勝はこの戦いの真の敵からエレオノールを守るためにサーカス団を離れ、黒賀村の阿紫花家に居候し、ギイより懸糸傀儡の特訓を受ける。そして、勝の実力は急上昇し刺客を悉く撃退していく。また、人形相撲などの行事を通して、黒賀村の人々とも親睦を深めていく。そして鳴海はそれとほぼ入れ替わりでエレオノールの前に現れ、フランシーヌ人形の生まれ変わりと信じる彼女からゾナハ病の止め方を聞き出すべく仲町サーカスに加わる。
機械仕掛けの神(デウス・エクス・マキナ)編
勝が黒賀村で修行、刺客の撃退を始めてから8ヶ月が経ったある日、仲町サーカスが黒賀村を訪れる。仲間達との再会を喜ぶ勝だったが、ゾナハ蟲が突如活性化、世界中の人間がゾナハ病に感染してしまう。無事だったのは「しろがね」とその血を飲んだ者、そして「しろがね(エレオノール)」と長い間、共に過ごして免疫がついた仲町サーカスのメンバーのみ。「しろがね」の200年に及ぶ長い戦いの決着が、そして勝、エレオノール、鳴海の最後の戦いの火蓋が切られる。なお、デウス・エクス・マキナは演劇用語でもある。
登場人物
懸糸傀儡(マリオネット)
マリオネットそのものに関しては#用語解説を参照。角括弧内は主な使用者。
「しろがね」達の操る懸糸傀儡
- あるるかん〈才賀アンジェリーナ→才賀エレオノール〉
- 白銀によって製作された最も古い懸糸傀儡。黒衣を纏い、頭に白い羽がついている。あらゆる懸糸傀儡の原型であり、この人形を元にさまざまな懸糸傀儡が作られた。人形繰りの練習用として多くの複製が作られており、オリジナルはルシールがアンジェリーナをキュベロンから追放する際彼女に授け、アンジェリーナの死後は正二が保管、実娘のエレオノールに受け継がれ使われている。
- 胴体部から歯車など出して上体部分を高速で旋回させ、相手を破壊する「コラン」(虎乱)、腕をピストン運動させ相手を貫く「炎の矢」(フレッシュ・アンフラメ)、頭部の羽根飾りのようなものを伸ばして相手の動きを封じる「羽の舞踏」(ラ・ダンス・ダン・ヴオラン)という技を持ち、また右腕には「聖(セント)・ジョージの剣」という大きな刃が内蔵されている。
- エレオノールが操るオリジナルの「あるるかん」の左腕はかつて、とある事件でアンジェリーナが自動人形からギイを庇ったときに破壊されており、ギイによって鳴海の左腕として使用されていた。こちらは、「聖(サン)・ジョルジュの剣(セント・ジョージのフランス語読み)」と呼ばれる、右腕同様の大きな刃が内蔵されている。尚、オリジナルの「あるるかん」は破壊された左腕の代わりに「オリンピア」の折れた腕を右手に持っている。
- 基本的にはしろがね(エレオノール)が操る機体だが、作中では勝が操る場面も多く見られた。
- 名前はフランス語で道化師を意味する〈arlequin〉から。
- オリンピア〈ギイ・クリストフ・レッシュ〉
- 胴体に4本と翼の付け根に2本の腕を持つ。聖母のような姿をしている。指先に注射針、肘に刃物、ヒールに拍車、背中に翼と多数のギミックでトリッキーな攻撃をする。昔は人形繰りにクセがあったというギイ専用に調整がされており、彼以外には使えないと思われる(正二が一回だけ飛行をした事が有る。戦闘まで可能かどうかは不明)。後述の戦力から、明治時代に200体もの自動人形と戦っており、ギイともども「真夜中のサーカス」にも知名度が高い存在となっている。
- 自動人形に注射針を突き刺し、疑似体液を吸いだす「聖母の抱擁」(ラ・サント・ビェルジュ・ダンブラスマン)、胴体を縦回転させ、肘の刃で相手を切り裂く「破壊輪舞曲」(ラ・ロンド・ドゥ・デストラクション)という技を持つ。また、背中の翼で空を飛ぶことができ、専用のエンジンを取り付けることで高速空中移動が可能になる。その顔はギイの「母」のデスマスクから作られている。「母」とは、アンジェリーナを窺わせる箇所はあるものの、ギイの実母を指しているのか、ギイが「ママン」と呼んで慕っていたアンジェリーナを指しているのかは不明。顔はアンジェリーナのあるるかんと戦った際に一度破壊されているので(また、劇中でのギイの動向・台詞などから考えても)、恐らく後者と思われる。
- 名前はE.T.A.ホフマンの小説『砂男』に登場する自動人形・オリンピアに由来するかと思われる。
- ムジンニィ〈ルシール・ベルヌイユ〉
- デザインがあるるかんに良く似ており、あるるかんを原型に作られたと思われる。武器は左腕の「レフトハンド・ブレード」。大きなギミックはないが、技術次第でどんな局面にも対応できる。フラーヴィオによって破壊される。
- スピネッティーナ〈ファティマ〉
- サソリのような姿をしている。武器は尻尾から大きな針を乱射する「スピネッティーナの毒針」。
- オラーツィオとの戦いで破壊される。
- スレイプニイル〈エドワルド・ダール〉
- 両手に巨大な鎚(ミヨルニル)を持ったヴァイキングのような姿をしている。巨体だが、足には車輪がついており、高速移動が可能。鎖の付いたミヨルニルを飛ばして相手を潰す「撃槌ミヨルニル」という技を持つ。「しろがね」と自動人形との最終戦でダールが散り、スレイプニル自身も破壊された後、その左足は加藤鳴海の左足として使われている。分かり辛いが、足は4本ある。
- 名前の由来は北欧神話の主神オーディンの馬、スレイプニルから。武器のミョルニルは同じく北欧神話の雷神トールが持つ槌の名前である。
- マンバ〈ティンババティ〉
- 大蛇の上に人が乗った姿の懸糸傀儡。上部の人形が、ピストン運動を利用し加速されたパンチを繰り出す「エリニュスの手」という技を使う。また、蛇の牙でティンババティ自身を突き刺して血液を吸い上げ、彼の「アクア・ウイタエ」(生命の水)の混じった血液を自動人形に注入することで疑似体液を中和し、行動不能に陥らせる捨て身の技、「毒牙の塔」という技も持つ。最終戦でティンババティが散り、マンバ自身も破壊された後、その右腕は加藤鳴海の右腕として使われている。名前の由来は、操者であるティンババティの活躍する地、アフリカのケニアに広く生息するマンバ属の毒蛇から。また「毒牙の塔」の試作品となる刀を明治時代の戦いで正二が使用している。
- シュヴァルツェス・トーア〈シュヴァルツェス・トーア〉
- 操者と人形が同名という珍しいタイプ。西洋の鎧風の外見をしており、両肩・両脚には大型の盾を持っている。それらを前面に出して壁を作る「閉門」、その後更に背中に背負った円形武装「死の門(トーデス・トーア)」を開放し回転する刃で攻撃を行う「開門」の二種の技を持つ。作中ではサハラでの最終戦のみで戦う姿が見られたが、他の懸糸傀儡に比べて防御に長けた人形と思われる。名前の意味はドイツ語で「黒き門」。
- ペンタゴナ・ノッカー〈スティーブ・ロッケンフィールド〉
- 自動人形との最終戦での操者ロッケンフィールドのセリフから、跳躍力・空中戦に長けた人形と思われる。両の手に構えたクラブで周囲をなぎ払う「ペイン・トルネード」という技を持つ。コロンビーヌとの戦いで相打ちの形で破壊されたその右足は、ロッケンフィールドとシュヴァルツェス・トーアの手によって、加藤鳴海の右足部に取り付けられた。
- グリゴーリィ〈ドミートリィ・イワノフ〉
- 人型で顔に大きな一つ眼を持った懸糸傀儡。眼からワイヤー付きの鋏のようなものを発射し相手を捕え、そのまま相手に抱きついて両腕両足のドリルで相手を破壊する「単眼の牢」という技を持つ。名前の由来は、ドストエフスキーの著書である「カラマーゾフの兄弟」に長年仕えていた侍従。
- アンジェリーナ人形〈ルシール・ベルヌイユ〉
- 自動人形をおびき寄せるエサとして柔らかい石を体内に宿したアンジェリーナが行方をくらました(実際は、ルシールが娘を重い責務から解放するために逃がした)為、ルシールが造らせた懸糸傀儡。自動人形達に20年以上も人形と気づかれなかっただけあり、容姿はもちろんのこと、眼球さえも本物そっくりに作りこまれており、言葉を発することも出来る。サハラの最終決戦で再び使用され、アンジェリーナがフランシーヌ人形と瓜二つだったことと、自動人形のフランシーヌ人形への忠誠心を逆手に取って最古の四人を含む全ての自動人形を一言で屈服させ、身動きを封じた。最後はパンタローネとアルレッキーノによって破壊された。
- 正二人形〈才賀正二〉
- 正二が貞義の戦い(における身代わり)として使用。上述のアンジェリーナ人形同様、本物そっくりに作り込まれており、言葉を発することも出来る。また、内部も血液を初め有機的な細工がされている。1997年の正二と貞義との戦いで、貞義の繰る「ゴイエレメス」によって頭部を破壊された。
「黒賀の者」達の操る懸糸傀儡
- プルチネルラ/プルチネルラII〈阿紫花英良〉
- 四足の道化師風のデザイン。腕の力が強く、棍棒での一撃はコンクリートの壁にも穴を開ける。
- 作中で初めて明確に敵として登場した「懸糸傀儡」である。
- 一度はしろがね(エレオノール)が操る「あるるかん」に完膚なきまでに破壊されたが、「しろがね」vs自動人形の最終戦で黒賀村から送られた懸糸傀儡の中に「プルチネルラII」として改修(又は再設計・作成か?)された物が含まれていた。その際には、棍棒の他、長ドスが追加装備されている。名前はストラヴィンスキーのバレエ組曲〈プルチネルラ〉から。
- グリモルディ〈誘拐組の尾崎→阿紫花英良→ファティマ→阿紫花英良〉
- 元は誘拐組の尾崎が使っていたが、阿紫花が強奪してから彼が使っている懸糸傀儡。両足脹脛部が車輪状になっており、股を外側へ開くように変形させる事により全懸糸傀儡中最高クラスの機動力を持つ。なお、数ある懸糸傀儡の中でも明らかに一段性能が高めの描写をされている。
- 首が伸びたり、斧がついた(これは後に登場した2代目以降)ピエロのような帽子を振り回したりとギミックも多い。
- 「しろがね」vs自動人形の最終戦では、スピネッティーナを失ったファティマが操る姿も見られた。
- なお、この時のグリモルディは改修が加えられており、物語序盤で尾崎が操った機体とは細部が異なる。
- 2代目グリモルディは「しろがね」と自動人形の最終戦においてパンタローネとアルレッキーノによって破壊されており、最後に阿紫花が操る物は作中では3代目。ファティマ曰く、「少し硬めだけれど、素敵ね」との評。
- アクエリアス〈ぶっ殺し組の羽佐間〉
- タキシードを纏った擬人化した鳥の様な姿をしている。
- 手にしたシルクハットから凶悪な顔のウサギを呼び出すなど、トリッキーな機体。
- グリモルディと尾崎によって破壊された。デザインは陰陽、トレジャーキーパーと同様、作者のアシスタントの一人。
- アシスタントの設定では「地獄の魔術師、パワーはあるるかんの5万倍、水中を300ノットで泳ぐ、湿気に弱い」らしい。
- ローリングアームズ〈ぶっ殺し組の中田〉
- ボール状の下半身に西洋の鎧風の上半身、長い大型の腕を持つ機体。
- 才賀の別荘の対侵入者用からくり門である「煉獄」に操者ごと飲み込まれて破壊される。
- テオゴーチェ〈誘拐組の高見〉
- ボールに乗ったピエロの姿をしている。手の平から爆弾ボールを取り出して操り、阿紫花らぶっ殺し組の人形と操者を次々に撃破する。
- しかし「しろがね」の操る「あるるかん」の前でなすすべなく投げつけた爆弾を逆に機体内に叩き込まれて操者もろとも爆散した。
- ダクダミィ〈誘拐組の山仲〉
- 腕はなく、頸部にハサミ状の武器を装備した小型の機体。
- 基本的に操者一人に対して一体であることが多い懸糸傀儡の中で、操者一人に対して小型の懸糸傀儡が五体という特異な存在である。
- 数体の操り糸で敵を縛る等して動きを止め、残りの機体で相手の操者を仕留めると言うのが基本の戦闘スタイルらしい。
- 貧弱な見かけによらず、その武器であるハサミは成人男性の首を切断する程の威力を持つ。
- しろがねと鳴海を苦しめ、一度は捕らえるが鳴海の硬気功により二体切り負けて刃が折れ、もう三体も操者自身とともに鳴海に殴り倒された(破壊された)。
- バビュロ〈誘拐組の加納〉
- 全身に湾曲した刃が刺さったピエロの姿をしている。
- 勝が操った「あるるかん」によって破壊された。
- グリセル〈誘拐組の金井〉
- 眠った顔の女性型の機体だが勝が操ったあるるかんに頭部を破壊される、掌部が非常に大きく、手首から先が伸縮するギミックを持つ。
- 跳躍力に優れ、崩壊する塔から脱出する場面で活躍する。
- ガンオブフェザー〈誘拐組の及川〉
- インカ風の仮面から手足が生えたような姿をしている。
- コルトSAA「ピースメーカー」をそのまま巨大化させた様な拳銃を二丁武器として使う。
- 阿紫花が操るグリモルディと良い勝負をするも、勝の作戦によってグリモルディの体当たりを食らい、操者ごとエレベーターシャフトへ転落。
- 陰陽〈名称不明のぶっ殺し組のメンバー〉
- 中国の民族衣装のようなものに身を包む左右非対称の仮面をつけた人形。
- 登場した瞬間に高見が操るテオゴーチェによって操者ともども爆破される。
- デザインはアクエリアス、トレジャーキーパーと同様、作者のアシスタントの一人。
- アシスタントの設定では「猿並の俊敏な動き、ゴリラぎみの握力、獣風の耐久力、とパンチ力、ドーベルマンのように操りやすい」らしい。
- トレジャーキーパー〈ぶっ殺し組の野口〉
- 全身を包帯で覆い、大型の鎌を持った死神の様な姿をしている。
- あっさりと高見が操るテオゴーチェによって爆破され、操者も直後に殺される。デザインはアクエリアス、陰陽と同様、作者のアシスタントの一人。
- アシスタントの設定では「ボディは修理跡だらけ、歴戦の勇士を示す、顔は包帯グルグル巻き、見る者に恐怖を与えるだろう、んで武器は、刃渡り2メートルのカマで相手を切り刻む」らしい。
- スペイド〈ぶっ殺し組の平〉
- 名前の通り手の甲にスペードのマークが付いている。一度は勝によって操作される。ダールのスレイプニイルと同様(或いはどちらかがベースか?)、足には車輪がついており、高速移動が可能。なお暗殺専門の人形であり、平曰く、その異形の姿で相手に恐怖心を与える特性がある。
- アンダーザヘッド〈ぶっ殺し組の成田〉
- 名前の通り頭が下についているのが特徴。人間が逆立ちした様な格好で、腕の部分が車輪、足が巨大な爪の付いた武器になっている。
- あるるかんの「聖ジョージの剣」で真っ二つにされた。
- 衝月(しょうげつ)
- 尖夕(せんゆう)
- 裂空(れっくう)
- 三体とも黒賀村の人形使い達が繰る懸糸傀儡。才賀家の別荘跡地で、勝の中に貞義が転送されていると思い込んだ黒賀の人形使い達が、勝を殺すために差し向けるが、勝が繰る貞義製の3体の懸糸傀儡によって全て破壊された。
- アンラッキー〈黒賀村の老人たち〉
- 人形造りの村であり、人形使いを育てる村でもある黒賀村で、一人前の「人形使い」として認められる為の試験で使われる懸糸傀儡。実は一体ではなく操り手の老人三人がそれぞれに人形を持っているため計三体いる。使い手が隠れて操っているため、試験を受ける者は倒しても倒しても向かってくるように見える人形に恐怖する。因みに試験は人形を倒すことが目的ではなく、倒せない人形から『如何に逃げるか』を問うものであり、三体全てを倒して合格したのは勝が初めてらしい(衝月五郎の父は二体までは倒したらしい)。外見は草刈鎌の様な凶器を持った、小型の女の子の人形である。もっとも、「可愛らしい」等と言う形容詞が当てはまらない、おどろおどろしい呪いの人形の様な姿である。両足にはのこぎりのような形の刃が仕込まれており、足の裏を合わせて地面に立てた刃を回転させることによって一輪車に乗っているような状態で高速移動することができる。デザインは作者側のものではなく、ある読者のはがきから起用したもの(他に「ブロム・ブロム・ロー」という自動人形も読者のデザインだった)。
人形相撲に参加した懸糸傀儡
- ナイト・スレイヴァーV(ブイ)〈才賀勝→阿紫花平馬〉
- 平馬と勝が作った懸糸傀儡。小型なので小回りが利く。黒賀村の祭り「人形相撲」で、平馬と勝が操った。剣一本の武装で戦い抜き、最後は片腕・片足を失いながらも人形相撲に優勝する。最終章では「黒賀の人形遣い禁断の『裏の蔵』」で用意した弾薬やミサイルをフル装備して平馬が操り自動人形と戦ったが、自動人形に敵わず、勝を助けるために自爆させる。なお設計(「小型に作れ」という要望)は勝で、命名は平馬だったらしい。
- 衝月太郎〈衝月五郎〉
- 持ち主と同じ姓を持った鎧武者型の懸糸傀儡。機巧仕掛けの長柄が武器で、長柄の先端が分銅状に変形して連続攻撃を行う「鎌嵐」という必殺技を持つ。
- エンドレス・ラバー〈富内拓地〉
- 短めの槌が武器の大型懸糸傀儡。「ハネムーンロード」という必殺技を出そうとしたが、その直前に破壊された。
- ハッスルファンタジー〈福田ヒロ男〉
- アニメに出てくるような甲冑を着たエルフを模した懸糸傀儡。耳が異様に長い。武器は短めの槍。
- ビッグサクセス〈比良吹雅人〉
- 各関節に車輪のついた懸糸傀儡。名前は持ち主の野心が込められたものだったが、試合開始直後に一瞬で破壊された。
- プリンスマン〈兼田一也〉
- 足に車輪のついた馬に乗った騎士を模した懸糸傀儡。車輪による突進と手にしたスピアによる連続攻撃を得意とする。
フェイスレスが作った懸糸傀儡
- あるるかん(完全版)〈フェイスレス〉
- フェイスレスが製作した白銀のものと同名の懸糸傀儡。白衣を纏い、頭に黒い羽があり、両手両足に「聖(セント)・ジョージの剣」があり、「コラン」も可能。「兄さん(白銀)が作ったものより強力」とフェイスレス本人が自負している。
- ゴイエレメス〈フェイスレス→才賀勝→阿紫花平馬〉
- フェイスレスが自分のために作り遺した3体の懸糸傀儡のうちの一体。かなり巨大かつ頑丈だが、操るにはかなりの力が必要で、力のない者が無理に操ろうとするとすぐに糸が切れてしまう。必殺技は、ジェット噴射で加速したパンチを叩き込む。ブリゲッラとの戦いで平馬が使用したが、完全に破壊された。
- キャプテン・ネモ〈フェイスレス→才賀勝〉
- フェイスレスが自分のために作り遺した3体の懸糸傀儡のうちの一体。海賊のような姿をした骸骨の人形。両腕の剣による攻撃のほか、背中にも4枚の刃が内蔵されている。「水上ライブ」「水中ライブ」形態で、それぞれ水上、水中での戦闘が可能になる。勝が初めて使った時の感想は「フワフワしてやりづらい」。
- ジャック・オー・ランターン〈フェイスレス→才賀勝〉
- フェイスレスが自分のために作り遺した3体の懸糸傀儡のうちの一体。ハロウィンのカボチャのような姿の人形で、「ジャコ」という略称でも呼ばれている。刃の反対側に箒のついた鎌を持っており、箒を回転させることで空を飛んだり、両足を手に変えて合計4本の手で相手を拘束することができる。勝が扱いやすい事や空を移動できる事もあり、新生真夜中のサーカスとの戦いでも多用している。必殺技は、ロケット弾の他、ほぼ全てのものを斬ることができる「超高速振動鎌」(グリム・リーパー)、使用者の意志で自由に硬度、粘着性を変えることが出来る「バブル・ザ・スカーレット」。
- モン・サン・ミッシェルに向かう際、グリュポンに「へんちくりんカボチャ」と評された場面では、不快そうに眼の上下が逆転していた。最後は宇宙ステーション・アルファーのブースターによってフェイスレスのあるるかんと共に破壊されてしまうが、砕けいくジャコの顔が、感謝と別れを告げる勝にまるでウインクをしているかのように見える描かれ方をされている。
用語解説
- ゾナハ病
- 正式名称「他者の副交感神経系優位状態認識における生理機能影響症」。自動人形の疑似体液や、「銀の煙」を構成する超微細自動人形「アポリオン」が体内に侵入することによって発症する。他人を笑わせなければ、激しい呼吸困難を伴った痛みを感じる。しかし、この病気が原因で死ぬことはなく、「死ねない」苦しみを味わうことになる。直接的な死因となるのは、免疫力低下による様々な合併症によるもの。
- ゾナハ病の段階としては、
- 第一段階
- 他者を笑わせなければ呼吸困難に陥る発作が発生するが、それ以外では日常生活に支障は無い。この段階のみで寿命をまっとうできるのは極稀。
- 第二段階
- 免疫力が低下し、さまざまな合併症を引き起こす。死亡要因はこの段階がほとんど。
- 第三段階(最終段階)
- 体温が低音で一定化、全身が硬直、半永久的に呼吸困難状態となり、食べ物や水を摂取せずとも生き続け、外的要因以外では死ねなくなる。
- 第二段階で死に損ねた者が迎える生き地獄。また身体の成長等もしない模様。治療法は、万能の霊薬「アクア・ウイタエ」(その希釈物でも可)を飲むか、身体にワルトハイム電磁波を照射するしかない。
- 本来の解決策は、しろがね(エレオノール)の歌声で、子守唄を歌うこと。ゾナハ病の原因虫のモードが「病気にさせる」から「病気を治す」に変わる。全て終わったとき、活動をやめ体外に排出される。
- しろがね
- 純粋なアクア・ウイタエを飲んだ者。常人の1年分の身体の成長・老化には5年かかる、夜ほとんど眠らずに済む、傷の再生が目に見えるほど早い等、超人化している。死ぬためには、体内のアクア・ウイタエがなくなるほどの出血をするか、自分自身の「生」を満足するかのどちらかをするしかない。
- 自動人形の破壊を目的とした人間及びその集団。人形破壊者とも言われる。意識のほとんどを白銀(バイ・イン)の意志に支配され、その時代時代を上手く生きるために「人間の真似事」として一般人を利用するなど、全ての自動人形を破壊することにのみ全てを捧げてしまっている。そのため一般人との協調性に欠けやすく、自動人形破壊以外の集団行動には向いていない者も多い。ただし、スティーブのように一般人と「人間の真似事」ではない家庭を持ったり、正二郎とアンジェリーナのように一般人からも認められるおしどり夫婦になったりするような者もいるなど、ごく普通の集団生活をしっかり送る者もいるようだ。世界中の政府や警察の上層部に全ての活動を黙認されており、空港の荷物検査もスルーできるなどの待遇がある。また自動人形の「無意識に芸人の技を学ぼうとする本能」を逆手にとって芸に注目させて隙を作らせるという目的のために、しろがねは必ず過去にサーカス芸の修行をしている。
- エレオノールに対する勝、鳴海及び仲町サーカス団員の呼び方。エレオノール自身もそう名乗ることが多い。
- 白銀が正二郎に付けてもらったあだ名。後年では銀自身がそう名乗っている。
- しろがねの血
- アクア・ウイタエを飲んだしろがねの血は自動人形にとっては猛毒と同じで、体内にあるろ過装置(人間の胃にあたる部分)を通す以外の方法で体内にしろがねの血が入った場合(しろがねの血が塗られた刃による切り傷など)、一定時間行動不能もしくは活動停止にまで陥らせる(正二曰く「人間にとっての空気と同じ」)。生命の水が溶けている為、他人にしろがねの血を与えればしろがねと同様の治癒効果などを与えるが、多量に飲めばしろがねそのものになってしまう危険性がある為、普通の人間にしろがねの血を飲ませることは禁忌中の禁忌になっている。また、自動人形達にとっては「不味い」らしい。なお、アクア・ウイタエの影響によりしろがね同士では血液型に関係なく輸血が行える。
- 懸糸傀儡(けんしくぐつ)/マリオネット
- 主に「しろがね」達と黒賀村の「人形繰り」が糸を介して操る様々な操り人形(マリオネット)。操作は両手の十指に加え、場合に拠っては両足の十指を補助として使う。基本的には手の指のみで動作させられる。白銀が成瀬正二郎(才賀正二)と共に造りあげた「あるるかん」を源流とし、様々なギミック・能力を持つ。「しろがね」達は基本的に一人一体、各々独特の懸糸傀儡を操る様だが、基本の操作に互換性があり、自分の懸糸傀儡を失った「しろがね」が、他者の遺した懸糸傀儡を操る事も多い。サイズは懸糸傀儡「アンラッキー」や「スレイヴァーV」の様な小型種から、マリオネット「スレイプニイル」や「オリンピア」の様な大型まで様々。ただし大半は、主な使用者である「しろがね」達の自動人形破壊という目的から、大型・多彩な能力を持つ物が主流。「あるるかん」のように専用トランクに折り畳んで収納できるものもある。
- 自動人形の「黄金律」を利用した物であり、兵器とも人形とも取れるため、これに対しては、武器を持つ相手に対して風より速く動ける自動人形も、人間と同じ速さで動かざるを得ない。ただし自動人形と戦えるレベルに達するには、才能のある者でも血の滲むような修行を何年も積まねばならない。
- 勝は元々持っていた才能に加え、フェイスレスのダウンロードによる知識を得ていたので、1年程で熟達した。
- しろがね-O(しろがね オー)
- フェイスレスが開発したしろがねの体の各部をからくり化したサイボーグ。しろがねと違い歳を取らず、睡眠も必要でなく、瞳孔だけでなく眼球そのものが銀色一色。懸糸傀儡ではなく自分自身の体を武器に戦う(しろがね自身が懸糸傀儡化する発想で作られており、その武器は大道芸の発展形。人間の芸を見ると、それを観察して自分のものにせずにはいられないという自動人形の本能を利用したものか)。基本的に感情は見せないが、感情がないわけではない。自身の力を過信しやすく自動人形破壊の使命感で「ハイ」になりがちで、仲間が死のうとも何も思わないなど冷酷なため、通常のしろがねに輪をかけて集団行動が難しく、一般のしろがねたちとそりが合わない。
- O(オー)
- しろがね-Oを完全に機械化したもの。人間としての本体から記憶を機械の身体に転送しているため、バラバラになっても修理可能、あるいは記憶を別機体に乗せ換えることで復活可能。オリジナルの肉体は、とある場所の冷凍保存カプセルで安置されている。しろがね-Oから「しろがね」の文字がなくなった通り自動人形破壊への使命感は失われているか希薄になっているようで、相変わらず自動人形とはそりが合わないものの「地球浄化のために人類を止める」「老化せず一生を楽しむ」等、個人的な事情と私情で動いているものがほとんどである。
- 自動人形(オートマータ)
- 意志を持ち、自分で考え、自分で動く人形。単数形は「オートマトン」。フランシーヌ人形はアクア・ウイタエで動き、フランシーヌ人形以外は疑似体液で活動している。
- 低級なものでも銃弾程度では壊れることはなく、さらに「黄金律」を持つため、通常の人間にとっては脅威である。撃破するには、致命傷を一撃で与える、或いは拳法などで用いられる「気」を与え体内の擬似体液が沸騰させ自壊させること。ただし高級なものは「気」に対して耐性を持っているものが多い。
- 人間の血を吸い取る事で、活動エネルギー維持している(ただしグリュポンのような例外もあり)。旧式の自動人形は感覚器官がないか弱いかで、風が気持ちいい、美味しいなどは感じられなかったが、新型の自動人形はそういった感覚器官が強化されているようだ。彼らにとってしろがねの血液はまずいらしい。劇中で自動人形を完成させたのは白金(ディーン・メーストル)、フウ・クロード・ボワローの2名。また、才賀正二、才賀勝は自動人形を改造、修理する等、手を入れたことがある。
- 疑似体液
- フランシーヌ人形が造り出した、自動人形に意志を与える水銀のような液体。定期的に人間の血を加えないと作用しない。ゾナハ病の病原体である「アポリオン」からできており、「銀の煙」はこれを気体化したものである。また「銀の煙」は精密機械の内部に侵入して破壊するため、ミサイルなどの機械兵器による攻撃は無意味である。「アクア・ウイタエ」によって中和される。
- 黄金律(ゴールデンルール)
- 自動人形の造物主が自動人形の基本回路として作り出した部分で、自らを改造する自動人形が、唯一手を加えることのできないブラックボックス。黄金律から逃れるためには、「生命の水」を飲む以外に方法は無い。
- これは元々道化として造られた自動人形の特徴であり、「観客(人間)に見える速さで動かなければならない」というものである(観客に見て貰うこと自体が道化の存在意義)。自動人形と戦うしろがね達も「観客」とみなされることから、本来の性能がどれほど高くても、「観客」の目に見える人間と同等の速さでしか力を発揮することができない。
- このルールは逆に「観客で無い者に対しては素早く動いてもよい」というものでもあり、武器を持つ者=観客でない者に対しては例外である。銃や強力な兵器を用いる相手には、その武器が強力であればあるほど速く動ける。しろがね達が銃などの一般的な兵器を用いないのは、それを用いると「観客」ではないとみなされてしまうからである。
- 加えて、道化故にレパートリーに無いサーカス芸を無意識に覚えようとする習性があるので、サーカス芸人ならば付け入る隙はある(しろがねが全員サーカス芸を学ぶのはこの為)。
- 柔らかい石
- 錬金術の集大成。鉛を金に変え、人間に永遠の命を与える「生命の水」(アクア・ウイタエ)を作り出す。
- 空気に触れると二週間で蒸発してしまう上、大人の体内では拒絶反応が起こるため、人間の子供の体内に入れて保存しなければならない。
- 一般的には「賢者の石」という名称の方が有名だが、本編中では一度もその名で呼ばれた事は無い(歴史上の賢者の石も、「石」という固形物とは限らなかったらしい)。
- 生命の水(アクア・ウイタエ)
- 「柔らかい石」が水と反応し作られる「万能の霊薬」。大量に生成された場合は何でも溶かす溶解液と化し、溶かしたものを液の中に保存する。人間が溶けた場合、その溶けた者の心を保存し、飲んだ者を支配する。溶けた者の記憶をも保存するが、記憶が飲んだ物に完全に引き継がれるわけではない(例:しろがねたちは白銀の技術、自動人形に対する憎悪を継いでいるが、柔らかい石の製造方法を知らない)。
- 主な効能として、
- 人間が飲むと、髪の毛、瞳が銀色になり、身体能力が約5倍に向上し、5年に1回しか歳を取らなくなる。
- 自動人形が口から飲み、胃のろ過装置を介することにより、彼らにとっての黄金律を克服することができる。
- 自動人形が経口摂取以外で注入されると、体内の擬似体液が中和され、機能停止に陥る。
- ラテン語表記では「Aqua vitae」。
- <転送>(ダウンロード)
- デジタル化した記憶や人格を他者の脳や機械の体に焼き付け、他者の肉体を乗っ取る、あるいは生まれ変わる事が出来るシステム。
- 生後から現在までの記憶の<転送>が第一段階、記憶が形成した人格の<転送>が第二段階、記憶と人格の二つの情報を関連付け、組み合わせるミクスチャーの第三段階の過程を経て<転送>は完成される。生命の水のように不完全ではない、100%本人の人格と記憶を再現出来る上、別人に<転送>しても他者からバレにくいというメリットがある。
- 作中ではOが本体から機械の体に<転送>をしており、フェイスレスも勝や自身のクローン体に実践している。勝の場合二度<転送>されかけたが、一度目は正二が第一段階途中で開放した為、一部の記憶を知識として引き継ぐだけに留まった。二度目は完璧に<転送>されたものの、事前に飲んでいた(生命の水が溶けた)エレオノールの血の効果で転送された情報を有害と判断、転送情報は消滅し、支配を防いだ。
- サイガ
- 時計、家電、コンピュータ、ゲームなどの各分野に進出する日本の大企業。アルファベット表記は「PSYGA」。創業は才賀正二、才賀貞義が「才賀機巧社」を設立した明治年間にまで遡る。才賀正二、才賀貞義が交代でトップを務め、永年に渡り、対「自動人形」用の「懸糸傀儡」を「しろがね」に提供してきた。この製造技術やノウハウを精密機械工業に生かすことで、一大コングロマリットにまで成長した。同じくしろがねであるフウが、似たような経緯で同じような会社を経営している。
- 明治時代のサイガグループの前身
- 才賀機巧社
- 1990年代のサイガグループ主要各社
- サイガ時計
- サイガ電器通信
- サイガエレクトロニクス
- サイガ金属
- UTサイガ
- ネットワークサイガ
- 才賀建機
- 才賀生命
- キャピトルサイガ
- サイガ化学
- サイガパネル
- 才賀流通
- サイガコーポレーション
- サイガ事務
- サイガ不動産
- サイガ電器(社長:才賀善治)
- サイガ玩具(社長:才賀善治)
- 明治時代のサイガグループの前身
- 黒賀村(くろがむら)
- 古来より人形繰りが盛んな地域。明治以降は、才賀正二、才賀貞義の依頼により、サイガが製作した人形の調整に協力していた。才賀正二により村の危難を幾度か救ってもらったことから、村長以下、村民の才賀家に対する敬愛の念は強い。また、才賀貞義(フェイスレス)に対しては嫌悪の念が強い。近年では人形繰りの技術を生かした殺し屋も輩出している。官公庁としては、和歌山県警察、もしくは奈良県警察の駐在所がある。また、「和歌山県黒賀郷黒賀村」の住所表記で郵政省が郵便物を配達する。
- 「ナラ県クロガ村」を中心とする地点に「アルファー」の落下が予測されていたが、フェイスレスと才賀勝により回避された。
- 人形相撲(にんぎょうすもう)
- 大晦日に行われる行事。若い人形使い達が人形を操って競う。優勝者はその年の「年娘」と祝言の真似事をする。現在において完全に「真似事」であるが、過去には実際に祝言させられていたらしい。
書籍情報
- 単行本
- 1998年1月15日発売 ISBN 4-09-125331-8
- 1998年3月15日発売 ISBN 4-09-125332-6
- 1998年5月15日発売 ISBN 4-09-125333-4
- 1998年9月15日発売 ISBN 4-09-125334-2
- 1998年11月15日発売 ISBN 4-09-125335-0
- 1999年2月15日発売 ISBN 4-09-125336-9
- 1999年4月15日発売 ISBN 4-09-125337-7
- 1999年6月15日発売 ISBN 4-09-125338-5
- 1999年9月15日発売 ISBN 4-09-125339-3
- 1999年12月15日発売 ISBN 4-09-125340-7
- 2000年2月15日発売 ISBN 4-09-125681-3
- 2000年5月15日発売 ISBN 4-09-125682-1
- 2000年7月15日発売 ISBN 4-09-125683-X
- 2000年9月15日発売 ISBN 4-09-125684-8
- 2000年11月15日発売 ISBN 4-09-125685-6
- 2001年2月15日発売 ISBN 4-09-125686-4
- 2001年5月15日発売 ISBN 4-09-125687-2
- 2001年7月15日発売 ISBN 4-09-125688-0
- 2001年10月15日発売 ISBN 4-09-125689-9
- 2001年12月15日発売 ISBN 4-09-125690-2
- 2002年2月15日発売 ISBN 4-09-126361-5
- 2002年5月15日発売 ISBN 4-09-126362-3
- 2002年7月15日発売 ISBN 4-09-126363-1
- 2002年9月15日発売 ISBN 4-09-126364-X
- 2002年11月15日発売 ISBN 4-09-126365-8
- 2003年2月15日発売 ISBN 4-09-126366-6
- 2003年4月15日発売 ISBN 4-09-126367-4
- 2003年7月15日発売 ISBN 4-09-126368-2
- 2003年10月15日発売 ISBN 4-09-126369-0
- 2003年12月15日発売 ISBN 4-09-126370-4
- 2004年3月15日発売 ISBN 4-09-127071-9
- 2004年6月15日発売 ISBN 4-09-127072-7
- 2004年8月15日発売 ISBN 4-09-127073-5
- 2004年11月15日発売 ISBN 4-09-127074-3
- 2005年1月15日発売 ISBN 4-09-127075-1
- 2005年3月15日発売 ISBN 4-09-127076-X
- 2005年6月15日発売 ISBN 4-09-127077-8
- 2005年8月15日発売 ISBN 4-09-127078-6
- 2005年11月15日発売 ISBN 4-09-127079-4
- 2006年1月15日発売 ISBN 4-09-127080-8
- 2006年3月15日発売 ISBN 4-09-120109-1
- 2006年6月15日発売 ISBN 4-09-120379-5
- 2006年9月15日発売 ISBN 4-09-120570-4
- その他
- からくりサーカス公式ガイドブック サーカスのすべて 2004年7月16日発行 ISBN 978-4091277718
- ワイド版
- 2011年7月15日発売 ISBN 978-4-09-123028-7
- 2011年7月15日発売 ISBN 978-4-09-123029-4
- 2011年8月18日発売 ISBN 978-4-09-123030-0
- 2011年9月16日発売 ISBN 978-4-09-123042-3
- 2011年10月18日発売 ISBN 978-4-09-123043-0
- 2011年11月18日発売 ISBN 978-4-09-123044-7
- 2011年12月18日発売 ISBN 978-4-09-123045-4
- 2012年1月18日発売 ISBN 978-4-09-123046-1
- 2012年2月17日発売 ISBN 978-4-09-123047-8
- 2012年3月16日発売 ISBN 978-4-09-123048-5
- 2012年4月18日発売 ISBN 978-4-09-123049-2
- 2012年5月18日発売 ISBN 978-4-09-123050-8
- 2012年6月18日発売 ISBN 978-4-09-123067-6
- 2012年7月18日発売 ISBN 978-4-09-123068-3
- 2012年8月18日発売 ISBN 978-4-09-123069-0
- 2012年9月18日発売 ISBN 978-4-09-123070-6
- 2012年10月18日発売 ISBN 978-4-09-123075-1
- 2012年11月18日発売 ISBN 978-4-09-123076-8
- 2012年12月18日発売 ISBN 978-4-09-123077-5
- 2013年1月18日発売 ISBN 978-4-09-123078-2
- 2013年2月18日発売 ISBN 978-4-09-123079-9
- 2013年3月18日発売 ISBN 978-4-09-123080-5
- 2013年4月18日発売 ISBN 978-4-09-123082-9
島本和彦作品
- 『逆境ナイン』
- 島本和彦の漫画。2005年に実写映画化され、その際映画化記念として、『からくりサーカス』との合作読み切り『からくり逆境サーカスナイン』が、『サンデーGX』同年7月号に巻頭カラーで掲載された。『逆境ナイン』の映画化記念であるのに、何故か世界観は『からくりサーカス』に近い。島本和彦サイドがほとんどの作画をしているが、「からくり男球」など決めのコマの幾つかは藤田和日郎が作画している(『からくりサーカス』のキャラは全て藤田が作画したように見えるが、大部分は島本側が藤田の画風に似せて描いたものである。)。1コマだけ、あだち充が担当している。
- あだち充の『タッチ』に触発された「面目レス」[2]が、自動人形を率い全力学園野球部を乗っ取りマネージャー「モエレオール」[3]を甲子園に連れて行こうとするが、対戦チームは人形破壊者「しろがね」を擁して対抗する。自動人形「ニセ不屈闘志」が魔球「からくり男球」を投げるが、試合に乱入したしろがね達に打たれてしまう。くじけそうになる面目レスだが、復活した本物の不屈闘志は野球部を乗っ取られたことを承知で、ニセ不屈に男の魂を吹き込む。試合を通じ、面目レスは「柔らかい意思」の重要さに気づいた。
- 『吼えろペン』
- 同じく島本和彦の漫画。漫画内の架空の漫画として、『からぶりサービス』という『からくりサーカス』をパロディ化した作品が登場する。作者は、富士鷹ジュビロ(モデルは藤田和日郎)。
- 『からぶりサービス』は高い人気を誇り、順調な連載を続けていたが、富士鷹ジュビロが腕を火傷してしまった際に、連載3回分を炎尾燃が代筆。炎尾燃が、マサルを殺すという展開を見せた。
- 『新・吼えろペン』
- 『吼えろペン』の続編であり、引き続き『からぶりサービス』と富士鷹ジュビロが登場する。
- 富士鷹ジュビロは高学館の『週刊少年リベンジ』編集長三神から『からぶりサービス』の連載終了を言い渡されるが、3ヶ月で最終回を迎えるためには風呂敷を畳みきれず四苦八苦する。悩んだ結果、富士鷹はDランクの登場人物から伏線を回収し始めたため、最終回までに主人公とヒロインに決着が着かないと危機感を抱いた炎尾が自作のページを使って勝手に代筆(鳴海の背後でマサルが「サービス」をするシーン)。最終的に炎尾のページも使用し富士鷹が筆を執り、作品は大団円を迎えた。「からぶりサービス閉店」との文言が最終コマ。単行本巻末には「スペシャルサンクス炎尾」の記載あり。
関連項目
- コメディア・デラルテ - イタリアの伝統的な風刺劇。真夜中のサーカス「最古の四人」などの名前・外見設定と多くが共通する。
- 週刊少年サンデー
- からくりの君
- 月光条例