博多総合車両所

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
2014年8月7日 (木) 19:00時点におけるHohi233 (トーク)による版 (現在の車両)
(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)
移動先: 案内検索

テンプレート:車両基地

ファイル:JRW Hakara general vehicle place.jpg
博多総合車両所全景(2009年10月18日)

博多総合車両所(はかたそうごうしゃりょうしょ)とは、西日本旅客鉄道(JR西日本)の新幹線車両が配置されている車両基地および、車両工場である。

概要

山陽新幹線博多駅まで全線開業する前年の1974年に当時の日本国有鉄道(国鉄)により開設された新幹線用の車両基地である。山陽新幹線に付随する唯一の総合車両基地である。

開設当時は山陽新幹線にとどまらず、まだ計画段階だった九州新幹線の車両基地としても利用される事を想定していた。しかし国鉄分割民営化により山陽新幹線と(当車両所を含む)関連施設がJR西日本に承継された一方で、その後建設が始まった九州新幹線の運営主体は九州旅客鉄道(JR九州)となり、九州新幹線の車両基地は当車両所とは別途設けられることになった。2004年新八代駅以南の部分開業時は川内駅に隣接した川内新幹線車両センターが暫定的な車両基地となり(全般検査は鹿児島総合車両所まで輸送されて行われた)、2011年3月の全線開業後は、新たに熊本駅の南方に熊本総合車両所が建設されている。

組織

本所

博多駅の南約9kmの場所に位置している。敷地の北半分が福岡県春日市、南半分が福岡県筑紫郡那珂川町にまたがっている(事務所が那珂川町側にあるため、所在地は那珂川町中原東2丁目となっている)。地元では地名にちなみ「那珂川新幹線基地」と呼ぶこともある。構内の一角に1990年開設の博多南線博多南駅があり(駅舎が春日市側にあるため、駅住所は春日市上白水8丁目となっている)、本車両所への出入庫列車を利用して営業運転が行われている。九州新幹線の本線とは当車両所北側の福岡市南区弥永4丁目で分岐する構造となっているが、JR西日本とJR九州の管理境界は博多駅構内ではなくこの場所となっている。

本所では、全般検査・台車検査・交番検査・仕業検査およびATC特性検査などの各種車両検修を行う。総務科・車両科・技術科・試験科・設備科・構内運転科・電車センター・台車センター・運用センターの各科・各センターに分かれており、3センターが現場作業を行っている。また博多駅構内には博多駅ホーム派出があり、九州新幹線を含めた博多駅で折返し運転を行う列車の折返し検査等を行っている。

着発線21線、組替・電留・通路線9線、検修庫線7線、台車振替線2線、車輪研削線2線を備えている[1]

岡山支所

テンプレート:See also 岡山県岡山市北区北長瀬本町にある車両基地で、開所当初は大阪第一運転所岡山支所としていたが、国鉄分割民営化時に大阪第一運転所(現在の大阪仕業検査車両所)が東海旅客鉄道(JR東海)の組織となったことから、独立した組織である岡山新幹線運転所であった。

検修線2線と電留線14線を備えており、17番線(通路線)からは岡山保守基地と行き来することができる[2]。主な業務は新幹線車両の交番検査、仕業検査、臨時検査、ATC特性検査などである。 現在、車両の配置はなく、運転士・車掌の配置も無い。

広島支所

テンプレート:See also 広島県広島市東区にある車両基地で、開所当初は独立した組織である広島新幹線運転所であった。芸備線矢賀駅の北側にあり、当基地への回送線は広島駅の東側(岡山寄り)で上下本線に挟まれて単線で分岐している。

検修線2線、留置線8線、試運転線1線と引上線1線を備えている[3]。主な業務は新幹線車両の仕業検査、臨時検査、広島駅発着車両の早朝・深夜帯における夜間留置などである。開所当初は仕業検査線2線、着発収容線9線の全11線で、すべて16両編成対応だった。2010年3月に隣地の広島運転所矢賀派出所電留線跡地の活用で、新たに着発収容線9線が増設された。増設された線は、12番線 - 17番線は8両編成に、18番線 - 20番線は16両編成に対応になっている。かつては912形ディーゼル機関車が配置されていたが、現在、車両の配置はない。

運転士・車掌の配置は支所としてはないが、同敷地内には、乗務員区所の広島新幹線運転所も置かれている。

配置車両の車体に記される略号

新幹線管理本部の略号である「幹」と、博多の電報略号である「ハカ」から構成された「幹ハカ」となっている。

配置車両

現在の車両

JR西日本所属の山陽新幹線用車両の全車が本所に配置されている(一部の事業用車両は登記上は本所所属のまま管内の各駅に常駐している)。運用的には、東海道新幹線との直通運用に供される16両編成と、九州新幹線との直通運用に供される8両編成、山陽新幹線内に限定して運用される8両編成に分かれている。

東海道・山陽・九州新幹線系統に供される車両のうち、JR九州のみが保有する800系電車以外の全系列が当車両所に配置されている。

2014年4月1日現在の配置車両は以下の通り[4][5]。ほかにも車籍は抹消されているが、500系電車900番台 (WIN350) の先頭車などが保存されている。

営業用(現行)

  • 500系電車(74両)
    • 7000番台の8両編成8本(V2 - V9)と0番台の量産先行車10両(元W1編成)が配置されている。
    • V編成は山陽新幹線内で「こだま」と一部の「ひかり」で運用されている。0番台は定期運用には充当されていない。
    • 当初は0番台の16両編成9本(W1 - W9)が配置され東京直通の「のぞみ」に優先的に使用されていたが、2007年からW1編成を除いて順次V編成に改造・短縮されていき、2010年3月のダイヤ改正をもって「のぞみ」運用からは撤退した。
  • 700系電車(496両)
    • 7000番台の8両編成16本(E1 - E16)、3000番台の16両編成15本(B1 - B15)、0番台の16両編成8本(C11 - C18、JR東海からの移籍車)が配置されている。
    • 0番台・3000番台は共通運用で東海道新幹線直通用として東京駅 - 広島駅間の「ひかり」と臨時「のぞみ」として運用されるほか、東海道区間のみの「ひかり」「こだま」でも使用されている。
    • 7000番台は山陽新幹線内専用として、「ひかりレールスター」と「こだま」で運用されている。
  • N700系電車(424両)
    • 3000番台の16両編成13本(N1 - N3、N6 - N12、N14 - N16)、4000番台の16両編成1本(F1)、5000番台の16両編成3本(K4、K5、K13)、7000番台の8両編成19本(S1 - S19)が配置されている。4000番台は「N700A」新製車、5000番台は3000番台からの「N700A」改造車。
    • 3000番台・4000番台・5000番台は主に東海道・山陽新幹線直通の「のぞみ」「ひかり」のほか、間合い運用として新下関駅小倉駅 - 博多駅間の「こだま」でも運用される。
    • 7000番台は2008年に量産先行車1本が配備され、試験走行を実施していた。2010年度に8本が増備され、2011年3月12日から山陽・九州新幹線の「みずほ」「さくら」や一部の「ひかり」「こだま」で運用されている。運用の都合上、九州新幹線内のみの「さくら」「つばめ」にも運用されている。

事業用(現行)

過去の車両

営業用

  • 0系電車
    • ひかり」用16両編成のN・NH・H編成や「ウエストひかり」用12両編成のSK編成、「ウエストひかり」・「こだま」用6両編成のR編成 (R0 - R31) とWR編成 (R51 - R54, R61 - R68) 、4両編成のR編成 (R51 - R53) とQ編成 (Q1 - Q6) など多くの車両が配置されていた。
    • 2008年6月以降は6両編成3本 (R61, R67, R68) のみが配置されていたが、12月に運用を終了し、2009年1月23日までに全車廃車となった。
    • R61・R67・R68編成は廃車前に旧塗装に塗装変更されていた。
  • 100系電車
    • 当初は3000番台として「グランドひかり」用の16両編成9本(V1 - V9)が配置され、1996年から1997年にかけて0番台の16両編成7本(G1 - G7)がJR東海から転入した。なお、G編成は車体の編成記号こそGのままだったが、0系のNH編成の運行を置き換えたため、新幹線運行管理システム(コムトラック)内では「N編成」として認識されていた。
    • その後、G編成はすべて廃車され、V編成は「こだま」用の4両編成12本(P1 - P12)と6両編成10本(K51 - K60)に改造された。P編成は2011年3月、K編成は2012年3月のダイヤ改正で運用を終了した。なお、K編成の一部は運用終了前に旧塗装に変更されていた。
  • 300系電車
    • 3000番台の16両編成が配置されていた。
    • 当初は主に「のぞみ」として運用されたが、700系の登場後は次第に東京駅 - 岡山駅間の「ひかり」、岡山駅 - 博多駅間の「こだま」運用が中心となっていった。2012年3月のダイヤ改正で100系とともに運用を終了した。

事業用

  • 922形電車
    • 新幹線電気軌道総合試験車(ドクターイエロー)。20番台7両T編成1本 (T3) が配置されていた。2005年9月30日付で廃車となり、配置がなくなっている[6]。先頭車(7号車・922-26)はJR東海の開設したリニア・鉄道館にて展示(静態保存)されている[7]

歴史

一般公開

毎年10月鉄道の日付近に「新幹線ふれあいデー」と称して一般公開が実施される。かつては「新幹線サマーファミリーフェア」と称して7月20日前後に一般公開と新幹線車両の試乗会を実施していたが、2005年に発生した福知山線脱線事故の影響で同年以降中止され、2008年から開催時期を10月とし、一般公開のみとして再開している。

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ テンプレート:Reflist

関連項目

テンプレート:日本の新幹線
  1. 博多総合車両所の概要インターネット・アーカイブ)- 西日本旅客鉄道福岡支社
  2. 川島令三編著『山陽・九州新幹線ライン - 全線・全駅・全配線』講談社、2011年、p.25。ISBN 978-4-06-270073-3。
  3. 川島令三編著『山陽・九州新幹線ライン - 全線・全駅・全配線』講談社、2011年。ISBN 978-4-06-270073-3。
  4. ジェー・アール・アール編『JR電車編成表 2014夏』交通新聞社、2012年。ISBN 978-4-330-28612-9。
  5. 「JR旅客各社の車両配置表」『鉄道ファン』2014年7月号、交友社
  6. テンプレート:Cite book
  7. テンプレート:PDFlink - 東海旅客鉄道プレスリリース 2009年7月24日
  8. 8.0 8.1 『東海道 山陽新幹線二十年史』日本国有鉄道新幹線総局、1985年、p.1195
  9. 9.0 9.1 9.2 『東海道 山陽新幹線二十年史』日本国有鉄道新幹線総局、1985年、p.1197
  10. 当初は同年3月から台車検査開始予定であったが、要員受け入れなどの遅れから4月より検査開始となった(『東海道 山陽新幹線二十年史』p.1197より)。
  11. 『東海道 山陽新幹線二十年史』日本国有鉄道新幹線総局、1985年、p.1199
  12. 当初は1975年10月から全般検査開始予定であった(『東海道 山陽新幹線二十年史』p.1181より)。
  13. 13.0 13.1 『東海道 山陽新幹線二十年史』日本国有鉄道新幹線総局、1985年、p.1201
  14. 『東海道 山陽新幹線二十年史』日本国有鉄道新幹線総局、1985年、p.1203
  15. 『東海道 山陽新幹線二十年史』日本国有鉄道新幹線総局、1985年、p.1204
  16. 『東海道 山陽新幹線二十年史』日本国有鉄道新幹線総局、1985年、p.1205
  17. 『東海道 山陽新幹線二十年史』日本国有鉄道新幹線総局、1985年、p.1207
  18. 『JR気動車客車情報』'87年版 ジェー・アール・アール 1987年