仙丈ヶ岳

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
2014年8月25日 (月) 10:50時点におけるWjp28y (トーク)による版 (±lk など)
(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)
移動先: 案内検索

テンプレート:Infobox 山

仙丈ヶ岳または仙丈岳(せんじょうがたけ・せんじょうだけ)は、長野県伊那市山梨県南アルプス市にまたがる南アルプス国立公園内の赤石山脈の北部にある標高3,033 mである。

概要

北東に小仙丈岳、南西に大仙丈岳の小ピークを従え、さらに大仙丈岳の南側には、南アルプス中部の塩見岳に至る長大な仙塩尾根が連なっている。また、尾根の間には、東側に小仙丈沢カール、北側に藪沢カール、南東側に大仙丈沢カールと三つのカール(圏谷)を擁し、山容は比較的穏やかであるが、西面は急峻で岳沢が沢登りや冬季の氷瀑登攀の対象となっている。高山植物の非常に豊富な山として知られている。男性的な山容の甲斐駒ヶ岳に比べて女性的ななだらかな山容から「南アルプスの女王」とも称されることがある[1][2]日本百名山[3]新日本百名山[4]花の百名山[5]新・花の百名山[6]山梨百名山[7]に選定されている。山体は赤石層群の硬砂岩粘板岩チャートで構成されている[2]

山名の由来

信州側で古くは甲斐駒ヶ岳の前衛峰として「前岳」と呼ばれていた[8]。『甲斐国志』や『新撰甲斐国地誌略』などでは、「千丈ヶ岳」と記載されている[9]。「」とは長さの単位であり、「仙丈ヶ岳」という山名は、この山が高いことを比喩的に表したものだと考えられる。1丈の長さは約3.0303mであり、仙丈ヶ岳の標高を丈を単位として表すと約1000.79丈となる。頂上部のカールの広さの千畳から転じたものであるとする説もある[10]

登山

歴史

  • 1909年明治42年) - 河田黙が登頂。山頂に3基の石碑(前岳三柱大神などの刻印)があったことを記録しているが、現在は存在しない[9][1]
  • 1925年大正14年)3月19日 - 京都三高山岳部の西堀栄三郎ら4人が積雪期初登頂[11]
  • 1930年昭和5年) - 竹沢長衛が北沢峠に、長衛荘の山小屋を建てた[1]
  • 1964年(昭和39年)6月1日 - 山域は南アルプス国立公園に指定され、山の上部はその特別保護地区、山腹は特別地域となっている[12]
  • 1980年(昭和55年) - 南アルプス林道が開通しバスが運行されてからは多くの登山者が訪れるようになった[13]
  • 2000年平成12年) - 老朽化した山頂直下の仙丈小屋が取り壊され、新しい小屋が完成し、周辺は全面幕営禁止となった[14]
  • 近年 - 北沢峠付近の山小屋が完全予約制を採用するようになった[15]

登山ルート

ファイル:Mountain Hut Senjo 2000-7-2.jpg
山頂直下の薮沢カールの仙丈小屋

北沢峠までの交通の便がよく、東京方面からは1泊2日でも登頂可能である。日本の3,000m峰の中では、登頂し易い山である。多くの登山道が整備されている。毎年7月初旬にメインの登山口の北沢峠で、「南アルプス北部開山祭」と「長衛祭」が行われている[16]

  • 小仙丈尾根 - 北沢峠からの稜線ルートで、展望がよく利用者が多い。五合目の大滝ノ頭から薮沢へトラバースする枝道がある。
  • 仙塩尾根 - 南アルプスの縦走路で、山頂から大仙丈ヶ岳を経て塩見岳へ続く稜線ルート。
  • 薮沢ルート - 大平山荘からの薮沢に沿ったルートで、馬の背からの稜線に合流する。
  • 丹渓新道 - 戸台川の廃業した丹渓山荘からの北側の稜線ルート。 
  • 地蔵尾根 - 西側の市野瀬からの地蔵尾根のルートがあるが、登山者は極めて少ない。

周辺の山小屋

周辺には以下の山小屋があり、登山シーズン中に有人の営業を行っている[17]。南アルプス国立公園内であり、南アルプス市北沢駒仙小屋と仙水小屋のキャンプ指定地を除き、全山幕営禁止となっている。

名称 所在地 標高
(m)
仙丈ヶ岳からの
方角と距離(km)
収容
人数
キャンプ
指定地
備考
仙丈小屋 山頂直下の藪沢カール 2,900 テンプレート:Direction北北東 0.3
55
風力発電太陽光発電設備
馬の背ヒュッテ 丹渓新道と薮沢ルートの分岐 2,640 テンプレート:Direction北北東 1.1
100
藪沢小屋 大滝ノ頭と藪沢の間 2,540 テンプレート:Direction北東 1.4
30
大平小屋 北沢峠西直下 1,960 テンプレート:Direction北東 3.4
80
南アルプス市
北沢駒仙小屋
北沢峠の東の北沢右岸 1,980 テンプレート:Direction北東 3.6
60
テント100張
長衛荘 北沢峠 2,036 テンプレート:Direction北東 3.7
110
松峰小屋 地蔵尾根松峰 1,980 テンプレート:Direction西北西 4.0
20
無人の避難小屋
仙水小屋 北沢峠と仙水峠の中間 2,130 テンプレート:Direction北東 4.6
30
テント 11張

登山道で見られる動植物

登山道の上部は森林限界ハイマツ帯である。ライチョウ(雷鳥)の生息地で、トウヤクリンドウチングルマシャクナゲシナノキンバイミヤマオダマキなど多くの高山植物が見られる[18][19]田中澄江は『花の百名山』で代表する高山植物としてシナノナデシコを紹介した[5]カヤツリグサ科のセンジョウスゲは、環境省山梨県、長野県のレッドリスト絶滅危惧IA類(Critically Endangered , CR)に指定されている[20][21]

130px 130px 133px 140px
ライチョウハイマツ シナノナデシコ チングルマ シナノキンバイ

地理

赤石山脈(南アルプス)の北部の主稜線上にある。西側には地蔵尾根が延び、北側には馬ノ背と呼ばれる尾根がある[22]。南の塩見岳方面へと延びる仙塩尾根は「馬鹿尾根」とも呼ばれている[2]。西北西には地蔵尾根が延びる。北沢峠を挟んで北東の甲斐駒ヶ岳と対峙している。南アルプスの3000m峰の最北端の山である。

周辺の山

ファイル:KaiKOmaGaTake&KisoKomaGaTakeTagged.jpg
仙丈ヶ岳周辺の山(南方上空より)
山容 名称 標高
(m)
三角点等級
基準点名[23]
仙丈ヶ岳からの
方角と距離(km)
備考
80px 甲斐駒ヶ岳 2,967 (一等)「甲駒ケ嶽」
(2,965.58m)
テンプレート:Direction北東 6.4 日本百名山
80px 小仙丈ヶ岳 2,855 テンプレート:Direction2 1.3 仙丈ヶ岳
日本百名山
80px 仙丈ヶ岳 3,032.56 二等
「前岳」
テンプレート:Direction2 0
80px 大仙丈ヶ岳 2,975 テンプレート:Direction2 0.7
80px 北岳 3,193 (三等)「白根岳」
(3,192.18m)
テンプレート:Direction2 7.1 日本百名山
80px 間ノ岳 3,189.13 三等
「相ノ岳」
テンプレート:Direction2 9.2 日本百名山
80px 塩見岳 3,046.86 二等
「塩見山」
テンプレート:Direction2 16.2 日本百名山
仙塩尾根

源流の河川

源流となる以下の河川太平洋へ流れる[22]

交通・アクセス

仙丈ヶ岳の風景と展望

仙丈ヶ岳の風景

南東斜面に大仙丈カール、東斜面に小仙丈カール、北斜面には藪沢カールが見られる。女性的ななだらかな山容である。

180px 160px 145px 162px 150px
仙塩尾根より 北岳より 小仙丈ヶ岳より 馬ノ背より 北沢駒仙小屋より(奥)

仙丈ヶ岳のからの展望

山頂からは、中央アルプス、富士山や南アルプスの山々を望むことができる。

200px 215px 200px
中央アルプス 富士山とご来光 北岳間ノ岳

テレビ番組

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ テンプレート:Reflist

関連図書

関連項目

テンプレート:Sister

外部リンク

テンプレート:日本の山一覧 (3000m峰) テンプレート:日本百名山 テンプレート:山梨百名山

  1. 1.0 1.1 1.2 テンプレート:Cite book
  2. 2.0 2.1 2.2 テンプレート:Cite book
  3. テンプレート:Cite book
  4. テンプレート:Cite book
  5. 5.0 5.1 テンプレート:Cite book
  6. テンプレート:Cite book
  7. テンプレート:Cite book
  8. テンプレート:Cite book
  9. 9.0 9.1 テンプレート:Cite book
  10. テンプレート:Cite book
  11. テンプレート:Cite book
  12. テンプレート:Cite web
  13. テンプレート:Cite web
  14. テンプレート:Cite web
  15. テンプレート:Cite web
  16. テンプレート:Cite web
  17. テンプレート:Cite book
  18. テンプレート:Cite book
  19. テンプレート:Cite book
  20. テンプレート:Cite web
  21. テンプレート:Cite web
  22. 22.0 22.1 テンプレート:Cite book
  23. 引用エラー: 無効な <ref> タグです。 「kijyun」という名前の引用句に対するテキストが指定されていません
  24. テンプレート:Cite web
  25. テンプレート:Cite web
  26. テンプレート:Cite web
  27. テンプレート:Cite web
  28. テンプレート:Cite web
  29. テンプレート:Cite web