ラッカセイ

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ファイル:Peanuts.JPG
皮を剥いた状態の落花生。バターピーナッツ
ファイル:Boil-big-peanuts&normal-peanuts,katori-city,japan.JPG
塩茹でした千葉県開発のジャンボ落花生(左)と通常の落花生
ファイル:Intertwined a peanut and miso and sugar,Katori-city,Japan.JPG
ピーナツ味噌、味噌ピー(千葉県地方ではポピュラーな総菜
ファイル:Dry-up-peanuts,botti,katori-city,japan.JPG
乾燥中のラッカセイ(千葉県ではぼっちと呼ぶ)

テンプレート:栄養価

ラッカセイ100g中の主な脂肪酸の種類[1]
項目 分量(g)
脂肪 49.24
飽和脂肪酸 6.834
14:0(ミリスチン酸 0.025
16:0(パルミチン酸 5.154
18:0(ステアリン酸 1.1
一価不飽和脂肪酸 24.429
16:1(パルミトレイン酸 0.009
18:1(オレイン酸 23.756
20:1 0.661
多価不飽和脂肪酸 15.559
18:2(リノール酸 15.555
18:3(α-リノレン酸 0.003
100g中の食物繊維[4]
項目 分量
炭水化物 12.4 g
食物繊維総量 4.0 g
水溶性食物繊維 0.1 g
不溶性食物繊維 3.9 g

ラッカセイ(落花生 テンプレート:Snamei)は、マメ科ラッカセイ属一年草。別名はナンキンマメ(南京豆)、方言名は地豆(ぢまめ、ジーマーミ)、唐人豆(とうじんまめ)、異人豆(いじんまめ)など。中国語は花生。福建語・台湾語は塗豆(土豆とも)。英語名のピーナッツpeanutは日本では食用とする種子を指す場合が多い。ground nutともいう。

特徴

南米原産で東アジアを経由して、江戸時代に日本に持ち込まれたと言われている。

日本では主に食用として栽培されている。草丈は25-50cm。夏に黄色の花を咲かせる。受粉後、数日経つと子房柄(子房と花托との間の部分)が伸びて地中に潜り込み、子房の部分が膨らんで結実する。

地中で実を作ることからラッカセイの名前が付けられた。

栽培史

ラッカセイの原産地が南アメリカ大陸であることは確実である。最も古い出土品は、紀元前850年ころのペルーリマ近郊の遺跡から見つかっている。その後、メキシコには紀元前3世紀までに伝わっていた。南アメリカ以外の世界にラッカセイの栽培が広がったのは16世紀である。西アフリカ-ブラジル間の奴隷貿易を維持するためにラッカセイが用いられ、そのまま西アフリカ、南アフリカに栽培地が広がっていく。ほぼ同時期にスペインへ伝わったラッカセイは南ヨーロッパ、北アフリカへと渡っていく。さらにインドネシアフィリピンへの持ち込みもほぼ同時期である。現在の大栽培地インドへは19世紀と比較的導入が遅かった。日本には東アジア経由で1706年にラッカセイが伝来し、南京豆と呼ばれた。現在の栽培種はこの南京豆ではなく、明治維新以降に導入された品種である。

利用方法

食べる時は、殻のまま炒るか殻からむいたものを炒る。もしくは炒った後にバター(またはパーム油など)を絡める。また、殻のまま塩茹で(茹でピー)にする。[注釈 1]中国では八角などの香辛料を加えて塩茹でする方法や、油で揚げてから塩をまぶす方法も一般的である。

加熱したピーナッツの外側に砂糖をまぶしたり、小麦粉の衣を付けて揚げたような豆菓子チョコレート菓子などの加工品も一般的である。千葉県の名産品には「落花生の甘納豆」が存在している。他には、砕いて団子の中に入れるにしたり、揚げせんべいに加えられたりもする。

油脂含有分が高く、ピーナッツ油が製造されている。またサラダ油マーガリンピーナッツバターの原料にもなる。

甘辛く味つけた味噌で炒ったラッカセイをあえた惣菜を「味噌ピー」と呼ぶ。味噌ピーはラッカセイの主産地である千葉・茨城(およびそれらの地域からの出身者が多い東京)ではポピュラーな惣菜で、スーパーの惣菜コーナーなどでも売られている。

沖縄県ではジーマーミ(地豆)とも呼び、これを使ったジーマーミ豆腐というのもある。ごま豆腐に似た食感のものである。

北海道・東北地方・千葉県の一部では節分の豆まきで殻付きの落花生を用いる地域もある。

ラッカセイ(ピーナッツ)の薄皮には、レスベラトロールが含まれ、薄皮ごと食べるほうが健康に良いと言われている[5][6]

ピーナッツアレルギー

落花生は、材料・加工品ともにアレルギー物質を含む食品として食品衛生法施行規則、別表第5の2による特定原材料として指定されている。同法第11条及び同規則第5条による特定原材料を含む旨の表示が義務付けられている。

蕎麦とともに重篤な食物アレルギーを引き起こす可能性のある食材として知られている。

生産と貿易

以下に、FAOによる2004年時点の生産量[7]、輸出量[8]、輸入量[9]のうち、上位5カ国を示す。いずれも重量ベースである。

生産量は、中国(1441万トン)、インド(590万トン)、ナイジェリア(294万トン)、アメリカ合衆国(211万トン)、インドネシア(147万トン)である。中国が約4割、上位5カ国で全生産量の75%を占める。統計値は殻付き (Groundnuts in Shell) である。

未加工品の落花生は主にむきみ (Groundnuts Shelled) の形で貿易ルートに乗っている。輸出では、中国(32.5万トン)、アメリカ合衆国(14.6万トン)、インド(11.2万トン)、アルゼンチン(7.0万トン)、オランダ(6.3万トン)である。輸入では、オランダ(22.5万トン)の輸入量が突出しており、ついでイギリス(8.5万トン)、カナダ(8.0万トン)、メキシコ(7.6万トン)、ドイツ(6.0万トン)である。日本のむきみ輸入量は世界第7位に位置する。

むきみと比較すると、殻付きの貿易量は少ない。輸出量は、中国(7.8万トン)、インド(6.5万トン)、アメリカ合衆国(1.7万トン)、エジプト(1.1万トン)である。輸入ではメキシコ(2.2万トン)、イタリア(2.1万トン)、インドネシア(1.9万トン)、ドイツ(1.4万トン)、スペイン(1.4万トン)である。

むきみ、殻付きのほか、煎る・揚げるといった加工品、ピーナツバターのようにさらに加工が進んだ形の商品も貿易ルートに乗っており、金額ベースでは加工品の占める割合が高い。

日本における生産と貿易

日本における生産量は、農林水産省の作物統計によると、2004年時点でむきみ換算1万3415トンである。輸入量は、財務省の貿易統計によると9万8867トンであった。県別の生産量では、千葉県が突出しており、74.6%を生産している。特に千葉県中央部の八街市が生産量では日本一を誇る。
日本で初めて栽培されたのは1871年神奈川県大磯町の農家、渡辺慶次郎が横浜の親戚で落花生の種を譲り受け、自分の畑に蒔いたが花は咲いたが何も実を結ばないので、こんなものと足蹴りしたら地中から出てきて地下結実性であることが判明した[注釈 2]。経済栽培に向けて、販売先の確保のため、地元旅館に試食を依頼したが「客は喜んだが、座敷が汚されて困る」と断られた逸話が残っている。その後、明治10年に0.4リットル袋入りにて横浜の駄菓子屋に売り込んだところ、盛況となり、経済栽培への見通しがたった[10]。千葉県においては1876年より栽培が開始されている。
日本国内で消費されている安価なラッカセイの大部分は中国産で、主に大粒の品種を栽培している山東省河北省天津市からのものが多い。「南京豆」という別名に使われている南京など、華南のラッカセイは小粒の物が多い。

日本で生産されている主な品種

  • 千葉半立
  • ナカテユタカ(千葉県農試育成)
  • 郷の香(千葉県農試育成)
  • 立落花生一号(神奈川県農試選抜)
  • 改良半立(神奈川県農試選抜)
  • フクマサリ(千葉県農試育成)
  • 金時

販売価格

2000年を過ぎた頃から相場が下がり始め、2006年頃には100グラムあたり40円にまで下がった。2007年頃に相場が上がり、100グラムあたり100円となった。しかし、店によっては100グラムあたり65円で売っていることもあり、販売ルートによって価格に差がある。

日本での関税

ラッカセイはこんにゃく芋と同様に関税割当制度の対象であり、2007年は1次税率が10%、2次税率が617円/kgと保護関税が課せられている[11]

脚注

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注釈

  1. 落花生 栽培手引き(発行:平成22年3月 相州落花生協議会) p48 大正10年に神奈川県秦野市曽屋原に軍の飛行場が建設されることとなり、10月上旬に収穫が強制されたものを塩水につけて茹でたところ味がよかったので、だんだんと神奈川県西部地域に広がった。軍が生んだ産品ともいえる。
  2. 落花生 栽培手引き(発行:平成22年3月 相州落花生協議会) p47 同時期に神奈川県二宮町の二見庄兵衛も韓国産の種子を入手し、試作した。後年、この中から立性種を選別した。

関連項目

テンプレート:Sister テンプレート:Sister

  • USDA栄養データベースUnited States Department of Agriculture
  • http://www.nal.usda.gov/fnic/foodcomp/search/
  • [『タンパク質・アミノ酸の必要量 WHO/FAO/UNU合同専門協議会報告』日本アミノ酸学会監訳、医歯薬出版、2009年05月。ISBN 978-4263705681 邦訳元 Protein and amino acid requirements in human nutrition, Report of a Joint WHO/FAO/UNU Expert Consultation, 2007]
  • 五訂増補日本食品標準成分表
  • 「情報:農と環境と医療 47号」(北里大学学長室通信)No.47 2009/2/1
  • ピーナツは皮ごと食べよう : 視的!健康論 ~眼科医坪田一男のアンチエイジング生活~ (読売新聞/ヨミドクター、2010年10月21日)
  • FAOによる生産統計(2004年)
  • FAOによる輸出統計(2004年)
  • FAOによる輸入統計(2004年)
  • 落花生 栽培手引き(発行:平成22年3月 相州落花生協議会) p48
  • 農林水産省年報 第2章 国際部