ブロムワレリル尿素

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
2014年8月1日 (金) 11:53時点における220.209.21.48 (トーク)による版
(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)
移動先: 案内検索

テンプレート:Chembox

ファイル:Bromovalerylurea-3D-balls.png
ブロムワレリル尿素の球棒モデル

ブロムワレリル尿素(ブロムワレリルにょうそ、bromvalerylurea、ブロムイソバレリルカルバミド)は、催眠鎮静効果のある化合物のひとつ。欧米では「ブロミソバル(Bromisoval)」などの名で用いられる。

概要

1907年に登場し、危険性から20世紀前半にはバルビツール酸系が主流となったテンプレート:Sfn過量服薬や乱用の危険性があるのに、なぜ現在でも用いられているか理解に苦しむという専門家のコメントがあるテンプレート:Sfn

商品名としては、「ブロバリン」(Brovarin、日本新薬)、「リスロンS」(佐藤製薬)「カルモチン」(武田薬品工業・販売中止)がある。現在市販され、ブロムワレリル尿素を含有する鎮静剤には、「ウット」(WUTT、伊丹製薬、アリルイソプロピアルアセチル尿素などとの配合剤)がある。また、鎮静作用から市販の鎮痛剤にも配合される。

かつてはバルビツール酸系より中毒になり難い事などから良く用いられたが、ベンゾジアゼピンの登場により廃れ、現在では医療用としては殆ど用いられない。

1950-60年台の第二次自殺ブームの主役となった薬であり、多くの若者がこの薬で自殺を試みた。そのため、自殺を防ぐ目的で市販薬では一定量を超えた薬は発売が禁止され、医師が発行する処方箋の必要な要指示薬に変更された[1]

自殺に用いた著名人

自殺目的などで大量服用し急性中毒を引き起こす場合があるが、致死性は低い。

しかし「カルモチン」で自殺を完遂した、及び同所見が見られた実例(金子みすゞ勝精と勝の知人女性など)もある。一方太宰治は生涯心中を含めカルモチンによる自殺を幾度と無く図るも何れも未遂に終わり、つげ義春1962年に「ブロバリン」を用いて自殺を図ったが、知人に見つかり未遂に終わっている[2]

出典

テンプレート:Reflist

参考文献

リンク

テンプレート:睡眠導入剤と鎮静剤

テンプレート:Pharm-stub
  1. 鶴見(1993) p.56
  2. つげ義春「自殺未遂」『夜行』No.10 北冬書房 1981年