モーターヘッド
モーターヘッド (Motörhead) は、1975年から現在まで活動するイギリスのバンド。ベーシストで作曲家のレミー・キルミスター(元ホークウインド)を中心に結成された。バンド名の由来はホークウインドの同名の曲から。
目次
バンドの音楽性
デビューから35年以上もの間、一貫して大音量かつハイスピードのロックンロールをその音楽性の軸として活動しており、スラッシュ・メタル、ハードコア・パンクなどが出現する遥か以前から、それらの音楽性を包括するサウンドを展開してきた[1]。
商業的にも音楽的にもカテゴライズの困難なロック・バンドのひとつであり、時代に応じてハードコア・パンク、ヘヴィ・メタルと、複数のカテゴリに横断的に分類された経緯がある。
創設者であり、モーターヘッドのスタイルを作り上げてきた中心人物であるレミーは、世間一般がモーターヘッドのサウンドを「ヘヴィメタル」「スピードメタル」などにカテゴライズすることを好ましく思っておらず、「ヘヴィメタルよりむしろパンクの方により親近感が湧く」「ダムドとは共通の美意識を持っているが、ブラック・サバスや、増してやジューダス・プリーストにはそんなもの感じない」とも述べている[2]。その一方、ノー・モア・ティアーズでオジー・オズボーン、ザック・ワイルドと曲を共作している。
レミーはラモーンズに曲を提供したり、ダムドとステージで共演した。
バンド・ヒストリー
一時期4人編成(ツイン・ギター)だった時期もあるが、活動期間の大部分でギター、ベース、ドラムスのトリオ編成を貫いている。現在まで全期間在籍しているのはリーダーのレミーのみであり、実質的にレミーのバンドである。
"ファスト"・エディ・クラーク(ギター)、フィルシー・"アニマル"・テイラー(ドラムス)を擁した1970年代後半から1980年代初頭が最初の黄金期で、その極めて個性的な音楽性にもかかわらず、『エース・オブ・スペーズ』(Ace of Spades)をはじめいくつかのアルバム、シングルをイギリスのトップ40チャートに送り込んでいる。特に1981年にリリースしたライブ盤『ノー・スリープ・ティル・ハマースミス』(No Sleep 'til Hammersmith) はこの時代の金字塔である[3]。
1982年に・エディ・クラークが脱退し、後任に元シン・リジィのブライアン・ロバートソンを迎えて『悪魔の化身』(Another Perfect Day) をリリースするが、メロディアスなフレーズを多用した作風は旧来のファンの失望を招く。レミーは素早くこの事態に対処し、ロバートソンに代えてフィル・キャンベル、ワーゼルを起用。バンド史上初の正式な4人編成となって、シングル「キルド・バイ・デス」(Killed By Death)、過去のベスト・トラックを収録したコンピレーション・アルバム『ノー・リモース』(No Remorse) をリリースして体制を立て直す。
その後は、何度かメンバーチェンジを繰り返しながらも一貫して従来のモーターヘッド・サウンドを守り通し、1995年からは再びトリオ編成に戻った(ギターは1984年に加入したフィル・キャンベル、ドラムスは1992年の『マーチ・オア・ダイ』(March ör Die) から参加するミッキー・ディー:元キング・ダイヤモンド、ドッケン)。このラインナップはグループ史上最も長く続いており、1970年代~1980年代の最初の黄金期を凌ぐ数の作品を発表し、現在も精力的に活動を続けている。
バンド・ラインナップの変遷
現メンバー
元メンバー
- ルーカス・フォックス(ドラムス):1975年
- ラリー・ウォリス(ギター):1975年 – 1976年
- フィルシー・"アニマル"・テイラー(ドラムス):1975年 – 1984年、1987年 – 1992年
- "ファスト"・エディ・クラーク(ギター):1976年 – 1982年 ※脱退後ファストウェイ結成
- ブライアン・ロバートソン(ギター):1982年 – 1983年 ※元シン・リジィ
- ピート・ギル(ドラムス):1984年 – 1987年 ※元サクソン
- ワーゼル(ギター):1984年 – 1995年
- マット・ソーラム(ドラムス):2009年(ツアーメンバー)
期 | 年 | ベース、ボーカル | ギター | ドラムス | リリース作品 |
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1 | 1975 | レミー | ラリー・ウォリス | ルーカス・フォックス |
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2 | 1975 | フィル・テイラー |
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3 | 1976 | ラリー・ウォリス & エディ・クラーク |
クラークのオーディションのみ
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4 | 1976-82 | エディ・クラーク |
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5 | 1982-83 | ブライアン・ ロバートソン |
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6 | 1984 | フィル・キャンベル & ワーゼル |
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7 | 1984-87 | ピート・ギル |
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8 | 1987-92 | フィル・テイラー |
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9 | 1992 | トミー・ アルドリッジ |
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10 | 1992-95 | ミッキー・ディー |
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11 | 1995- | フィル・キャンベル |
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バンドのキャラクター
正式なロゴは motörhead と語頭の m も含めてすべて黒い小文字で表記され、2つ目の o にブルー・オイスター・カルト (Blue Öyster Cult) やモトリー・クルー (Mötley Crüe) が使用するようなウムラウト(メタル・ウムラウト)が添えられる(バンド名の発音には影響しない)デビュー以来彼らのアルバムジャケット等さまざまな場所に登場する、牙をむいた豚(ウォー・ピッグ)のキャラクターは、ホークウィンド時代からレミーと懇意だったデザイナー、ジョー・ペタグノがバンドのデビュー・アルバムのためにデザインしたものである[4][5]。オスの豚をベースにデザインされ、レミーのアイデアでヘルメット、チェーン、スパイクが加えられた。
このキャラクターは、アイアン・メイデンのエディ・ザ・ヘッドと同じように、様々なアレンジを施されてアルバム・カバーに登場する。『オーヴァーキル』では、内部から強烈な光を発するイメージで描かれ、『ボマー』ではメンバー3人が搭乗した爆撃機のボディにペイントされている。『アイアン・フィスト』のジャケットはイラストではなく3次元の立体的な拳のオブジェクトを作成して撮影したものだが、指にはめてある4つの指輪のひとつがウォー・ピッグになっている。
ディスコグラフィ
アルバム
- 1975年 On Parole *発売は1979年
- 1977年 Motörhead *UK43位 シルバー
- 1979年 Overkill *UK24位 シルバー
- 1979年 Bomber *UK12位 シルバー
- 1980年 Ace of Spades *UK4位 ゴールド
- 1982年 Iron Fist *UK6位 シルバー
- 1983年 Another Perfect Day *UK20位
- 1986年 Orgasmatron *UK21位
- 1987年 Rock 'n' Roll *UK24位
- 1991年 1916 *UK24位
- 1992年 March or Die *UK60位
- 1993年 Bastards
- 1994年 Sacrifice
- 1996年 Overnight Sensation
- 1998年 Snake Bite Love
- 2000年 We Are Motorhead
- 2002年 Hammered
- 2004年 Inferno
- 2006年 Kiss of Death
- 2008年 Motörizer
- 2010年 The Wörld Is
- 2013年 Aftershock *US22位
その他(ライブ盤やベスト盤)
- 1981年 Please Don't Touch (ガールスクールとの共演、Headgirl名義)
- 1981年 No Sleep 'Til Hammersmith (live) *UK1位
- 1984年 No Remorse (compilation)
- 1988年 No Sleep at All (live)
- 1999年 Everything Louder Than Everyone Else (live)
- 2000年 The Best Of (compilation)
- 2000年 The Chase Is Better Than The Catch (compilation)
- 2000年 Over The Top - The Rarities (compilation)
- 2001年 All The Aces (compilation)
- 2003年 Live At Brixton Academy The Complete Concert (live)
- 2007年 Better Motörhead than Dead: Live at Hammersmith (live)
脚注リンク
関連項目
外部リンク
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- ↑ テンプレート:Cite web Inspiration for War-Pig is also covered in the 'About Joe Petagno' interview section on Inferno 30th Anniversary edition bonus DVD, SPV69748.
- ↑ ペタグノは30年以上の長きにわたってモーターヘッドの作品のためにデザインを続けてきたが、2007年、バンドのマネジメントへの不満を表明し、コンビを解消してしまった。