ギフォード講義
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ギフォード講義(Gifford Lectures)は、イギリス・スコットランド地方の諸大学が合同で主宰している自然神学についての連続講座である。120年近くの歴史があり、現在も行われている。 グラスゴー大学、エディンバラ大学、セント・アンドルーズ大学、アバディーン大学によって開催。
アダム・ロード・ギフォード(1820-1887 哲学や文学に関心のあったスコットランドの法律家であった。)の遺志と莫大な寄付金によって、1885年に初めて開催された。自然神学の研究を広く発展・流布させるために、開催。開催当初から、英語圏を中心に一流の神学者・哲学者による一流の講義が展開されていることで有名である。科学技術の発達を反映して、近年は、歴史学者や科学者なども教鞭をとる。 ここの講義の内容はその哲学者・神学者の主要な業績の一つとして知られ、日本においても知られているものも多い。
講義した主な人物
「ギフォード講義」でのテーマ(後に出版されたタイトル)と講義年度
1,アバディーン大学
- カール・バルト「The Knowledge of God and the Service of God according to the Teaching of the Reformation」(1936–38)
- マイケル・ポランニー「個人的知識 - 脱批判哲学をめざして」(1951–52)長尾史郎訳 ハーベスト社 1985年
- パウル・ティリッヒ「組織神学3巻」(1952–54)谷口美智雄訳、新教出版社 1991年
2,エディンバラ大学
- アーサー・エディントン「The Nature of the Physical World」(1926–27)
- ウィリアム・ジェームズ「宗教的経験の諸相」(1900-1902) 桝田啓三郎訳、岩波文庫全2巻
- アンリ・ベルクソン「個性の問題」(1912-1913)
- アルフレッド・ノース・ホワイトヘッド「過程と実在」(1927-1928)
- ジョン・デューイ「確実性の探求」(1928-1929)
- アルベルト・シュバイツァー「自然神学と自然倫理の問題」(1934-1935)
- ラインホルド・ニーバー「人間の本性とさだめ」(1938-1940)
- ニールス・ボーア「因果性と相補性」(1949-1950)
- アーノルド・J・トインビー「一歴史家の宗教観」(1952-1953) 深瀬基寛訳、社会思想社
- ルドルフ・ブルトマン「歴史と終末論」(1954–55) 中川秀恭訳、岩波書店 1959年
- チャールズ・スコット・シェリントン「人と自然」(1937-1938) 本としては、出版されず。
- ジェームズ・フレイザー「自然の崇拝」(1923-1925) 前掲の著作に所収されている。
- ジョン・エックルズ「人間の謎」(1979-1980)
- オーウェン・チャドウィック「The Secularisation of the European Mind in the 19th Century」(1973–74)
3,グラスゴー大学
- ジョン・バードン・サンダーソン・ホールデン:The Sciences and Philosophy(1927–28)
4,セント・アンドルーズ大学
- ヴェルナー・ハイゼンベルク「物理学と哲学~現代科学の革命」(1955–56)
外部リンク
- Gifford Lectures Online 一覧と、著作権切れの講義の本文全文。