蔵骨器
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
蔵骨器(ぞうこつき)とは、簡単に言えば、骨壺のことであるが、主として考古学で、火葬や洗骨葬の遺灰や遺骨を納めた容器のことをいう語である。 インドや中国でみられる仏舎利容器は、その一種である。 日本では、通常、火葬骨を納めた器に限定される。器形としては、飛鳥~平安時代に蓋付きの球形の壷ないし短頸壷(たんけいこ)の器形をした須恵器や灰釉陶器などが用いられた。中世になると、各地方の在地で生産されている瓦質、軟質などと呼ばれる土器のほかに常滑焼の甕や壷、そして瀬戸焼の瓶子が用いられ、しばしば常滑焼や在地産の瓦質、軟質の捏鉢が蓋の代わりに使用された。 なお、弥生時代の甕棺なども広義の蔵骨器には違いないが、通常、蔵骨器といった場合、飛鳥時代以降のものを総称している。 ヨーロッパや西アフリカなどでは、urnと呼ばれる火葬骨収納用の甕が知られる。青銅器時代以降、エトルリアやローマの遺跡からしばしば蔵骨器が出土する。また、中央アジアでは、ゾロアスター教徒のオッスアリと呼ばれる箱型で霊廟や神輿の形をした石製の遺骨収納容器が有名であるがこれも蔵骨器の一種といえる。
関連項目
参考文献
- 『世界考古学事典』(上),平凡社,1979年 ISBN 4-582-12000-8
- 水野清一、小林行雄編『図解考古学辞典』,創元新社,1959年