京阪800系電車 (2代)

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浜大津駅 - 上栄町駅間の併用軌道を走行中の800系(2007年3月8日)
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国道1号線と並走する急勾配区間の追分駅 - 大谷駅間を走行中の800系
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専用軌道が始まる上栄町駅に進入する800系、国道161号線を横切る為自動車は赤信号で停止中

京阪800系電車(けいはん800けいでんしゃ)は、1997年平成9年)に登場した京阪電気鉄道京津線通勤形電車

概要

1997年10月12日から京津線が京都市営地下鉄東西線への直通運転を開始するにあたり、在来車の80形の代替として導入された。

日本で唯一、地下鉄区間と併用軌道路面電車)区間を直通する車両であり[1]、しかも京津線には登山鉄道レベルの急勾配も控えていることから、運行路線の『区間ごとに極端に異なる性格』に対応するため、急勾配・急カーブ対策など多彩な機能を備えた車両となっている。

これらの条件に伴う高度な装備機器類に加え、上質な接客設備などにもよって、「1mあたりの値段は日本で一番高いのではないか」と京阪電鉄の担当者が言うほどの高コストな車両とされる[2]

走行機器

4両固定編成の2ユニット全動力車で、急勾配区間において1ユニットが故障しても走行可能な性能を確保している。

制御方式はVVVFインバータ制御であるが、素子は従来のGTOサイリスタに代わってIGBTを京阪の車両としては初めて採用した。インバータ装置の製造メーカーは東洋電機製造である。

地下鉄東西線への乗り入れに備えてATCATOを搭載したほか、東西線各駅に設置されているホームドアにも対応した。京津線内では京阪形ATSを使用する。手動運転時における主幹制御器の力行ノッチは4段、常用ブレーキノッチは7段であるが、ATO使用時には力行・ブレーキともに31段の多段制御を行う。

起動加速度は3.3km/h/s、減速度は4.2km/h/s(常用最大)となっている。設計最高速度は90km/hであるが、スピードリミッターによって75km/h以上の速度では走行できない。

ブレーキシューには、価格が安く高速域から安定した減速力が得られるレジン(合成樹脂)製ではなく、連続急勾配や天候変化に強く、低速での併用軌道走行中の急減速性能に優れた鋳鉄製を採用している。

中間車に装備されるパンタグラフは、京阪では初採用となるシングルアーム式[3]の東洋電機製PT-7201で、ミニ地下鉄である東西線の低い架線高さから、路面区間の高い架線高さまで対応することが可能である。

車体

併用軌道区間での自動車などとの接触事故が起こった際に車体の修復を容易にするため、軽合金車体主流の時代であるがあえて普通鋼製車体としている。部品の一部には自動車と共用のものを使用している。

車体塗装は、パステルブルーと灰白をベースに染物由来の色であり、新時代の京津線を象徴する「苅安」(黄色)の帯を巻いている。この帯は当初はテープによるものであったが、静電気でホコリが付着し汚れが目立つことから後に塗装に変更された。

搬入当初は、前面の車両番号表記が貫通扉の窓下部に記されていたが、視認性が良くなかったことから営業運転開始までに現行の位置に変更された。当時の各鉄道専門誌の新車紹介記事には搬入当初の状態の写真が掲載されていた[4]

車内

座席
座席は両先頭車が1+2配列の固定セミクロスシート、中間車がロングシートとなっている。内装は9000系に準じ、東西線50系と同等水準としている。ただし9000系とは違い、本系列ではクロスシート部分とロングシート部分との間に視線を遮るためのスクリーンを採用していない。なお、2000年代後半に入ってからは座席モケットが、7200系以降の本線系統通勤形車両と同様に経年劣化により、当初よりも濃い目の青色のものに順次交換された。

車内放送装置
車内放送装置には、京阪の通勤形電車では初めて自動放送装置が搭載された[5]

自動放送は、京津線のほか地下鉄東西線にも対応しているが、同路線用の50系とは異なり、地下鉄線内でも京阪線内と同様の放送が使用されている、なお、2008年1月16日の東西線太秦天神川駅への直通区間延長以前には男声による放送が使用されていた。石山坂本線用の600形および700形も、ワンマン運転対応改造を受けた際に自動放送装置が搭載されたが、その音声は本系列とは異なる。

車内案内表示器
車内案内表示器が各車両側扉上部に1両あたり3台ずつ千鳥配置で設置されている。運用開始以来、フリーパターン表示対応の蛍光表示管のものが使われていたが、2013年に入ってから順次新型のものに交換され、視認性が向上している。

運用

昼間時は、東西線太秦天神川駅 - 京都市役所前間を30分毎に、京都市役所前 - 京津線浜大津駅間を15分毎に運行される。

本系列は京津線専用車両のため、石山坂本線での営業運転は行わないが、運用の都合上、同路線の近江神宮前駅隣接の錦織車庫までの回送扱いとして浜大津 - 近江神宮前間も、また試運転では坂本駅 - 近江神宮前駅間を走行することもある。なお、島ノ関駅 - 石山寺駅間は車両限界の関係により走行できない。

その他、東西線開業前の乗り入れの試運転では、京阪車両が乗り入れする事がない御陵駅以南の醍醐駅まで入線したほか、東西線の醍醐車庫にも入線の実績がある。 テンプレート:-

脚注

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外部リンク

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  1. 名古屋鉄道名古屋市営地下鉄鶴舞線直通用車両である100系も、かつて犬山橋鉄道道路併用橋だった時代は、犬山線犬山駅 - 新鵜沼駅間を回送扱いながら、地下鉄直通車両が併用軌道を走っていた。
  2. 1輌約2億円。25m車の新幹線500系電車が1輌あたり約3億円である事から、車体長あたり価格でほぼ互角であり、日本の営業用鉄道車両としては群を抜く高額さである。
  3. 京阪でシングルアームパンタグラフを装備する車両は800系が長らく唯一の存在であったが、2008年に営業運転を開始した中之島線快速急行3000系(2代)でシングルアーム式パンタグラフが採用された。
  4. 『鉄道ファン』1997年1月号p.66。
  5. 本線系統の通勤車では、6000系以降の新造車や2200系以降の更新車において、停車駅にてドアが開く時のみの自動放送装置を搭載している。また、特急形車両では既に8000系0番台30番台で搭載されている。2000年代に入ってからの特急停車駅増加に伴うROM容量の問題から、停車駅でのドア開閉のみに用途を限定していた時期があったが、2008年10月19日のダイヤ改定より、8000系と3000系の特急・快速急行で装置を取り替えた上で再び稼動している。