Yahoo!知恵袋
テンプレート:Infobox オンライン情報源 Yahoo!知恵袋(ヤフーちえぶくろ)とは、Yahoo! JAPANが運営する、電子掲示板上で利用者同士が知識や知恵を教え合うナレッジコミュニティ、知識検索サービスである。 サービスは2004年に開始され、2006年には携帯電話などでも利用できるようになった。2011年からは「知恵ノート」サービスも開始された。
目次
概要
2004年4月7日にベータ版で提供され、2005年11月7日に正式版としてオープン。2006年12月18日にリニューアル。2007年9月27日にモバイル版をリニューアルし、携帯からも質問、回答が出来るようになった。また、携帯版のデザインを大幅に変更し「チエモバ」という愛称が付けられている。
2012年9月12日よりYahoo!プレミアムの会員に対し、質問・回答に入力できる文字数が増加するなどの特典が追加された[1]。
この掲示板には「知恵コイン」というものがあって、質問したり回答したりすると知恵コインがもらえるシステムとなっている。それに加え、回答者の活動状況を表す「グレード」も存在する。
質問や回答にはYahoo! JAPANのIDが必要である。 知恵袋利用者のことをチエリアンと呼ぶ(その呼称を嫌った一部の利用者は専らブクラーと名付ける。後述のように、Yahoo!が公式で一度だけ使用したことがある。)
特徴・システム
2014年6月にシステム改訂が行われた。 2014年7月現在の質問・回答の流れは以下の通りである。
質問
- 質問本文(全角1000字以内、プレミアム会員は2000文字まで)[2]
- それまでの質問本文、追記欄が統合された。
- 画像ファイル(1つ)
- Yahoo!地図(1枚)
- カテゴリ(大・中・小分類)
- 投稿前、質問者プレビューの際システム側からカテゴリの候補が提示される。質問者の意思でカテゴリ変更も可。
また質問が解決もしくは投票になる前に、
- 一度だけ「補足本文(全角5 - 200字、プレミアム会員は500文字まで)」を追加できる。
- 回答の有無にかかわらず質問そのものの取り消しができる。質問者の意思による取り消しの際には、質問を取り消す理由の入力(全角5 - 200字)が必要となる。
本文、追記等はいずれも投稿後の修正はできない。質問は最長7日間掲載され回答を受け付ける。
回答
回答者は、一つの質問に対し一つの回答を投稿できる。回答には以下を指定できる。
- 本文(全角10 - 2000字、プレミアム会員は4000文字まで) ※必須
- 画像ファイル(1つ)
- Yahoo!地図(1枚)
質問が解決または投票になるまでは回答そのものの取り消しができる。
返信
質問者は自分の質問に付いた回答に、回答者は自分が投稿した回答に対して返信を行うことができる[3]。
- 2014年6月に回答に対する返信機能が追加され、代わりに回答の編集機能が廃止された。
Yahoo!知恵袋は質問や回答の内容が正確であることは保証しておらず、「質問内容や回答内容がすべて正しいとは限らないことを認識して利用してください」と注意を促している[4]。
ベストアンサーと投票
7日間の回答受付期間内に質問者が「ベストアンサー」(質問者が最も良いと思った回答。正しいか・真実かとは一切無関係)をひとつ決めることで、質問は解決扱いとなる(必須ではないが、このとき回答者に対してコメントを書くことができる)。
質問者は、ベストアンサーを選ばずに回答受付を締め切り、投票に移すこともできる。質問から7日経ってもベストアンサーを選ばず投票への移行もしなかった場合、やはり自動的に投票となる。なお質問が投票に回った場合、それを打ち切り自身でベストアンサーを選ぶ事は出来ない。
投票では、Yahoo!IDを持ったユーザーがひとりにつき1つの回答(自分が書き込んだ回答を除く)に票を投じることができ、1週間でもっとも多くの票を得た回答がベストアンサーとなる。得票数が同じ場合は投稿日時の早い方が優先される。「どの回答もベストアンサーにふさわしくない」という選択肢が回答への票数を上回った場合や、全体で1票も投票されなかった場合は、質問は取り消し扱いとなる。質問者本人に投票権はなく、回答者は自分の回答以外に票を入れられる。
解決した質問は、サイト上に半永久的に残される。また、質問者とベストアンサーに選ばれた回答者を除くYahoo!ID保持ユーザーが、「この質問と回答は参考になったか」という質問に「ナイス!」ボタンを押して評価することができる。
ポイント・ランキングシステム
「知恵コイン」(旧称「貢献度」)というポイント制度がある。質問や回答をする、質問を締め切る、ベストアンサーの獲得、ベストアンサーの獲得時に設定されたお礼、投票をする、最初にベストアンサーに投票する、役に立つ評価をする、役に立つと評価されるなどのことにより、コインが増えていく。 獲得したコインは、質問時にベストアンサー対象者へのお礼として使うことができる。質問の一覧にはお礼が表示され、お礼が多いとより多くの回答をもらえることもある。
参加者のランク付けとして、回答の成績(ベストアンサー率、ベストアンサー数、総回答数)により決まる「グレード」があり、大きく分けて7つ、細かく見ると21のランクがある。グレード評価で最も重視されるのはベストアンサー率である。グレード制度導入当初はベストアンサー率と総回答数のみでグレード評価をしていたが、回答の取り消しを繰り返してグレードの引き上げを企てるユーザーが出たことから、2007年3月1日よりベストアンサー数もグレード評価の対象となった。
「ランキング」のシステムがある。2006年12月以前のランキングでは登録者の成績のランキングが主であったが、現在では1つの質問に対する関心度がランキングの主体になっている。 前日に1つの質問に対して行われた閲覧、回答、知恵コレの3種類を「デイリーランキング」として発表している。 上位20の質問がランク入りし、ベスト5が知恵袋トップページに出る。 ランキング入りした質問は注目されやすいため、回答数などが大きく伸びる。
知恵ノート
2011年8月20日から公開された新サービス。日常生活で得た知識や知恵を記載して、他人に役立てることができる。ノートの内容は、「こんなところがいいですね」「もっとこうしてほしい」「あれ? ちょっと教えてあげよう」といった視点からライターにアドバイスを送ることができ、間違いや不足部分などがあればノートの修正を依頼することもできる。また、投稿された知恵ノートに対する疑問を、「関連Q&A」として質問することも可能である。
このサービスは当初は「先行版」として公開されており、知恵袋利用者のうち一部の利用者のみ「先行ライター」として使用可能な状態であったが、同年12月12日の正式版移行後は利用者全員が利用できるようになった。
Q&Aと同様、参加者のランク付けとして「グレード」があり、こちらも大きく分けて7つ、細かく見ると21のランクがある。知恵ノートのグレードは総投稿数・平均閲覧数・平均評価数(その利用者の執筆した知恵ノートに対し「ナイス!」が押された数の平均)で決まる。
用語
- BA
- 「ベストアンサー」(Best Answer) の略。もともと利用者が使い始めた略語だが、後にYahoo!JAPANが正式に使用するようになった[5]。
- チエリアン/ブクラー
- 知恵袋利用者のこと。Yahooによる公式名はチエリアン。ブクラーは利用者の間で使われるようになり、Yahoo!JAPANがその後一度だけこの名前を公に使ったことがある[6]。
- 活躍中のチエリアン
- 活躍度が高い回答者に与えられる称号。「専門家」「アドバイザー」「知恵袋マスター」「カテゴリマスター」の4種類がある[7]。
- グレード
- 利用者の活動を表す数字。知恵袋では回答数・BA率・BA数に応じて、知恵ノートでは投稿数・平均閲覧数・平均評価数に応じて、それぞれ1-1から7-3までの21段階を変動する[8]。
- 知恵コイン
- 質問や回答、BAに選ばれるなど一定の条件を満たすと増える知恵袋内の利用者の活躍度をあらわす数字。また回答者へのお礼とする事が出来、その質問のベストアンサーは添付された量のコインを貰える[9]。
- 知恵コレクション
- 略して知恵コレともいう。ログインユーザが使えるブックマーク機能。知恵袋内の質問ページを知恵コレクションに登録すると、そのショートカットから手軽に質問ページへ移動できる[10]。
- ブラックリスト
- いたずらや中傷などの不快な回答を繰り返す利用者はブラックリストに登録できる。登録された利用者は、登録した利用者の質問に回答できなくなる。最大100個のIDを登録できる[11]。
- ライフ
- 利用者の行状を示す値。登録時に3ポイントあり、規約違反などによる質問や回答、知恵ノートの削除10回ごとに1ポイント(1回の削除ごとに0.1ポイント)減らされる。グレードの上昇により回復できる。3ライフ全て失うとYahoo!知恵袋の利用資格を失う。違反内容によっては、一度に全ライフ失う場合もある[12]。
沿革
- 2004年4月7日 ベータ版としてサービス開始[13]。
- 2005年9月29日 情報誌R25編集部が知恵袋に参加。
- 2005年11月7日 正式版として公開[14]。開始当初はサーバ負荷による閲覧エラーが続出した。
- 2006年5月9日 モバイル版知恵袋を開始[15]。
- 2006年12月18日 リニューアルにより、大幅に仕様変更・追加がされた。尚、この際、2006年12月16日から12月18日にかけて一時的に閉鎖された。
- 2007年9月27日 モバイル版知恵袋がリニューアル。チエモバという愛称も付けられ、携帯からも質問・回答が出来るようになった[16]。
- 2008年1月8日 知恵袋利用者が中学校カテゴリに爆破予告を投稿[17]。11日に逮捕された。
- 2008年6月26日 質問の詳細ページなどを大幅リニューアル。質問ページにYahoo!アバターが表示されるようになった[18]。
- 2008年11月19日 質問、回答に画像を添付出来るサービスを開始。
- 2008年11月20日 知恵コレクションを開始。知恵コレという愛称が付けられた。
- 2009年2月23日 大幅なリニューアル。「カテゴリマスター」「太鼓判」など制度・コーナーの追加[19]。
- 2011年2月25日 京都大学の入学試験に携帯電話が持ち込まれ、試験時間中に入試問題がYahoo!知恵袋に投稿され、回答も寄せられていた大学入試問題ネット投稿事件が発覚。京都大学は同2月28日に被害届を提出した。同志社大学、立教大学、早稲田大学の入試でも同様の不正が行われていた。[20]
- 2011年6月9日 PC版My知恵袋大幅リニューアル。知恵コインを使ってMy知恵袋のデザインが変更できるようになった[21]。
- 2011年8月20日 知恵ノートのサービス提供開始。
- 2012年4月5日 この日より「解決済みの質問の投稿者名を非公開にできる機能」が期間限定で提供された[22](当初は5月末までの予定であったが延長され、10月31日まで提供された[23])。
- 2012年4月19日 新着通知と回答ひろばのレイアウトがリニューアル。またYahooIDとニックネームのどちらでの利用も可能となる。
- 2012年8月15日 新機能「ナイス!」ボタンが追加される。これに伴い従来あった「この質問は役に立ちましたか」の評価機能はなくなった。
- 2012年9月12日 プレミアム会員(有料会員)の質問・回答の最大文字数が従来の約2倍となった。
- 2012年10月 Yahooアバターの画像表示機能が終了した。
- 2012年11月11日 逗子ストーカー殺人事件で、容疑者が事前にYahoo!知恵袋に質問を投稿し、被害女性に絡む情報を収集をしようとしていたことが判明[24]。
- 2012年11月28日 プレミアム会員限定で「解決済みの質問・回答の投稿者名を非公開にする機能」が追加された[25]。
- 2012年12月6日 「レコメン!知恵袋」を文化放送制作・NRN系『レコメン!』の曜日別コーナー(※ネットセールス後半枠)としてタイアップ企画で実施。
- 2014年3月13日 JASRACと個別に許諾契約を締結し使用料を支払うことなく歌詞を投稿することが可能になった[26]。
- 2014年5月 回答記入欄が新しくなる。従来は回答記入の際に別ページへ飛んでいたが、質問と同じページに投稿記入枠が用意されてそこに記入するようになった。
- 2014年7月23日 解決済みの投稿に補足できる新機能「ちょい足シアンサー」が追加。
旧システム
ベータ版(2004年4月7日 - 2005年10月31日)
貢献度(ポイント)は、質問や回答などの投稿・ログイン(1日1回)・ベストアンサーに選ばれたりすると加点され、質問や回答を削除されると減点された。獲得貢献度によりレベルが 1 - 10 まで設定され、特に貢献度が多い参加者を上位100位までランキングしていた。貢献度を加点する際、投稿の質は考慮されなかったため、内容の薄い回答を繰り返して不正に貢献度を稼ぐ参加者が多く見られた(回答が削除されにくいこと、また質問が期限切れになった場合も回答が貢献度対象になるという仕様が悪用された。後者は正式版公開時に対処された)。
また、利用者はIDを非公開にすることも可能であった。正式版移行後はID非公開は廃止されたが、現在でもベータ時代に投稿された質問・回答はID非公開のまま残っているものもある。また、前述のようにID非公開機能は2012年4月5日より解決済み質問に限って10月末までの期間限定で提供され、その後11月28日にはプレミアム会員限定で「解決済みの質問・回答の投稿者名を非公開にする機能」が追加された。
正式版(2005年11月7日 - 2006年12月14日)
貢献度の仕組みは、質問を解決すると上がるという点のほか、大きな変更は無かった。
レベルの概念がより重視されるようになった。レベル数 (1 - 25) は投稿者名の横に表示された。レベルは投稿数に応じて上がり、規約違反による管理者削除が一定まで増えると一気に下がった(意図的な違反投稿を抑制するための仕様)。2006年12月のリニューアルではベストアンサー率を重視したグレード制度へ変更された。
ランキングは開始当初、レベルランキング、貢献度ランキング、ベストアンサーランキングの3つがあり、その後、週間ベストアンサーランキング、週間 質問投稿ランキング、週間 回答投稿ランキング、(検索)キーワードランキング、アクセスランキングが追加された。
規制
Yahoo!知恵袋では、利用者の投稿に対する規制が何度も見直し・変更されている。
問題点
ステルスマーケティング
一般人を装い業者が書き込むやらせ(ステルスマーケティング)が発覚し問題となっている。2011年10月、「J-Payment」という会社の営業資料が流出し、Yahoo!知恵袋で宣伝活動を展開するという内容が書かれていたため、ネット上で騒動になった[27][28]。また実際にやらせ書き込みを行ったとされる人物のインタビューでは「ネット上の口コミは、業者による宣伝の可能性もあるかもしれないことを知ってほしい」と語っている[29]。
- 知恵袋を利用した宣伝行為が多くなったため、2014年6月7日に知恵袋スタッフは一時的にURL付き投稿を不可能にした。その後「対策が整った」として同月26日にこの措置は解除された[30]。
「おしゃべり、雑談」カテゴリ
雑談、投稿練習といった質問がなるべく他の質問と混在してしまわないようにするため、交流掲示板として利用できるスペースとして「おしゃべり、雑談」というカテゴリが提供されている。下位のカテゴリは以下のようになっている[31]。
- ユーモア、ネタ
- アスキーアート
- 雑談
- 投稿練習
このカテゴリには、
などの、他のカテゴリとの差異がある。
アンケート
以前は、アンケートの質問は「おしゃべり、雑談、アンケート」カテゴリ[33]の下位の「アンケート」というカテゴリのみで可能であったが、2007年9月19日「アンケート」カテゴリは廃止され、質問内容に準じたカテゴリーであればアンケートの質問が可能になった[34]
脚注
関連書籍
- テンプレート:Cite book - 過去の質問をまとめた新書。2005年12月14日発売。